──どこかの偉い人がこう言った『歴史は勝者が造る』と。しかし勝者が残した歴史は正しく間違い、時に悪意ある嘘や冗談のような真実にまみれている。後の世に生きる人がその歴史を正しく知るには一つ苦労をせねばいけない──
──世界にまだ神秘が残されていた時代、複数の国家が覇を争う闘争が常に付きまとう群雄割拠の島にその王あり──
──名をウーサーペンドラゴン。最も誉れある騎士にして王たる彼は民の尊敬を集め国を纏めあげる手腕、老いて尚民を脅かす魔性を滅ぼすその豪腕は右に出るもの無し。そんな王が他の国から忠義を得るのは容易く、島は次第に一つの国となっていった──
─その名を『ブリテン』─
──ウーサー王は全力を持って国に尽くした。グレートブリテンが末長く世界の終わるその時まで平和であるようにと。他の王達もウーサー王なら出来る、ウーサーの為ならと思いを合わせて付き従った──
─しかし悲しいかな、その時はやって来た─
─ウーサー王は病に倒れた。それは唐突だった。誰もが嘘だと口にする、それもそうだ。竜や魔獣が何のその、鬼神が背を向けて逃げ去る活躍を見せたウーサーが人並みに病に倒れる何て誰も受け入れられない。
しかしウーサー王自身は至極冷静だった。これは運命、そうなる定めだと受け入れた。納得はしなかったが。
ウーサー王は老いて病に犯されて尚自分より国の未来の為に出来る事はあると、死の間際に命を振り絞り知己の魔術師にある願いを託した─
──これは違った『アーサー王伝説』どう転ぶのかは彼のみ知るだろう─
☆☆★★
『目覚めよ』
……誰だ、眠らせてくれ
『目覚めの時は近い』
……何を、言っている。俺は眠い
『もうすぐに新生するのだ』
何を言っている! 鬱陶しい! あぁ目が覚めてしまったじゃないか!
『汝は前世で死に、ここで新たな生を受ける』
……思い出したぞ、俺は死んだんだな。最後の景色は病室とだけ覚えている。必死に叫ぶ母さん、父さんは不器用だからそっぽ向いていたっけ……姉貴は見てないな、流石に海外からは間に合わなかったか。
『そうだ。汝は前世で死んだ。しかし新たなる世界がお前を待つ』
だんだん頭がすっきりしてきたぞ……ここはどこだ、暗くて何も見えないが?
『世界の狭間なり』
世界の狭間ぁ? ふざけて……無いか。大真面目にそうなんだな、あんたは誰だ?
『我は無限、我は有限、我は全てにあり、我は全てに宿る。全能こそ我なり』
……ヤバイ頭がおかしくなりそうだ。済まないが簡単に出来るか? 頭の悪い俺に分かりやすく頼む。ついでに態度も変えてくれ、出来るだけ接しやすく。
『OK! じゃ簡単にいこうぜ!』
ブッ! クッソこんなので……ハハハハハハハ!
『なんだいなんだい? 君じゃないか態度を改めろって言ったのは!』
落差が激しすぎだ! バカ!
『ぬぁんだってぇ!? 仮にも全能なんだぞう! バカも出来る!』
アハハハハハ! ……久しぶりに爆笑したぜ。で、さっきの話どういう事か説明してくれるか?
『簡単なこと、ボクはあらゆる事が出来る意思ある者さ。神様といった方が分かるかな?』
理解した、次の質問だけど俺はどうなるんだ?
『君は死んだよね? でもその魂を欲する世界があるからさ、そこに君を届けるのさ。簡単な話転生だよね』
転生!? 俺にも分かりやすくていいな! 端からそう言えば良いのに難しく言いやがってさぁ!
『微睡む魂にいきなりハイテンションで話しかけても飲み込めないでしょ?』
どのみち飲み込めないわ! ちなみにさぁ、俺の転生先は教えてくれるの?
『ダメ! 愉悦の為に教えない! はい、切り替えていこう。さぁ! 転生と言えばなんだと思う?』
愉悦とかクソ。しかし転生と言えば、か……新しい自分?
『もう分かってるくせにぃ!』
ほう、そっちの方がご趣味ですかい。ならば声を大にしていいましょう! 転生チートを、くれぇぇぇぇ!
『待ってましたぁ! さぁ頭を捻り願いを言え! 三つ叶えてやるぞぉ! 全能さんは太っ腹なのだ! 太ってはないぞ?』
マジかよ三つか……その世界についてヒントとかくれない? 先っちょだけでもダメ?
『むむ……んー、良いでしょう。同じ面がいくつも発生する、その元祖に至る世界。出会ったならば即斬りますよ、えぇ私はやりますとも』
おいだいたい分かったぞ!? まさかFateなのかそうなのか!? そしてお前はヒロむぐっ!
『アイデアロール自動成功、さぁダイスを振ると良いですよ。あとそれ以上はいけない』
いーやー! しーぬわー!
『だからこそ三つ! 願いを叶えてやろうと言うもの! あ、抑止とかそこら辺は全能さんがご都合主義的になんとかします』
やったー! ……そうだな、一つ決めた。どのFate世界か分からないけど、『才能』は絶対あったら良いよね
『才能、それは何に対するどのような?』
やりたい事全部出来る才能!
『却下』
えぇ!?
『最終的に全能になれますよそれ。つまり私と被るのでダメ。なにか限定しなさい』
じゃあ最優先にしたいのは……魔術かな
『はい一つ決まりですね、魔術ねはいはい』
さぁて二つ目は如何するかな……戦い以外に応用出来るモノがいいな。強い体、いいなそうしよう
『強い体ですね……それはゴリゴリ? スマート?』
スマートで
『はいはいスマートっと、セットで魔性の美とかいかがですかー』
あ、せっかくなんで頂きます
『スマートで強靭な肉体かつ魔性の美、いいねいいね全能さんもこれはやりがいあるよ』
三つ目はなにがいいなかー
『セイバー特効とかアサシン適正とかジェットとかどうですか?』
やっぱりお前ヒロごふっ
『私は全能さん、それ以上でもそれ以下でもないのです。いいね?』
アッハイ。さてと、これぞチートな三つ目を叶えるとしよう。
『決まりましたね? 何ですか?』
龍化出来るようにしてくれ、龍になりたい。格好いいもん!あ、胴体長い方だぞ!
『分かっていますよ、ほっとしましたあの金ぴか野郎の宝具とか言われたらしばいてエックスカリバー三段突きデッドエンドシュートですよ』
いろいろ混ざってるなぁ全能さん
『全て私ですからね、だから全能です。さてさて三つの願いを聞きました。なればあとは叶えるだけ、さぁお行きなさい。あなたに幸多からん事を祈っていたりしなかったりします』
最後まで真面目にやれー! やっ、ちょっ、吸われてっハァァァァァ~~~~…………
★☆☆★
─ウーサーが死して数年後、彼は産声をあげたのだ。その産声は世界にとって悪魔の雄叫びか、はたまた天使の囁きか……。
しかしそれもまだまだ先の話になる、彼は今だ母の腕に抱かれる幼子なのだ─
「まぁ、可愛い私のぼうや。今度は何かな?」
「あうあう(飯にしよーぜ)」
「はいはい、アルトリア! ちょっと来ておくれ!」
「はーいお母様、まぁアルティシアったらお母様にべったりね」
「それはアルトリアも一緒だったのよ、うふふ」
「はい……ごめんなさーい」
全能さん、見ていますか。俺だよ俺、アルティシアだよ。あなたのお陰で記憶を持ったまま赤ちゃんになってバブバブしてるアルティシアだぞおい聞いてるか?
はぁ、いいか。そのへんはあとにするよ
さてさて、俺の周りを例の如く調べていこう。赤ちゃん転生なんてこれくらいしかやること無いしな。
俺の身の回りは
母さん、アルトリア姉さん、父さん、以上。
そうさね、家の内装をみる限りヨーロッパだし父さんの職業はナイトだしうん……ここはブリテン間違いない。アルトリアと言う名前にニヤニヤしたのは内緒よ。
さぁ俺の現状、理解したか?
ここは恐らく100%エスター卿の家だよな。アルトリアいるし、ざっくりとした知識しかない俺の勘がそう言うんだからそうだろう。家のレベルで言えば……現代を十とするなら五だ。まだ父さんが騎士やってるからいい暮らししてるけど他所はもっと酷いかな。
しかしまぁアルトリアが姉さんとは恐れいった、全能さんが気を効かせたって訳じゃ無いよな……全能さんが言っていた『俺の魂を欲する世界』あの言葉がどうも引っかかる。大方マーリンなんだろうと思うけど、何でもマーリンのせいにするのは思考放棄だし、現状何も出来ないからおいおいになるけどその辺、暴いていこう。
「アルティシア~? 難しい顔してる?」
「あうあうぅあいあ? (赤ちゃんが考え事してはいけないのか?)」
「お母様! アルティシアが長文喋ったような気がする!」
「アルトリア、赤ちゃんがそんな喋ると思う?」
「むむ、むーん……無いとは言い切れない!」
「それもそうね、そうそう晩御飯の準備よろしくね」
「はい!」
アルトリア姉さん、恐らくあの騎士王たるアルトリアペンドラゴンなのだろう。いまは十歳に満たないが既に王の力強さを感じるな、なんかオーラが違う。それと同じ歳の子供と比べれば利発、更に発育よし。しかし悲しいかな聖剣抜いて成長止まるのだとか。かわいそ(小並感)。
「ただいま、今戻ったよ」
「あら? 今日は早いわねエスター卿?」
「うぅ、余り睨まないでくれよぅ! アルティシアに早く会いたかったから早めに帰ってきたんだよ」
「まあ! なんてお父さんなんでしょうねアルティシア」
「私は? お父様!」
「もちろんアルトリアにも会いたかったよ、ただいま」
「うん、おかえりなさい!」ニコー
あぁ、花も恥じらうってこう言う子の事を言うんだね……キュンってした、ロリコンになります。いやこの場合はシスコンだ、アイアイエー!
★★☆☆
─彼、アルティシアが五歳になる頃にはアルトリアは十二歳となり本格的に剣の修行を始めていた。それに釣られてアルティシアも同じく剣の修行に励むのだった─
「アルティシア! こうよ! こう!」ブォン!
「こう?」フォン
「もっと力を抜いて自然体になり、振り下ろす時にだけ力を入れる!」ズバォン
「ちぇやー!」フォン
「ハハッ、アルトリアもアルティシアも筋が良いね、全く教え甲斐があるよ……父さん騎士辞めようかな、自信無くなってきたよ……」
むふふ、チートボディは伊達ではないのだよ。しかしまぁとなりで素振りしてるアルトリア姉さんヤバくないか、人間の出して良い音じゃないよ?
才能か? 才能がモノを言うのか!
─アルトリアの才能と生まれ持った肉体が合わさり振り下ろす際に音速に近い速さが出ていると知るのは今のところアルティシア一人だ─
「さぁアルトリア、アルティシア、休憩にしよう」
「はい! お父様」
「きゅうけい待ってましたー! ママ上ー! おかし!」
「はいはいアルティシア、母は逃げませんよ。しかしママ上とはどこで覚えてきたのやら」
─アルティシアに優しく微笑む彼女を中心に一家団欒、楽しい時を過ごしている。がそれに水を差す無粋なモノが近付いてくる、主に花の香りがする魔術師だ─
「はいはい! ボクも入れてくれないかい!」
「あっ! マーリン様! 急な来訪は困るとお伝えしたはず、こちらの準備もありますのに」
「いやいや、おもてなし目的で来るわけじゃないからね?」
「礼節の問題ですよ! 全く自由人過ぎますぞ……」
「ごめんごめん、今度から気を付けるさ! アハハハ!」
─マーリンはみずぼらしい風体に杖を携えていた、着古したを通り越して擦りきれたローブのお陰で貧相な魔術師に見える。彼なりの偽装なのだろう、しかし世界最高の魔術師と名高い彼が何処にでもある家庭に足を運ぶなど恐らく誰も思い付かない─
「やぁアルトリア、アルティシア、それとご夫人。ごきげんよう! 遊びにきたよ?」
「マーリン様、またウーサー王の話を聞かせてもらえるだろうか?」
「アルトリアのお願いなら断る訳には行かないね、前はどこまで話したかな?」
「魔獣と決戦を繰り広げた辺りです! あれはまさに歴戦の王! もう話に聞くだけでも全身の血が沸き立ちました!」
「それは良かったよ、アルティシア君。君はいつも通り厄除けの魔術使ってるかい?」
「はい! いつも使ってます! ……そろそろ他の魔術も教えてくれます?」
「そんな潤んだ目で見ても……む、だめ……だ、だ……分かったよ。泣く寸前は卑怯だって」
「やったー! マーリン好き! 愛してるぅ!」
「いちいち大袈裟だよ、ボクにとって君はいい弟子さ。好きだよ、ボクも物覚えのいい子はね!」
「あれだね! 損し損愛!」
「それを言うなら相思相愛、損したらだめだよアルティシア」
むむむ、五歳の滑舌ではここが限界だよアルトリア姉さん
「ではマーリン様、お部屋をあつらえて参りますのでしばらくこの子達の相手をしてあげてくださいましね?」
「分かってるよ、二人の相手しよう! 話しつつ魔術を教えるなんて簡単さ……え? 眼がギラギラしすぎたよ二人とも」
よし! いくぞ花のお兄さん! 体力の貯蔵は十分か? 俺は満タンだ!
歴史が良く分からない?ならオリジナル要素を突っ込め!(乱暴)