迷宮都市で悪事かますと真実な話、忍者が来襲る 作:37級建築士
忍者と極道という作品を推したくて推したくて、推したくて
———―極道界の
某所、とある倉庫の光景だ。
黒づくめの服を纏った男達が三十と少し、そいつらが円を囲むように、一人を見ている。
「……ッ」
冒険者。ガネーシャファミリアのレベル4。彼は治安維持のために派遣されたベテランの団員。
「さあ、撃ちねえ」
ステータスも無い。ただのヒューマンを相手に、おそれを抱いて怯んでいるのだった。
「くッ」
冒険者の男は今、一人の男と相対している。獲物である弓矢を強くひいて構え、矢じりは目の前の悪人を捉えている。極道と呼ばれる闇派閥のリーダー格へと、引けば秒も無くレベル4の技量とステータスで放たれる一撃で確実に葬れる距離で
生身の人間では当然耐えられるはずがなく。瞬きもする間もなく敵を葬れる、はずなのに
「……ぐ、クソッ」
だが、冒険者の男に余裕はない。彼の周囲には、彼と同じガネーシャファミリアの仲間が数人、すでにこと切れて倒れているからだ。
すべて、この目の前で興を得ている男によって、冒険者たちは容易く殺されてしまった。
「……撃ちねえ」
「!」
挑発する。気の抜けた喋りで、極道なる男は悠然と語りかける。
「ほら、撃ちねえ。
「…………ッ」
「武器は腰に、構えねえ。そちらさんは弓を構え、好きに初めて構いやせん。さあ、
「…………ひっ」
「
「!?」
ズダン、甲高く爆ぜる音が響いた。そして、冒険者の男が放った弓は一方で、何もない天井へと撃たれ風穴を開けた。
極道の男が用いる何かの射出機のような小さい武器。引き金を握りきって、砲身からは白煙がにじみ出ている。
全ては完了していた。目にも止まらず、ただのヒューマンが、ステータスを有した冒険者を圧倒して見せたのだった。
「が、バカなッ……どうして、俺の弓が」
「道を究めると書いて、極道! 早撃ち極めし
口無しの死人に饒舌で語る。実に気分が良いのか、男は楽し気に銃を弄ぶ。
「さあ、余興は終いだ。拉致ったギルド職員には、あっしらの仕事のために使いつぶされてもらいやす」
声が上がる。目隠しをされ、猿ぐつわをされた女性数人。彼女たちはギルドで働くアドバイザー、容姿端麗で人気のある色どころの女性陣。
しかし、それ故に狙われた。極道が経営する裏企業、風俗、様々な非道の商いに売り飛ばすため、彼女たちはここに集められた。
「追手の冒険者は全て始末、お嬢さんたちは無事運び出しに成功。あとは回収業者に売り飛ばすだけ……くくっ、簡単だ……実に簡単でさぁ、ハハハハハハッ!!!」
「……ッ」
……いや、誰か助けてッ
エイナ・チュール。ハーフエルフの彼女は怯えている。理由も無く攫われ、人生を壊されんとするこの悲運を、すすり泣きながら嘆くことしかできないでいる。
「あの、流島の兄貴……いいっすかねぇ」
「!」
傍にいる極道が何かを打診し出した。聡明なエイナはすぐに気づいてしまった
「……くそ、商品価値が下がるだろう……と、言いたいところだが。良いシゴトの後にはガス抜きも必要だな」
「兄貴、おい皆……兄貴の奢りだ!」
「おい馬鹿、一人だけだぞ……たく、食い意地ばかりはりやがって」
「兄貴、おれあのエルフが良いっす」
「馬鹿、そこの赤い狐娘にしようぜ」
「銀髪の女は、なあなあ兄貴ぃ」
和気あいあいと、悪人たちは値踏み舌鼓で会話を弾ませる。
親しい間柄で組まれた集団。気心知れた悪人たちは、平気な面で、平気な精神で、当たり前のように悪事を働く。
……これが、極道ッ
救いはない。絶望の淵で、皆心が折れかけた
だが、そんな時
「てやんでい、なんでい……平吉、お前からも言ってやれぃ。」
「……すいやせん、流島の兄貴。また、変なこと言いやす」
……ザシュッ
「サーセン、なんか…………気分が、悪いです」
「!!」
落ちた。平吉と呼ばれた男の首が、紅い液体をほとばしらせて、果実が落ちるように地面へと落下した。
驚きおののく極道達の声
人質のエイナ達も戸惑うが、いつの間にかつけられた耳栓で状況を知る術がなく別の意味で困惑し出す。
「な、なに!?」
流島と称する極道、彼は咄嗟に銃を構えた。しかし、そうしだした時にはすでに遅く。
……おい、お前
……首、飛んでんじゃねえか
……いや、そう言うお前も
……なんか、懐かしい気が
「――――ッ!!」
30人ばかり、立ち並ぶ極道たちの首が次々とはねられていく。鈍い切断音が立てば、視界の端へ黒い影が過ぎ去る。
……また、またなのか!
「ふざけんな、ここは“あそこ„じゃねえ! ここ、オラリオで悪事かましても、あいつらは来襲ねえはずだろうがッ!!!」
だが、だが現実に極道たちは殺されていく。そう、真実な御伽噺
「……裏社会で」
「!」
ストン、と
流島の銃口に白い頭がコツンとあたる。瞬きの合間にその男、いや少年は姿を現し、そしてその場に居る極道、流島を覗く者は全て、首を落とされ口を無くした。
「まさか、まさかだッ…………また、現れやがったのか、お前たちがッ!!」
「……ッ」
————裏社会で悪事かますと真実な御伽噺、忍者が来襲る
「!!……てめえらは、また
「……笑えない」
「!」
少年の姿、それは流島の目にはどこかデジャブとして映る。
かつて、ここオラリオとは別世界で生きていた頃。同じように、悪事をかましていた自分を前にして、こんなことを言っていたことを、思い出してしまう。
「……笑えないんだよ」
————笑えねえんだよ
「!!」
フラッシュバックする前世での記憶、死した時と全く同じ。背負向けた少年が自分に語り掛けるのだ
————
「お前たちがいるせいで、皆笑えないんだよ」
瓜二つ、重なって見えるのだ。この白髪の少年、スポーツジャージを身に着けてスカーフで顔を隠した姿。
ただし、あの者とは対照的に、白装束のように真っ白な出で立ち。
「……また、かよ。また
「……撃ちねえ」
「!!」
少年は、忍者と称された白髪の少年は口ずさむ。
「構えやしない。あなたが撃てば、僕は貴方をぶっ殺す……さあ、撃ちねえ」
「――――ッ!!!」
『
怒号する叫び、またも同じ、忍者は意趣返しをして見せた。
『くそがあァァァァふざけるなあァァァァァァッ!!!!?!??!』
引いた。撃鉄が弾け、火薬が爆ぜて銃弾が銃口を駆け抜けた。
秒よりもはるかに短い単位、刹那をさらに分割した領域で、ベル・クラネルは反応を示して見せた。
————パァアアンッ
————ズシャァァァァンッ!!!!
「!?」
銃弾は放たれた。しかし、はたれた銃弾よりも早く、
使った獲物は手刀、弾丸よりも早く放たれた必殺の拳。音速を更に超えて放たれた暗き刃
「
以上、プロローグとなります。
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