キリトがスターオーシャンの世界に転生した   作:三和

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振り下ろされた棍棒をサイドステップで躱し、その腕を斬り落とし、間髪入れずに悲鳴を上げる為に開けられた口を境に、頭を二つに斬り分ける…後ろの警戒も怠らない…背後のダガー持ちを振り向きざま、袈裟に斬り捨てた……自分でも明らかに、今の俺の限界を超えた能力を発揮出来ている事に若干の戸惑いは有るが…理由は何となく分かる…

 

「ふぅ…懐かしい、な。」

 

俺の精神は今、あのラフコフ討伐戦の時に立ち返っている…場所が洞窟且つ、奇襲されていると言う状況が…俺の意識をあの瞬間に戻らせてしまった…あの時は無我夢中だったし、アスナを…仲間を守る為とは言え、的確且つ無慈悲に敵を殺して行く自分に…俺は恐怖した…殺す事自体は怖くなかった…選択自体に後悔も無い。ただ、それをまるで呼吸の様に自然と出来てしまう自分と…その後皆が俺をどう見るのかだけが怖かった…

 

「滑稽だな。」

 

……俺の口から思わず漏れた言葉を、自分たちが馬鹿にされたと誤解したのか、怒って突っ込んで来る二人の男を冷めた目で見詰める…取り敢えず剣を片方口にくわえて、コートの内側からナイフを二本取り出し、それぞれの方向に投げる……今更結果を見る必要は無い、怒りのあまり…一直線にただこちらに向かって来る…そんなのは動かない的と変わらない。俺は目を閉じ、タイミングを計る……背中に向かって振り下ろされるダガーを後ろ足で蹴り上げ、振り向きざま喉を斬り裂く……何人目だ?

 

……俺は嘗ての自分の未熟さを嗤う。それでいて、その純粋さを少し羨ましくも思う…この世界にあちらと同じ法は通用しない。殺らなきゃ、殺られる…躊躇う必要は無い、こちらの命を狙って来る相手を…生かしておく理由なんて無い…おっと。

 

「ばっ、化け物がぁ!?」

 

……酷いな。ま、目を閉じたままの相手に…普通に攻撃を受け止められたら…そう言う感想にもなるか。自然と、俺の口角は上がる…

 

「バーカ。お前だって多分出来たよ、出来無いのは…結局、お前の鍛錬不足だったって事だろ?」

 

「クソッタレェ!」

 

目を開けると、仲間のを拾ったのか…棍棒とダガーを俺に向かって振り下ろそうとするバカの姿…ハァ…

 

「!…オラァ!」

 

「クソ、がァ!?」

 

二つの武器を同じ場所、しかもほとんど同時に振り下ろすなら二つ持っている意味が無い…当然、クロスさせた二刀で受け止め…両手を一気に開き、奴の胴をガラ空きにする…

 

「見せてやるよ、二刀流ってのはこうやってやるんだ…!」

 

二刀流ソードスキルの中でも最大の威力にして…最速且つ、最多連撃数を誇る…その数実に27連撃。

 

「この技の名はジ・イクリプス…あの世で自慢しろ、この世界に同じ事を出来る奴は居ないって俺が断言してやる……いや、悪い…もう聞こえないよな…」

 

さっきスターバースト・ストリームを使った奴は何とか原型を留めていたが…コイツに関しては最早肉片になっている…多分、確実に連撃の途中で死んでる…

 

「キリト。」

 

「……シウス、そっちも終わったか。」

 

「ああ…見させて貰ったぜ、お前の技…凄まじいな。」

 

「ふぅ…いや、所詮多連撃なだけの欠陥技だよ。」

 

先程まで有った感覚は消え失せ、少しの虚脱と…今の自分の弱さを改めて痛感する…この世界ではソードスキルは絶対では無い…そもそも、あちらとこちらでは俺の出せるスピードだって違う…この程度じゃ、見切る奴も出て来るだろう…

 

「そう捨てたもんじゃねぇぞ?あのスピードであの連撃…中々出来る事じゃねぇ。」

 

「ハァ…こんなんじゃ戦っていけないんだよ…ポピュラーなエダール剣技じゃなく、コイツを選んだのは俺だが…少し、後悔もしてるんだ…」

 

と言うか、技を出した後の疲労が中々にヤバい…一応鍛錬続けてスタミナは付けたつもりだが…それでも、やっぱりキツい…

 

「連撃じゃ駄目なんだ…格上相手だと、こけ脅しにもならない…」

 

「俺には…お前がそんなに悩む理由が分かんねぇんだけどな。」

 

「ん?」

 

「見ろ、食らったコイツはバラバラだ…恐らくそれだけ…一太刀、一太刀の威力がめちゃくちゃ高ぇって事だろ?」

 

「そう、だな…それが?」

 

「一撃、二撃でここまでの威力が出る以上…そもそも連撃にこだわる必要ねぇだろ?」

 

「あ…」

 

そうか、今の俺なら…普通に一撃で相手の胴を断ち割ったり、首落としたり出来るんだもんな…実質一回食らわせるだけで良かったんだ…無理に連撃に繋げる必要が無かったのか…

 

「見つかったじゃねぇか…お前の欲しかった、切り札がな。」

 

「そう、だな…ありがとな、シウス。」

 

「俺は別に何もしてねぇぞ?それに、お前が強くなってくれるなら歓迎するぜ?」

 

「ふぅ…そんなに、本気の俺と戦いたいのか?」

 

「ああ…ただ、今はやめておく…状況が状況だし、何なら…お前はもっと強くなるだろうからな。」

 

「そうか…あー…クソッ…キツい…悪い、少し休憩して良いか?」

 

「……お前はスタミナ不足も、これからの課題になるだろうな。」

 

「これでも鍛えたんだけどな…」

 

「ま、良いぜ…俺が見張っててやる…あまり時間は掛けれねぇが、ゆっくり休みな。」

 

「ああ。」

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