頂上を挟んで向こうと対称的にこちら側は特に険しさも無く、見通しは良いと言う感じだった…最も、夜になれば明かりが無ければ何も見えなくなるだろうから、シウスの言う通りだった事は間違い無い。
……特別会話が盛り上がる事も無ければ、特筆すべきアクシデントも無く、俺たちはメトークス山を下る事が出来た。
山を降りたのは良いが、俺ですら頂上までは行った事が有るが、こちら側まで来た事は無い。ホットであの道具屋の店主から買った地図をイリアさんが出したところで…
「おい、こっちだ。」
そう言ってスタスタと歩いて行くシウス…既に予想は着いてはいたが…こうやっていきなり行動されてはさすがに判断が遅れる…俺は慌てて追い掛けた。
「シウス…やっぱお前…」
「ポートミスの場所なら知ってる…最も、ほとんど素通りだったから店の場所まで詳しくは知らねぇがな。」
「そうか。」
「…聞かねぇのか?今なら…一つだけなら、何でも答えるぜ?」
……そこまで気を許してくれている事に少々面食らう…最も…
「いや…一つだけ聞いても仕方無いだろ。」
「それ以上は欲張り過ぎだな。」
「……俺が…お前の素性に一ミリも興味無いって可能性は考えないのか?」
「そいつは無いな。」
「何でだ?」
「…"仲間"のお守りをするなら…素性の知らない奴を何時までも傍には置いておきたくねぇ筈だ……違うか?」
「……ごもっとも。」
その後…後から必死で追いついてきた二人に散々文句を言われたのは言うまでも無い。
「ほら着いたぜ、ここがポートミスだ。」
シウスの先導でポートミスの入り口に辿り着くと見慣れぬ物が…
「…何故、兵士が見張りをしているのかしら?」
「あ?マジで知らねぇのか…ここはな、ムーア国王のお膝元…要は城下町なんだよ。」
「……そうなの…でも、どうして町に入るのすらこんなに厳重で…」
「その辺は俺も知らねぇ。言っておくがここまで厳重なのはここだけだ。普通は町自体の入り口に見張りなんて立てねぇし、国によっては一部の範囲にはなるが、一般人の城の出入りすら可能だぜ?」
「そう…」
「ま、とっとと入って仕事済まそうぜ。」
兵士は俺たちが近付くと威嚇する様な目付きを向けて来たが、通行証を見せると脇に退けた…俺たちは武器を持ってるし、シウスの様な見た目からして如何にもチンピラ…と言える奴がいるとは言え、どんだけ厳重なんだよ…まさか一般人にもこの対応なのか?
いざ、町中で武器屋を探してみればやけに奥まった…正直初見だと分かりにくいところに店はあった。
……店に入り、シウスが代表して店主に声をかければ店の奥から荷物が…って、おい…
「デカッ…」
「こんなデケェもん持って行くのかよ…」
問題の荷物はクソデカい兎の像だった…普通に俺たちの背丈くらいは有る上、幅も横に広い…しかも、コレはぬいぐるみではなく"彫像"だ…相当に重いに違いない。
取り敢えずカウンターに乗せられたそれを、シウスが持ち上げて床に下ろし、息を吐く…
「…やっぱ重いか?」
「……ああ、かなりな…交代で運ぼうぜ?こんなん俺だけじゃ無理だわ…」
「元よりそのつもりだよ…なぁ?」
「え!?あ、ああ…もちろん俺も運ぶよ…」
さっきから反応の無かったラティに声をかける…まさかサボれると思ってたんじゃないだろうな…?
「私も「あ、イリアさんは良いですよ」…何故かしら?コレでも力は有る方なんだけど?」
ラティがそう言うとイリアさんが反論する…何故って…
「大の男が三人もいて、女性の貴女にこんな物運ばせてたら周りの印象良くないでしょう?ぬいぐるみならまだ分かりますがどう見ても像ですし…」
「…むっ…確かにそうね…」
「あー…あんたら?」
「はい?」
そんなやり取りをしてると店主が声をかけて来る。
「…悪いがココは一応店なんだ、買い物する気が無いなら…出て行って貰えると助かるんだが…」
「……そうですね、すみません…少し見ても構いませんか?」
「ああ、ウチに有るのはこんな所だ。」
良さげな武器があったら買い替えて置くとしよう…