超大国日本国召喚   作:一般通過愉悦部

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感想がこなかったので初投稿です

戦闘シーンむずいですね…
ジパングネタと淫夢ネタ少しあるので注意です

◇◆◇

2022/9/8 大規模修正


第5話 ロデニウス沖大海戦

中央歴1639年7月25日──

《クワ・トイネ公国 都市マイハーク マイハーク港》

 

 

「壮観な風景だな」

 

 

クワ・トイネ公国海軍第二艦隊第一部隊提督『パンカーレ』は、海を眺めながらそう囁いた。

目の前には50隻の船があった。

 

兵士達がバリスタの矢を詰め込み、出撃の準備を整える。

普段であれば感嘆する風景であったが、今回は違う。

 

戦う相手は、4,400隻のロウリア海軍。たった50隻の船相手では立ち向かえないだろう。

 

 

「……彼らは何人生き残る事ができるだろうか」

 

「提督。海軍本部から魔信が届いています」

 

 

その時、側近であり第二艦隊の若き幹部『ブルーアイ』が報告に来た。

彼は紙に書かれた魔信の内容を見ていた。

 

 

「読め」

 

「はっ!『本日夕刻、日本国の第5艦隊第8護衛隊群の戦艦1隻、ヘリ空母1隻、巡洋艦1隻、駆逐艦7隻の計10隻が援軍として、マイハーク沖合いに到着する。彼らは、我が軍より先にロウリア艦隊に攻撃を行うため、観戦武官1名を彼らの旗艦に搭乗させるように指令する』…との事です」

 

 

その報告に、パンカーレは憤慨する。たったの10隻。相手が4,400隻であってもなくても、たった10隻で海戦に挑むなど、正気の沙汰ではない。

 

 

「何!?たったの10隻だと!!??100隻の間違いではないのか?」

 

「間違いではありません。10隻です」

 

「やる気はあるのか、彼らは…公国の空を引っ掻き回したと思ったら国交を結び、実際の戦争には10隻しか援軍を送らないとはなんて国だ!!」

 

「しかも観戦武官だと!!440倍の相手と戦う部隊に誰がそうやすやすと部下を送れるか!!」

 

 

司令部の誰もが思った。そして誰も行きたがらない。当たり前である、誰が志願して死地に行かなければならない。

その時、ブルーアイが手を上げた。

 

 

「私が行きましょう」

 

「ブルーアイ!お前!」

 

「私は剣術ではこの部隊一だと思っています。白兵戦ならそう用意に殺されはしません」

 

「すまん…頼むぞ」

 

「はっっっ!」

 

 

◇◆◇

当日午後──

《クワ・トイネ公国 都市マイハーク マイハーク港》

 

日本国艦隊が現れるという時間。その時、うっすらと遠くの海に小島が現れたと皆が思った。

だが、少しずつ動いている。それが日本艦隊と分かったのは旗が見えた時だ。

 

 

「なんなんだ!小島が動いている!?」

 

「いや!!あれは船だ!!」

 

 

海上自衛隊のクワ・トイネ派遣軍先遣艦隊、第7護衛隊群であった。

 

 

     【日本国海上自衛隊 クワ・トイネ派遣軍先遣艦隊第7護衛隊群編成】

 

○司令官: 『加藤和彦』下級海将

○主席幕僚:『小林浩一』1等海佐

 

司令部直属  ○BB-42 きい

       ○DDH-183いつくしま

 

第14護衛隊 ○CG-64 いすず

       ○DD-101 むらさめ

       ○DD-115 かげろう

       ○DD-126 ゆうぐも

 

第21護衛隊 ○DDG-152 うすぐも

       ○DDG-155 やまなみ

       ○DD-138 てるづき

       ○DD-140 ふゆつき

 

 

「うぉっ!なんだあれは…!」

 

 

皆が思い思いに艦隊に見惚れていた時、2番目に大きい艦から羽虫のようなものが飛んできた。

よく見ると羽の両側に高速で回る風車のプロペラのようなものがある。

 

 

「何っ!!!」

 

 

羽虫が上空に来た時、なんと羽が45度回転し変形した。そのまま羽虫はブルーアイの近くに着陸した。羽はそのまま強く回っており、気を抜くと吹き飛ばされそうだ。着陸後、羽虫の尻が開く。

 

 

「日本国海上自衛隊です!!観戦武官1名様ですね!!」

 

 

羽虫の中には人が乗っており、大声で話しかけてくる。手には魔道具のようなものがある。

どうやらこの羽虫で沖合の艦に連れて行くようだ。

 

 

「私が観戦武官のブルーアイです!日本国の方々かな?」

 

「はい!本日はよろしくお願いします!こちらにお乗りください!!」

 

 

中に入るとシートがふわふわしており、気持ちが良い。周りを見ると格納されているシートがあり、かなりの人数を乗せることができそうだ。

 

窓から見ると艦隊がよく見える。一層大きい艦は中央に城があり、前方と後方に四角いものから棒が出でいる。

よく分からないが何故かブルーアイの中ではその艦に『カッコいい』と思ってしまった。

 

 

「平たい艦から出てきましたが、その艦に行くのですか?」

 

 

日本海軍の軍人に話しかける。

 

 

「いいえ、今回ブルーアイさんにご搭乗いただくのはいつくしまではなくあの大きい艦──きいです。」

 

 

どうやら1番大きい艦は『きい』、平たい艦は『いつくしま』と言うようだ。

その後羽虫は静かにきいに着艦した。

 

着艦し外に出ると白い綺麗な服を着た将校がおり、又その前には青い服を着た集団がいた。銃を持っていたので一瞬警戒したが、どうやら儀式のようだった。『栄誉礼』と言うようだ。

 

本来であれば、ブルーアイは将校でないので、栄誉礼の対象ではないが、護衛隊群司令部が初めて日本の船に乗る異世界人ということから、特別に執行した。

 

そのようなことを知らないブルーアイは、儀仗隊の練度の高さに感嘆していた。儀式が終わると将校が挨拶をしてきた。

 

 

「第7護衛隊群司令加藤和彦です」

 

「同じく第7護衛隊群主席幕領小林浩一と申します」

 

「本艦の艦長を務めさせていただいています、久村蓮、階級は1等海佐です。よろしくお願いします」

 

「クワ・トイネ公国第二海軍観戦武官のブルーアイです。援軍感謝いたします」

 

「いいえ、友好国の身を守るのは当然です」

 

 

そう言うと、加藤は一旦息をついてブルーアイに話し始める。

 

 

「早速ですが、今回の作戦概要について説明させて頂きますので、中にお入りください」

 

 

ブルーアイは先導されて中に入る。艦内に入ると彼は目を疑う。

 

 

「(なんで明るい!光の妖精でも使役させているのか!?)」

 

「(しかもやはり鉄か!鉄でできている!?なんで浮いているんだ!?)」

 

「これならば矢を防げる…なるほどそう言うことか…」

 

 

ブルーアイは廊下を歩きながら考えていると、小林が話しかけてきた。

 

 

「エレベーターで行きますので、着いてきてください」

 

「はっはい!(''えれべーたー''ってなんだ?)」

 

 

そうすると、目の前の扉が開き小部屋が出てくる。ブルーアイは恐る恐る乗り込む。

扉が閉まり、浮遊しているような感覚になる。

 

 

「うぉおぉおぉぉぉ」

 

「ははは…エレベーターは慣れるのに時間がかかりますからね。此方です」

 

 

ドアが開き、目の前に部屋が見えた。

ブルーアイと護衛隊群幹部は、司令部作戦室(FIC)に入っていった。

 

 

「では対ロウリア海軍の作戦概要について説明させていただきます」

 

「現在の状況を説明致しましょう。貴国はロウリア王国によって2方面からの脅威に晒されています」

 

「もし制海権が取られて仕舞えば、何処であってもロウリアは上陸できます」

 

「また、我が国もマイハークからの食糧が届かなくなり、亡国の危機に陥ります。それはなんとしてでも避けたい」

 

「なので、マイハークの防御。それが第一となります」

 

 

小林は次のスライドに変える。中央のモニターに画像が映し出され、ブルーアイはこの日何度目かの驚愕をする。

 

 

「あ、あのぉ…これは?…」

 

「ああ、これは衛星によって空撮されたロウリア海軍です」

 

「えいせい…とは?」

 

「衛星って言うのは、空のさらに上の宇宙空間にある衛星のことです。そこから写真を撮り、此処に送られてきました」

 

 

ブルーアイは頭の中が真っ白になった。つまり日本国は空のまたさらに上から全てを観れると言うこと。カンニング同然の事だ。しかも、衛星と言うのは聞く限り、『古の魔法帝国』の『僕の星』と殆ど同じである。

 

ブルーアイは再起動し、小林の話を聞く。

 

 

「では…現在、ロウリア海軍船団4,400隻はクワ・トイネ西方海域、マイハ―クから西北西500kmの海域を5ノットの低速で航行しています」

 

 

スクリーン上の映像にはロデニウス大陸北部の精巧な地図とロウリア海軍を示す赤い五角形のアイコンが表示されている。

 

 

「前述の通り、我が司令部は敵の上陸予想地点をマイハークと断定、我々でこれを撃滅します」

 

「空母からの支援は艦載機の航続距離が届かないので、基本的に艦砲による対水上目標攻撃で攻撃する予定です」

 

「また、ワイバーンによる攻撃も想定されますが、それはSM-2かESSMにて対処する予定です」

 

「すいません。失礼を承知でお尋ねしますが、ロウリア海軍の船数は4,400隻。それをたった10隻で対処する予定なのですか?」

 

「ええ、勿論。何世紀も前の木属船程度、10隻で大丈夫です。マイハークも貴方も守ります。ご安心ください」

 

 

ブルーアイは驚く。彼らは自分たちだけで、クワトイネ海軍の協力を得ずに、大艦隊に挑むつもりなのだ。

たった10隻で止められると言う自信。彼は不思議に思った。

 

 

◇◆◇

中央暦1639年7月26日早朝──

《海上自衛隊クワ・トイネ派遣軍先遣艦隊第7護衛隊群司令部直属 戦艦『きい』艦橋》

 

 

「(バカな!?我が主力船より早い!鉄だから遅い筈ではないのか!?)」

 

 

ブルーアイはまたもや驚愕していた。これほどの大きさであり、しかも鉄で出来ていると思われる。

だからクワ・トイネ海軍の船より遅い筈だが、我が主力船の最高速度を大幅に上回る速度である。

 

 

 

「司令、間も無くで空自の航空支援が始まります」

 

「了解、空自航空隊に連絡、幸運を祈る」

 

 

一方、その空自の攻撃隊長『天野達央』3等空尉は、『B/P-1』爆撃機のコックピットで空を見ていた。

青空は、地球よりも綺麗である。大気汚染物質が少なく、彼もダイタル基地で初めて息を吸った時、あまりの綺麗さに困惑した程だ。

 

今、彼は『B/P-1』8機、『A-10C』12機の攻撃隊の隊長を務めている。

『B/P-1』は海自の哨戒機の『P-1』を爆撃機にしたものである。

 

彼が大空を見ていると、航法士が話しかけてくる。

 

 

「機長、間も無く投下位置」

 

「了解」

 

「管制システム、よし」

 

「投下まで30秒。カウント入ります」

 

「30…29…28…27」

 

 

投下までの時間がカウントされ、爆弾倉の蓋が開かれる。

 

 

「5…4…3…2…1… 投下、今。(Fire. Ready, now.)爆弾投下。(Bombs away.)

 

 

ガゴン。という音と共に先ずは両翼のエプロンに3つずつ束ねられたMk.82爆弾、計24発が投下される。

 

Mk.82は無誘導でロウリア艦隊へ向かってゆく。なぜ無誘導なのかと言うと、ロウリア艦隊は4,400隻の大艦隊であり、船団も大きい。

 

なので精密誘導で一隻ずつ潰すよりは、Mk.82が海面で爆発した破片と爆風で対処した方が効率が良いと判断されたからだ。

 

次に、B/P-1胴体に設置された爆弾倉から、回転型弾倉によってMk.82が同じく24発投下される。

B/P-1、8機によって投下された計384発のMk.82は、炸薬量87kgの爆発力によって次々とロウリア艦隊の船を撃沈してゆく。

 

A-10CもAGM-65 マーベリックを発射し、無慈悲に正確に着弾する。ロウリア艦隊は、恐怖に包まれた。

 

 

◇◆◇

5分前──

《ロウリア王国東方征伐海軍 旗艦『ロストニア』将軍『シャークン』》

 

 

「良い景色だ。美しい」

 

 

ロウリア王国東方征伐海軍の将軍『シャークン』は二つの意味で言葉を口にした。

1つ目は青い海に晴れ渡った空。クワ・トイネ海軍を殲滅し、ロウリア海軍と自分の名を世界中に広める日には相応しい景色だ。

 

2つ目は目の前に広がる4,400隻の大船団。一隻一隻が実力を持つ船であり、クワ・トイネ海軍など1時間もあれば屠れるであろう。

 

6年を掛けて準備してきた大船団。この船団ならば北の五大列強の一国、『パーパルディア皇国』も征服できそうである。

 

 

「(いや、パーパルディア皇国には、砲艦という船ごと破壊可能な兵器があるらしいな…)」

 

 

彼は、いくらこの船団でも痛み分けで終わると考え、目の前の戦闘に集中することにする。

 

 

「(ん?)」

 

 

その時、高い空に灰色の龍らしき物が見えた。

 

 

「飛龍か!」

 

「いや、羽ばたいて無いな…鉄竜か」

 

「まあ良い、対空戦闘!バリスタ準備!!」

 

 

だが、一向にワイバーンは降りてこない。導力火炎弾などで攻撃するには低空に降りてくるしか無いはずだ。

偵察かと思った時、ワイバーンの腹から黒い物体が落ちてきた。

 

 

「なんだ──」

 

 

不思議に思った時、付近の海面が爆発し、近くにいた船が木っ端微塵になる。

 

 

「ぐおっ!!!!」

 

 

さらに何十回も海面が噴火し、一気に何隻もバラバラになる。

海面には、木の破片や人間の一部などが散乱する。

 

 

「なんだ!?鉄竜の攻撃かぁ!」

 

「その模様です!!」

 

「一体どうやって攻撃したぁ!!」

 

「分かりません!」

 

「くそっ!」

 

 

周りを見渡すと、すでに100隻ほどは沈没したり、しかけたりしていた。

兵は怯えて皆縮こまっている。

 

 

「見たことのない攻撃…まさか魔導兵器か!」

 

「飛龍を呼ばねば…通信使、飛龍による航空支援を要請せよ」

 

「はっ」

 

「(しかし…いかんな…兵が怯えている…)」

 

 

そう思ったシャークンは、魔導拡声器を使って船団へ話しかける。

 

 

「注目!!いいか!確かに敵は強い!」

 

「だが、諦めて良いとは言っていない!」

 

「既にワイバーン隊に応援を要請した!これでもうあの鉄竜が出ても怖くない!」

 

「いわば!あの鉄竜は我が国へ神々が遣わした試練である!」

 

「あれを凌げば我がロウリア王国は列強も越えるであろう!」

 

 

シャークンの演説により、兵達の戦意が高まる。

 

 

「そうと決まれば総員!突撃せよ!!」

 

「「「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」」」」」

 

 

ロウリア艦隊は前進する、神々の試練を乗り切るために。

だが、神々が試練を与えても()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

◇◆◇

同時刻──

《ロウリア王国 王都ジンハーク ジンハーク城 飛龍飛行場》

 

 

ロウリア王国の王都防衛騎士団の飛龍飛行場。精鋭の集まるこの飛行場は、現在慌ただしく人員が動いていた。

 

 

「第17竜騎隊前へ!!」

 

「敵飛龍が魔導兵器を使用したとの事です」

 

「ほう…ならば竜騎隊250騎全てを上げよ」

 

「良いのですか?そうすると王都防衛用の飛龍が全て無くなりますが…」

 

 

ロウリア王国軍防衛騎士団将軍『パタジン』へ、王宮主席魔導師『ヤミレイ』はそう告げる。

だが、パタジンは口を緩ませる。

 

 

「戦力の逐次投入は避けたい。なに、所詮この王都まで辿り着ける敵など居ない。此処で全てを終わらせるのだ──」

 

『第17竜騎隊離陸を許可する。離陸を許可する』

 

「全竜騎隊出撃だ!」

 

 

◇◆◇

5分後──

《海上自衛隊クワ・トイネ派遣軍先遣艦隊第7護衛隊群司令部直属 戦艦『きい』戦闘指揮所(CIC)

 

 

戦艦『きい』は、『いつくしま』から発艦した無人偵察機『87式無人偵察機(RQ-2 パイオニア)』から撮影された映像を戦闘指揮所(CIC)のメインモニターで見ていた。

 

その時、ブルーアイへの作戦説明後、いつくしまに戻った司令部から一本の通信が入る。

 

 

「艦長、司令部より通信。『現時刻を持ってきいは、我が部隊より先行し、ロウリア艦隊を撃沈せよ。1011(ヒトマルヒトヒト)』」

 

「1000隻以上の船団は我々の艦砲射撃の方が処理し易いからな…よし、第四戦速」

 

「了解、第四戦速」

 

 

5分後、ロウリア艦隊でも『きい』の艦影が確認された。

 

 

「敵船発見!」

 

「…300mはあるぞ」

 

「バケモノめ…」

 

 

未知の大きさの艦に数名が怖気付くが、

 

 

「怖がるなぁ!戦闘用意!」

 

 

シャークンの一喝で戦意が高まる。

 

 

「やってやろうじゃねえかよ この野郎!」

 

「馬鹿野郎お前俺は勝つぞお前!!」

 

「野郎オブクラッシャー!!!」

 

 

…若干おかしいが気にしない。

 

 

「ワイバーン隊!突撃します!」

 

 

上空ではワイバーンが敵超巨大船に攻撃を仕掛けようとした。

 

 

「俺たちの分も取っとけよー!!」

 

「残りは貰うぜ!」

 

 

水夫達も応援する。そのままワイバーンが攻撃体制に入る、艦隊の全員が数秒後に敵艦が炎に包まれる姿を想像した。

だが、見えたのは逆の光景であった。

 

 

「え」

 

 

それは誰が出した声であったか、

皆、目の前で起こったことを脳が理解しなかった。

 

 

「あ、あああ、ああ」

 

 

敵艦が爆発したと思った瞬間、ワイバーンが弾けたなんて、

信じられない。嘘だ。これは夢なんだ、現実じゃない。

 

だが、それは現実だ。

 

 

◇◆◇

5分前──

《海上自衛隊クワ・トイネ派遣軍先遣艦隊第7護衛隊群司令部直属 戦艦『きい』戦闘指揮所(CIC)》《/font》《/big》

 

 

「レーダー探知(コンタクト)敵味方識別信号(IFF)に応答無し」

 

「敵編隊だと推測されます、機数250、相対方位45°、距離約50km』

 

「右砲戦の前に対空戦闘だな…右砲戦やめ、対空戦闘用意」

 

「右砲戦やめ、対空戦闘用意」

 

 

艦内にジリリリと警報が鳴り響き、乗員は水密扉を閉め、また非番の乗員も補助要員として各々の持ち場に着く。

 

 

「編隊250騎接近」

 

「250騎か…かなり多いな」

 

編隊(スコードロン)進路変わらず、依然接近!まもなく本艦視認圏です」

 

「来ました!右舷前方、相対方位45°。目標約200以上を確認!距離45キロ!」

 

「対空戦闘、相対方位45、距離30kmに備え!左舷1から3番127mm速射砲、第3VLS射撃用意!」

 

 

砲術長の命令により、『きい』に6基ある127mm速射砲が起動する。

 

 

「目標群α(アルファ)低空より接近19、相対方位45、 仰角5度!距離25kmに接近!」

 

「目標群β(ベータ)高空より接近21、方位30、 仰角82度!」

 

「目標群c(チャーリー)距離30km110、25°、仰角75°!旋回中です!」

 

c(チャーリー)は様子見か…」

 

 

砲術長はポツリと呟く。できれば一斉に突撃してほしくは無い。今が好機だ。

 

 

「目標攻撃諸元入力完了!」

 

「…目標群α(アルファ)に左舷1から3番127mm単装砲照準!」

 

「目標群β(ベータ)に対し第3VLSによりESSM21発照準!発射管制は手動で使用!」

 

「発射管制手動(マニュアル)に変更!」

 

「目標群c(チャーリー)は放置でいいですね」

 

「ああ、撤退してくれると願ってな」

 

「…そうしてくれると嬉しいんですけどね…」

 

 

◇◆◇

上空──

《ロウリア王国軍 王都防衛竜騎隊 第17竜騎隊》

 

 

「デカいな…」

 

 

第17竜騎隊隊長である、『デザルーツ』は、そう呟いた。

彼の目には、島を丸ごとくり抜いたかのような船が鎮座していた。

 

 

「まあ、あれを撃沈すれば俺の戦果だ、昇進間違いなしだぞ」

 

「第1連隊第1分隊は高空、第2分隊は低空から接近せよ!」

 

 

デザルーツは少しのワイバーンで敵を弱らせてから一気に叩く戦法を取る。

これまでのロデニウス大陸統一戦争でも頻繁に取った戦法だ。

 

 

「第1分隊行くぞ!」

 

 

第17竜騎隊第1連隊長兼第1分隊長『フィルーズ』は巨船を仕留める機会を作ってくれたことを神に感謝する。

 

 

「ん?」

 

 

低空では今まさに第2分隊が攻撃しようとしていた。

 

 

「一番槍は取られたか…」

 

「第2分隊に負けるな!征くぞ!」

 

 

その時、新人竜騎士である『ミドリーレ』が声を上げる。

 

 

「た、隊長!だ、第2分隊が!」

 

「何!」

 

 

目下では敵の火矢によって第2分隊が壊滅していた。

 

 

「敵は化け物か!」

 

 

自分の経験ではワイバーン20騎を一瞬で撃ち落とすものなど存在しない。

 

 

「ええい!撤退「敵船ナニカを発射!」ナニカってなんなんだ!」

 

 

敵船を見ると灰色の四角形のものから高速で槍が迫ってきていた。

フィルーズは直感でソレがとてつもなく危険と感じた。

 

 

「まずい!散k…」

 

 

そこでフィルーズの意識は反転し、2度と戻ることがなかった。

 

『きい』1番から3番127mm単装砲及び第3VLSから発射された発展型シースパロー(ESSM)によって第17竜騎隊第3連隊は壊滅した。

 

 

◇◆◇

同時刻──

《海上自衛隊クワ・トイネ派遣軍先遣艦隊第7護衛隊群司令部直属 戦艦『きい』戦闘指揮所(CIC)

 

 

「敵目標群α・β(アルファ・ベータ)計40騎撃墜確認!」

 

c(チャーリー)は?」

 

「突撃してきます!目標数310!距離25!」

 

「…発射管制全自動(オート)に変更!全武器使用可能(オールウェポンズフリー)!」

 

「了解!発射管制は全自動(オート)全武器使用可能(オールウェポンズフリー)

 

 

神の盾(イージスシステム)は異世界でも存分にその性能を発揮した。

数分後、ロウリアワイバーン隊はロデニウス沖で姿を消した。

 

 

◇◆◇

5分後──

《海上自衛隊クワ・トイネ派遣軍先遣艦隊第7護衛隊群司令部直属 戦艦『きい』戦闘指揮所(CIC)

 

 

「敵艦隊、動きません」

 

「了解、右砲戦用意!」

 

「右砲戦用意!」

 

「目標ロウリア艦隊、距離3km、弾種榴弾、主砲砲撃射線確保!」

 

 

右砲戦用意の号令が上がった時点で艦橋では掌帆長がブルーアイに説明していた。

 

 

「ブルーアイさん、耳を塞いで口を開けといて下さい、我々は慣れていますが、貴方は慣れていないと思うので」

 

「え?どう言う…」

 

「さあ、早く。危ないですよ」

 

 

危ないと言われてすぐさまブルーアイは耳を塞ぎ、口を開け、即席で防音魔法を貼った。

 

 

「全照準、射撃管制手動(マニュアル)して行う!」

 

「照準…よし!」

 

「撃ちぃ方ぁ初め!」

 

「撃ち方初め!」

 

「撃てぇー!!」

 

 

75年前、ドイツ兵に『ミョルニル』と恐れられた51cm砲が咆哮した。 

 

◇◆◇

数分後──

《ロウリア王国東方征伐海軍 旗艦『ロストニア』》

 

 

この部隊の司令官である、シャークンは虚な目で艦隊を見つめていた。

一回の砲撃で数十隻がまとめて吹き飛び、我々の攻撃は全く当たらない。

 

 

「…………」

 

「もう終わりだ」

 

「(私の責任不足で何千人もの死傷者が出るであろう…)」

 

「(しかし国に帰れば敗戦の責任を負い──自分は将来無能な提督として名が刻まれるだろうな)」

 

「…神の企てか?悪魔の意志か?我々は何と戦っているんだ」

 

「敵艦!攻撃開始!」

 

それからは地獄であった。敵の魔導砲は一回で数十隻ずつやられる

一矢報いようと近づくも小さい魔導砲にやられ、近づけない。

艦隊は信じられない速度でやられていった。

 

 

「…ダメだな」

 

「(これ以上悪戯に兵を死なせるわけにいかん…)」

 

「通信士…──全軍退却だ」

 

「……はっ」

 

 

だがその瞬間、ロウリア王国東方征伐海軍旗艦『ロストニア』は『きい』2番127mm単装砲の砲撃により沈没。

指導者を失った艦隊は散り散りになりながら撤退した。

 

◇◆◇

数分後──

《海上自衛隊クワ・トイネ派遣軍先遣艦隊第7護衛隊群司令部直属 戦艦『きい』艦橋》

 

 

「司令部へ打電『本艦、敵艦隊を撃破。尚、生存者が多数いるため救助活動を行う。至急応援を求む1426』」

 

「はっ!『本艦、敵艦隊を撃破。尚、生存者が多数いるため救助活動を行う。至急応援を求む1426』、司令部へ送ります」

 

「よし、内火艇及びSH-60K発艦準備!衛生員は応急手当ての準備を整えろ!忙しくなるぞ!」

 

「えっと…もう終わったんですか?」

 

「えぇ、我が艦隊は4400隻中4200隻を撃沈しました、我々の勝利です」

 

「そ…う…ですか…」

 

 

ブルーアイはタジタジになりながら、聴きたかったことを尋ねる。

 

 

「それでその…被害はどれくらいですか?」

 

「ありません」

 

「え?」

 

「我々に被害はありません。完全勝利です」

 

「???」

 

 

あり得ない。我が海軍がロウリア海軍4,200隻を撃沈するのであれば、全滅に等しい被害を喰らうであろう。

 

 

「まあ、弾薬代ぐらいですかね被害と言った被害は。ハハハハハ」

 

「ハハ…ハ…ハ…」

 

 

笑えない冗談を聞きながら、ブルーアイは上層部への報告はどうしようかと頭を悩ませた。

 




nogi-爽汰さん、リュンさん、ぴょんすけうさぎさん、鳩になりたいさん、れれれさん、感想ありがとうございました。
Suzu1202さん、腐乱華悪棲鬼威さん、zharさん、評価有難うございます。
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