俺とラティがイリアさんと話し合ってから一夜明けた。
「く~…!娑婆の空気は美味いぜ!」
シウス・ウォーレン…今、俺とラティが半分とばっちりで(いや…まぁ半分は俺たち自身のせいだけど)捕まる原因となった男が目の前に居た。
「あんまりはしゃぐなよ?俺たちは仮釈放…執行猶予の身だ…問題起こしたらお前は牢屋の中に逆戻りだぞ?」
「わぁ~ってるって。つか、迎えはお前だけか?」
「…ラティはともかく、イリアさんは本気でキレてるからな…しっかりお前の事を信用してないって言ってたし。」
「…やっぱりか?」
「寧ろ何で怒ってないと思うんだよ…」
俺の方も積極的に手を出した以上、俺にも責任は有る…だから、別にそれ程腹は立てていない…ラティも手を出してるから俺と同じくシウスに怒る権利は無いし、元々この程度ではあいつにとって迷惑の内に入らないから怒らない…ただ…完全に巻き込まれただけのイリアさんは別だ…いくら多少酔っていたと言ってもそれで納得出来る訳は無いだろう…
「いや…俺も怒ってねぇって事はねぇと思うけどよ…」
「なら言うな…多分、お前が出て来るなりそう言う態度取るんじゃないか…そう思ったから俺だけで迎えに来たんだから。」
「そりゃ悪かったな…」
「とにかく、この後は港に集合って事になってる…急ごう。」
「……おい、そっちは港と逆方向だぜ?」
「…ちょっと買いたい物が有ったからな…準備に関しては一任して貰ったんだ。」
「買いたい物?」
「まぁな、今回の"仕事"に役に立つかと思ってさ…」
「…ま、今回は任せるぜ…じゃあ道具屋か?」
「…ブツが無かったら困るしな…先ずは武器屋に向かう。」
「武器屋?今背負ってる剣じゃ、不満か?」
「露天商の剣は折れるかも知れないけど、もう一本買う予算はちと厳しいな…一応最低限準備資金としていくらか渡されてるけど…まぁ今探してるのは他の物だ…剣に関してはこの依頼…30日間の間にケリを着ければ良いって話だから、その辺は海賊のお宝でも回収出来たら新しいのに充てるよ。」
俺たちの執行猶予期間は30日間…その時までにアジトの連中を駆除し切れなかったら改めて俺たちは収容され、今度こそ刑に服する事になる…まぁ重要なのはそこじゃない…一番有り難いのは"略奪されたお宝を見付けても返還する必要は無い"ときちんと明言されてる事だ…リスクは高いとは言え、上手く行けばしばらくは路銀にもそう困らないだろう。
「…へぇ…で?何を探してるんだ?」
「着いてからのお楽しみ…いや、そんなに期待する話じゃないぞ?」
今度は何を見せてくれるんだ?…シウスの顔はそう思ってるのがありありと伝わる程満面の笑みで、瞳は少し暗めの光を帯びていた…バトルジャンキー特有のあの目だ…俺も似た様な物とは言え、さすがにここまでの目付きを向けられたら…どっかのクソ野郎を思い出してしまう……俺は溜め息を吐くのを堪え、武器屋までの道を歩き出した。