キリトがスターオーシャンの世界に転生した   作:三和

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俺たちは食堂のテーブルで、やって来たイリアさんに今回の依頼について話した…

 

「…成程…そうね、確かにそう悪い話じゃないと思う。」

 

「一応、一度この話を受けた時点で、俺たちは執行猶予の身になります…余り時間は掛けれませんが、しばらくは自由に動いて良いそうです…まぁ、どっちみち今は港も欠航…海賊をどうにかしなければムーアからも出れませんし…」

 

例の一件で港は既に封鎖が決定されており、出入り出来るのは船員とここの兵士…そしてこの話を受ければ後は俺たちだけになる…

 

「受けた方が色々話が早いのは確かです……どうしますか?」

 

「……私としては反対のスタンスを取りたい所ね…」

 

「でしょうね…」

 

最悪の場合、俺たちは海賊の手に掛かって死ぬからな…まぁ…ケンカ程度で死刑になるのも不名誉過ぎるから、それよりはまだマシと言えなくも無いけど。最もまだ短い付き合いとは言え、ここまで来たんだ…この人の人柄はもうある程度分かっている…今更イリアさんは単に危険だからって、それぐらいで引くような人じゃないだろう…つまり、別に理由がある訳だ。

 

「余りにも危険だからって言うのも有るけど…私としては…"彼"の事をどうしても信用し切れないのよね…」

 

俺の取り調べを担当した兵士にも当然バレていたが…そもそも俺たちがこうなる原因を作ったケンカの発端はシウスの行動だ…

 

「彼はとにかく喧嘩早い…どう考えても今回の作戦の要は隠密行動よ。彼に出来るとは思えないわ…それに、彼が裏切らないとも限らない…」

 

今回の依頼の報酬は俺とラティ、そしてシウスの無罪放免以外に更に別に報酬が用意されている…仮にシウス一人が生き残ったらそれは全てあいつの懐に入る訳だ…まぁ、でも…

 

「隠密行動出来るかはともかく…裏切る確率は相当に低いと思いますよ?」

 

「…一応、理由は説明してくれるのかしら?まさか彼の人柄だけが根拠じゃないわよね?」

 

「イリアさんにも言いましたけど…元々、俺はあいつの人柄なんて特別重視してませんよ。少なくとも今回は大丈夫でしょう…何せあいつに裏切るメリットが全くと言って良い程無いですからね…」

 

「まぁ、それはそうでしょうけど…」

 

「えっと…キリトは何で、シウスは確実に裏切らないって言い切れるんだ?」

 

その言葉に椅子に座って俺たちと話をしていたイリアさんの身体がガクッと崩れ落ちる……体勢を戻し、額を押さえながら首を左右に振りながら溜め息を吐く…まぁ、本来ならここまでの話で分からない時点でイリアさんと同じ反応をするのが普通だろう…ただ、ラティと付き合いの長い俺の場合はこの程度ならせいぜい苦笑が浮かぶ程度になっている筈だ…

 

「ラティ、敵の規模がはっきりしないんだぞ?しかも俺たちより多いのは確実だ…」

 

「!…そっか、そうだな…仮に報酬を俺たちと分ける羽目になったとしても…この状況でわざわざ貴重な戦力を減らす理由なんて無いよな…」

 

…ラティはやらかし率は高いが、別にバカじゃないのだ…寧ろ頭の回転は本当に早い…ただ、周りの話から取り残されると展開について行けなくなるだけなのだ…悪し様に言ってしまえば絶望的に空気が読めない…擁護するなら単にマイペースなだけなのだ…それに、ラティがその質問をして来た時点でシウスの人柄だけを理由に無条件にシウスを信じてはいない証明にもなっている…

 

もっと言えばマイペースである以上、基本的に周りの意見に流されない…つまり…

 

「ラティ、戦いが終わった後に背中から襲われる可能性は考えてないの?」

 

「う~ん…状況にも寄りますが、先ず無いと思いますよ?場所が場所ですし…それに…」

 

既に奴らのアジトは例の無人島…それも、そこに掘られた洞窟と言う事は分かっている(分かった上で攻めないのかと兵士たちには聞きたいけどな…)視界も満足に利かない中、海賊を駆除し終えたとしてそこで俺たちに攻撃を仕掛ければ確かに勝てるかも知れない…

 

ただ…そもそもこっちは三人で奴は一人…まともに戦ったら奴が負ける可能性は高いのだ…と言うか、元々人の居なかった無人島に掘られた洞窟で有る以上…海賊の居ないスペースにはモンスター共も巣食っている可能性は高いし、それ自体を一種のトラップとして海賊たちが利用している可能性が有る…

 

シウスが元々海賊の仲間でここまでの事全部がシウスの描いたシナリオで、俺たちがこの依頼を受けるのも視野に入れた上で誘き寄せて殺すと言う非常に手間のかかる事を考えてる訳でも無い限り、モンスター共はシウスの敵だ…それなのに俺たち三人を殺してしまったらシウスはそいつらを一人で突破しなければならなくなり、リスクが高過ぎる…(そもそも俺からしたら…シウスに会った事自体完全に偶然なのに、どうやって仕組むのかって話だけどな…)

 

……とまぁ…ここまでの内容をラティが普通に説明したのを見て、呆然としているイリアさんを見て思わず噴き出しそうになる…(本当に分かってるのか確認の為に聞いたら、思った以上に論理的な答えが返って来たんだから当然の反応では有るけどな)ラティは昔から天然で何よりマイペース…その分周りがどれ程カッカしてようと常に冷静で、俯瞰して物事を見る事が出来るのだ…まぁこれだけの頭脳を持ちながら、俺に初めて会った頃のあいつは考えるより先に身体が動くタイプだったし、今でも仮にあいつの方が先にキレた場合は…こっちの話なんてろくに聞かないで暴走したりするから一長一短とも言えるんだけど…さてと。

 

「とまぁ…結局全部ラティが言ってしまいましたけど…とにかくシウスが裏切る可能性自体がほぼ無いんですが、どうします?この話…受けますか?」

 

「……その前に一つ良い?ラティって…」

 

「前にもチラッと言いましたけど…だから俺はラティが一番リーダーに相応しいと思ってるんですよ。優柔不断に見える事も多いですが…時にはこうやって常識には囚われず、感情にも流されずにちゃんと結論を出してくれますからね。」

 

「俺は今でもキリトの方が良いと思ってるけどな…」

 

「やだよ、面倒臭い。」

 

何でこれだけの傑物が目の前に居るのに、今世になってまでリーダーなんて面倒臭い仕事しなきゃならないんだ…

 

「ま、それはともかく…イリアさんの答えは?」

 

「…良いわ、やりましょう…勝てるかは分からないけどやって見る価値は有るでしょう…」

 

「決まりですね、外の兵士にさっさと結果を伝えましょう。」

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