傍受マニアの艦これ   作:三和

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「そう言えばその手、どうしたの?」

 

「ん?ああ、これか…」

 

二階に着いた所で龍田が俺の手に巻かれた包帯に付いて指摘して来る…いや、どうしたのって…

 

「何だ、覚えてねぇのか?」

 

「…例の彼女が乗り移ってた時に起きてた事なら、断片的にしか分からないわよ……もしかして…彼女が何かしたの?」

 

「いんや、寧ろ手当てして貰った方さ……ただの火傷だよ。」

 

「いや、そんなきっちり包帯巻く様な規模の火傷を…ちょっとした物として表現するのはさすがに可笑しいんじゃないかと思いますけど…」

 

「てか火傷って…一体どんな状況でそんな事になったのよ?」

 

「それがな…」

 

俺は先の風呂場での出来事を話した…

 

「……一つ良いですか?」

 

「何だ?」

 

「ほんの一瞬ライターの熱に晒されただけなのに手の甲一杯に火傷の症状が出てると言うのは…さっき言ってた、不可思議現象そのままなのでは?」

 

「…ま、そうだな…間違い無くこの場所が原因だろうよ。」

 

単なる悪戯が惨事の引き金になるのがここで起きる現象の特徴の一つだが、もう一つ…仮にちょっとした怪我を負うだけの筈の状況で何故か重症になると言うのもここでは良く有る現象の一つだと聞いている(実はコレも実際に体験したのは今回が初だ…つか、特別運動神経が悪い訳でも無い奴が、何故か何も無い所で何故か転けて…これまたどう言う訳か受け身すら取れず顔面から行ったなんてのは定番だったと言うから本当に笑えない…)

 

「普通、そうなった時点で鎮守府に逃げ帰るものじゃない?多分、彼女が居れば貴方は出られた気がするんだけど…」

 

「そりゃ、かもしれない…としか言い様がねぇだろ。つか、出られる訳ねぇだろ…」

 

「何で?」

 

「……あいつが身体に入ってる状態で、お前が寮の外に出られる保証が無かったからな。」

 

「「……」」

 

「何だよ?」

 

「貴方、本当に元民間人?」

 

「普通、ほとんどの人は先ずは自分の身を優先しますよ?と言うか、軍人なら尚の事そうすると思いますけど…」

 

「部下を放置して、一人だけ安全地帯に逃げる軍人なんざただのクソだろうが。」

 

「「……」」

 

俺としては至極当たり前の事を言ってるつもりなんだが…二人の感覚では可笑しいらしい……何だ、何が問題だってんだ?

 

「そりゃ、色んな艦娘に好かれるわよねぇ…」

 

「今時中々居ないですよ、ここまで徹底出来る人…軍人なら、尚更です。」

 

どうやら、今の軍人は俺の思っている以上にクソだったらしい…

 

「道理で戦争に勝てない訳だ…艦娘がいくら奮闘しても、組織に所属してる以上…上がゴミならもうどうしようもねぇわな…」

 

「と言うか、今更気付いたんですか?」

 

「…いや、正直もう分かってはいたんだが…改めて実感したな…」

 

「そう言えば貴方以前、他の提督と全然話が合わないって言ってなかった?」

 

「無理無いですね、考え方が違いますから…」

 

「……」

 

「あの…やっぱり貴方、元帥やりません?」

 

「嫌に決まってんだろ。」

 

つか、結局現場の人間だから成り立つ考えだろうに…

 

「まぁ、あの方が選んだら断りませんよね?」

 

「……断れないだろうな。」

 

今は俺も軍人なんだから当然…てか、どうせもう一般人に戻れねぇだろうしな…

 

「…と言うか、すっかりダレたわね…」

 

「今の所全く接触が無いからな…」

 

マジで何で俺らを閉じ込めたんだか…

 

「…ちなみに、この部屋が二階最後の部屋よ。」

「……空き部屋、と。」

 

「やっぱり大半が空き部屋なんですね…」

 

「もうほとんどの艦娘は鎮守府に移ってるからな…」

 

まぁ、何も俺も好き好んで艦娘の部屋に入ってる訳じゃねぇから…空き部屋だとマジで気楽だな…

 

 

 

 

 

まぁ、予想通りと言うか…この部屋も特に異常は無く…

 

「後は三階ね…」

 

「ああ…」

 

「?…何か三階に問題が?」

 

「あの日、加賀と叢雲は三階の空き部屋で消えたからな…」

 

「それと…三階はとにかく事故が多かったのよ…」

 

「又聞きになるが、特に三階から転げ落ちたのは一人や二人じゃねぇんだと…しかも全員普通に一階の床までノンストップできっちり落ちて来てる……普通の人間だったら、間違い無く死んでるぜ…」

 

「さすがに行くのを躊躇しますね…」

 

「まぁ、文句言った所で行くしかねぇんだけどな…」

 

ここで躊躇しててもこっから出れねぇんだろうしな…

 

「こっからは下らねぇ話は無しだ…マジで危険だろうからな…」

 

三階には幽霊騒ぎの後…俺は何度も出入りした…ただ、何となく分かる…今は、空気が違う…正しく、あの日と同じ…あの異様な雰囲気をこの階に居ても感じる…

 

「……」

 

懐中時計を取り出し、腕時計と一緒に確認する…

 

「…ズレた、な…」

 

「え…あ、本当…」

 

現在、懐中時計は午前三時…そして、腕時計は二時半を指している……もうこうなると、どっちが正しいとかもねぇ気はすんな…

 

「元々ズレてたんじゃないんですか?」

 

「いや、さっきはほぼ同じ時間だった…赤城…覚悟しな、多分…こっからは一筋縄じゃ行かねぇ…」

 

「……」

 

ゴクッと唾を飲み込んだ音が赤城の方から聞こえた…

 

「ふぅ…ま、とは言え…なる様にしかならねぇな…」

 

「え…」

 

「元々ね、私たちも対処法知ってるとかじゃないから…結局行き当たりばったりで行くしか無いって事…」

 

「結局後手後手になるんですね…」

 

「まぁ、あの日もそうだったしな…ま、何とかなんだろ…つか、今日はこっちから会いに行くつもりなんだがな…」

 

前回は脱出を優先した…今回は最後まで付き合うさ…

 

「ところで一つ良いですか?」

 

「ん?」

 

「向こうは別に用が有るんじゃなくて、単なる愉快犯だったりする可能性も有るのでは?」

 

「「……」」

 

それは考えない様にしてた…この様子だと、龍田もそうらしい…仮に向こうが俺たちを閉じ込めた時点で目的が完了してるなら、向こうは下手したら俺たちを外に出す気は無く…ただ野垂れ死にするまで放置される可能性も…

 

「まぁ、朝には誰か気付いて「無理ね(だな)」え?」

「前回は時間と空間が狂ったって言ったろ…アレ下手したらずっとあの時間に閉じ込められてた可能性も有ったからな…」

 

「つまり、もし…向こうが私たちを閉じ込めた目的が単なる気紛れの遊びで、もう暇潰しは終わってると思っていたなら…」

 

「俺たちは最悪、ここから一生出られないって事になるな…」

 

「「……」」

 

「ま、だとしても行くしかねぇけどな…」

 

「……ふぅ…ホント、ぶれないわね…」

 

「同じ死ぬ、でも…諦めたってよりは、抗い続けた…の、方が納得も出来んだろ。」

 

「ま、そうかもね…」

 

「そうですね…」

 

「…じゃ、そろそろ行くか……三階に。」

 

まぁ、俺もさすがに行きたくない…とは言え、逃げ場もねぇし…行くしかねぇんだけどな…てか、結局後手に回ってるのが本当にムカつくぜ…

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