……で、こうなるのか…俺は自分の背中にもう一本のロングソードを括り付け、溜め息を吐いた…
ここ、ポートミスの武器屋に置かれていた曲刀…サーベルを見た途端、ラティが使いたいと言い出した。
曲刀は何となく脆い印象が有るので、力押しになりがちな俺は敬遠するが…ま、俺より剣の扱いの上手いラティなら普通に使いこなすだろうと、ちゃんと身内贔屓無しで俺は言える。
…そしてお役御免となったホットの露天商で買ったロングソード…この店は下取りもやってるとの事なので、肥やしになるよりは良いか、と…交渉を始めようとした所…
「いやキリトが使えば良いじゃないか。」
そう…ラティが言ってしまったのだ…失言をした事に気付き、凹むラティに俺は苦笑を向けていたと思う…ま、俺も積極的に隠す理由も無かったさ……シウスがいなければな。
「そりゃ…どう言う意味だ…?」
「……見た方が早いよ。」
そして俺は、シウスに貰った剣があるのとは逆の肩から…こうして斜めに剣を括り付けた訳だ…
「あー…つまり?」
「見ての通りだよ、俺は二刀遣いだ。」
「成程な、中々珍しいじゃねぇか。何処の流派だ?」
「決まった流派は無いさ…ほとんど我流だ、元になった物は有るけどな。」
「何だ、そりゃ?」
「…親父から聞いたおとぎ話。」
笑われる、そう思った…別に昔ならいざ知らず今はそんな事で怒ったりは…?
「へぇ、そうか。」
シウスは笑ってなんていなかった…寧ろ真顔で感心するかの様に唸っている。
「笑わないのか?」
「あ?何で笑うんだよ?」
「いや…だから俺の剣技はおとぎ話から「元が何であろうと…それは確かに実戦で使える可能性が有って、お前は鍛錬の末にそれをモノにした…何でその努力を笑えるんだ?」……」
「しっかし…せっかく形にしたのに流派の名が無いのは…やっぱ勿体無いねぇよな…」
「なら!俺に案がある!」
「…ん?何だよ、ラティ?」
黙って俺とシウスのやり取りを見ていたラティが声を上げる…実際こいつのネーミングセンスはどうなんだろうか…正直不安になるが、聞くだけ聞いてみるか…
「アインクラッド流って言うのはどうだ!?」
自分でも自然と口角が上がるのが分かる…それは…嘗てアンダーワールド時代に俺が自分の剣技をそう自称したからだ…いやまぁ…結局俺はラティと同じセンスなのかと考えたら、昔の事と言う意識も相まって感じる気恥しさ通り越して、最早変な笑いが出そうになる…
「アインクラッド、ね…何でその名にしたんだ…?」
シウスがラティにそう聞くと満面の笑みでラティが答える…
「キリトの言うおとぎ話の名前が、アインクラッド物語だからだよ!」
「安直だな。」
シウスはあくまでラティに向かって言っているのに、不思議と俺はダメージ受けていた…結局俺はまだ割り切れてないって事か…
「安直で結構だ。それなら俺はこれから先も、その名で通す。」
「そうか…良いじゃねぇか…そう言うのは嫌いじゃないぜ ?」
本当にこいつは憎めないな…