「……むっ…」
「気が付かれましたかな?」
「あんたは?」
「単なる爺ですじゃ「嘘つけ、単なる爺がそんな殺気出せるか。」さすが七夜一族の者ですな。」
「……皮肉か?俺は鬼だ。暗殺者の七夜を名乗る資格も無い。増してや生き恥を晒す暗殺者が何処にいる?」
「七夜殿…いや、志貴殿…」
「……その名は捨てた。だが、何処で俺の名を聞いた?」
「貴方は覚えてなさらないでしょうが私は貴方に会った事があるのですよ。七夜黄理殿の息子の志貴殿?」
「……ふん。奴は今どうしている?以前見に行った時は里は既にもぬけの殻になっていたが奴がくたばったとは思えない。あんた居場所を知ってるんじゃないか?」
「会いたいですかな?」
「……瀬田宗次郎…あれを殺すには今の俺では不足だ。改めて七夜の奥義を学びたい。」
「あの方は神出鬼没。普段は何処にいるか分かりませぬ…ですが、貴方は運がいい…これを…」
「こいつは?」
「あの方の友人の居場所です。今はそこに転がり込んでおるとか。」
「…ありがとう。すぐに向かうとしよう。」
「そうですか。」
山道を進む。……本当にこんな所に人が住んでいるのか…?
……しばらく進むと小屋が見えて来た……あれか?
「何だ坊主?何か用か?」
小屋から長髪の男が出てきた……強いな。俺はつい懐に手を入れていた。
「やめとけやめとけ。俺は強いぞ。」
「随分な自信家だな…」
俺は懐の短刀を…!この気配……
「やめろ、志貴。」
小屋からもう一人男が……!
「久しぶりだな、志貴。」
「……チッ。俺は会いたくなかったよ。」
「志貴…成程。こいつがお前が言ってた息子か?」
「…ああ。家を飛び出して今日まで顔も見せなかった親不孝者だ。」
「肝心の家には誰もいなかったが?」
「何だ?お前里に戻っていたのか?…里の者は皆山を下ったよ。これも時代だ。」
「お前ら立ち話も何だろう。坊主、上がっていけ。茶くらいは出してやる。」
「そりゃどうも。そういやあんたの名前を聞いてないな?」
「ん?俺か?俺は新津覚之進。しがない陶芸家さ。」
「さすがにそりゃ虫が良すぎやしねぇか?」
「分かってるさ。だがあいつを殺すには七夜の奥義が必要だ。教えてくれ……」
俺は親父に頭を下げる……
「教えてやっても良い。だが…」
「……何だ?」
「まずは見せてもらおう。」
そういい懐から短刀を出す親父……へぇ。
「俺には分かる…あんたずっと人を殺してないだろ?そんなあんたが俺に勝てるのかい?」
「……その慢心がそのままお前を殺す。」
……っ!何だこの殺気は!?
「比古、ちょっと暴れるぜ。」
「……そっちの名で呼ぶな。…たくっ。大人気ない奴だな、勝手にしろ」
「ついてこい、志貴。」
俺は親父の後に続き小屋から出た。