首を落とした死体の懐を探り、布に包まれた干し肉に齧り付く…食事をする場としては最悪の景色だし、衛生面は心配だが…腹が減っては戦は出来ぬ、なんて言うからな…何としてでも食っておく……ラティの親父さんと一緒にキャンプと称したサバイバル生活した事有るし、俺は前世と今世…両方で単独経験済みだ…まぁ、さすがに同族の死体が転がる中食うなんてのは初めての経験だが…
「おい、キリト。」
「ん?」
「あっちに食料庫有ったぜ。」
「!…マジか、ついてるな。」
幸先が良い…少し物足りないと思ってた所だ……たくっ、携帯食糧くらい全員ちゃんと持っとけよな…
「缶詰かよ…」
「まぁ、この環境で保存利くってなったらそうなるわな…」
この洞窟、暖かいんだよな…そりゃ果物やら生物はそのまま置いておけないか…缶切り無いか…?
「……無いか。」
ハァ…缶詰貯蔵するなら近くに置いておけよ…
「キリト、ナイフ貸しな。」
「ああ。」
まぁ、それが一番手っ取り早いか…ただ、コイツ造り的に壊れそうなんだよなぁ…まぁ…一、二本くらいなら別に駄目にしても良いか…
……実は缶切り無しでも、缶詰は開けられる。例えば…蓋にする丸い部分を岩に擦り付けると蓋は摩耗し、勝手に本体と分離する…その後は缶本体を握れば開く…ま、今回はナイフをぶっ刺してこじって行くだけだ……先ず、このナイフが金属の蓋にしっかり刺さるか不安だが…
今更だが、貸したのを少し後悔している…
「何とか開いたな、返すぜ。」
「いや、返さなくて良い…ベタベタで使えない。つか、何で缶詰の中身も肉なんだよ…」
ここまで脂ぎってると、洗わないとコイツ使えないな…まぁ、まだナイフのストック有るからここで捨てても良いけど…つか、人の血と脂の方が拭き取りやすいのが何ともなぁ…
「しゃあねぇだろ。中身が何か、分かんねぇんだから。」
……ラベル、貼られて無いからな…さてと…
「コイツは何だ……お、みかんの缶詰だ。」
ナイフをもう一本使って、別の缶詰を開ける…つか、ラベルも無かったら真面目に中身見分けられないだろ…一種のロシアンルーレットだな…まぁ、缶詰は腐ってる以外の外れはほぼ無いと思う…ちなみに、あからさまに膨らんでる、絶対に開けたら駄目なやつもいくつか見付けた…こんな環境で良く生きてけるな、あいつら…
「お、良いじゃねぇか…俺にも寄越せよ。」
「嫌だ、他に沢山有るんだから自分で適当に開ければ良いだろ。」
「チッ、ケチだな。」
「言ってろ「テメェら!何して…!」…食事の邪魔すんな。」
入り口で騒いでた奴の首に向かって別のナイフを取り出し、投げる……ワーン、ダウーン…何てな。いや、本当に使い道有り過ぎるな…買っといて良かったよ。
「惚れ惚れする様な腕だな。」
「そりゃどうも…こんなのお前なら練習したらすぐ出来るよ…つか、こんなの一々使わないだろ?」
「何言ってんだ、こんな狭ぇところじゃ剣振るのも一苦労なんだぜ?」
「まぁ、分かるけど。」
シウスの剣は元々かなりゴツイ上、それなりに長い。まぁ、こんな洞窟で振り回すのには確実に向いてない。俺の使ってる長剣も細身だから何とか取り回しが利くだけで、長さも名前の通りそこそこ有るから気持ちは分かる…
「投げる時、何かコツとかあんのか?」
「コツねぇ…無くも無いけど、結局反復練習するのが一番だよ……覚えたいのか?」
「便利だからな。」
「まぁ、この仕事が終わってここから出た後…機会が有ったら教えるよ。」
「おう、約束だぜ?」
「……言っておくが、あくまで今の俺たちの関係は一時の同盟だぞ?この後お前が一緒に来れるかは…ラティ次第だ。」
「分かってるさ。」
「なら、良いけど。」
ん…久々に食うけど、やっぱ缶詰のみかん美味いな…普通に一日の食材買える環境に居ると中々缶詰なんて買わないから、新鮮に感じる…