精霊幻想記~もう1人の転生者~   作:伊達 翼

42 / 58
第四十一話『彼は自らの過去を語り、未来と出会いに想いを馳せる』

 一先ず、リオとネクサスは別々に行動する。

 そのために、向かい合わせになるように岩の家を出現させ、それぞれ説明に当たることにした。

 

 リオの方は、セリアに詳しい事情説明をするため、前世の記憶のことや時空の蔵を持つに至る経緯、精霊や精霊術のことなどを一部真実をぼかしながらも説明していた。

 ちなみにいつまでもウェディングドレスのままでは落ち着かないだろうと、精霊の民の里へと移住する際に置き忘れていた亜紀の服を貸している(セリア曰く『若干胸がきついそうだが、大丈夫』とのこと)。

 説明後、セリアはアイシアと共に風呂へと入りに行き、その間にリオは夕食の準備をしていた。

 

 

 

 その一方で…

 

『ていうか、いつまで抱えてんのよ!?』

 

 今更な気もするが、朝陽が抱えたまま家に入ったネクサスに苦情を言う。もちろん、日本語でだ。

 

『あぁ、すまん。逃げられると困るから、入るまでは抱えようと思ってたんだ』

 

『逃げないわよ! 第一、ここが何処かもわかんないのに!』

 

『そらそうか』

 

 怒鳴られたネクサスは飄々とした態度で朝陽を降ろす。

 

『ったく…てか、なんか外から見た時よりも広くない?』

 

『そういう技術が使われててな。いやはや、宝の持ち腐れってやつかね?』

 

 降りた朝陽が家の内装を見回しながら入った時に感じた違和感を指摘し、ネクサスが肩を竦めて答える。

 

『ふ~ん…』

 

 朝陽は何とも胡散臭そうにネクサスを見やる。

 

『ま、適当に寛いでてくれ。まずは茶でも用意してやるよ』

 

 そう言ってネクサスがキッチンに向かい、2人分のハーブティーを淹れる。

 

『………………』

 

 どこかムスッとした表情でリビングにあるソファに座ると、少し落ち着きがなさそうにキョロキョロと周囲の家具や調度品を見る。

 

『城の方が豪華だったかい?』

 

 しばらくすると、ネクサスがキッチンから戻ってきてハーブティーの入ったティーカップの片方を朝陽の前にあるテーブルに置く。

 もう片方は自分で普通に飲んでいる。

 

『まぁ、豪華っちゃ豪華だったけど…こっちの方が庶民な身としては多少は落ち着くわね。あくまで多少だけど…』

 

『ははは、そいつは良かった』

 

 朝陽の言葉に、そう答えながらネクサスは向かい側のソファに座り、ティーカップをテーブルに置く。

 

『さて…じゃあ、どっから話すかね?』

 

 朝陽がやや警戒しながらもハーブティーを一口、口に含ませて少しだけホッとしたのを待ってからネクサスが話し掛ける。

 

『どこからって…全部よ、全部。知ってること洗いざらい話なさいよ』

 

 そのネクサスの言葉に朝陽はそのように要求した。

 

『何もかもを知ってるってわけでもないから全部ってのは難しいが……そうさな。まずは俺が日本語を知ってる理由から話すかね』

 

 朝陽の要求にネクサスは苦笑しながらも、まずは自分が日本語を知っている理由を話すことにした。

 

『そういや、なんで日本語を話せるのよ?』

 

 ずっと話していたが、ハッと思い出したように朝陽はその疑問を口にする。

 

『その理由は至ってシンプルだが、複雑でもある。というか、より一層、胡散臭く感じるだろうな』

 

『はぁ?』

 

 ネクサスの言い回しに朝陽は首を傾げる。

 

『ま、端的に言うと、転生(・・)だな。前世の記憶を持ったまま生まれ変わる、ってやつだ。漫画みたいだろ?』

 

『……は?』

 

 ネクサスの言葉を理解できないのか、朝陽が胡散臭そうにネクサスを見る。

 

『まぁ、そういう反応にもなるわな。だが、これは事実だ。俺の前世では地球の日本で暮らしてた、大学生(・・・)でな。事故に遭って死んじまった。それが何の因果か、こうして前世の記憶が蘇ってな…』

 

 ネクサスも事故の詳細は伏せる形で、前世のことを朝陽に話していた。時系列に関しても気にしているのか、詳細な情報を開示することはなかった。

 

『………………』

 

『別に無理に信じてもらう必要はない。だが、今こうして日本語を話してる理由にはなるだろ?』

 

『それは、まぁ…』

 

 言葉がなかった朝陽に、ネクサスはそう言って証明にはならないが、理由にはなるということを説明する。その説明に朝陽も根本的には信じてなさそうだが、理由にはなるのかな、と考える。

 

『でも、そんなことが起こりうるの?』

 

『さてな。こればかりは俺にもわからん。なんせ7歳の時に記憶が蘇って以来の謎だからな…』

 

 朝陽の疑問にネクサスも明確な答えは持ち合わせておらず、そう答えるしかなかった。

 

『7歳の時にって…アンタ、いくつなのよ?』

 

『確か、今年で17歳になるな。前世も込みだと、精神年齢的には37歳かね? ま、俺は俺だ。前世が何者だろうと、今の俺の一要素でしかない。前世の誇りも忘れちゃいないがな』

 

 かつてリオにも言った、兄であり続けるという言葉を思い返しながらネクサスはそんなことを言う。

 

『おっさんじゃない…』

 

『中身的にはな? だが、こちらの世界に生まれた人間としてはまだ16歳程度なんだよ。お前さんともそう変わりはしないはずだ』

 

 朝陽のおっさん呼ばわりにネクサスは肩を竦めるだけだった。

 すると…

 

くぅ~…

 

『っ…///』

 

 再びお腹の鳴る音がし、朝陽が顔を赤くしながら逸らす。

 

『そういや、飯もまだだったな。待ってろ。すぐに準備してやるから』

 

 ネクサスは微笑しながらそう言うと、キッチンへと向かう。

 

『……料理なんて出来るの?』

 

『これでも長らく旅をしてきたからな。ま、見てなって』

 

 男が料理するなんてあまり想像できてないのか、朝陽が問い掛けるが、ネクサスはニカッと笑ってそう答える。

 

『あ、それとも先に風呂でも入るか?』

 

 料理を作る間、待ってるのも暇だろうと考えたネクサスは朝陽に風呂を勧める。

 

『え、お風呂があるの!?』

 

 風呂があるという情報に朝陽も驚く。

 

『あぁ。となると、先に使い方を教えないとか…あと、着替えは…あいつの借りるか。ちょっと待ってな』

 

 ネクサスはキッチンに向かうのをやめ、先に2階へと向かう。精霊の民の里で住み心地を確かめる際にシンシアと共に住んでいたこともあってか、下着と服がいくつか置いてあるのだ。サイズが合うかどうかはともかく…家にある着替えは自分のとシンシアのしかないので仕方ない。

 

『なんでそんなもんがあんよ!?』

 

 2階からリビングに戻ってきて、着替えを持ってきたネクサスに朝陽は当然の反応を見せる。

 

『あ~…その話は後でするわ。とりあえず、風呂の説明しないとな』

 

 シンシアのことを話すとなると、必然的に話が長くなりそうだからと、先に風呂へと案内することにした。風呂の使い方の説明や石鹸類の配置を朝陽に教えた後、ネクサスは風呂場からキッチンへと移動し、夕食の準備をする。

 

………

……

 

 それからしばらくして…

 

『ふぅ…』

 

 風呂から上がってきた朝陽がリビングに戻ってくる。ちなみに髪は下ろしていて、黒いリボンは手首に巻いている。

 

『ちょうどいい時に上がったな。飯の準備が出来たぞ』

 

 ダイニングテーブルの上には…地球産の料理が並んでいた。

 

『……なんかもう、驚くのにも疲れてきたわ…』

 

 風呂上がりの朝陽はもう驚くのに疲れたのか、そんなことを言う。

 

『ま、話の続きは飯を食いながらでいいだろ』

 

 それぞれダイニングテーブルの椅子へと向かい合って座ると…

 

『『いただきます』』

 

 手を合わせて食事の挨拶をしてから食べ始める。ちなみに使い慣れているだろう箸を用意してる。

 

『…美味しい…』

 

 一口料理を食べた朝陽が目を見開いて感想を漏らす。

 

『そいつは重畳。ま、ゆっくり食べようや』

 

 そうして食事をしながら緩やかな時間を過ごしていると…

 

『で、なんで女物の服や下着があったのよ?』

 

 そう聞いた朝陽はどこかジト目でネクサスを睨む。

 

『サイズ、合わなかったか?』

 

『胸とか、少しきついのよ』

 

 シンシアよりもややスタイルが良いのだろうか?

 ともかく、朝陽の文句を聞きながらネクサスは、どう答えたものかと考え…

 

『そうか。その服は俺の……妹分みたいな奴のでな。置いてたのを拝借させてもらった』

 

 そんな答えを返していた。

 

『何よ、今の妙な間は?』

 

『いや、あいつを妹分と言っていいのか、微妙なとこでな。一緒に死線を潜った仲だけど…』

 

『死線?』

 

『ま、飯時に暗い話をするのも気が引けるから、別の話題にするか』

 

『?』

 

 ネクサスの言葉に引っ掛かりを覚えたが、朝陽は黙って食事を続けた。

 

 

 

 食後、ネクサスはお茶を出しながら朝陽に向き合う。

 

『それで? さっきの続きだけど…』

 

 朝陽がネクサスの言う『暗い話』について聞く。

 

『そうさな。大して面白くもない話だ。この世界には奴隷制度がある。それは知ってるかい?』

 

『いえ…初めて聞いたわ』

 

『ま、勇者やそれに近しい人間に積極的に話すことでもないか。ま、そういう制度は昔の地球にもあったんだ。不思議なことじゃない』

 

『どういうことよ?』

 

 ネクサスはそう前置きしたから…

 

『俺は…一度、奴隷として売られた身でな。村の年貢が納められないなら、誰かを犠牲にしないとってことで、俺が選ばれたわけだ。ま、ちょっと珍しい理由もあったしな』

 

 自分の身の上話をする。

 

『………………』

 

 思ったよりもヘビーな話に朝陽は固まる。

 

『で、売られた先がまた面倒でな。国の暗部、その下部組織だったんだよ。暗殺とか、とにかく人殺しの技を磨かされたよ』

 

『なっ…』

 

 前世では同じ日本人だったのだ。それが何を意味するのか、朝陽にだってわかって絶句する。

 

『その頃には前世の記憶も蘇っててな。苦悩したよ。人殺しは忌避されるもんだって理解してても、この世界ではその価値観は通じない。だから俺は、自らの手を汚し続けた。ま、欠陥品と呼ばれてたがな』

 

『人を、欠陥品呼ばわりって…』

 

 同じ人なのに、と朝陽がやや怒りを募らせていく。

 

『この世界には魔法が存在する。それは知ってるな?』

 

『(コクリ)』

 

 ネクサスの確認するような言葉に朝陽は黙って頷く。

 

『その魔法を俺は使えなかったからな。だから欠陥品なのさ。魔法も覚えないと、暗殺には役立たないって判断されたんだろうよ』

 

『え、じゃあ、さっき飛んだりしてたのは?』

 

『ありゃ、魔法じゃない。精霊術っていう似て非なる技術さ』

 

『精霊、術?』

 

『その話はまた次の機会にな? で、そんな欠陥品に初任務が言い渡された。敵国への諜報活動だ。相棒に選ばれたのが、俺よりも1つ下の女の子。彼女も奴隷で、組織内ではそれなりに期待されてたらしい。俺は死んでもいいから、そいつだけは生きて帰せって言われたくらいだしな』

 

『なによ、それ…』

 

 もう言葉もないらしく、朝陽が俯く。

 

『ここは、そういう世界なのさ。ま、任務の帰還途中に追手が掛かってな。だけど、俺は死ぬのが嫌で自分と相棒の死を偽装して追手からも組織からもトンズラしたのさ。相棒と一緒にな』

 

『………………』

 

『ただ、相棒は感情表現にちょっと難があって、俺が助けてた部分もあるが…それからハルトに出会って一緒に旅をしてきた。そして、色々あって今ここにいるって訳だ』

 

 最後の方は少し適当な気がしないでもないが、ネクサスは自分の今の人生をそう語った。

 

『その、相棒の子はどうしたのよ?』

 

『今は旅の中で知り合った人達に預かってもらってる。信頼できる人達だから問題ない』

 

『そう、なんだ…』

 

 朝陽は気を落ち着けようとお茶を一口飲む。

 

『さて…秘密を知られたからには…』

 

 と、ネクサスが不穏なことを言う。

 

『っ!? ま、まさか殺す気!?』

 

 朝陽が警戒しながらその場から立ち上がろうとする。

 

『いや、言ってみただけだ。第一、俺から話したようなもんだからな』

 

 が、ネクサスはすぐさま今の発言を撤回し、冗談だと言う。

 

『あ、アンタねぇ~!』

 

 変な緊張感を与えたネクサスに朝陽が吠える。

 

『ははは。まぁ、そう怒るな。ただ、話をした以上はしばらく身柄を預からせてもらう。今、帰しても国から色々と質問…というよりも尋問される可能性が高いしな』

 

『尋問?』

 

 ネクサスの言い方に朝陽も首を傾げる。

 

『俺達のことを根掘り葉掘り聞かれるだろうからな。いくら勇者の連れだとしても、俺達のことを聞き出そうとする輩は現れるもんさ。どんな手を使ってでも聞き出す可能性だってある。なんせ、花嫁誘拐の実行犯と一緒にいると思われてるだろうし、国の威信ってのも向こうさんとしては大事だろうからな』

 

『っ…』

 

 それを聞き、朝陽は自分を抱き締めるように自らの腕を抱く。微かに身震いしたようにも見える。

 

『友達と離れ離れになるだろうが…こればかりは我慢してくれると助かる』

 

 セリアから聞いた勇者と共に召喚されたという人達と離れ離れになるということを伝えるが…

 

『別に、あいつらとは友達って訳じゃないわ。単に私が勝手に巻き込まれただけだし…』

 

 朝陽はなんとも淡白な返しをしていた。

 

『そうなのか?』

 

 ネクサスはその事実に意外そうな反応を見せる。

 

『確かに、同じ学校には通ってたみたいだけど…ほぼ他人よ。向こうの連中も私に気を遣ってたくらいだし…だから、少し言葉が通じるようになった後、私は別行動に近いことしてたし…』

 

『………………』

 

『だから変な同情なんていらないわ。私は、私で…何とかするから…』

 

 そんな風に強がる朝陽の姿を見て…

 

『朝陽』

 

『なによ…!?』

 

 ネクサスは席を立って朝陽に近付くと、抱き締めてやった。

 

『ちょっと、放しなさいよ!』

 

 朝陽は抵抗するように暴れるが、ネクサスは気にした様子もなく抱き締める力を強めた。

 

『よく、頑張ったな』

 

『!?』

 

『家族も友達もいない。勇者召喚に巻き込まれて1人で頑張ったんだろ? その人達の邪魔にならないように気を遣って…』

 

『なに、知ったような口を…!』

 

 ネクサスは朝陽を抱き締めたまま、自分の感じたことを言う。当の朝陽はやや激昂していたが…

 

『俺も、だからな』

 

『?』

 

 ネクサスの続く言葉に朝陽は疑問符を浮かべる。

 

『前世の記憶が蘇った当初は困惑して…親もいなかったし、友達って呼べる存在もいなかった。あるのは自分の身一つだけ。そして、奴隷として売られることを感じてから逃げようとしたけど、結局は無理だった』

 

『アンタと一緒にしないで…!』

 

『そうだな。でも、今は違う。出会いに恵まれた。俺にとっては、この世界に生まれ変わってそれが一番の収穫だった。お前にもそうであってほしい』

 

 ネクサスは今までの人生で出会いに恵まれていたと感じ、それを朝陽にも教えようようとした。

 

『アンタと出会ったことをよかったと思えっての!?』

 

 朝陽はそう叫ぶが…

 

『別にそうは言わない。ただ、別の出会いで、そういう風に感じられるようになってほしいだけだ』

 

『別の、出会い…?』

 

 ネクサスの言い方に訝しげに呟く。

 

『これから先のことは誰にもわからない。だけど、未来は自分で切り拓くもんだ。少なくとも、前世の俺はそう考えて生きてきた。だから、俺もそれに倣う。生きるために、手を汚してきたことも含め、今度は生き残ってみせるってな』

 

『…今度は、って…』

 

 最初の方で話された『事故に遭って死んだ』という言葉を思い出し、朝陽はネクサスの顔を見上げる。

 

『地球ではもう死んだ身だ。だから、今の人生は必ず生きてやろうって決めてんだよ。少なくとも、20歳以上はな?』

 

 そう言うネクサスの表情は、どこか悲しさを含んでいたが、明るい表情をしていた。

 

(そうか。こいつ、大学生って言ってたっけ。つまり、成人の前後くらいか…)

 

 そんなネクサスの言葉に朝陽はそう考える。そして、こうも思う。

 

(短い、方よね。どう考えても…)

 

 ネクサスの前世の人生の短さに、朝陽は物悲しくなってきた。

 

『未練とか、なかったの…?』

 

 朝陽はネクサスにそう聞く。

 

『そりゃあるさ。だけど、考えたってもうどうしようもないことだからな。俺は俺の道を進むだけさ。あいつらに恥じないように、な…』

 

『あいつら?』

 

『妹2人だ。これでも前世では兄貴だったからな。兄貴として恥じない姿を見せ続けるのも大変だったんだぜ?』

 

 そう言ってやや困ったように笑うネクサスだった。

 

『でもま、その想いもあって自棄や堕落しないで済んだのも事実だからな。兄としてのプライドってやつかな?』

 

『ふ~ん…』

 

『ま、相棒にはまだ話したこともないことだが…』

 

『そうなの?』

 

『こんな荒唐無稽な話。なかなかできるもんじゃないからな』

 

 朝陽の疑問にネクサスはそう答える。

 精霊の民の里の長老達や美春達を除けば、前世の話を口にしたのは初めてかもしれない。いや、正確に言えば、リオ以外にネクサスはこんな詳しく話したような記憶もない、と感じていた。

 

『……じゃあ、なんで私には話したのよ?』

 

『さてな。自分でもよくわからん』

 

 当のネクサスも、なんでここまで話したのか、実際のところはわからないらしい。

 

『……てか、いつまで抱き締めてんのよ、このセクハラオヤジ』

 

 そして、ずっと抱き締められたままだったのを思い出し、朝陽がネクサスの身体を強く押し返す。

 

『おっと、悪い悪い。悪かったから、セクハラオヤジはやめてくれ』

 

 そう言ってネクサスは朝陽を解放する。

 

『ふん…』

 

『ま、しばらくは不自由させないから安心しな』

 

『……まぁ、その心配はしてないけど…これからどうするのよ?』

 

 朝陽はこの家に来てからのことを思い返しながら、今後のことを尋ねる。

 

『ま、ゆっくり考えればいい。これから先、何がどう転ぶかまだわからんしな』

 

『要は、行き当たりばったりじゃない』

 

 ネクサスの言い分に朝陽が呆れる。

 

『旅はそれがあるから楽しいのさ』

 

『はぁぁ…』

 

 お気楽なことを言うネクサスに朝陽は深めの溜息を吐いていた。『なんで、こんな奴に誘拐されたんだろう』、と思っているのかもしれないが、朝陽の表情はどこか安堵しているようにも見えた。

 

 

 

 その後、2階にある使ってない部屋に朝陽を案内し、ゆっくり休むように伝えてから自分も自室へと向かうネクサスだった。

 リオとは明日の朝一で話せばいいかと思ったので、このまま休むことにしたらしい。

 

 ちなみにリオの方も夕食後、色々と話をしてからリオも風呂に入り、一休みするために自室に向かったのだが、その際にちょっとゴタゴタがあり、紆余曲折あってセリアとアイシアと一緒に寝ることになったらしかった。なので、リオも朝一にネクサスと話す必要がある、と奇しくも考えていたとか…。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。