強化された宇宙魔神になった男の話 作:シド・ブランドーMk-Ⅳ(地底の住人)
雄英高校入学試験、実技テスト
実技テストとは雄英高校の敷地内に存在する、模擬市街地にて行われるテストだ。受験者たちは各模擬市街地に放たれた仮想敵を倒していくことによりポイントを稼いでいき、そのポイント数が実技試験の点数となっている。
そして、仮想敵には4種類存在している。
1つは脆くできていて壊しやすいが、壊しても1ポイントの仮想敵。
2つめは比較的壊れにくいが、後述する2つよりは脆く、壊したら2ポイントの仮想敵。
3つめは、先の2つよりも固く壊れにくい。しかし、倒すと3ポイントの仮想敵。
そして4つめは超巨大な大型仮想敵。各試験会場に1体ずつ置かれている特殊な仮想敵。とてつもなくでかい。そしてそれを支えるため装甲も分厚くなっている。頑丈さだけはトップクラス。ただし、ポイントは0。要するにただの邪魔者である。
しかし、共通の弱点部分がある。1つは電源スイッチだ。そのスイッチを押して電源をきりさえすれば、壊さなくともポイントが入るようにはなっている。2つめは頭部だ。頭部にはカメラなどが仕掛けられているためそこを付けば破壊認定となる。
まぁ、そんなことあの4人には関係の無いことだが…。
──ブラキディオス目線 ──
『はい、スタート!』
「っしゃぁ!行くぜ行くぜ行くぜぇ!」
合図が出た直後に叫び声を上げながら仮想敵に向かって走り出した。
「(たしか、この市街地ってところに放たれているロボット達を1個ずつぶっ壊して行けば良いんだよなぁ。どんどんぶっ壊していってアイツらと差つけてやる。)」
気合い十分なブラキディオス。
そこへ1ポイントがやってきた
『目標、ブッコロス!』
「(あれが仮想敵ってやつか。…さて、どれくらいの強度なのか試してやる。…オラァ!)」
その1発で1ポイントは壊れてしまった。
「(アァ?いくらなんでも脆すぎねぇか?…まぁいい、ほかの探すか)」
ベロンッ!ベロンッ!
「よっしゃぁ! 気合十分!!他のやつはこんな脆くないでいてくれよ!」
「(お!他のより図体でけぇ!きっと3ポイントのやつだな)」
そしてブラキディオスは破壊しに行った。
ちなみに、この光景を見ていたほとんどの受験生は
「「「「(えぇ…なにあれ)」」」」
か
「「「「(腕舐めた!!)」」」」
であった。
「(クソっ!爆発するより前に壊れちまった。)」
そりゃあそうだろう。頑丈とはいえ、子供たちでも壊そうと思えば壊せる程度なのだ。大型モンスターのパンチなど耐えられるわけなかろう。
100ポイントは軽く超えているであろうその時、遠くの方から大きなものが近寄ってくる足音がした。
「(さっきよりも一際デカい足音!…おじゃま虫ってやつか!ちょうど退屈し始めたところだ!どれくらいの耐久力があるのか試してやる!!)」
0ポイント敵に向かってる時にある事に気が付いた。
「(なんでみんな逃げてんだ?)」
「おいそこどけ!」
受験生の1人にぶつかったと同時に、怒りが込み上げてきた。
「てめぇら!なんで逃げてんだ!?」
「はぁ?あんなのかなうわけないからに決まってんだろ!」
「おりゃあ、最近ここきたばっかだからよく分かんねぇんだけどよ。おめぇらヒーローになりたくてここにきてんだよなぁ?」
「そうに決まってんだろ!」
「ならよぉ!何で逃げてんだ!憧れたヒーローは敵わないからって逃げてたか!?他のヒーローどころか一般市民も置いて逃げてたか!?違ぇだろぅが!!」
「俺はやるぜ!!あのデカブツをぶっ潰す!!」
「「「「「ぶっ潰したいだけだろ!!」」」」」
(最後くらい良いよなぁ。主、全力であいつをぶっ飛ばしてもよぉ!
…まぁ、怒られたら怒られたでそんときは謝るか)
そう考えると俺はビルの壁をかけ登りそのままジャンプしてロボットの真上に来た。
「(野生…解放!!)」
そう唱えた直後、彼の身体は変化する。
「「「「「なんだあの生物!!!」」」」」
皆がこんな反応をするのは無理もないだろう。
……何故なら、この生物(ブラキディオス)は本来この世界にはいるはずもないのだから。
「ぶっ潰れろ! 『プロント・ボンバ!!』」
ゴン!
ドーン!!
彼の拳が当たった瞬間、頭が凹み大爆発した。
『試験、終〜了!』
──ナルサイド──
『ハイ スタート!』
その瞬間、私は疾風の如く駆け抜ける。
得物は曙光刀【業風】、太刀だ。
私は2人と違って武器を使って戦う方が得意なの。
近ずいてきた敵には直接切り裂き、
遠い敵には太刀を使った衝撃波を放ち相手を切断する。
本来の姿になっても戦法はあまり変わらない。
衝撃波を太刀で放つのが尻尾に変わるだけ。
…弱すぎる。弱すぎるわ。いくらなんでも脆すぎじゃないかしら。
あの2人なら紙切れのように壊していくわね。
まぁこの場合私もあんまり変わりないけど。
そんな事を考えながら20体目のロボットを壊した。
2人に何か奢るのは癪だから少なくとも100ポイントは稼ぎたいわね。
試験が開始してから約10分が経った。当初の目標どおり少なくとも100以上は稼げたわね。数えてないから分からないけど。
その時、
ドスン!…ドスン!
と大きな音が近ずいてきた。
あれが0ポイントとかいうやつね。
倒してみようかしら。
他のより頑丈だといいんだけど。
ナルはブラキ同様壁を登り上空へ。そして…
「疾風流奥義!『疾風斬!!』」
一際でかい衝撃波を放ち、あいつ(0ポイント)を一刀両断した。
『試験、終〜了!!』
──爆豪サイド──
「クソッ!…あの女に勝てなかった!クソッ!入学したら絶対越してやる!」
この男、爆豪勝己は周りを圧倒する天才的な戦闘センスを持っていた。
しかし、実技試験で初めて敗北という屈辱を味わった。
だが、彼女と戦ったわけでもなく、戦っている姿をずっと見ていた訳では無い。…なら何故か。それは(0ポイントに対する)最後の一撃を見たからだ。いや、見てしまったのだ。
戦闘センスを持っているからこそ、その一撃でわかってしまったのだ。
自分ではこの女には勝てない…と。そして、ポイントでも負けてしまっているのだろう…。
だが、爆豪は知らなかった。
自分が負けた彼女でも、勝てない存在がこの世(この世界・この試験会場)に少なくとも2人は居ることに…。
そして、入学した時にはもっと絶望することに。
はい。ナルちゃんと龍吾君の出番でした。
次回は金獅君の出番です。
さてと、誰が2人に奢ることになるのでしょうか。