「デヤァ!」
「何ぃ!?」
目の前の男のダガーを破壊…そのまま剣を止めずに首を落とす…っ…
「ハァ…ハァ…ペッ!」
口に溜まった血を吐き出す……チッ、内臓は無事だよな…?さすがにそこまで行ったら、もう治らないぞ…
「くそっ!何でだ!?何でテメェは死なねぇんだ!?」
「ハァ…ハァ…ハァ…知るかそんな事。」
いや、まぁ…客観的に見ても、普通にこうして剣を触れてるのが不思議な位、ボロボロだけどな…
「畜生!くっ、来るんじゃねぇ!?」
「邪魔だ…」
片手の剣を捨て、ダガーを振り下ろす腕を掴み…もう片方の剣を腹に刺す…柄を逆手に持ち替え、そのまま強引に横にズラし、脇腹を裂いて剣を抜く……あー…これじゃあすぐには死ねないか。
「もうトドメ刺すのも面倒い…ずっとそこで叫んでろ…」
地面に倒れ、最後の力を振り絞るかの様に喚き散らすそいつに背を向けた。
「ハァ…ハァ…くそっ…これ俺が行く意味有るのか…?二人と合流出来た瞬間に安心して、倒れるんじゃないか…?」
いや、あれだけ殺しまくってまだこれだけ頭数が残ってるのは予想外だ…さすがに、こっちも限界が近い…
「んが…」
歩きながら殺した相手が所持していた干し肉を口に運ぶ……最早噛むのも一苦労なので、ある程度噛んだら水筒の水で流し込む……まぁ、飲み食い出来てればすぐには死なない…と、思う……正直、付け焼き刃も良い所だ…戻る体力も微々たる物だろうし、この場で傷が治る訳でも無い…無いよりマシってだけだな。
「ん…」
俺は残った水を一気飲みし、水筒を投げ捨てる…っ!
「漸くか…間に合ったみたいだな。」
耳に届くのは金属がぶつかり合う音にあいつらの声…あいつらが、戦っている…
「待ってろ、今行くからな…」
俺は音の方角へ走り出した…
辿り着いた先で見たのは恐らく身長2m以上は有ろうかと言う大男。そいつが…何故か丸腰になり、床にへたり込んでいるラティに向かって両刃斧を振り下ろす光景…!
「っ!させるか!」
俺の前で、もう仲間は死なせない!
「うおおおおお!」
……自分でもまだこれだけスピードで動けて且つ、雄叫びを上げれる程の元気が残っていたのに少し驚いたが、そんな事は今はどうでも良い!間に合ってくれ!
「っ!」
「キリト!」
「何だ、お前は!?」
「くっ…重い!」
何とか二人の間に割り込み、二刀で斧を受け止めたまでは良いが…あまりに重過ぎる…!っ…押し潰されそうだ…!
「キリト!そのまま押さえてろ!」
気付けば奴の横にはシウスが立ち、強烈な横凪ぎを奴の足に向かって繰り出す…
「なめるな!」
奴は後ろに飛んで、シウスの斬撃を躱す…奴は身長も然る事ながら、ガタイも極端に良い巨体だ…その、まるで大岩の様な男が宙を舞い、一気に後ろに飛ぶ…あの瞬間、シウスの出した斬撃は本当に疾かった…身のこなしも凄いが、奴の反応も相当に良い様だ……そう分析しつつも、俺はラティと共に一度後ろに下がる…シウスもこちらに下がって来た。
「キリト、イリアさんはどうした?」
「船員に任せて来た。」
「つか、お前その怪我は何だ…?」
「ヘマして、攻撃を食らったんだ…」
「やれんのか、その傷でよ?」
「問題無い、やれるさ。」
正直辛いが、この状況で弱音なんて吐けない。
「!…来るぞ!」
奴が肩を突き出してこっちに突進して来る…!…何て迫力だ…こんなの、トラックが猛スピードで突っ込んで来てる様な物だ…こんなタックル食らったら…!
「……いや、違うな。」
自分から突っ込んで来てくれてるんだ…寧ろこれは最大のチャンス…俺はその場に踏みとどまる…
「何してる!?早く逃げろ!?」
「黙って見てろ!」
奴は足を止めない…このタックルに絶対の自信が有るらしい…
「さぁ、来い!」