傍受マニアの艦これ   作:三和

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ドアを開け、ロウソクの灯りに照らされて見えて来たのはバルブが付き、多少複雑めに絡み合った鉄パイプと寸銅鍋の様な楕円形の金属製の物体……普通の銭湯のボイラー室にすら入った事はねぇから、設備について知識はねぇが…これが湯を沸かす為の釜の役割を果たしてるのは何となく分かる…で、パイプは……あー…面倒臭ぇ…仕組みについてはハッキリ言ってどうでも良い。

 

…後、他に気になる点が有るしたら…浴槽のデカさの割に設備がやけに小さいと言うか、予想より部屋が少し狭いと感じる事か…正直、奥は灯りが届かず暗闇だが…これならわざわざ中に入って確認する必要が有るのかと疑問になるレベルだ……ハァ…面倒だが、一応奥も照らして確認するべきかねぇ…正直、この暗闇の先が壁じゃなかったら何の為に有る空間かと聞きたくなるレベルなんだがな…

 

「ねぇ…入らないの?」

 

「…ん?いや、入るさ…」

 

龍田に促され、中に入る…とは言え、ほぼ目の前に釜が有る…素人感覚だが、マジでこれ以上奥が有ったらさすがに不自然だな…実際進んで照らしてはみたが、すぐに壁にぶち当たった…一応壁を軽く叩いてみたが、特に音の響きに違和感は感じない(いや、別にそこまで音感に自信が有る訳でも無いが)ま、向こう側に変な空洞が有ったりとかは無いだろう……以前…風呂場に繋がるドアが壁に変わっており、叩いても音に変化が無いと言う現象も有ったが…正直、ここもそうだったとしてもこの場では確認しようが無い…まぁ、さすがに場所的にも不自然だし…コレは普通に壁と思うべきだろうな。

 

次にボイラー設備の方に目を向ける…

 

「……」

 

先ずはパイプに触れ、そこから釜に触れる…

 

「ふむ…」

 

手を眼前まで持って来つつ…指を擦り合わせる…薄らとだがホコリを被っている…まぁ、このまま使っても問題は無いだろう…実際、次に触れたバルブはさすがに多少硬くは有ったが錆びてる様子は無いし…ちょっと力を込めれば普通に回せそうだ……ま、要はそこまで劣化して無いって事だ…場所が場所だからこうして入るのは初めてだが、普段から艦娘の誰かが定期的に最低限の手入れはしてるんだろう…宿泊施設として解放する以上、そうでないと困るが…俺は立場上、一応風呂場には入れないからな(今更だが)普通にありがたい事だ…最も、掃除の為に寮に入った奴が怪我する危険が有る事を思えば非常に複雑では有るがな。

 

……まぁ…特に異常は…いや…待て。

 

「う~ん…」

 

「何か問題でも有りましたか?」

 

「…いや…龍田。」

 

「何?」

 

「ウチの艦娘の多くは…基本、ここを出入りしないんだよな…?」

 

「…私の知る限り、ね…いや、下手したら何するにしても命懸けだし…私物を動かせない子だってほぼ諦めてるって聞いたけどね…」

 

まぁ、軽く引っ越し作業するだけで…普通なら有り得ない事故起きるだろうから確実に作業は進まねぇだろうな…さっさと終わらせようと下手に頭数増やそうもんならそれが原因で怪我人が出やすくなったり、最悪死人も出るだろうから…それを防ぐなら確実に少人数でやる羽目になるだろうし…かと言って、それなら本当にいつまで経っても終わらねぇだろう…諦めるしかねぇのは道理か…ふぅ……

 

「…一応、本当に大事な物は何とか持ち出してるそうよ。」

 

「…そうか。」

 

「……貴方が取りに行く必要は無いわよ?」

 

「…あん?そんな事言ってねぇだろ?」

 

「……」

 

「チッ…そんな目で見るな。俺は前から艦娘共の要望聞いてたんだ、今更だろ?」

 

「ホント、上官の鑑ですね…」

 

「…どっちかって言うと、理由はただの暇潰しなんだけどな。」

 

てか、現実的に考えれば…どんな理由が有ろうとむさ苦しい男に私室に行って、自分の私物を代わりに取りに行って欲しいって頼む女は居ねぇだろうよ…

 

……いや、そうじゃなくてだな…

 

「結局、ここの掃除してる物好きは誰なんだろうな…」

 

「……」

 

「…貴方、普段良く出入りしてるのよね…?貴方こそ心当たり無いの…?」

 

「…大半の艦娘が引き上げて、俺がここに出入りする様になってから…ウチの艦娘に会った事はねぇな…」

 

てか、そもそも俺が来るのは大抵夜間だ…例の幽霊騒ぎの時もほとんどの艦娘はビビってたそうだから、いくら何でも夜には来ねぇだろう…で、基本的に俺がプライベート的な付き合い有る艦娘は数人だけだから決め付けるのも何だが…実際怖がってないのは天龍くらいじゃねぇだろうか?…ま、いくらあいつでも夜に一人では来ねぇだろうがな(危険性は良く知ってるだろうからな…)

 

……こうして考え出しちまうと、一気に落ち着かなくなるな…ハァ…まぁ、元々今気にしても仕方の無い話なんだがな…

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