傍受マニアの艦これ   作:三和

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前を天龍が先導し、後ろを夕立さんが歩いている…ちなみに私は真ん中…いや、この隊列に意見はちゃんとしたんだけど、「「何かあった時どこまで対応出来る(の)?」」と言う二人の言葉にすぐに口を噤んだ…確かに、私は前と後ろ…どちらに回されても事が起きた時まともに動ける自信は無い……ホント、情けないわね…

 

「…取り敢えず顔を上げて、前を見て歩きなさい…バランス取れなくなってコケるわよ?」

 

「っ!…ごめんな「一々下らない事で謝るの禁止…別に反省は後でも出来るんだからね」…はい。」

 

言葉が強くて、厳しく感じるけど声音は優しい…いつもの夕立さんの話し方。

 

「…で、天龍さ「言い難いんだろ?呼び捨てで良いって」…そう。じゃ、天龍…提督が何処に居そうとか心当たりは有るのかしら?」

 

「んー…いんや、確かに提督が時々一人でここに通ってるのは知ってるけどな…さすがにどの部屋を良く使ってるとかは知らねぇよ…まぁ、艦娘の私物が残ったままの部屋で休憩するとかは先ずしないタイプでは有るから…空き部屋のどれかだとは思うけどな。」

 

「後付けた事とか無いの?」

 

「んな野暮な事しねぇよ。これでもオレは淑女なんでね…」

 

「一人称がオレの淑女ねぇ「何か文句あっか?」…いえ、別に…ま、とにかく空き部屋を探せば良いのね?」

 

「ああ…つっても、極数人を除いて皆大半の私物の持ち出しには何とか成功してるからな…今はほとんどの部屋が空き部屋みてぇなもんだけど。」

 

「…ここの状況的に、持ち出しはそれなりに大変だったんじゃない?」

 

「まぁな…とは言えあんたも知ってるだろうが、オレたちはみんな軍属の上…加えてオレたちは大体が解体寸前だった奴ばかりだ…この情勢下じゃ大して娯楽も無いし…元々の持ち物は消耗品も含めて大抵が支給品。だから自費で購入した私物なんてそんなに持ってなかったんだよ…その辺は救いだったな、お陰でほとんどの連中が早々に私物の持ち出しに成功してる。」

 

「…一応参考までに聞くけど、持ち出せなくて残ってる私物って例えばどんな?」

 

「ん?そうだな、例えば…ベッドの半分以上を占めるデケェぬいぐるみとか、後は…必要以上に身嗜みに気を使う奴の大量の下着とか…ま、何にしても…色々な意味で下手に提督が触れねぇモンばかりだろうな…重くても男の提督が触れても問題無い物なら…提督が既に粗方運び出してるだろうさ…」

 

「…ぬいぐるみは問題無いんじゃ「そう言う奴って、大体が精神的に不安定な上…男性恐怖症気味とかだからな…今は仕事と割り切れてんだろうから、提督と鎮守府内で出会ってもやべぇ症状とか出ねぇけど…最初の頃は間違っても提督と顔を合わせるなんて事が出来る状態じゃなかった連中だ…今ですら、数少ない心の拠り所であるソレに男の手が触れた日にゃ…どうなるか分かりやしねぇよ…」…あー…まぁね…下着は、さすがに無理か。」

 

「オレらみたいに異性相手でも軽いボディータッチ程度なら全く気にしねぇって連中なら、そもそもそんなに下着になんて拘らねぇからそんな大した数持ってねぇよ…ほぼ提督の手を借りるまでもねぇ……ま、とか言いつつ…実際オレは提督にも何枚か鎮守府の方の部屋に運ばせてるけど。」

 

「…それはそれでどうかと思うけど、って…そもそも量は持ってないんじゃないの?」

 

「…言わせんなよ、わざと下着に触れさせたに決まってんだろ?…ハァ…つってもあの唐変木、そこまでしてやってもオレに触れて来すらしなかったけどな…堅物なんだか何なんだか…」

 

そこで私は黙ってられなくなり、口を挟んだ。

 

「…あの、前から聞こうと思ってたんだけど…天龍?」

 

「ん?どうした叢雲?」

 

「天龍もその、あいつの事を「ん?ああ、無い無い…そんなんじゃねぇって」じゃあ、どうして?」

 

「どうしてって言われてもな…それがほとんどの艦娘の本能ってモンだろうしな…まぁ、せっかくこの身は女…加えて、あれだけ良い男ならせめて一回くらいは寝てみてぇってなるだろうよ…何より、その方が男は本性出るモンだしな…ま、実際は何回誘っても梨の礫…誰かさんに操立ててんのかと思えばこれだけ時間経ってて未だ手を出した形跡見えねぇんだけど……お前だって奥手そうでは有るけど、色々と出来る範囲のアプローチはしてるんだろ?」

 

「…その、裸は恥ずかしいけど…下着姿で迫ったりは何度か「…いや、そこまで言わなくて良かったんだけどな…てか、そこまでやっててあいつ手を出してないのか?もう一周回ってヘタレすら通り越してるぞ?あいつどんだけ精神力強いんだ?」……」

 

「ふぅ…中々爛れてるわねぇ「何だよ、あんただって分からなくはないだろ?」…まぁ、確かにそうだけど…」

 

「てか、考えるだけなら自由だ…何せあいつは誰にも手出してないみたいだしな…」

 

「…誰にもって、あんた以外にもあいつを狙ってる奴居るの?」

 

「…ん?何だお前も気付いてなかったのか?以前に比べたらあいつ人気出て来てるんだぜ?いい加減オレたちとの付き合いも長いのに、何年か務めて慣れて勘違いした提督に良くあるやたらセクハラするとかも無いしな、加えてあいつ…無害どころか、口調はぶっきらぼうだけど根はお人好しレベルに優しい…こんな奴、人気出ない方が可笑しいだろ?…ま、あいつもまるで気付いて無いし…それに、全員じゃないけどな…男性恐怖症が治ってない奴や、そもそも男に友人になる以上の興味が無いって奴も居るし…」

 

「それって…同性が好きって子が居るって事?」

 

「…お前さぁ、一応専属秘書艦なんだからもうちょっとオレらに興味持てよ…そうだな、現状鎮守府の部屋は空いてるのにわざわざ同室になってる奴らが何組か居るだろ?」

 

「ええ…え?まさか…」

 

「さすがに全員じゃねぇけど…他の姉妹艦とかそっちのけで二人きりの部屋選んでる奴らの多くは大体そうだな…ちなみに、加賀さんは大体その辺の事情把握してるぞ…任務に支障が出ない限りは黙認してるけどな。」

 

「…その、あんたも確か龍田と「オレらは例外。あいつも嘗て前居た所で天龍を失ったとかで…その所為でオレに良く絡んじまうだけで、一応ノーマルなんだとさ…ま、幸いウチの提督に男としての興味も特に無いらしいから安心して良いぜ?」…そう。」

 

「ま、良く有る話と言えばそうね…「あんたはあんたで色々知ってそうだな」…面白い話が無くは無いけど…それなりに長くなるからいつか、時間が有る時に話してあげる…と言うか、さっきから部屋のドアらしきものをどんどん通り過ぎてるんだけど…入らないの?」

 

「…あ。悪ぃ、話に夢中になり過ぎて完全に忘れてたわ…どっちみち行き止まりだし、念の為トイレと風呂場から確認しねぇ?」

 

「ハァ…呆れるわね…まぁ、良いけど…と言うか、随分余裕噛ましてるけど…一応提督が行方不明なのに貴女は心配じゃないの?」

 

「…ふぅ…んなわけねぇさ…現実逃避だよ、現実逃避…まぁ、どうせ龍田も居るだろうしどうにかなりそうとは思って「ちょっと待って。龍田も居ないの?」…ん?言ってなかったか?」

 

「初耳よ…」

 

「…そっか。ま、とにかく…龍田も居ねぇんだよ…多分、あいつもここに居るんだと思うけどな。」

 

「へぇ…根拠は?」

 

「ん?勘。」

 

「…そんなに信用出来るの、貴女の勘…」

 

「普段はあんま信憑性ねぇけどな「駄目じゃない…」最後まで聞けって。今日は何か知んねぇけどビンビンなんだよ…多分、全員一緒に居ると思うぜ。」

 

「まぁ、良いけど…それで?貴女の勘は三人はこの場所の何処を示してるの?」

 

「知らね「ちょっと。」…いや、そんな事まで分かるわけねぇじゃん…ほら、取り敢えずトイレから確認しようぜ?」

 

「…ハァ…はいはい、じゃあ行き「待った。」…今度は何?」

 

「三人全員で入ったら閉じ込められる可能性が有る…先ずオレが中に入るから、お前と叢雲はドアを押さえて見張っててくれ。」

 

「…本当にそんな事有るの?」

 

「…その、私は知らないんですけど…以前は実際に閉じ込められたそうで…」

 

「そう…ハァ…本当にとんでもない所に来ちゃったわね…」

 

「ごめんな「だから一々謝らないで。」はい…」

 

「…んじゃ、頼むぞ。」

 

……ふぅ…大丈夫、よね?無事で、いるわよね…?私はもう、あんたが居ないと真っ直ぐに歩く自信も無いんだから…だから、早く帰って来て…

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