食料については文句言ってもしゃあない…敵地で有る事を考えたら、こうして食えるだけでもありがたいもんだ……ただ、水分だけはどうしようも無い。
「どうだ?」
「駄目だ、コレしか見付からない…」
結構大量に殺したんだが、中身の入ってる水筒を持ってる奴が思いの外少なかった…ただ、水筒を携帯してる以上…洞窟の何処かで補充は出来るんだろう。
「一本だけか、貴重だな…どうする?」
「何処で補充出来るか分からない…今はコイツを分けて飲もう……半分は残しておかないとな。」
「つーか、やっぱり水くらいは用意すべきだったんじゃねぇか?」
「言っても仕方無い…この仕事終わらすのにどれくらい掛かるか分からなかったんだ…あまり持って来ても嵩張る。」
「ま、そうだけどよ…取り敢えず空の方も持って行くか。」
「……待て、シウス。」
「どうした?」
「どうしたじゃない…そいつは要らないだろ。」
シウスが死体の持ってたダガーを回収し、鞘を腰に括り付けている…
「こんな狭い所でいつまでもデケェ剣振り回してられっかよ。」
「……使えるのか?」
「誰に言ってる?」
「ま、使えるなら文句は無いけどさ。」
元々、俺が口出す話じゃないしな。
「じゃ、とっとと行くぜ?時間食っちまったからな…」
「ああ。」
とは言え、缶詰と言うこの世界の時代風景に似つかわしく無い物が有りつつも…さすがに携帯出来る時計は無い…良く考えたら、一度外に戻らないといつ夜が開けるのかも分からない…俺たちの体力の消耗具合だけ見ても、そろそろ一度向こうに戻るべきかとも思うが…その為にもラティとイリアさん…二人と早く合流しないとな…
「そう言やキリト?」
「ん?」
「お前、何でナイフ投げる時いつも首狙うんだ?頭の方が的がデカいだろ?」
……映画とかで、ナイフ投げるシーンを見た奴が聞く様な質問だな…
「確かに首の方が的が小さくて狙いにくいし、当たっても相手がすぐに死なない可能性は有るな…ただ、頭はやめた方が良い。」
まぁ、俺も…ここがあの世界だったら、頭を狙うのが最適解だと思うけどな。
「何でだ?」
「頭蓋骨…頭の骨って実は結構硬いんだ…額なんて特に硬いから時々弾かれる事も有るし、目の辺りだと目玉でナイフが止まる可能性が有る…そしたら殺せない…だから、実際は首を狙うのが正解なんだ。」
「詳しいな。」
「まぁ…色々と、な…」
前世…向こうの現実世界で覚えた知識だ…仮想世界だと頭が正解だし、さすがに使う事も無い知識だと思ってたんだけどな…今思えば、あの野郎…ジョニー・ブラックにリアルで襲われた時…あの時、ダーツをやってれば俺は昏睡状態には陥らずに済んだかも知れない…ただ、たらればを言っても仕方無いし、俺はアイツを憎みつつ…ある意味感謝もしてる。あいつがあの日…リアルで俺を刺してくれなきゃ、俺はユージオやアリスには会えなかったし…実際はダーツやナイフの様な、暗器の可能性について考える事なんて無かった…
何だかんだ俺は…あいつに限らず、あのギルドの連中から与えられ…学んでる節は有る…影響を受けてる部分も有るだろう…さっきだって、つい…あいつの口癖を口走りそうになったし……ふぅ…ま、あんまり認めたくないのが本音だけどな。
……改めて考えてみても、ラフコフの連中には色々と手を焼かされたが…学ばせて貰った事は本当に多い…っ。
「……後ろ、だな。」
「暗くて見えにくいが、横穴があちこちに有るみたいだからな…ただ、こう奇襲ばっかりされると精神的に来る物が有るな…」
何よりただただ、ムカつく。
「良い方に考えようぜ…"獲物が向こうから来てくれた"…ってな」
「クク…確かに良いな、それ。」
……そう言やアレ、実は一回言ってみたかったんだよな…借りるぜ、PoH。
「来るぞ、キリト!」
「ああ!」
さぁ、高らかに叫ぼう…あの男の様に…
「イッツ・ショー・タァーイム!」