ラストノルマ…四人目の首を後ろから斬り裂いた所でちょうど俺の後ろから気配を感じて"そいつ"を抱えたまま振り返る…剣をこちらに突き出して突進して来るシウスの姿が見えた…ザクッと言う音を立てて、切っ先がその獣の身体に突き刺さる…
「……五人目か?」
「バーカ。俺の四人目だ、そいつはお前が刺す前に死んでる。」
「何だ、そりゃあ残念だ…」
シウスが剣を抜いた所で俺もそいつの身体から手を離す…うつ伏せに倒れた。
「つか、あの状況だと俺が先に刺されるだろ…殺す気か?」
「お前なら気付くだろ?」
「まぁ、そうだけど。」
恐らく興が乗っただけなんだろと思いつつ…それにしたってついさっき自分を殺し掛けた相手と普通に軽口叩けるのが今の俺だ…改めて考えると自分でも割とイカれてると思う。
実際今なら…PoHたちラフィン・コフィンの連中とは普通に会話自体は成立するだろうな、と感じる程には擦れて来てると自分でも思う(PoHすら遥かに超えるどっかのイカレ野郎はさすがに無理だが)
「さて、先を急ぐぞ?」
「ん~……ああ。」
少しでも溜まって来る身体の強ばりをどうにかしようと伸びをする…さて、この程度の相手しか居ないならラティはそんなに心配じゃないが…イリアさんは大丈夫だろうか…ラティは普段は俺と違って、基本的に人を殺さないが…状況によっては俺以上に冷酷になれる奴だ…一緒に居て、メンタルやられてないと良いが…
「テヤァ!」
「ガアアア!?」
襲って来た内の一人…海賊らしき男を袈裟に斬る…たくっ…しつこい。俺はこっちに倒れ込んで来たそいつを蹴り飛ばしながら思う…今回は無駄に大量出血させてないし、敵の服で剣に付いた血を拭き取る事も出来るが、そろそろ剣に付いた血が拭き取ってもどうにもならないレベルに来てる(例のあいつの時に吹けなかったのが良くなかった…)ちなみにシウスに聞けば、あいつの剣は構造上…柄の部分でほとんど出血させずに撲殺する事も可能だそうで、意外とそんなに血も付かないらしい…くっ…羨ましい…
「あっ!」
そんな事を考えつつ…先に終わった俺はあいつの戦ってる所を見ている時にある事に気付き、懐のナイフを取り出し、投げた…!
「……おい、俺の獲物取るんじゃねぇよ。」
「そいつは俺の獲物だった筈だろ?先に横取りしたのはお前だ。」
首に刺さり、そいつは倒れ込んだ……全く、何か死体の数が可笑しいと思ったら、コイツどさくさに紛れて…
「たくっ、油断も隙も無いな。」
「早い者勝ちだろ?横から掻っ攫ったお前の方が問題じゃねぇか。」
「ハァ…良いからさっさと行こうぜ…イリアさんが心配だ…」
「まぁ、この程度の腕の奴ばかりならラティは問題無いな…だが、確かにあの女は心配だ…」
「お前の思ってる通りだ…あの人メンタル弱いんだよ。」
それでもその辺の一般人よりは強い方だけどな……俺たちが可笑しいだけだ…
「お前ら、ずっと一緒に旅してたんじゃねぇのか?」
「ん…イリアさんとは知り合ってまだ間も無いな…まぁ、色々と訳が有ってさ…」
「へー…」
それきりシウスは口を閉じる…まぁ、訳有りなら聞かないと言ってたからな…俺の口から勝手に事情話せないし、そう言う対応してくれると助かる……しかし、連戦が続いてるな…さすがに少し疲れて来た…あれから階段も見付からないし、ラティとイリアさんも何処に居るのか…全く、二人が見付からないと一度撤退する事も出来無い…いや、無理か?結構一味の人間殺してるから…今出て行こうとすると面倒な事になる気もする…このまま帰らずここを制圧すべきか…やれやれ…せめてもう少し安全を確保したい…敵地で言える事じゃないとは思うけどさ…