カオスなメガテン世界で頑張る土師さん   作:名無しの土師

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第26話です

九龍城砦の内装状況についての回です

尚、施設内部は運営と掲示板での意見を参考にした模様


第26話

 横浜に建築された九龍城砦……この巨大施設は、前世の中国にかつて存在していた巨大スラム街で、狭い敷地に建物がひしめき合い積み重なった街そのものがひとつの構造物となった建造物である

 

 そんな巨大建造物は、横浜中華街の新たな観光スポットとして世界中の観光客が訪れる人気施設となっている

 外壁は乱雑した大量の看板と換気扇、柵付きの窓と小さなバルコニー等、どれも形も高さが違うだけでなく、使われている建築資材全てがバラバラで統一されていない。鋳鉄製バルコニーがコンクリートとレンガと鉄板の土台の上に建ち、何かの配線やケーブルがまるで毛細血管の用に建物の表面をびっしり覆われており、地面近くの壁には大量のチラシと落書きだらけな上に所々ペンキが剥がれ落ちている

 内部の奥にある建物は、鉄筋コンクリと煉瓦造りの混合で建てられたもので、各階ごとに違う形の煙突が突き出している

 また、外壁に取り付けられている広告用の大画面テレビでは、香港映画やアメリカのドラマ等が流れているが、その下にある大きなスピーカーからは中国語と英語の歌が流れていて、何とも不思議でカオスな雰囲気を醸し出している

 

 この横浜九龍城砦では数多くの店があり、中華街お馴染みの中華料理屋、土産屋の他、何故かエジプトの料理屋やイタリアン、ケバブ屋、果てはミニジュネスが立ち並んでいるごちゃ混ぜ感満載のエリアがある

 他にも広い中華風庭園、昔のから今流行りのゲームが置かれているゲームセンターや賭け事厳禁な麻雀屋、中華式の宿も設置されている

(もちろん異界旧『中華街裏路地大迷宮』内の継ぎ接ぎアトリエに入るための入り口や霊的装備販売所も設置している)

 そんな九龍城砦の内部だが、迷路のように入り組んだ通路や階段によって複雑怪奇な構造になっており、一度迷ったら二度と出られないという噂も立つ程である

(尚犯罪防止の為の監視カメラの他、小型式神とオブジェとして設置している兵馬俑型の埴輪による防犯でなんとかなっている)

 

 

 

 そんな九龍城砦の庭園エリアにある飲食店が存在する

 店の外観九龍城砦の店舗とは違い、中国の古い寺院を連想させるような赤茶けた瓦屋根を持つ木造の建物で、扉を開けると店内から食欲を刺激する美味そうな匂いが漂ってくる

 この店の名は娘々(にゃんにゃん)店という店で、メニューは麻婆豆腐、餃子、小籠包等の中華料理を始め、担々麺、ラーメン、チャーハン等のラーメン類、さらには漢方と薬草を使用したた薬膳料理まで提供している珍しい店だ

 店内の雰囲気は中国の寺院を思わせるようにレトロなデザインで統一されており、天井には巨大な幾何学的文様が描かれており、壁にも巨大な龍や美しい仙人の絵が描かれている

 そんな娘々(にゃんにゃん)店の中で、一際目立つ存在がいる

 それは髪、目から服まで全身、名の通り青で統一された美女であり、髪はウェーブのかかったボブの青髪、髪の一部を頭頂部で∞の形に結い、結い目にはかんざし代わりに何故か(のみ)を挿している

 彼女はフリルがあしらわれている袖が膨らんだ半袖の青いワンピースを着ており、その上からは襟のある青い模様が施されている白いベストを羽織っている

 足元は白い靴下と、黒い靴、両足のすねに茶色の紐を結び、左足の紐には白い紙に赤い文字を書いた御札が付いている

 そして何より、彼女が人ならざる存在としての証明のように半透明の羽衣を着なれたように纏っている

 彼女はそう、キョンシー使いの道士一族の守護者であった名も無き邪仙を俺達ガイア連合の変態式神製作陣とショタおじの手によって誕生した式神『霍青娥(かくせいが)』である

 

 

 そんな彼女だが、今はただ普通に食事を提供しているだけである

 しかし、それなのに何故ここまで彼女の存在感が強いのか? その理由は簡単だ

 彼女の発する雰囲気が異常だからである

 彼女の放つマグネタイトが強すぎるせいか、美しさのせいか周りの客達は皆彼女をチラ見しては目を逸らす、もしくは彼女の神聖な雰囲気を感じてか中には食事の手を止めて拝み出すものさえいる始末だ

 

 そして、ようやく仕事が一段落した俺はと言うと……何故か個室にて彼女と向かい合う形で座っており、食事を共にしていた

(表の客の料理の提供は、彼女の小間使いが代役しているらしい)

 

 

 

「どうぞ」

 

 青娥さんに促され、俺は出来立てであろう目の前に置かれた皿に乗った小籠包を箸で摘まんでいるところであった

 

「いただきます。……う、うまい!」

 

 小籠包を口に入れた瞬間に肉汁が溢れ出し、口の中に旨味が広がる……

 更に続けて2個3個と口に放り込み咀嚼していくと、今度は噛む度に肉汁の熱いスープが出てきてそれがまた美味しい!

 こんなに美味しいものを食べたのは初めてかもしれない……!

 俺は感動しながら夢中で小籠包を食べていく……すると、青娥さんが微笑んでこちらを見つめている事に気付く

 その顔は道士達に見せる邪仙の如く妖艶な雰囲気とは違い、料理を提供する料理人としての表情と打って変わって、慈愛に満ちた優しい表情をしていた

 まるで聖母のような眼差しを向けられていることに気恥ずかしくなった俺は思わず顔を背ける

 その様子にクスリと笑われた気がしたが、気にしないことにする

 

 さて、ここで少しだけこの店の説明をしよう

 この店、娘々(にゃんにゃん)店は青娥さんの希望で作られたお店なのだ

 なんでもキョンシー使いの道士一族の小間使い曰く、彼女の強い要望で建てたとか何とか言っていたな……

 内装も全て青娥さん自身が手掛けており、店の看板には堂々と自分の名前が書かれている ちなみに店名の由来は中国の民間信仰の女神であり、娘々(にゃんにゃん)とは『母』『貴婦人』『皇后』などをの意味するとかなんとか……

 そんな事を思い出しながら、最後の1つとなった小籠包を食べた……うん、やっぱり美味いなぁ……

 

「お粗末様ですわ、喜んで頂けたようで何よりです」

 

「はい…とても美味しかったですよ、ありがとうございます」

 

「ふふっ、いいえ、これくらい造作もないことです。お礼を言うのは私の方よ。だって貴殿方のおかげでこうしてまた食事を取ることができたのですから……」

 

 そういうと、彼女はまた優しく微笑んだ

 

「この節は本当に感謝しています…あのままの姿、邪仙としての姿のままでは私はきっともう二度と日の光を浴びることすら叶わなかったでしょうから……」

「貴方達が私を式神として、この姿を与えて下さったお陰で思考が正常になり、人としての生活と食事が出来たことは、言葉では言い表せない程に嬉しいことなのよ」

 

 そう言って彼女は俺に視線を向ける その瞳からは強い感謝の意が感じられた

 

「そんな大したことじゃないですよ。俺達にとってキョンシー使いはこのご時世貴重な戦力、それに式神のあなたが居なくなるのは困りますからね。それだけのことですよ」

 

 俺は照れ臭くなり、頭を掻きながら答える

 

「それでも……私は嬉しく思うのよ。だから、ね? この恩を返す為にも、これからは私がしっかり働かせて貰いますから安心して下さいね?」

 青娥さんはそう言うと、席から立ち上がり厨房の方へと歩いていく その姿はとても生き生きしていて楽しそうだ その後ろ姿を見ていると、彼女が邪仙になる前、人間だった頃どんな人だったのかなんとなく分かるような気がした

 食後のお茶を楽しみながら、埴輪作りの休憩としてゆったりと過ごすことにした…

 

 

 

 

 

 厨房へと向かいながら、青娥は1人歩きながら思いふけていた

 

(……今日は久しぶりに人間らしい時を送れた気がするわ

 道士一族の守護者として邪仙として、ずっと暗い暗い地下で過ごしていたから……

 でもそれも過去の話、これからはこの店で働いて、少しでも彼に取り入って……あわよくば)

 

「あら、こんにちは」

 

 厨房に出ると、そこに一人の美女が立っていた

 

「……何か御用でしょうか?」

 

 彼女は私と同じ人ならざる者のようだけれど……雰囲気がまるで違う! あまりにも強すぎる!! 

 

(なんて禍々しいまでの膨大なマグネタイトを纏っているの!? 彼女は一体……!? )

 

 そんな事を考えていると、突然彼女がこちらに歩み寄り耳元に口を近づけるとこう囁いた 

 

「……うちの子が随分とお世話になったみたいで、ね? お礼を言わなきゃと思って、ね?」

 

 そして、彼女はそう言ってそのまま離れ彼女はニッコリと笑うてしかしその笑顔からは凄まじいプレッシャーを感じる!

 その圧力に身体が震えそうになるが、仙人としてのプライドでなんとか堪えて平静を保つ

 

「そう……、それはどういたしまして

 ところで貴方は誰なのかしら? 

 貴方のような強大な存在が何故こんな場所に? 

 まさかとは思いますけど……、この店に害を成すつもりはないですよね?」

 

 私の問いに対し、その女はクフッと笑い出すと、まるで面白い冗談を聞いたかのように口を開く

 そして、彼女から放たれる雰囲気は更に強くなっていく…まるで、獲物を狙う捕食者のように……

 そしてついに、彼女の口から答えが告げられる

 それを聞いて、私は驚愕するしかなかった……何故ならば彼女こそが、かつて古代日本のこの地に君臨していた女王であり、ここに封印されていた太古の大怨霊、『イナルナ姫』改めて太古の神霊『埴安神袿姫』であると……

 

「そんな怖い顔をしないで、 別に危害を加える気はありませんわ

 ただ…ちょっとお話をしたいと思っただけよ」

 

「……お話?」

 

「はい、お話」

 

 そう言って彼女は妖艶に微笑む

 その微笑みにはどこか有無を言わせぬ迫力があった…私はそれを察すると、渋々承諾することにした

 その瞬間、私は何処かへと転移させられた……辺りを見回すとそこは先ほどまで居た店内ではなく、薄暗くそしてどこか神聖な雰囲気漂う場所のようだ……

 

(ここは……何処かしら?)

 

 そんな事を思いながら冷静に周りを観察していると、目の前に何者かが現れる……それは、この世の者とは思えない程の美しさを誇る女性だった

 私はそのあまりの神々しさに息を呑み、ただ見つめることしか出来なかった すると、目の前の女性はそんな私を見てクフッと笑った

 私はその笑みを見てハッとなり、目の前の女性が先程の式神の本体、『イナルナ姫』であることに気付いた そして、そんな私を見た彼女は満足そうな笑みを浮かべながら話しかけてきた

 

「あらあら、これはまた随分と可愛らしい反応をするのねぇ……

 うふふっ、いいわぁ……とてもいいわぁ」

 

 そう言いながら彼女は私の頬に手を当ててくる

 彼女の手から伝わる温もりは優しく、何故かとても落ち着く

 

「あぁ……とてもいいわぁ……このままずっと触れていたくなるわぁ」

 

 彼女はそう言いながら、愛おしそうに私の顔に触れ続ける

 

「あぁ、自己紹介がまだね……

 私は『イナルナ姫』……かつてはこの地を治めていた女王にして埴輪達造魔師の祖、今はこの地でガイア連合の契約の元、この地を守護しておりますわ

 貴方の名前は何と言うのかしら?」

 

「わ、私は……」

 

 私は、彼女に名前を聞かれて一瞬戸惑ったがすぐに名乗ることにした。

 

「私は『…………』、キョンシー使いの一族の末裔であり、今はここで働いているただの邪仙よ」

 

 そう伝えると彼女は嬉しそうに笑う

 

「あらあら、式神としての名でなく、本名を教えてくれるのね? ありがとう、嬉しいわぁ」

 

「えぇ、貴女のことは信用出来そうですからね。それで、一体何をお話しするつもりですか?」

 

私がそう聞くと、彼女は不敵な笑みを浮かべる

 

「簡単なことよ。ただ、貴女にお願いしようと思ったのよ」

 

「……お願い?一体どんな?」

 

 彼女は少し間を置くと、ゆっくりと話し始めた

 

「あの店に居る彼、私の大切な子についてよ」

 

「ッ!? それはどういう意味?」

 

 私は思わず声を荒げてしまった しかし、彼女はそんな私を気にせず言葉を続ける

 

「そのままの意味よ、彼は私の大切な子……

だから、守ってあげて欲しいの……

でも、今のままじゃ彼の力はまだまだ足りない……

私の本体の力を扱うことが出来ない…

そこで、貴女の力を借りたいのよ」

 

……へ?

 

「え…えぇ!?」

 

「お願い…出来るかしら?」

 

 どうしたら良いの?私!?

 どう答えたら良いの!!?




彼女の返答はいかに…!

ちなみに主人公は何も知らずに店でお茶を楽しんでる模様…
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