ロウソクを持った赤城を先頭に…俺と龍田は脱衣所より一段低い床に下りる(銭湯だと良く見る構造だな、何でそうなってるかは知らないが)
「あ、お二人共…足元に「言うのが遅せぇよ。つかそんな所で止まるな、かえって危ねぇだろうが」…あー…すみません、何かここ来てからずっとペース乱れてるんですよねぇ…」
ただでさえ暗くて(不思議と脱衣所より、更に暗く感じる気がして来る…)こっちは難儀してんのに赤城は何故か段を下りて少し行った先で止まって振り向いて来た……正直、コイツを先頭にしてんのは失敗だったかも知んねぇな…てか、確か…
「龍田。」
「何?」
「…さっき、俺の手からロウソクを回収したのはお前だった気がするんだが…いつ赤城に渡した?」
「……ちょっと…本気で聞いてる…?」
「何だよ?」
「…回収してすぐにそのまま彼女に渡してるの、貴方も見てる筈なんだけど?」
「……マジか?」
「ええ…大丈夫?しっかりしてよね?」
「あー…すまん。」
さっきの俺の行動も有るし、今更記憶が飛んでたくらいで大したショックは受けてない…が、こっからはマジで気張ってないと本当にヤバそうだ…
「えっと…取り敢えず、大丈夫そうなら先進みますけど…?」
「良いからさっさと行けって…」
俺の方にあからさまに異常が有った所で、この場ではどうせ何も出来ねぇんだ…つまり、気にするだけ時間の無駄だ…ま、体調そのものは特に問題ねぇしな……右手がまともに使えない程痛む以外は。
「…話を聞くに床が濡れてる訳は無いので、大丈夫だとは思いますけど…本当に気を付けてくださいね?」
「…おう。」
しつこいとも思ったが…まぁ、それは尤もだ…元々構造上滑る様にはなってるだろうし、今俺らが履いてるのは踏ん張りの利かないスリッパだ…マジで気をつけねぇとな…ただちょっと転けだけでもここでは大怪我…ならまだマシだが、最悪死ぬ可能性もゼロじゃねぇからな…
赤城がゆっくりめに歩くのに合わせて、後ろの俺たちも自然と歩行速度を落とし……ん?
「なぁ?」
取り敢えず俺は感じた違和感を確認する為、横の龍田に声を掛けた。
「今度は何?」
「…いや、気付かねぇのか?」
龍田の方はどうも気付いてねぇみてぇだな…
「何がよ?」
「…暗かったから外から見ても分かんなかったがな…少しだが、床が濡れてねぇか?」
「え…?」
「…成程、確かに濡れてますね…」
先頭の赤城がその場で屈み、床に手を付く…まぁ、そこまでやった赤城が言う以上…間違い無く濡れてるって事になるか…
「お前も、ウチの艦娘全員の行動を知ってる訳じゃねぇだろうが「そんな前置き要らないわよ、ウチの子たちでもうここのお風呂場利用する子なんて…基本的に誰も居ないわよ…」…だよな。」
「と言うか、この感じだと…多分そんなに時間経ってませんよ。」
「って言うと?」
「…お風呂を使用した、あるいは…単に水を撒いたでも良いですけど…濡れ具合から言って、普通についさっきまで誰か居たみたいな感じがするんですよね…」
「…まぁ、そうなるか。」
と言うか、既に今濡れてる時点でそんなに高度な分析の必要は無い。
「ま、勝手に蛇口やシャワーから誰も居ねぇのに水が出たとか…あるいは水漏れしたとかでも無い限りは人が居たって考えるしかねぇわな…」
「それは普通無いんじゃない「いや、誰も居ないのに勝手に蛇口がシャワーが使用状態になる事は無くても…水漏れなら経年劣化として現実的に有り得るだろ?考えてみりゃ、ここは業者入れた事ねぇからな」まぁ、確かに…」
「それはどうなんでしょうかね…」
「あん?何がだ?」
「いや、今確認したら湯船も結構濡れてるんですよ…やっぱり、普通に誰かが使ってたとしか思えないんですけど…」
「……」
俺は湯船に向けて手を伸ばし…!
「…だから、突然変な事するのやめてくれないかしら?」
「…ハァ…分かった、分かったから手を離せ…」
龍田に手を掴まれて止められていた…いや、マジで俺はガキと勘違いされてんのか?
「大体、今さっき赤城が確認してんだから濡れてる以外異常無しって「いや、私も照らしただけで…水そのものは触ってませんからね?」…そうなのか?」
「そもそも無害の水とは限らないんだから、普通触らないでしょ…」
「……」
そんな所まで気にしてたらもうキリねぇだろ…と言う言葉が喉まで出掛かったが、この場では飲み込んだ…まぁ、言われてみれば確かに…ここじゃ有り得ない話じゃねぇし、何より…こうして濡れてるのが既に不自然な話だしな…ハァ…マジで面倒な場所だぜ、ここは…