面子が一人減った事で彫像を持つ奴も当然減った…取り敢えずラティと二人でヒィヒィ言いながら交代で運び、 険しさが三割増になった様なメトークス山を抜け…何とかホットまで辿り着いた…
「着いたわね…」
「「……」」
俺とラティは思いの外疲れてしまい、正直返事をする気力も無かった…
「町に入ったらすぐに宿を取りましょ。今日を入れて三日と言ってたし、明日の朝一で出発すれば間に合うでしょう。」
それを聞き、地面に座り込んでいた俺は立ち上がると未だに大の字に寝転がり、荒い呼吸を繰り返すラティに軽く蹴りを入れる。
「いてっ…」
「…ほら、行くぞ?こんな所で野宿なんて嫌だろう?」
「まぁ大分夜も更けた事だし、もしかしたら野宿かも知れないわね…元々こんな荷物もある事だし…」
イリアさんがでん!と鎮座する兎の像を指差す…正直こんな物抱えて野宿なんて嫌なんだが…盗まれる事はさすがに無いだろうが、それでもさすがに見張ってはいないと…何か起きても困るからな…
「道具屋ももう閉まってるだろうしなぁ…」
漸く立ち上がったラティが溜め息と共にそう呟く…
「とにかく行ってみるしかないでしょうね…」
宿では部屋が既に埋まっているそうで宿泊を断られた…兎像は散々交渉して何とか預かって貰える事になったが(無論それなりの額を取られた)
「結局野宿ですか…すみません、イリアさん…」
「良いわよ。今回の一件が無くてもこれから先、そういう事はきっと何度か有るだろうしね。」
町から少し離れた場所で火を焚く…ココ最近は雨も降ってなくて良かった…クソ暑いくらいの気候とは言え、湿っていたら枝をいくら集めても火は中々着かないからな…
「それにしても貴方たち随分手際が良いわね…前にもこう言う経験が有るの?」
「昔、キャンプをした事が有るんですよ。」
「…それは前世の話?それとも今世の?」
今近くにラティはいない。今夜の夕飯になる獲物を捕りに行って貰ってる…近くにはいないっぽいし良いか…
「両方ですね。」
「へぇ…少し、聞いても良い?」
「…まぁ少しで良いなら…」
最も今世の話なら良いが、前世の話はまだラティに聞かれたくない…作り話としてなら既に粗方話していてもだ…
「取りあえず今回は今世の話でも良いですか?前世の時は何処から話したら良いのか分からないくらい、ややこしい話も含んでいるので…」
「そう…分かったわ。なら今世の話を聞きたいわね…」
そこで俺は悪戯心が湧く…
「……どっちを聞きます?」
「?…どっちって?」
「ラティと一緒にラティの親父さんに連れられてキャンプに行った話と…俺一人でサバイバル状態になった時の話ですね…」
「前者は分かるけど…後者は一体何が有ったわけ?」
「それは聞いてのお楽しみと言う事で。どっちにします?」
「……後者を選んでも良いのかしら?」
「良いですよ。最も俺の黒歴史ですし、ラティに聞かれたくないのでそう詳しく話すつもりも有りませんけど。」
「そう…じゃあ聞かせて貰えるかしら?」