精霊幻想記~もう1人の転生者~   作:伊達 翼

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第十二話『精霊大祭』

 リオ達が里で暮らし始めてから半年以上が経ち、精霊大祭の日が訪れていた。

 

 儀式の舞台となるのは、ドリュアスが守護する大樹の根元付近に造られた精霊殿で、里から大樹までは歩いて半刻程度という距離だ。その精霊殿の広大な境内の中には最低限の警備を除いたほぼ全ての精霊の民が集まっており、その数はざっと1万人にもなる。

 その神殿の舞殿に置かれた祭壇には大樹の精霊であるドリュアスがいて、舞殿で平伏すシルドラ、ドミニク、アースラの最長老の3名と他の長老達を見下ろしている。

 

「大いなる精霊の深き恵みの下に、その祝福と加護が我ら精霊の民の行く道にとこしえにあらんことを……」

 

 厳かな雰囲気が周囲一帯を支配する中、長老達がドリュアスへと祈りを捧げ、祝詞を唱え終えると舞殿から姿を消していた。

 そのすぐ後、儀式用の装束を身に纏ったサラ、オーフィア、アルマ、フレイシアスの4名が舞殿に現れ、ドリュアスに感謝を捧げるべく、詩と踊りを捧げ始める。

 巫女達による詩と踊りが終わって舞殿を後にすると、シルドラのみが再び舞殿へと上がって厳かに語り出した。

 

「皆の者よ! 今年も無事、精霊大祭を執り行うことが出来た。これも皆の日頃の協力と、精霊に対するたゆまぬ祈りがあってのものだ。今後も精霊達への感謝の心を絶やさぬように」

 

 決して大声で喋っているわけではないが、シルドラの声は風の精霊術を用いた拡声は周囲に響き渡っている。

 

 続けて祝福の儀が執り行われる。

 これは、一定の年齢に達した里の子供達を対象にした儀式で、この精霊大祭の時に里の面々に紹介され、ドリュアスからの祝福を賜るしきたりのようなものだ。ちなみにドリュアスからの祝福を得ることによって、精霊契約ほどではないにしろ、僅かにオドの総量と精霊術の適性が高まるという恩恵を得ることが出来るのだ。

 今回の祝福の儀にはラティーファも呼ばれることになっている。とは言え、まだ出番ではないものの、ラティーファは些か緊張気味だった。それを察してリオが彼女の手を握り、優しい笑みを向けてその緊張が少しでも解けるようにしていた。

 

 そして、今年の祝福を受けた子供達が出揃った後…

 

「半年前より我等に加わった新たな仲間がいる。狐獣人のラティーファだ」

 

「っ…」

 

 シルドラに名を呼ばれ、1人で舞殿へと上がっていくラティーファ。

 

「彼女は心なき人間によって迫害されてきたが、その一方で、心ある人間族の少年によって救われた。健気で心優しい少女だ」

 

 紹介されたラティーファはぎこちなくペコリとお辞儀してから他の子供達に倣ってドリュアスの元へと向かう。

 ドリュアスはラティーファの境遇から少しだけ彼女を特別扱いした。簡単に言えば、抱擁したのだ。この事態には集まっていた里の者達も微かに騒めいていたが…。その後に額に口づけをして祝福の儀は終わりを告げた。

 例年ならば、ここで終幕の儀を経て、晩餐会に移るのだが、今年はそうもいかなかった。

 

「では、最後に…ラティーファを掬い出してくれた御仁をこの場で紹介しよう。我々は一方的な誤解から彼等に多大な迷惑をかけてしまった。だが、彼等はそのことを水に流してくれた。故に、我々は彼等に大きな恩がある。それが、リオ殿…」

 

 リオの隣でネクサスが笑みを浮かべてリオを見ていたが…

 

「そして、ネクサス殿だ」

 

(………え? 俺も?)

 

 シルドラから発せられた言葉にネクサスは一瞬だけポカンとしてしまう。だが、呼ばれたのに出てかないのも失礼だと即座に頭を切り替え、先に舞殿に上がったリオの後を追う。

 

「リオ殿とネクサス殿は我々に面白い料理のレシピを教えてもくれた。美味だぞ? この後の宴で振る舞われるだろうから、楽しみにしておくとよい」

 

 シルドラの両隣に並び立ったリオとネクサスを確認してからシルドラがそう語り、場の雰囲気が少し和む。

 

「そして、このお2人は精霊とも契約しておる。リオ殿は人型精霊と、ネクサス殿も準高位級クラスの精霊と…。それぞれドリュアス様御自らが直々に調べ、確認したことでもある。静粛に!」

 

 が、この精霊と契約していると言われ、里の民達が騒めき出すが、それをシルドラは一喝して静かにさせる。この情報は、この半年間上層部のみで秘匿されていたのだが、この精霊大祭で情報を開示することが決まっていた。ネクサスの精霊も準高位級であると確定されてしまっていたが…。

 

「里の上層部としては、人型精霊、さらに準高位級クラスの精霊と契約を結ぶほどの存在を蔑ろには出来ない。それが例え、精霊の民でなくともだ」

 

 シルドラの言葉に、長老陣が大仰に頷いてみせた。この行動には既に上層部の意思が統一されていると、里の者達に示すためのものだ。

 

「リオ殿もネクサス殿も我々の恩人だ。彼等が素晴らしい人格者であることは、この里で半年を共に過ごしてきたことで疑いようがないことも明らかだ。よって、お2人を我々精霊の民の盟友として受け入れるべきだと、私は考えている。異論のある者は、今この場で申してみよ。このことで咎めたりはしない」

 

 シルドラがその場に集まる里の民達に問うが、境内は静まり返っていた。

 

「では、ドリュアス様にご協力いただき、その祝福の口づけをもってお2人を我々の盟友として受け入れる証とさせていただく。リオ殿、ネクサス殿、ドリュアス様」

 

 その静寂を異論なしと判断したシルドラが言葉を続け、リオとネクサスを促した。それに従い、リオとネクサスが祭壇へと近づく。

 

「ふふ、これからもよろしくね。人間族の小さな英雄さん達」

 

 そう言ってドリュアスがリオとネクサスの額にそれぞれ口づけすると、2人の身体にも先の子供達やラティーファと同じように優しい光が包み込んでいた。

 その直後、静寂が流れたものの、すぐさま大きな拍手喝采が巻き起こる。

 

「さぁ、これで式は終了だ! これからは宴の時間だ! 準備を急げ!」

 

 拍手が鳴り止み始めた頃合いを見て、ドミニクが式の終了と宴の時間だと盛大に宣言していた。

 それを合図に宴の準備が急ピッチで進められる。

 そして、準備が夕方になる前に終わると、乾杯の音頭と共に宴の幕が上がるのだった。

 

 

 

 宴が始まり、皆が思い思いに楽しんでいる中…

 

「がはははは! 2人共、なかなかに良い飲みっぷりじゃねぇか!」

 

 会場の一角ではドミニクとリオ、ネクサスが酒を飲んでおり、ドミニクが2人の飲みっぷりを見て豪快に笑っていた。

 

「えぇ、普段は訓練があるので控えているのですが、今日くらいは気兼ねなく飲もうかと…」

 

「リオは真面目なんだよ。俺はたまに飲んでたけどな?」

 

 そんなリオにネクサスがそんなことを言う。

 

「道理でたまに酒類の消費量が増えてたのか…」

 

「堅いこと言うなって。せっかくの宴の席なんだしな?」

 

「……それもそうだな」

 

 ネクサスの言葉にリオが敏感に反応するが、せっかくの宴の席だと逃げるネクサスにリオもこの場では(・・・・・)それ以上、深く追及しなかった。

 

「にしても、ホントに里の酒は美味い。これじゃあ、もうシュトラール地方の酒じゃ物足りなくなるな」

 

 話題を変えるためにネクサスがそう言うと…

 

「ったりめぇよ! 俺らの里で作るのは本物の酒だからな! 人間が作る酔えりゃいいだけの酒とはちげぇのさ!」

 

「でも、本当に美味しいです。俺もついつい、杯を空にしちゃいます」

 

 ドミニクが上機嫌に笑うのを見て、リオも率直で素直な感想を漏らす。

 

「がっはははは! そう言ってもらえるのは嬉しいが、俺らの作る酒はまだまだこんなもんじゃねぇぞ? ちょっと待ってな。今からとっておきをお前等に飲ませてやる」

 

「「とっておき?」」

 

 ドミニクの言葉に2人は顔を見合わせ、互いに首を傾げる。2人がそうしている間にも、ドミニクはミスリル製のカラフェと、二つのグラスを取り出し、グラスに酒を注ぐと2人に差し出した。

 

「これは…」

 

「いいから。まぁ、飲んでみな」

 

 2人がグラスを受け取り、中身を見ると芳醇な香りが鼻腔を魅了する。

 

「こりゃ飲まなきゃダメな気がする」

 

 ネクサスがそう言うと、2人はほぼ同時にグラスに口をつけて中身を一口飲むと…

 

「うっ!?」

 

「うおっ!?」

 

 2人揃って口元を押さえる。どちらも美味し過ぎて口と頬が落ちるんじゃないかと錯覚したのだ。そのために口元を押さえたのだが…。

 

「やべぇぞ…こいつはぁ…」

 

「そう、だな…」

 

 そう言い合いながらも2人のグラスはすぐに空となってしまった。あまりの美酒に誘惑が勝ったのだろうか…?

 

「がはははは! そいつが俺らのとっておき…霊酒ってやつよ!」

 

 ドミニクが豪快に笑いながら2人に言う。すると…

 

「どう? それ、私の樹液も含まれているのよ?」

 

 杯を片手にドリュアスがやってきて、そんなことを言う。

 

「!? ガハッ、ゲホッ」

 

 それを聞いてリオが咽る。

 

「きゃ!? なに、急にどうしたのよ?」

 

 突然のことにドリュアスも驚いていた。

 

「い、いえ、少し驚いただけですので…ドリュアス様の樹液、ですか?」

 

「そうよ。ドミニクも霊酒って言ったでしょ? 精霊である私が宿る大樹から採れる樹液を材料にしているから霊酒って名づけられているの。私の樹液は他にも霊薬の材料なんかにもなっているのよ?」

 

 リオの質問にドリュアスは誇らしげに答える。

 

(酒は百薬の長って言うが…本当だったのか?)

 

 ネクサスがそんなことを考えていた。

 

「それにしても2人共、酒豪なのね。そのお酒をまともに飲めるなんてドワーフ並みよ?」

 

「そうなんすか?」

 

 ドリュアスの言葉にネクサスが首を傾げる。度数は非常に高いが、それに反して物凄く飲みやすいため、ついつい次を求めてしまっている自分がいることに気付きつつも、ネクサスは空になったグラスを見る。

 

「まったくですな。人間族にしておくにはもったいないくらいの奴等でさ。ほれ、もっと飲め」

 

 ドミニクが空になった2人のグラスに霊酒を注ぐ。

 

「あざっす」

 

「でも、確かに強いお酒ですね。それなのに、するりと飲めてしまうのが恐ろしくもありますが…」

 

 ドミニクに礼を言いながら2杯目の霊酒を堪能するネクサスと、それを少し恐ろしく感じながらグラスの中身を見るリオだった。

 

「そうね。普通はああなるのよ?」

 

「「?」」

 

 ドリュアスがリオの背後を指差したので、2人してそちらを見ると、そこには…

 

「お、オーフィアさん!?」

 

 ふらふらとした足取りのオーフィアがおり、傍目からも酔っています、とわかるくらいに顔を赤くしてリオに近付いていた。

 

「リオひゃ~ん、にょんでまひゅか~?」

 

 呂律が回ってない口調で、オーフィアがリオに絡む。

 

「え、えっと…オーフィアさん、少し飲み過ぎなのでは?」

 

「ぁ、ら、らいじょうぶれすよ~。こんにゃの、にゃんでもありまひぇんから~」

 

(全然大丈夫じゃないだろう…)

 

 リオが内心でツッコミを入れたものの、それを知ってか知らずかオーフィアがリオに問い詰める。

 

「しょんなことよりリオひゃん! いちゅまでそんな堅苦しい話し方をしゅるんでひゅか?」

 

 そこからオーフィアはリオの距離を置いた話し方や態度に苦言を呈していた。リオも困ったように一緒に飲んでいたネクサスやドミニク、ドリュアスに助けようと視線を向けるが、3人はいつの間にか距離を取ってそれぞれ遠巻きにリオの様子を眺めていた。

 

(見捨てられた!? ていうか、いつの間に!?)

 

 珍しくリオが動揺してオーフィアの相手をしているのを見て…

 

(ありゃ、日頃の鬱憤が溜まってたと見た…オーフィアでアレ(・・)なんだ。おそらく他の連中も…)

 

 ドミニクとドリュアスとは別方向に逃げていたネクサスは1人、リオの状況を冷静に分析していた。

 

「ネクサスさん!」

 

「ネクサス様…」

 

「………………」

 

「ん? あぁ、サラにシアとシンシアか」

 

 そんなネクサスの方にサラとフレイシアス、シンシアが共にやってきていた。この半年の間にネクサスはフレイシアスのことを愛称の『シア』と呼ぶようになっていた。ただ、未だフレイシアスはリオやネクサスのことを様付けで呼んでいるが…。それにフレイシアスはこの半年間近く、シンシアの相手をしてきたので2人とはそれなりの交流を持っていた。さらに最近ではそこにサラも加わるようになったのだ。

 

(この3人は…見た目は普通だが、微妙に顔が赤くなってるような…?)

 

 あの無口無表情のシンシアでさえ、顔を赤くしているのだから、それだけ霊酒の度数が高いことが窺える。

 

(つか、珍しくシンシアも飲んでんのか…少しは変わってきたのかね?)

 

 シンシアが酒を飲むことも稀であったこともあり、ネクサスはその変化に少しだけ安堵の感情を覚えていた。

 それが表情に出てたのか、それとも視線で気付かれたのかはわからないが、シンシアはとことことネクサスの傍まで歩いていくと…

 

「………………」

 

 何かを要求するかのような視線でネクサスを見上げていた。

 

(ほ、本当に珍しいな、こういうシンシアは…さては酔ってるな?)

 

 内心で驚きつつも、シンシアが何を求めているのかを考えた結果…

 

「これで、いいのか?」

 

 ネクサスはシンシアの頭を空いていた手で優しく撫でていた。

 

「………………」

 

 眼を瞑り、どこか気持ち良さそうな雰囲気でそれを受け入れるシンシア。

 

「「………………」」

 

 その様子をどこか羨ましそうに眺めるサラとフレイシアス。

 

(う~む…これは…妙な気恥しさを覚えるな…)

 

 改めて見られると思うと、ネクサスはグラスの霊酒を少し傾けた。

 

「あ、あの! ネクサスさん!」

 

「ん? どした、サラ?」

 

 サラがネクサスに近くに移動する。距離が妙に近い気がしないでもないが、とりあえず話を聞くことにした。

 

「その…ネクサスさんは年下をどう思いますか!?」

 

「………………は?」

 

 サラの質問の意図がわからず、ネクサスは何とも間抜けな声を漏らす。

 

「で、ですから…その…異性として意識するなら年下よりも同い年か、年上の方がいいのかな、と思いまして…」

 

「サラ。さては酔ってるな?」

 

 シンシアに内心でも思ってたことだが、サラには言葉としてぶつけていた。

 

「そ、そうですね。少し酔ってるかもですが…重要なことなので!」

 

 酔ってると言われて余計に意識したのか、顔の赤みが増したような気がするが、それでもめげずに聞いてきた。

 

「う~ん…そう言われてもなぁ。異性として意識するならか…むむむ…」

 

 珍しく歯切れの悪いネクサスだった。

 ネクサスは…いや、この場合、前世の『紅神 忍』という人物は対外的にはモテてはいたが、誰か特定の女性と付き合ったことはなかったし、当時では珍しく恋心というものを意識したことはなかった。真剣に人を好きになる、という気持ちを抱いたことがないのだ。これは家で親族から課せられた数々の課題を片付けていたのも原因だろうが、それ以外は大学を出てからでいいだろうと本人も後回しにしてた。

 結果、大学を出る前に死んで、転生したわけだが…今世においてもネクサスは人を本気で好きになる暇などなかった。今でこそ心にゆとりがあるし、そういう感情も芽生えてもいいと思うのだが、如何せん前世と似たような環境になったせいか、まだ『人を好きになる』という気持ちが微妙にわかっていなかった。

 なので、今のサラの質問にも即答が出来ないでいた。まぁ、即答出来たら出来たで問題かもしれないが…。

 

「むむむ…」

 

 思わぬ難題にネクサスが眉間に皺を寄せていると…

 

「ネクサス様」

 

 フレイシアスがそんなネクサスに声を掛けていた。

 

「なんだ、シア?」

 

「そんなに難しく考えないでください。例えば…そうですね。ネクサス様はシンシアさんのことはどう思っているのですか?」

 

「シンシアのこと?」

 

 フレイシアスに問われ、ふとネクサスは頭を撫で続けていたシンシアに視線を向ける。

 

「………………」

 

 ネクサスに頭を撫でられ、気持ち良さげな雰囲気を纏っているシンシアを見て…

 

「………ちょっとほっておけない可愛らしい存在、かな?」

 

 しばし考えてからネクサスはそう答える。

 

「じゃあ、サラさんのことは?」

 

「サラは……そうだな。感情豊かでちょっと怒りやすいけど、そこがまた可愛い奴」

 

「可愛…!?///」

 

 フレイシアスの質問に答えると、その答えを聞いてサラの顔の赤みが更に増す。

 

「じゃあ、私は…?」

 

「ん~…シアは、一緒にいるとどこか落ち着く可愛い奴、かな?」

 

「ありがとうございます。そのように感じてくださったのですね」

 

 ネクサスの答えにフレイシアスも少し嬉しそうにしながら答える。どの答えにも可愛いと言ってる辺り、ネクサスも霊酒が回ってきて口が軽くなっているかもしれないが…どれも偽りのない本心からの答えだろう。

 

「それがネクサス様にとって異性を意識しているのかはわかりませんが、あまり女の子に可愛いと言わない方がいいですよ? 本気にしちゃう子がいるかもしれませんから…」

 

「こんなこと、おいそれと言えるか。お前達だから言ったんだよ」

 

 フレイシアスの言葉にネクサスはそのように返していた。

 

「「「………………」」」

 

 その返しに3人が固まる。

 

「確かに女性に可愛いとか言うのは誤解を招く言い回しかもしれんがな。好きでもない奴に言うほど、俺も無節操な訳じゃない。少なくとも、お前達は俺の近くにいた分、それを言っても誤解されないだろうと思ってのことだ。まぁ、こんな言葉、素で言えるかと言われれば難しいかもだ、が…………………?」

 

 そこまで言って今度はネクサスの方が固まる。

 

(ん? 俺、今…なんつった? 好きでもない奴に…? 好きでもない…? つまり、少なくともこの3人に対しては一定の好意を抱いてるのか? 俺が…?)

 

 ちょっと語弊があるかもだが、今まで人を好きになったことがないネクサスにとって、その事実はちょっとした衝撃になっていた。

 

「「「「………………」」」」

 

 そして4人が揃って固まることしばしば…

 

「こっちはこっちで何をしとるんじゃ?」

 

 アースラがリオ達の惨状と、ネクサス達の惨状を見て、やれやれと肩を竦めていた。

 

(どうするよ…俺?)

 

 と思いながらネクサスは残ったグラスの霊酒をグビッと飲み干すのだった。

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