騎士王の弟   作:テムテムLvMAX

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アルトリア「さぁ修行修行修行!修行あるのみ!力をつけて理想の騎士になってやるぞぉぁぁぁぁ!」

アルティシア「漢だなぁ・・・」


騎士よ、我が姉を見よ、あれは騎士の鑑なり

 ─アルトリアは思案した、己の騎士道はどうすれば伝わるのかと。騎士道とは何か、騎士道とは……そう自問自答を繰り返し辿り着いた答えは分かりやすさだった─

 

「ぬぉぁぁあっ! ハッ! ホァァァ!」

 

「姉さん! 女の子の出す声じゃないよ!」

 

「良いですか! 騎士に性別なし! 強く賢く気高いのが騎士! 性別は関係ないのですぉぅぅぅぅ!」

 

 

 全能さん見てる……? あの、アルトリア姉さんがあらぬ方向に吹っ切れたよ、これじゃ何て言うかユニバース行きじゃ無いかな? これ将来的にセイバーになれるのかな? 

 

 ─早朝に家を出て日の出をみる頃に着くような遠く離れた山中に乙女の絶叫が響き渡る、心臓が弱いものなら森の中と言う雰囲気と相まって心停止待ったなし─

 

「まずは分かりやすさが私の騎士道を広く伝えるために必要なのです! その分かりやすさとは! 即ちパワー! 力です! このような人の丈の岩石さえ持ち上げられれば分かりやすいですよね! アルティシア!」

 

「分かりやすい! だけどせめてもう一回り小さいやつから始めた方がいいのでは! 少しも持ち上がってないよ姉さん!」

 

 シンプルは良いが思考がシンプルなのはいただけないですよ、アルトリア姉さんは王になるんですからもうちょい頭使ってください。なんでこんなジャンプ主人公的発想力しかないんだよ! しかも今時の主人公じゃなくて昔の熱血漢タイプだし大丈夫じゃないよ、やべぇよやべぇよ……

 

「おや早速修行かい? 未来の王様」

 

「む、マーリン様! ごきげんよう!」ニカッ! 

 

「……ンンンンン? アルティシア、これどういう事?」

 

「あー、かくかくしかじか」

 

「……なんて事だ、焚き付けたから何とも言えないがこれはどうなんだ……?」

 

「マーリン様、ここへは何用で?」

 

「あ、あーそうだ。君を見に来たのとアルティシアの修行を手伝うかなって思ってさ」

 

 おぉ! マーリン直々の魔術講義! うひょー! 

 へーい現代の魔術師見てる~? 羨ましかろ? 羨ましかろうて? アハハハハ! 

 今回は遊びじゃない実践的な魔術を教われるじゃーん! あーこれ絶対に現代の魔術師嫉妬してるだろうな~

 

「アルティシアに質問だ、アルトリアは力を求めた。なら君はなんだと思う?」

 

「俺は……技、ですかね?」

 

「うんうん、力と技が揃ってこそだよね! そこでアルティシアには技の象徴たる魔術とその奥義をみっっっっちり講義します! こーんな面倒くさがりのボクが懇切丁寧に教えることはまず無い、そうまさに青天の霹靂だよね!」

 

 ─花の魔術師マーリンは“働いている所を見たことない”とウーサー王が公言するほどに仕事ぶりを見せない。本当に働いてないのか、そう見せ掛けているのかは誰も確かめようがない、何せ相手は最高の魔術師だからだ─

 

「では手始めに以前言っていた飛行魔術からだ、術式を頭に叩き込んでやるぞ我が弟子よ。ここからは花のお兄さんモードから世界最高の魔術師マーリンとして接しよう」

 

「分かりました、では俺も、いや私も敬語で接しますよ、先生!」

 

「あ、君はそのままでいておくれ、可愛げのない君は君じゃ無いよ! 魔性の美が台無しだ! せっかく美の神のごとき美しさを持っているのに! 口調は大事、良いね?」

 

 俺を動くフィギアと何か勘違いしてない? 

 

 ─アルティシアはマーリンとマンツーマンの魔術授業を受けることになった、簡易的にこの世ならざる空間『異界』を生み出しその内で半ば缶詰状態での究極的圧縮教育、高速詠唱が耳に囁かれ続け視覚からは文字と言う脳への情報の暴力、この行為は一種の拷問のように聞こえるがアルティシアの才能とマーリンの教導力が合わさればむしろ良いやり方であった。

 一方でアルトリアは力を求めがむしゃらに修行をしていた─

 

 

 ☆☆★★

 

 

「ふぅ……力、どうやったらつくんですかね?」

 

 はぁ……聡明なるいもう、もとい弟アルティシアなら良いトレーニング方法を閃くのだろうか……? あの子は私達とは違う視点と考えを持って常識を容易く乗り越えるかぶっ壊すの二択ですからね、はぁ姉的には気が抜けない。ですがとことん頼りになる存在たまからついついアルティシアを呼んでしまう。

 

「よし! 休憩終わり! 私はアルティシアに恥じぬ騎士になるぞ!」

 

 目指す所は理想の騎士! そして私の騎士道をあまねく騎士たちに見せつけてやります! 騎士はヒーローこれは絶対真理なのです! ニチアーサーの称号は貰ったぁ! ……ニチアーサーってどこで聞いたんだっけ? 

 

 

「もちろん剣術も鍛えねばなりませんね、剣……剣……むむ、よく考えたら拳で事足りる? 

 何も剣を使うのが騎士にあらず、着飾り誇示するだけの騎士など騎士にあらず、生き様が騎士なればこそ騎士なのだ! そう広くアピールするために敢えて剣を取らないと言う選択肢もありですね……っ! 全く私の冴えは素晴らしい!」

 

 しかし剣を全く使わないと言うのはジャガイモの無いマッシュポテトです、騎士と名乗る必要なし。剣も使うがメインウェポンは我が肉体。この塩梅が良いですね。

 

「剣術は基本が出来ればあとはパワーで捩じ伏せるとして、一般的な魔術に対する知識も必須だな。知識は筋肉の次に武器になる」

 

 方針は決まった! あとは唸れ筋肉! か細くては何も救えないぞ! たくましくあれ筋肉よ! はいワンツー! ワンツー! ワンツー! 

 

 ─アルトリアは鍛えたら鍛えただけ伸びるゴムのような才能と体を持っていた、それは出生に由来するが今は伏せよう。この男尊女卑の世界で騎士になろうとするならば圧倒的な力は必須だ、ある種アルトリアは真理を導き出していた。

 このまま行けば見事なシックスパック、鬼神の宿る背中、盛り上がる山脈のような二の腕、はち切れんばかりの太もも、まさにパーフェクトボディ、戦う女性に相応しい体に仕上がるだろう、しかしそれではボディビルダーよろしく魅せる筋肉ダルマ、実践的な観点から見ればシュワルツェネッガーより若かりしジャッキーチェンを目指すべきなのだ、そしてそれをアルティシアは知っている─

 

「ストップ! 姉さんストップ! そのままだと筋肉ダルマだよ。異界から見てたけどそれではいけない」

 

「マーリン的にもノーセンキューだよ、筋肉ダルマなんて」

 

 ─筋肉ダルマ、その言葉はアルトリアに少しばかり残されていた乙心を悪い意味で刺激した。アルトリアの幼さを残す整った顔が驚愕に歪む─

 

「ゴハァ! ……筋肉ダルマ……ダルマ……ダルマ……それは嫌だ、男足らんとはするが乙女を止めるつもりはない……っ!」

 

「そこでだアルトリア、このマーリンとアルティシアで組み上げたメニューがあるんだけど、どうかな? こちらを試してみると言うのは?」

 

「そう! 賢く力強く優雅である、王になるならば当然エレガンススマートマッスルを目指すのだ姉さん!」

 

 エレガンススマートマッスル……アルティシアとマーリン様がそこまで言うなら私は目指します! 

 

「じゃ俺は修行の続きするから引っ込むねー、あ、これメニューっす」

 

「アルトリア! 筋肉はほどほどが良いよ! でもボク個人としてはふくよガハッ! ……アルトリア……肘、肘が……っ!」

 

 天誅! さぁ貰ったメニューに従い目指すはエレガンススマートマッスル! イッツセットポジション! 

 

 

 ★★☆☆

 

 

 ─修行と言うのは学んだ事を反復して覚え、また新しく覚えてを繰り返していく事でその求めるモノの精度や密度を高めるのが目的。

 アルトリアなら継続的トレーニング、アルティシアは魔術の暗記に応用等々。

 マーリンの万全なバックアップを受けてアルティシアはグングンと魔術師としての力を蓄えていき、アルトリアは常人なら悲鳴を上げる激烈に効率的なトレーニングにより美ボディとマッスルパワーを手に入れつつあった。

 

 そして月日は流れ一年また一年と過ぎていく、そしてあれから三年が経った。アルトリアは十五歳、アルティシアは八歳、その体躯は自然が磨き上げた宝石の如く。

 アルトリアは金剛石、アルティシアは翡翠だろうか。─

 

 

「まぁ見ての通りこの岩は魔猪より大きいけど、砕いて見せなさいアルトリア。君の努力はここに現れるだろう」

 

「はい」

 

 ─いつもの山に一際目立つ巨大な岩がある、どこから持ってきたか訪ねるのも馬鹿馬鹿しい程大きい岩だ。家が丸々すっぽりと入る大きさと言えば分かりやすいだろうか、それを目の前にてアルトリアは立っていた─

 

「姉さん、ファイトですっ」

 

「アルティシア、姉の背中はどうですか? あなたを背負えるほど大きいですか?」

 

「ええ! 見事なマッスル! 見事な天使のような笑顔の鬼神が見えます!」

 

「そんなに誉めるな、むず痒いじゃないか。まぁ見ていろ! 私の騎士道を!」

 

 ─アルトリアは上半身はキツく絞めたサラシ、下はスカートと言う服装だ。これはアルトリアの意思の表れ。上半身を晒す事は鞘から剣を抜く事と同義とアルトリアは定めた、つまりは戦う覚悟をするのだ。これがアルトリアの戦装束。鉄の鎧を捨て肉体と言う鎧を見せびらかす『乙女』の心意気。

 その覚悟を込めた正拳の一撃を持って眼前の岩を有らん限りの力で殴り付けた─

 

 

奮ッッッッ! 

 

 

 ─大地を揺るがす音がした、大気が割れる音がした。岩の中心に大きな大きな孔が空いた、その向こうの景色も同じく孔が空いていた─

 

 

「……アハハ……ハハ……」

 

「ヒュ」カタカタカタカタカ

 

「手応えが違ったな……んー?」

 

 ─アルティシアはアルトリアの想像を越えた力で自分の感情を処理できないゴミに成り果てた、あわれ平和ボケ一般人ソウルではあの衝撃に耐えられなかったようだ─

 

「おっばべえぁ……っ!」

 

「アルティシア!? アルティシア戻ってくるんだ! 意識を手放すなアルティシア! ボクをアルトリアと二人きりにするなーっ!!!」

 

「マーリン! アルティシアに何かしましたか!」

 

「してないしてない! お願いします拳を下ろしてくれぇぇぇ!」

 

 

 ─アルトリアをなんとかなだめすかしマーリンはアルティシアを木陰に運び暫し休憩することにした、アルトリアはアルティシアに膝枕をしていたがその間アルティシアがうなされていたのはマーリンのみ気付いた。

 アルティシアが目を覚ましたのはそれから数時間後、昼下がりのことだった─

 

 

 ★☆☆★

 

 

 今の母さん……父さん……そしてアルトリア姉さん、八年間ありがとう、さようなら……あぁ、あれは天使様……? アハハ……綺麗だなぁ……お迎えあざす……誰? ……奥にいるのは……あぁロン毛のお兄さん……螺髪のお兄さん……お揃いのTシャツ、Tシャツ?! 良く見たら知ってる聖人だ! あっ逃げ

 

 

「バァーッ?!」

 

「ホァァッ!? ギャーアルティシア! ……良かった目覚めたのか! 姉を心配させるなっ! 馬鹿モノ……っ!」

 

 

 あれ、なんで姉さんに抱き締められてんの? ……あ、気絶したんだ俺。あまりにもびっくりドンチーしてたんだな。ん? ダメだまだ混乱してるな俺。

 

 

「アルティシア、お目覚めかい? 次は君の番だったけど今日はやめておくかい?」

 

「あー、いけるいける。大丈夫だよ。聖人も見たし験担ぎはすんだ」

 

「? そうかい、ようし我が弟子アルティシア! 君にはボクの知識の半分をこの三年でみっちり教え込んでバッチリ使えるようにしたんだ、それを踏まえて敢えて理不尽な課題をだそう! そらっ!」

 

 ─マーリンは杖を一振りするとたちまち空が暗くなり星が輝く夜となった─

 

「ほぉー……見事な夜空です」

 

「ここは『異界』ですね? マーリン先生」

 

「そうとも、この辺り一帯を『異界』で覆い尽くした。で、課題の内容はこの異界を君の魔術で抜け出すことさ。マジもんの『異界』だから気を付けなよ?」

 

「ひょぇぇ! 無理! 無理だよ! 異界を抜け出すとか八歳には厳しいよ! そんでもって先生の事だから迷いの呪いがあるんだろ!」

 

「大丈夫! マーリン先生は君の事が大好きだし信頼してるからヘーキヘーキ!」

 

「それは俺が平気じゃないよぉぉぉ!」

 

「さぁ! 未来に向かって後退しろ! ゴールで待つ! さ、アルトリアはこっちおいで」

 

「夕飯までに帰っておいでアルティシア」

 

「裏切ったのですね! 騙したのですね!」

 

 クソっ! 呪う! 呪ってやるマーリン! 難易度ヘルアンドヘブンは生き残れないわ! ここを出たら一日中腹痛で転げ回らせる! そんでもって姉さんに癒してもらうんだ……っ! 

 

 ─アルティシアの嘆きはどこ吹く風、アルトリアとマーリンはそそくさとどこかへ転移の魔術で移動した。ここからはアルティシア一人でこの『異界』を抜け出さなければいけない、一般的に異界とは人の手に終えない化物やはぐれ神、どこかの神話からはみ出した魑魅魍魎が生み出す小さな『世界』そこは人を迷わせ喰らう魔窟、抜け出せるものはそれこそ一流の武芸者か魔術師だろう。

 

 果たしてアルティシアの運命やいかに……─

 

 

 

 




アルトリア「我は拳を極めし者・・・」

アルティシア「あ、聖人・・・」イエスクンバレチャッタヨー!ブッダクンモネー!

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