迷宮都市で悪事かますと真実な話、忍者が来襲る 作:37級建築士
忍極を知って欲しい、知っている人には忍極の良さを共有したい。
無論、ダンまちキャラの活躍でダンまち好きにも喜んでほしい。
そんな作品、目指したいねぇ
極道の存在が確認できたのは今から50年も前、様々な業種にて著しく発展が起きたのだ。
もとよりオラリオは魔石技術が発展していたが、日進月歩で片づけるには少し異様であった。故に、街の拡張の為に城壁は全て解体された。モンスターの地上進出を食い止めるという大義よりも、街の住民は実利を選んだのだ。
通信魔道具で情報は加速化し、重機械の発展により生産力は自動化、効率化、オラリオはさらに富を重ねるに至った。
街が発展した。だが、その代償にオラリオは新たな闇を抱えた。
極道、恩恵も無いただのヒューマンの集団は、そう自分たちを称した。
未知の技術は意図的にもたらされた物。極道はあらゆる職種にも広がっており、社会の表と裏を巧妙に使い分けこの社会に溶け込んでいる。表座手ギルドは極道を犯罪集団と叫ぼうと、その甲斐は実に乏しく成果はない。
極道は悪事をかまし続けた。無垢な民の命を奪う極道たち。オラリオは緩やかに内側から腐らされ、崩壊の道を目指ししていくのだと誰もが思った。しかし、そうはさせなかった
————
ギルドや冒険者抱える強豪ファミリアですら届きえない社会の闇に、正義の刃を振り払う者がいた。
姿を隠し、身分を明かさず。ただ、その者は己を示す記号符だけを言い残した。
……忍者………新・帝都八忍
極道たちをぶっ殺し、証拠は残さず、救出した被害者は手寧に安全な場所へ。
極道たちその勢力、活動を縮小させていった。やがて、オラリオではある噂が流れだした。
————裏社会《うら》で悪事《わるさ》かますと真実《マジ》な御伽噺《おとぎばなし》
「忍者《ぼく》が、来襲《き》たッ」
————忍者が、来襲《く》る
× × ×
バベルの塔、神が住まう神聖な塔。電波塔や高層建造物が増えようと、この塔だけはかつての意匠を変えやしない。ファンタジーの世界を証明し続けるように、ガラスと石で出来た建物の中で天に坐して見下ろしている。
そして、そんな党のレストランにて、彼女達……いや、神々は集う。
「ほ、よ……むむッ」
外の景観、魔石灯の織り成す夜の名画にも目をくれず、女、辛うじて女とわかるかの神は、その手に持つ一枚の板にずっと夢中である。
椅子にふんぞりかえって、慣れないフリック入力やら画面のスクロールを大げさにこなしている。
「ほんま、便利やのう……この、すまぁとふぉん、ちゅうんは」
「ロキ……会合の途中なんだけど」
「うっさい、今アイズたんのツイッターが更新されたんや。って、またジャガ丸君や無いかい! ま、スクショしていいねリプリツ、おっとブロックされたけど構わへんで、すぐアカウント作りなおすさかい」
「……ストーカーだね、通報されないでよ」
スマホ中毒で且つクソフォロアーなロキを雑に流す。そんな駄女神のつきそいである英雄、フィンディムナはさっそく後悔を感じた
「おう、ヘファイストス……まだあの色ボケ女神が来とらんし、そっちも気楽にしてえや。ボーイ君‼料理頼むわ!」
品の良い空間を土足で荒らすような振る舞い、しかしそれを諫めて止めさせるものはいない。
この場には神とその従者のみ。これより行うは、ここオラリオで起きる異常、その究明のために有力者が集う。
「……まったく、騒がしいったらないわね」
「フレイヤ」
「よう、色ボケ……じゃ、これで全員やな」
だらしなくふんぞり返るロキ、しかしスマホを置き、出で立ちを直すや、雰囲気はがらりと変わった。
空気が張り付く、その感情は怒り。
「わかっとる思うけど……極道のこと、今回はそれが議題や。ヘファも、おのれフレイヤのとこも、犠牲はようけ出た」
「……ええ」
「そうね、この50年は……奴らの良いようにされてきたわ」
極道の歴史、それは正義と悪の闘争であり、そして正義の敗北に終わる。
闇派閥を助長させ、オラリオの治安を悪化させた奴ら。しかし、最近になってその情報は少し変わってきた。
「うちら、冒険者を派遣しても極道たちはものともせん。奴らの使う銃器、そんでうちらのステイタスをものともせん奴らの技量、極道スキル。一級冒険者に頼ろうにも、奴らは虫みたいに多いのに、しかも狡猾や……やのに、その極道がやたらめったら殺されとる」
「……へぇ」
「己らも効いたやろ、噂を……極道を殺す、忍者……っちゅう噂」
〇
———歓楽街
「ゲゲ、いい男の匂いがするねぇ」
「!!」
ヒキガエルの化け物を思わせる醜悪な外見。フリュネ、イシュタルファミリア最強の娼婦、彼女の悪い癖は、おのれの醜さに自覚がない事。そして、その醜さで男を食いつぶすこと
「ひ、ひぃいい!!??」
「っち、待ちなっての」
イシュタルファミリアのホーム、男は命の危険を感じ必死に逃げる。だが、所詮男はレベル2
「しゅろろろろぉおお!!!?」
「嫌だ!!化け物に食われたくないッ!!!」
食う者、食われるもの、救われない光景を周りの女は見過ごすばかり。
「ぎしゃあァァァァァァァッ!!!!!」
「!!」
ゴムまりが弾けた、そして飛んで迫りくる。走馬灯を見る男に、フリュネは毒牙を駆けんとする
『……たくよぉ、いけねえな』
「ゲゲッ!?」
「フリュネよぉ、この前も怒ったばかりだろうが……悪い娘だぞ、たく」
ホーム最強の化け物、しかしそんな化け物を唯一諫め、そして従わせる男、否
侠、がいる。彼の名は夢澤恒星《ゆざわこうせい》
かつては破壊の八極道に並んで称された存在。そして、今はこの街を取り仕切る裏の顔役である。
「たくよぉ……いい子で待ってろって言ったのによぉ、悪い子猫ちゃんだ」
「あ、あんた……危ないぞ、相手はレベル5の」
「問題ねえ。冒険者だろうとモンスターだろうと、俺は真っ直ぐに進む、それだけよぉ」
偉丈夫は進む。両腕を大きく開き、迫りくる肉塊の砲弾を、真正面からその耐久《タフ》な肉体《ガタイ》で
……ゴキッグキッ
「グペァッ!??」
受け止めた。後ずさり一つなく、偉丈夫の体はフリュネを抱き留め、その場に打ち捨てた。
それはまるで、超特急で走る列車が獣を弾き飛ばしたかのような光景である。
『極道“技巧„《スキル》……進撃《しんげき》の極道電車道《ヤクザライナー》!!』
「ゆ、夢澤《ゆざわ》の旦那ァァアアアァアア♡♡♡!!!?!?」
「さすが、やってくれた……あぁ、今夜はあたいを抱いてくれ!!」
「ばか、アタシだってのッ……旦那ぁ、ベッドに行きましょうよ」
「ヘ、エエ!?」
沸き上がる歓声、跳ね上げられ壁にぶつかり血反吐吐くフリュネに目もくれず、周囲にいたバーバラたちはこぞって夢澤を囲む。
このホームで、夢澤恒星は実質的にハーレムの位置にいるのだった。
「……ッ」
「おっと、派手に目立ちすぎたな……坊主、これに懲りたら歓楽街はやめときな」
「あ、はい」
「おい、客のお帰りだ! 門を開けな、たく未成年をたぶらかすなっての」
立ち去っていく少年、そして入れ替わるように周囲のアマゾネスが偉丈夫を囲む。
中にはその薄すぎる装いを脱ぎ捨て今にも行為をはじめんとするものもちらほらと。彼の名高いイシュタルファミリアの者がこうも心酔するとは、去っていく少年はまたも伝説を喧伝するであろう。
ここ、夜の街歓楽街カブキを発展させ、そしてただの恩恵の無いヒューマンにしてファミリア一つを掌握する器と技量。そう、彼の者こそは
「……たく、うるさいったらありゃしないね」
「!……これは、イシュタルの姐さん」
バルコニーより見下ろす麗しのまなざし。だが、その名誉を賜る立場にあっても夢澤はおののくことなく、ただ普通の足取りで彼女の元へ近寄る。
「姐さん、ただいま帰りやした……じゃ、自分は部屋で休ませて」
「できるわけないだろ、帰って早々にやってくれて……おい、大部屋を開けろ。今日は店じまいだ」
「……はぁ、仕方ねえ」
沸き立つ歓声、ホームにいる三桁近い女たちが一人の男に心酔している。そして、それはこの美神も同様に
ホームにてサービスを受けていた他の客は雑にあしらわれ、他の客を相手した最中の娼婦たちもこぞって夢澤の元へ集う。
歓楽街カブキ、夜の帝国の頂点に立つ男、これが夢澤の第二の生である。
「夢澤、シノギの話……終わったら聞かせておくれ。それも、大事なことだしね」
「ソープより先にシノギの話、したかったんですがねえ。たく、イシュタルの姐さんにはかなわねえな」
「神、といいなよ……たく、魅了も効かない相手とは、厄介さね。だが、バカを諫めるあんたには、感謝しているよ」
「は、フリュネのことですかい。諫めるっていいますが」
……あぁ、旦那の!!夢澤《ゆざわ》の旦那がアタイをぶって、ゲヒヒヒッ!!!
「喜んでますがねえ」
「良いんだよあれで」
次回に続く
夢澤の兄貴も参戦、ちなみにこの世界でフリュネは大人しくなってるので歓楽街も少しは安全です。