カオスなメガテン世界で頑張る土師さん 作:名無しの土師
短いですが、異界攻略前日の回です
ー異界攻略前日ー
熱海城近くの簡易拠点にて、攻略メンバーとの会議が開かれていた
メンバーは俺と袿姫様と鈴木さん、埴輪ノッブそして特化埴輪と夢魔特化型の埴輪達の大所帯である
(尚、他埴輪達を簡易拠点に入るスペースがなかったため搬入用大型トラックのコンテナにて待機してもらっている)
ちなみに鈴木さんは例の闇鍋ガチャを30連程回して入手した、そこそこレア戦闘スキル『ジオンガ』と通常レアの『ハマ』『活脈』そして汎用スキル『射撃』『徒手空拳(空手)』を装備させている
元々魅了無効持ちの中級式神であったため、内蔵メモリギリギリでなんとかなり、そこそこの性能な式神となった……
……ショタおじの許可を貰ったことだし念のため、あいつらを持っていこう……
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「では明日からの予定を説明する」
ガイア連合神奈川支部からやってきた戦略情報部所属の男性職員が資料を配りながら説明を始めた
資料には簡単な異界マップと今回のダンジョンの概要や出現する悪魔について書かれている
まず今回俺たちが潜る異界の特徴はなんと言っても出現する悪魔のほとんどが女性悪魔とインキュバスであるという事だ
悪魔たちは誘惑に特化した悪魔であり、またその容姿故に非常に魅惑的ではある
しかし、今回の異界攻略では魅了無効のチーム編成なため、出現悪魔に対してどのような手法を用いて攻略するのかについて話し合っていた
まずチームだが、作戦のリーダーとなるチーム内最高レベルな転生者パーティー、Lv30代後半の戦闘能力を持つ変態オジと女王ネキの二人と2体の高級式神と複数の中級式神を率いている
次にチーム内の高レベルの物理攻撃を得意とする集団、ハーレムニキ率いる物理特化メンバーで構成したLv30代二人組……こちらは2人共武器型式神持ちな為戦闘の手段は少ないが、かなりの高性能の防具と属性耐性を有しているため、おそらく大丈夫だろう
最後に俺達Lv28の俺と袿姫様、そして埴輪の大部隊で敵悪魔を索敵、後方支援、遊撃支援、罠解除、運搬等の支援を役割分担しながら行うことになっている
「…………」
俺は作戦の説明を聞きながら今回の攻略についての不安点を考えていた
(敵異界の主であるボス悪魔と、救出者の言ってた老人の声……魔王クラスが出ないとはいえ、心配だ……)
そう、今回のダンジョンでは平均レベル25の悪魔が出るとはいえ、やはり油断は出来ない……
「以上になります。何か質問等ありますか?」
俺達は顔を見合わせると皆首を横に振った
「それでは解散します!」
こうして明日からの異界攻略の準備が終わり、各員思い思いに行動をした……
女王ネキと変態おじは、熱海城近くの施設、秘宝館へと調査半分観光へと向かい、ハーレムニキ達2人は英気を養うために彼等の想い人達と交流するため先にホテルへと向かっていった
(羨ましい……)
そして俺と袿姫様は、埴輪達の最終チェックと、埴輪ノッブとの交流をする事にした……
ちなみに埴輪ノッブは、異界入り口の門番として頼むことにしている……
そうして俺達は配られた一通り書類の整理を終えると、簡易拠点の外で日向ぼっこをしていた埴輪ノッブの元へと向かった
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俺は簡易拠点の外にある椅子に腰掛けていた埴輪ノッブを見つけると声をかけた
「おーい、ノッブ〜」
「ノッブゥ? ……ノッブノッブゥ!」
埴輪ノッブは嬉しそうな表情でこちらへ駆け寄ってきた
「調子はどうだい? なにか異常とか無いか?」
「ノッブイ!!」
元気よく返事をする埴輪ノッブ……
「そっか! なら良かったよ」
「ノブノブ!! ノッブゥーィイ!!!」
とても上機嫌そうだ……
俺はそんな様子を微笑ましく見ていると、袿姫様に連れられて小さな埴輪の1体を連れてやってきた
「土師、この子は何を言っているのか分かるのですか?」
「ハニョ!!」
「いえ……ですが、彼女の身振り手振りで大体の事は分かりますので……その娘は?」
「ふふふ……この娘はね……」
彼女はそう言いながら、その埴輪の肩に手を置き紹介を始めた
「この埴輪には名前はまだない……そして幼子の女の子の様に未完成な状態の埴輪……」
「ハニョ?」
「……え?」
そう言うと、彼女はその埴輪を優しく、穏やかな笑みで彼女を愛おしそうに見つめた……
すると、その埴輪はまるで赤子が母親を求めるかのように袿姫様の脚に抱き付き頬擦りをした
その姿を見た俺は、何故か胸の奥が締め付けられるような感覚に陥った……その理由が分からず戸惑っていると、袿姫様はそんな俺の様子に気付いたのか、優しい口調で語りかけた
「……この娘はまだ不完全だけど、根底である霊基部分は完成しているわ……ただ、まだ肉体と精神が完成していないだけ……いずれは同じ存在になるわ……」
「ハニョニョ?」
「同じ存在……?」
そう言いながら、その埴輪を慈愛の眼差しで見つめていた……その瞳からは強い母性を感じた
「さぁ、土師……貴方もこの娘を抱いてあげて……」
「えっ!? あ、はい!」
俺も恐る恐るその埴輪ノッブと同じ大きさの、小さな埴輪に触れると埴輪であるはずのその娘の身体は幼子と同じ様にとても柔らかく、そして温かかった……
そして、その娘は抱えている俺の手を両手で掴むと、その小さな手でぎゅっと握りしめてきた……
その手は震えていて、少し怯えているようだった……その様子を見かねたのか、袿姫様は俺の手を握るその小さな手の上に自分の手を重ねると、もう片方の手で小さな埴輪の頭を撫で始めた
すると、次第にその手は落ち着きを取り戻していった……
そうしてしばらくすると、彼女は落ち着いたのか俺の腕の上で眠ってしまった……俺は眠る埴輪を起こさないようにゆっくりと立ち上がり、そのまま埴輪ノッブの所まで歩いていくと再び椅子に座った
そして、俺は眠っている埴輪を静かに抱き直し、その柔らかい稲穂のような綺麗な金髪に触れ、指先で優しく触れた それはまるで絹糸のように細く、柔らかかった……
(これが、埴輪なのか……?)
(俺が造ってきた埴輪とは違う……それでいて式神とは違う……この娘は一体……)
俺と隣で覗き込んでいる埴輪ノッブは、眠っている幼子の埴輪を見つめると、2人同時にこう思った
(かわいい……)(ノップワァ…………)
こうして俺と埴輪ノッブは、袿姫様に声を掛けられるまで幼子埴輪を見つめているのであった……
(ちなみに彼女についてはショタおじ公認らしく、正体については秘密だそうだ……)
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その後、明日からの異界攻略のため、今日は早めに休む事にした……
俺は個室の部屋に入ると、ベッドの上に横になり天井を眺めていた……
(俺が今まで造った埴輪とは全然違う……それにあの子は、本当に生きているみたいだったな……)
俺は先程抱いていた幼子の事を思い出していた……
そして、ふと思った……
あれは、まるで人間そのものではないかと……
(いや、まさかな……)
頭に思い浮かべた仮説にを頭をふるいを振り否定する……
(とりあえず、明日……異界攻略頑張らないと……)
俺は目を瞑り、眠りにつくことにした……
幼子の埴輪についてはショタおじ監視と協力の元、袿姫様が造り上げた未完成の埴輪です
ちなみにショタおじは幼子の埴輪に色々と制約とプロテクトをガッチガチにしている模様…