「ほれ、こんなもんだろ。」
「ありがとう…」
「気にするな。」
妙に手際良くイリアさんの手当てをするシウスに驚きつつ(いや、まさか包帯持ち歩いてるとは思わなかった…と言うか、コレは俺たちの準備不足を反省する場面だな…)それぞれの状況の擦り合わせをする…
先ず、俺たちは多数の敵に襲われたが…ラティたちは思いっ切りトラップ地獄の様相だったらしい…初めは大事をとって、慎重に進もうとしていたが…イリアさんが怪我をした事と…ちょうどそのタイミングで罠の殺意が一気に跳ね上がった事でラティは方針を変える事にしたらしい…とにかく迷っても良いから、イリアさんを背負ってトラップ地帯を全力で駆け抜ける事にしたんだとか……まぁ、一見脳筋な様で…凄まじいスピードで大玉が転がって来たり、天井がそのまま落下して来るなど…物理法則無視して徹底的にこちらを殺しに来てるトラップに何度も襲われたと聞かされれば…負傷者が居る状況も相まって、決して間違いとも言えない手段だったと言える…と言うか、俺がラティの立場でも同じ事をすると思う…(まぁ、あくまで負傷したのが女性で…この場に居る面子の中では確実に一番軽いだろうイリアさんだから俺だって背負って猛ダッシュも出来る訳で…仮に怪我をしたのが、シウスやラティだったら俺も本格的に頭を抱える事になるだろうが…)
で、ほとんど無我夢中で走り抜けた先で…漸く俺たちと合流出来たのが先程のタイミングだと言う……マジか。
「いや、本当に悪かった…俺たちの方は何度も奇襲されて…ちょっとピリピリしてたから過剰に反応しちまってな…」
「いや、良いよ…逆の立場なら俺たちだって相手の確認もせずに先手必勝で攻撃してただろうし…」
命からがら逃げ伸びた先で、漸く見付けた仲間がナイフ投げ付けて来たら普通パニックになるよな…つか、本当に良く対応出来たもんだ…俺なら、あの状況で咄嗟にナイフ掴む余裕も…多分無かっただろうな…
「……で、今後の方針だが…どうする?」
シウスはラティに意見を仰ぐ…ちゃんとラティがリーダーと認識してくれてる様で何よりだ…
「イリアさんも怪我してるし、本当は撤退したい所だけど…出口が分からないからなぁ…」
ラティがその場で考え込む…とは言え、ラティはまだ経験は少ないと言っていい…正直、ここまで追い込まれるのは予想もしてなかっただろう…仮にイリアさんの怪我が無くても、俺たちは今…体力的にもボロボロだ…このまま無理に先に進むのは無謀も良い所だ……とまぁ、改めて今の俺たちの状況を分析してみたが…今のラティはまだ、そこまでの思考には至れないと見て良い…取り敢えず、選択肢はこちらから渡さないと駄目だろうな…
「ラティ。」
「ん?」
「今、俺たちに取れる選択肢は二つ…このまま一人がイリアさんを背負って出口を探す為にとにかく先に進む…あるいは、少しでも体力を回復させる為…今ここで休む……どっちにする?」
「……決まってる、休むぞ…一人が見張りをして交代で休みを取るんだ。」
正解だ。この辺の判断はちゃんと親父さんの教えが生きてるな…そして、決めるのも早い。ホント、後の問題は経験の無さだけだな……ふぅ…ま、とにかく今はこの仕事を乗り切るのが先だな。