「…あ、キリト…」
「…」
外に出て目に入ったのは明らかに顔色の悪いラティと、めちゃくちゃ不機嫌そうなイリアさん…やれやれ…予想はしてたけど相当色々言われるかも知れない…そう思ってるとさっきの兵士が横に立った…
「積もる話は色々あるだろうが、期限は三日しか無いんだ…こんな所で時間を無駄にするな。」
「はい…」
「ここからはまだ町の中にも声が良く響く…間違っても騒いだりしない様にな…?」
「はい…分かっています…」
「今日には恐らくお前らの処遇も決まる…戻って来ると同時にお前らは刑に処されるだろうから、余計な荷物等を増やすんじゃないぞ?」
「分かりました…なるべく早く戻ります…」
「良し…夜が開ける前にさっさと出発しろ。」
「はい…」
「ホントにもう貴方たちは…何をしたか分かってるの!?」
「「ごめんなさい!」」
町から十分に離れたところでイリアさんに怒鳴られ、隣にいるラティと共にその場で土下座する…そういや行動がラティとほぼ同時だった気がするな…子供の頃から一緒だとこんな所も似て来るのか…
「コレで私たちはあの町でしばらく足止めよ…これはお金を失う以上に重要な損害よ…分かってるの?私たちには時間が無いのよ…?」
「……」
黙ってしまったラティがイリアさんに見えないように俺の足を蹴る…どうやら俺に丸投げする気らしい…全く…困った奴だ…
「…返す言葉も無いです…本当にすみません…」
「…一応聞くけど刑期を短くする方法とか無いのかしら?」
「無理ですね…連中は確かにシウス以上にガラの悪い連中でしたが…結局一緒にいたシウスからケンカ売った事実は変わりませんし、ましてや俺も積極的に攻撃しに行った上、連中は逃げてしまった様ですから…」
連中がいない以上、俺たちに全ての矛先が向かう…ま、リーダーに関しては俺が自分の意思でつい逃がしてしまったんだけどな…
「本当にすみません…それでもせめて、少しでも収容期間が短くなるように…俺もラティも頑張りますから…」
「…私が待てるかどうかじゃないわ…待てって言うなら…ここまで来たんだし、別にいくらでも待ってあげる…でも…時間が無いのよ…それは分かっているでしょう?」
あの石化ウイルスの保菌者からウイルスサンプルを手に入れるのは…例の第三勢力より先か…同時くらいで有るのが望ましいのだろう…俺たちの時代でアスモデウスの名を聞いた事が無い以上、かなり前に死んでいると考えるのが妥当(仮に何も無くて俺たちの時代まで生きている種族だったりするのかは分からんが)それはこの時代かも知れない…
そして、討ったのがもし…第三勢力の連中なら俺たちは最悪ウイルスを手に入れられなくなる可能性が出て来る…そうでなくても石になったドーンがいつまで生きていられるのかも分からない…少なくとも、ずっとあのままの状態を保てるなんて事は無い筈だ…
「ええ、分かっています…大事な仲間の事ですから…」
「…それなら…次からはもっと慎重に行動して…毎回毎回こんな事やってたら助けられる物も助けられなくなるわよ…?」
「はい…本当にすみませんでした。」
「すみませんでした!」
俺が改めて謝罪するのに合わせて勢い良く頭を下げるラティに少し呆れつつも俺は更に続ける…
「何度も言いますが…刑期は何とか短くしますよ。」
「何処からそんな自信出て来るのかしら…」
「模範囚でいる以外どっちみち選択肢無いですから…長々と牢の中で過ごすつもりも有りませんし…覚悟は出来てます…そうだよな、ラティ?」
「ああ…もちろん俺も何とか頑張るつもりだよ。」
いつもと変わらぬテンションでそう言うラティに不安を感じたが俺はイリアさんに向き直った。
「…本当にすみませんイリアさん…少しだけ俺たちに時間をください…」
その後も色々お小言を頂戴したものの…夜が開ける頃にはイリアさんも何も言わなくなった(そもそもたった三日しか無いのにこれ以上時間を無駄には出来無いからな…)