「アスナ…!」
俺は飛び起きる…視界に入って来た光景…そして今まで見ていた物が原因で、自分が今置かれてる状況が分からなくなったが俺の頭はフル回転し、すぐに結論を出す。
「そうか…俺は捕まったんだったな…」
シウスに巻き込まれる形でだ…ま、俺もアレだけ派手に動いたのだからシウス一人に責任を押し付けるつもりはもちろん無いが…
「キリト・ツーベルク…起きているか?」
「っ…ええ…」
ドアの方から声をかけられ、初めて人がいた事に気付く…やれやれ…どうやらまだ少し寝惚けていたらしい…
「そうか…では身嗜みを整えたら声をかけろ。私はここで待っている。」
「はい、分かりました…」
身嗜みと言っても着替えは無いし、せいぜい顔を洗って髪を整えるぐらいだな…そんな事を考えながら俺は相変わらず嫌な音を立てるベッドから降りて洗面所(と言っても蛇口と水を受けるトレーしか無くて、すぐそこにトイレが有るような状態だ…)に向かう…そこで窓に目が行った……外から見える外はまだ藍色と言った感じだ…どうも夜も明けきらない状況で起きたらしい…道理でまだ眠い訳だ…
…さっさと目を覚ますとしよう…俺は蛇口を捻ると、その冷たい水を手で受け、顔に勢い良く浴びせた…
……昨日俺の尋問を担当したのとは違う兵士の背中を追い、異様に静かな廊下を歩く…どうもまだ夜勤の兵士以外は誰も出勤して来ていないらしい…
「良く眠れたか?」
「あ、はい…」
夢見が良かったかと言われれば微妙だが、それでもあの夢は俺を変えるきっかけになるかも知れない…今まで見ていたのは確かに違う…アレは、もしかしたら今の俺を変えるきっかけになるかも知れない…
「そうか…早く起きれるのは良い事だ。実力はもちろん…礼儀も知っている様だし、お前はひょっとしたら兵士向きかも知れんな…」
「元々朝は早い方なんです…最も、厳しい規律に身体を合わせるのは気質的に好きじゃないので兵士は厳しいかなぁ…と。」
「…まぁ…お前はまだ若いし今はまだ深く考える事は無いかも知れん…ただ…いつまでも冒険者などというものが続けられるとは思わん方が良い…」
「はい…」
それは…そうだろうな…今世でもちゃんと歳はとるだろうし…
「ウチは慢性的な人手不足な上、今の情勢はとても不安定だ…お前の様な奴の志願ならこちらはいつでも歓迎する…ま、どちらにしてもお前は先ずこの一件を終わらせてからになるだろうがな…」
「はい、分かっています。」
「今回の様な事はあくまで特例中の特例である事を忘れるな?町の人間を騒がせない為に、お前にはすぐにでもこの町を発ってもらう…不測の事態が起こる事を想定し、今日を入れて三日の猶予を与える…ギリギリまでは待つが…何も無ければ出来るだけ早くここに戻れ。」
「はい…」
「もうすぐ町の出口だ…お前の仲間たちは既にそこで待っているから合流したらそのまま行け…何かこの場で言っておく事はあるか?」
どうやら町の中を通らず出口まで行けるらしい…さて、言っておく事か…う~ん…
「…いえ、特にありません。」
「そうか…大丈夫だろうとは思うがまだ外も暗い…十分に気をつけるんだぞ?」
「はい、肝に銘じます。」
「…ではこの扉の先が町の出口だ…剣と財布を一旦返しておくぞ?」
「はい、ありがとうございます…」
「その武器もお前の持ち物として既にこちらで登録している…仮に途中で折れたとしても捨てたりせずに、必ずこちらに持ち帰るようにな。」
「はい。」
「良し…行け。」
兵士にそう言われ、俺は目の前のドアを押し開けた…