6人は隔離病棟に細工してから研究所に帰還した。
ハルトマン「なんとか、細工は出来たね。」
ウルスラ「まあ、どの程度の時間稼ぎになるかは分かりませんね。矢継ぎ早に新しい案を練らないと、後手に回りますから」
ヴェール「取り敢えず、エイラさんの相手はぺチュア達に任せるしかないでしょうね。強化された未来視の相手は私たちじゃ分が悪いからね。」
ハルトマン「そうだね。結果を読んでから手を打たれたら、こっちは何も出来ないから」
ウルスラ「リーネさん達に宮藤さんを当てるのは欺瞞作戦がバレた後でしょうね。」
ヴェール「そうだね。ただ、2人が真っ向から戦わない可能性も考えて、なるべく宮藤くんの想いを無碍にしない範囲で支援したいね。それに竜人相手に単騎で奇襲してくるくらいだから、今の宮藤くんでは力で押し倒される可能性すらあるし」
ハルトマン「そうですね。いくら宮藤に銃器を持たせても車椅子を壊されたら木偶になっちゃいますから。」
ヴェール「だから、彼女には最後の最後には、脚で戦ってもらう必要があるかも。一応、アレイスターに手配してそれっぽいのをシュミッタと作らせてみたけど。」
ヴェール教授が1枚の写真を見せると、写真には、かつて宮藤が使用していた震電にそっくりな義足があった
ハルトマン「え!これって、宮藤が使ってたストライカーですか!?」
ヴェール「厳密には違うね。宮藤くんの活動歴の写真を元に、可能な限り私とシュミッタで再現した物だから。宮藤くんに一番馴染み深いデザインにしようと考えてね」
ウルスラ「見た目は殆ど宮藤さんが使ってた震電ですね。こんな、義足を作れるとはアレイスターさんは凄い人なんですね。」
ヴェール「アレイスターは希少な男性ウィッチで、独自の魔法をいくつも生み出しているからね。本人固有の魔法こそ無いけど、ウィッチにまつわるものならだいたいの原理を理解してるね。ちなみにこの義足は、宮藤くんの魔法力ではなく、アレイスターが作った魔力電池みたいなもので動くね。操作は本人がするけど」
ウルスラ「伝説の男性ウィッチ・・・本当に居たんですね。噂だけの存在と思ってました。」
ヴェール「当人はあまり表に出たがらないからね。そのおかげで、色々な理論研究に費やせたみたいだけど」
ウルスラ「今回の騒動が終わったら1度研究を見せてもらいたいですね。」
ヴェール「もちろんいいよ~、宮藤くんの知り合いなら大歓迎だからさ」
その時、研究所が揺れた。
ウルスラ「っ!今の揺れは地震とは違う。・・・もしかして、ツァーリ・ボンバの余波!?」
ハルトマン「まさか、もう投下されたの?!それならもう戦争が始まったって事に!」
ウルスラ「有り得ます。地震や台風が来たという情報はありません。そうなるとこれ程の余波が来るのはツァーリ・ボンバしかありません。」
その時、研究所の緊急電話が鳴った。
ハルトマン「ウルスラ、電話だよ!これは緊急ラインのだから、シャイタン絡みの人からではないはず!」
ウルスラ「そうですね。出てみます・・・もしもし」
シャーリー「あ!ウルスラか!大変だ!基地にあったスピリットオブリベリオンは皮だけ似せた偽物だったんだよ!」
ウルスラ「え?!既にホワイトマン基地には無かったって事ですか!?あれはまともに運用できる基地が限られるはずですよ?!」
シャーリー「どこの基地にあるか分からないんだ。ただ言えるのは2日前に整備した時は確実にあったんだ。けど、さっき整備してたら明らかにスピリットオブリベリオンには使わない部品が出てきたんだ。それで、1人になった時にこっそり1部の塗装を剥がしてみたら違う機体の文字が出てきたんだよ!」
ウルスラ「2日のうちに何処かへ引っ越したんですね…。やはりエイラさんが噛んでいるのかもしれません…。調べてみる必要がありますね」
リダン「既に投下されてしまった後となると過去に戻っても何処に移転されたかを調べるしか出来ないな。下手にこの状況で投下阻止を行うと今の状態が180度変わってしまう」
ペチュア「そうね、この流れを変えたら歴史の世界線が変動するわ。そうなれば、流石に怪しまれてエイラさんが手を変えてくる」
ハルトマン「けど、もうゆっくりは出来ないね。ツァーリ・ボンバが投下されたって事は連合軍がブリタニアに攻め込んだ可能性がある。」
ペチュア「そうね、ブリタニア侵攻を抑える楔はもうないから、戦争は始まっているでしょうね」
シャーリー「それと、ここに電話する前にバルクホルンから電話が入って、今からカールスラントもブリタニアに攻め込むようだ!」
ウルスラ「いよいよですか…。本格的な戦争の始まりですね」
その時、基地内のもう1つの電話が鳴り出した。
ハルトマン「また電話か。こっちが鳴るとシャイタン側の電話と疑ってしまうよ。」
ヴェール「そうだね、こっちは普通にどことも繋がるから、いっそこっち側の人達は緊急ラインの方だけにかけさせる?」
ハルトマン「それが良いかもしれません。とり敢えず出ますね。・・・もしもし。 」
リーネ「あ!ハルトマンさんだお久しぶりで〜す!」
ハルトマン「いったい何のつもり?ブリタニアが戦争に巻き込まれて、命乞いにでも来たの?まあ、アンタの性格なら、命乞いじゃなくて逆にこっちに命乞いさせに来るだろうけどさ」
リーネ「そうだね。さすがハルトマンさん。察しが良くて助かります!あのね。さっき、芳佳ちゃんを殺してあげたよ♪」
リーネはまるで、嬉しい事があった時のようなテンションで宮藤の死をハルトマン達に伝えた。
ハルトマン「…本当に憎々しい時って、何の感情も湧かないもんだね。私はブリタニアの滅亡を心から望んでいるよ。あんたみたいな人間が、世の中から差別が無くならない原因を作るんだからね。次会う時は、アンタの胴体から余計なパーツを切り離してあげるから、楽しみにしてるといいよ?」
リーネ「怖いな〜ハルトマンさん。でも、本当に私を殺す気ならハルトマンさんだろうが、容赦しないよ?」
ハルトマン「あんたに人殺しを躊躇う感情なんてあるの?あんたは機械と変わらないんだから、0か1の2択でしょ?『殺す』と決めれば親でも殺し、『殺さない』と決めれば敵でも見逃す。それだけじゃん、今更そんな脅しには乗らないよ?」
リーネ「ん?なんで躊躇わないといけないんですか?芳佳ちゃんは殺す必要があったから殺したんですよ〜」
リーネは高笑いしながら答えた。
ハルトマン「アンタは真性のサイコパスだよ。私でも分かる、生まれながらの本当の悪。環境だとか、思想だとか、そんなモノは関係ない。生まれた瞬間からアンタは悪として誕生していたんだよ!」
リーネ「ふふふふふふ!ハルトマンさん。よく分かってるね。それじゃあ、覚悟してね。今からその隠れ家も壊してあげる♪」
ハルトマン「もうこの場所が分かったの!?」
ウルスラ「皆さん、一旦避難です!こちらに!」
ハルトマン「クッ!仕方ないね!」
その場にいた全員がウルスラが指示した場所に逃げ込んだ。
ウルスラ「ここはそう簡単に吹き飛ぶ造りではないですが、あちらが何を使うか想定できないので、避難しかありません」
ハルトマン「分かった。死んだら元も子ないからね。」
少しの間地下へ続く階段を降りると少し広めの部屋に着いた。
ペチュア「さて、おそらくだけどもう世界中のどこに居ても、安全な場所はありませんね。こちらも少々手荒になりますが、まずはエイラさんの無力化を図ります」
リダン「時空の狭間での出来事は、どんな予知をしても防げないからね。彼女を時空間の牢に閉じ込め、無力化する方法を取るよ。もちろん、時空間の狭間にいる人間には、僕以外誰も接触は出来ない。無理やりこじ開けようとすれば、時空のバランスが崩壊して世界の理はおかしくなるからね。彼らでも手出しは出来ないはずだよ。僕以外の人間は、時空間から脱出する事は不可能だし」
ハルトマン「そうなると、先ずはエイラとの接触ですね。・・・一体何処に居るんだろう。」
リダン「おおよその見当はいくらかついているが、表に出てこないからなかなか難しいね。まずは、ローザンヌ内部を調べてみよう」
サーニャ「お願いリダンさん!私も連れて行ってください!」
リダン「時空間移動は僕しか出来ないのだが…、仕方ないな。これに乗ってほしい」
リダンはバイクらしき乗り物を取り出した。
リダン「これはテンプホエーラー、1人限定で僕と一緒に時空間移動が出来る乗り物さ。ただし、振り落とされたら永久に時空間の狭間から出られないから、手は離したらいけないからね?」
サーニャ「分かりました。ありがとうございます!私は自分の手でエイラに引導を渡したいんです!」
リダン「じゃあ行こうか、第一目標の、ローザンヌ病院地下の廃手術室にね!」
ペチュア「おそらく彼女もイルミナの影響下にあるわ。ヤバいと感じたら閉じ込めて撤退しなさい」
ヴェール「それと、これサーニャちゃんの分のお守りね、1度だけ死を肩代わりしてくれるから」
サーニャ「ありがとうございます。必ずエイラに引導を渡してきます。」
サーニャはお守りを受け取ると首から掛けた。
リダン「では行こう、テンプホエーラーに乗るんだ!」
サーニャ「はい!」
移動完了後
サーニャ「うぅ。…フラフラします」
リダン「時空間移動はかなり衝撃があるからね。慣れないうちは、ワープ酔いも起きるから気をつけて」
サーニャ「はい。気をつけます。」
その時、2人の背後から聞き覚えのある声で話しかけられた。
???「お?予知通りやっぱり侵入者が来たんダナ。悪いけど、2人には死んでもらうんダナ!」
リダン「馬鹿正直に待ち構えか、余程自信があると見えるな!」
リダンは背後に向かって威嚇射撃を行った。
エイラ「無駄なんダナ。私には全てが見えてるんダナ!」
エイラは銃弾を全て避けきった。
リダン「なるほど想像以上だ。だが、僕も時空転移者の端くれ。未来予知ごときで折れたりはしないよ!」
リダンは続いてナイフを投げ飛ばした。
エイラ「だから無駄なんダナ!」
エイラが手を前に出すとナイフが空中で止まった。
リダン「君もまさか、予知だけではなく時間操作を身につけたか。この世にクロノスの申し子は何人もいらないね!」
リダンは姿を消してしまった。
エイラ「くっ!姿が消えたか。なら、先にお前から始末するんだナ!」
エイラは躊躇いなくサーニャに近付く
サーニャ「エイラ…!あんたなんか死んじゃえばいいんだ!」
サーニャも躊躇いなく銃をぶっぱなす。
サーニャ「変態!犯罪者!脳が腐ったケダモノ!スオムスの癌!身体目当ての悪魔!」
エイラ「無駄だと、何度言えば分かるんダナ!」
エイラは銃弾を避けて、サーニャの両腕を掴みあげる
エイラ 「・・・さて、今まで我慢してた分をじっくり味わってやるんダナ。」
サーニャ「これだけ言われても応えないなんて…、アンタはエイラじゃなくてただのネウロイだよ!」
リダン「…ベゼルシップ、起動!」
姿を消していたリダンがいきなり、エイラの背後から姿を出して、攻撃を行った
エイラ「グハッ!」
流石のエイラも避け切れずに血を吐き出してしまう。
リダン「サーニャくん!今だ!」
サーニャ「…エイラ、さよなら」
サーニャはリダンから預かっていたナイフをエイラの左胸に突き刺した。
リダン「…IBM5100、θ世界線へ…」
エイラはそのまま喋るまもなく姿を消された…