「……あの、もしかして…」
「赤城、お前の考えてる通りだ…実は現在、この階に住んでる艦娘は一人も居ないと聞いてる…」
「更に言うと、掃除も基本的にこの階ではしないわ…あまりに、危険だからね…」
「夜間に異変起きるだけならまだしも、事故が起きるのは当然日中ですもんね…」
「そうでなくても、ここは元々廊下に窓が一枚も無い…加えて、風呂もトイレも一階にしか無い。にもかかわらず、ここは夜は高確率で停電が起きる…当然真っ暗な中階段を降りてくる事になるが、窓が無いせいで月明かりを頼りにも出来無い……あ、そもそももう一つ笑えない話も有ったな…」
「え?あー…ひょっとしてアレ?」
「……どれの事かって聞きたい所だが、まぁアレしか無いだろうな…」
「あの…どう言う事ですか?」
「ここはな…レーダーなどの探査装置は元より、無線すらまともに機能しねぇんだよ…」
「え……取り敢えず使ってみても?」
「…一応緊急事態だしな、ちょっと外の奴に無線で連絡してみな。」
「はい……っ…あの…今まで聞いた事無い様な、凄まじいノイズが聞こえるんですけど…」
「だから言ってるでしょ、ここではその手の通信機器が全てアウトなのよ…」
「……マジの危険地帯じゃないですか…こんな所を外から来る人の宿泊施設にしてたんですか?」
「一応、三階は老朽化してるって名目で立ち入り禁止にしてたし…無線も基本繋がらねぇとは伝えてたさ…」
まぁ、実は当初は俺たちも無線と探査装置が使えねぇって事しか把握して無かったから…軽傷とは言え、外部の艦娘に数人の怪我人を出しちまったんだがな…
「つか、その辺はウチを勝手に集会場所に指定したお前らにも責任ねぇか?」
「……こっちはここがこんな状態だって、説明は一切受けてないんですけど…」
「ケッ…少なくとも、お前は知ってたろ?」
「…確かに報告書は読みましたけど、あんなのとても全部鵜呑みには出来無いですよ…」
まぁ、俺もコイツの立場だったらそう思うだろうな…
『ねぇ?』
『ん?』
横の龍田が小声で声を掛けて来た…ちなみに、赤城は俺たちの少し後ろを歩いている…
『この人の上官の元帥って、確か…』
……本当に、こいつは何処まで知ってるんだかな…
『お前の思ってる通りだ…あの件の報告書を出した頃はあの爺さんは表向き、軍人としての権限がほぼ無いも同然だった。当然、部下のあいつも権限は何も無い…で、あの頃はウチで出した書類は大体上に直行し…そこで止まる筈だろうな…』
『……何であの人、報告書読めてるの?』
『あのふざけた内容じゃ、確実にまともに保管はされてないだろうから…後から閲覧するのもほぼ無理だろうな…』
『いや、だから何で読めてるのよ?』
『あいつが多分お前の同類だからだよ、もうそれで納得しろ…つか、考えるだけ無駄だろ。』
『……そうね…もう気にしない事にするわ…』
俺からしたら、お前も大概だけどな…
「…あの、さっきから二人で何話してるんですか?」
「…何でもねぇよ。」
『……今聞いたら、案外答えるんじゃない?』
『冗談じゃねぇっての。』
実際コイツなら、普通にベラベラ話しそうな気がするが…どうせ口から出て来るのは確実に面倒な内容に決まっている……ハァ…全く、何でよりによってこの二人を頼りにしないとならねぇのかねぇ…マジで人選が可笑しいぜ…チェンジ出来るならしてぇよ…やれやれ…正直龍田はまだしも、赤城相手なら叢雲の方がまだマシな気がするぜ…