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2022/8/1 大規模修正
中央暦1639年7月15日午後──
《クワトイネ公国西部 国境から20km 都市ギム》
クワ・トイネ公国軍西部方面騎士団団長『モイジ』は、通信室にいた。
通信兵の肩に手を置いて、真剣な表情をしている。
「ロウリアからの通信はないか?」
モイジは通信士に尋ねる。通信士は首を振ってため息をつく。
「こちらからの通信は確かに届いているはずですが、現在のところ返信はありません」
「つまりロウリアは、我々からの通信は無視し続けています」
「そうか」
本来なら直ぐに落ちるであろうギムも日本国の装備で強化されている。
「日本国の装備があってよかったな、あれがなければ直ちに落ちてしまうだろう」
「ええ、あの性能は期待できます。気をつける点は数が少ないので慎重に使用すべきところでしょう」
【クワ・トイネ公国軍西部方面騎士団概要】
○司令官:モイジ
○小銃兵:80人
○歩兵:2,500人
○弓兵:200人
○重装歩兵:500人
○騎兵:200人
○軽騎兵:100人
○飛龍:24騎
○魔導師:30人
○その他、日本製の旧式小銃・大砲等あり
「この武器でロウリア兵を一人でも多く道連れにしてやる」
「ええ、ここが陥落しても西部騎士団強し、ということをロデニウス大陸に広めましょう」
その時、通信室のドアが開け放たれる。後ろには兵士と娘も見える。
「あなた!」
モイジの妻が入ってくる。
「おお、どうした。早くあれで逃げなさい」
モイジが指す先には日本製のマイクロバスがあった。市民はあれに乗り避難することになっていた。
「いや、私も闘うわ!」
「だめだ、闘うのは我ら軍人だけで良い」
「そうですよ、奥さん。わたしたちに任してください」
「でも…」
「心配するな、無事に帰ってくるさ」
「…約束よ…」
「ああ」
数分後、モイジの妻と娘を乗せたマイクロバスは要塞都市『エジェイ』に向かった。
それを見送ったモイジは、団長室に入った。
「(おそらく死ぬであろうが、妻と娘を守るのであれば悪魔とだって契約しよう)」
彼は自慢の剣とM3グリースガン、26年式拳銃の整備を始める。
「首を洗って待ってろよ、ロウリア兵。この俺が一人残らず皆殺しにしてやる」
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中央歴1639年7月15日早朝──
《クワトイネ公国西部 国境から20km 都市ギム》
それは突然であった。ギムの西方から赤い煙が上がる。緊急事態を知らせる赤い煙であった。
また、魔信が入る。
「報告!ロウリア軍のワイバーンが多数侵攻中!!繰り返す多数侵攻中!!」
「了解した!早く帰還せよ!」
「分かりま…ぐぁぁぁあぁぁ!!!!」
「おい!…おい!!……………クソッ!!」
モイジは報告をした兵士に心の中で黙祷を捧げ、兵たちに命令を出す。
「第一飛龍隊及び第二飛龍隊は全騎上がり、敵ワイバーンにあたれ!!」
「軽騎兵は、右側面から撹乱に徹せよ!!騎兵は遊撃とする、指示あるまで待機!!」
「最前列に小銃兵、指示があるまで撃つな!重装歩兵、その後に歩兵を配置、隊列を乱すな!」
「弓兵は、その後ろにつけ、最大射程で支援しろ!機関銃と砲は有効射程に入ったらどんどん撃ち込め!」
「魔道士は、攻撃しなくて良い!全員で、風向きをこちらを風上としろ!!」
直ぐ様クワ・トイネの飛竜隊が迎撃に当たるが、練度も数も上のロウリア飛竜部隊にやられる。
「くそっ!やはり飛竜隊がやられたか…」
「そうだ!小銃隊及び機関銃隊!敵飛龍に向けて射撃せよ!」
「団長!そういえば倉庫に日本軍の対空砲がありました!」
「馬鹿野郎!それを早く言え!」
モイジの命令により銃が上空に放たれる。
小銃による被害はほとんどなかったが、精度の高い96式軽機関銃により、何騎かが被弾。そのうち1騎が墜落した。
「団長これです!」
部下の前にはタイヤ式の
「よし、急いで設置せよ!」
直ぐ様工兵によって設営される。
「射撃開始ぃ!」
「てぇ!!」
乾いた音を出し、機銃が咆哮する。対空砲火を経験したことがないロウリア飛竜は狼狽し、少なくない数が地面に激突することにより合計で30騎が墜落したり、戦線離脱をした。
「ウオォ!!さすがは日本の兵器だ!」
「喜ぶのはまだ早い!敵歩兵が来るぞ」
「野砲、射程圏内に入りました」
「よし、撃て!」
「はっ、目標、敵歩兵群、距離800、方位、仰角よし」
「撃てぇ!」
38式野砲から砲弾が放たれ、歩兵の真ん中に命中する。
炸裂した破片は敵兵士の腹に食い込み、兵士は絶命する。
「小銃隊!前へ!」
モイジの号令により小銃隊が塹壕に身を隠し狙いを定める。モイジが日本の本から学んだ戦法だ。
ワイバーンがいない今、塹壕は体を隠しながら敵の槍や矢を防げる。
「目標!正面の敵歩兵!」
「撃てぇ!」
80年振りに小銃が咆哮する。ダァンという軽快な音と共に九九式普通実包の7.7mm弾が発射され、ロウリア兵の命を刈り取る。
「排莢!続いて撃て!」
小銃により、歩兵が次々に斃れる。ロウリア兵は初めて見る銃の威力に驚くも、仲間の死体を踏み越える。
だが、96式軽機関銃や92式重機関銃などの射撃によって一気に葬られる。
ロウリア先遣隊副将アデムはそれを激怒しながら見ていた。
「おのれぇ、我が国も導入してない銃を使うなど…」
「一体何処から密輸入した!ムーか!?パーパルディアか!?」
「ええい、まどろっこしい。重装歩兵を盾にし前進!物量で押し通せ!」
「敵重装歩兵群来ます」
クワ・トイネ側は弾薬が少なくなり、第一塹壕が突破され、野砲も5門のうち3門が破壊されていた。
機銃も飛龍のブレスで溶け、人員も動けないものが多くなってきた。
「遂にか…これほど損害を与えたのなら良い…」
「機関銃は敵騎兵に対し全弾薬を使い応戦!機関銃の弾が尽きたら騎士隊は突撃せよ!」
それからは悲惨な戦いであった。96式軽機関銃の弾が騎兵を貫き、92式重機関銃が歩兵を一網打尽にする。
逆にロウリア兵の剣がM3サブマシンガンを撃つ兵士の喉を刺し、槍が26年式拳銃で応戦しようとした将校を刺し放つ。
だが物量の差には持ち堪えられず、ギムは陥落した。
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7時間後──
《クワトイネ公国西部 国境から20km 都市ギム》
西部方面騎士団団長モイジは、後ろに縄をかけられ、捕虜となっていた。ギムは既にロウリア先遣隊により占領されている。アデムは、激怒しながら見下げる。
「チッ!この俺の経歴に傷をつけやがって!」
「はっ、お前のその顔を拝めただけ生きる意義があったもんだ」
「傑作だn「黙れぇ!!!」ゴプッ」
アデムの剣がモイジの喉に突き刺さる。
「クソが!!で、戦利品は?」
「はっ。そ、それが、市民は誰一人としておりません。おそらくモイジが逃したのだと…」
「なっ!!この俺に1度ではなく2度も恥をかかせるなど!!」
アデムはモイジの遺体を切り裂き、恍惚とした表情を浮かべる。
「ああ、スッキリした。生き残ってる奴や鹵獲品は?」
「生き残ってる者は80人ほど、そのほとんどが重症です。鹵獲した物は使い方が分かりません」
「そうか、認めるのは悔しいが強力なものだったからな、持ち帰りたかったが、仕方ない」
「そして、生き残っている者はいるのだな」
「はい」
「よし、なら串に突き刺し殺せ。それを都市の周りに立てよ。」
「なっ、なんですと!」
部下はアデムの言葉に驚愕する。部下は騎士として騎士道精神に則り戦ってきた。だが、アデムにそんなものは無い
「ん?聞こえなかったのか?早くやれ」
「はっ、はい」
「(なんてことをするんだ。こいつには騎士道精神などないのか?)」
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2時間前──
《クワ・トイネ公国 ダイタル平野 ダイタル基地》
クワ・トイネ側に許可をもらい、昼夜問わず大規模な設営作業が取られているダイタル基地。
その2番目に完成した司令部施設では、陸上自衛隊クワ・トイネ派遣軍司令官兼第7機甲師団長を務める『大内田 和樹』陸将が衛星の画像を見ていた。
「くそっ!思ったよりも侵攻が早いな。現在投入可能な兵力は?」
「第5騎兵師団が1時間前に出発しましたが、ギム占領までには間に合わないかと…」
「くっ…見殺しか……すまん」
第7機甲師団は北京で空自の輸送機に戦車などを積載している最中、大内田ら第7機甲師団幹部は先に輸送機で到着していたが、戦車無しの機甲師団では戦えない。
「すまん…」
大内田は、ギムを防衛する兵士らに申し訳なく思った。
四話も書いて一度も自衛隊の戦闘シーンないってマ?
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