超大国日本国召喚   作:一般通過愉悦部

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やっと本格的に陸上自衛隊が出たので初投稿です。

短いですが、今週中に1~2本あげるので楽しみにしててください。

◇◆◇
2022/9/19 大規模修正


第6話 太陽神の使い

中央暦1639年8月9日──

《クワ・トイネ公国 公都クワ・トイネ 政治部会会場『蓮の庭園』》

 

 

「以上が、ロデニウス大陸沖海戦の戦闘結果になります」

 

 

蓮が全体的に装飾された庭園で、参考人として招致されたブルーアイが『ロデニウス沖大海戦』の結果を報告していた。

 

会議参加者の目の前には、日本製のプリンターで印刷されたレジュメが配られている。

 

 

「──では、日本国は10隻の内たった1隻で4,200隻を撃沈し、ワイバーン約300騎の空襲を上空掩護も無いのに物ともせず、しかも損害・死傷者無し。我が艦隊の出番が無かったと…」

 

「いえ、砲弾の金額が痛かったと…ハハハ」

 

「そんなの被害の内に入らんわ!」

 

 

癇癪を起こしそうになるリンスイをカナタが留める。

 

 

「落ち着きなさいリンスイ。すまないブルーアイ君、彼は信じられない戦果に気が動転しているのだ」

 

「しかし、こんなものは神話上でしか無い戦果です。いかに君が見たとしても我々は信じられません」

 

 

それを予測していたブルーアイは、海自の隊員から貰ったある物を取り出す。

 

 

「ならばこれを見ていただきたいと思います」

 

 

ブルーアイは黒い四角い物と銀の円盤を円卓の上に置く。

 

 

「なんだね?これは…?」

 

「えっと、日本では四角いのがノートパソコン、円盤がディスクと言うのです。映像を映す事が出来ます」

 

「なっ、映像をこれでか!!」

 

 

この四角い物で映像が観れると言うことに一同が驚愕する。

 

 

「今回見ていただくのは今海戦の映像、そして日本人から借りた軍の演習の様子です」

 

 

ブルーアイはノートパソコンにディスクを入れ、再生した。

 

◇◆◇

3時間後──

《クワ・トイネ公国 公都クワ・トイネ 政治部会会場『蓮の庭園』》

 

 

 

「「「「「……………」」」」」

 

 

辺りには又もや沈黙が支配していた。

 

 

「…ブルーアイ君」

 

「はっ」

 

「その、疑ってすまんかったな」

 

「いいえ、私でも報告されたら信じないと思いますので」

 

 

映像を一言で表すなら、驚愕。

 

海戦の映像ではたった1艦の島のような大きさの船が数十隻の船を吹き飛ばし、

陸上自衛隊という陸軍の映像ではとてつもない破壊力の矢が正確に的を撃ち抜き、

 

海上自衛隊の映像は100m以上の船が400隻も存在し、

航空自衛隊ではワイバーンが虫に見えるくらいの速度の鉄竜が飛んでおり、

 

海兵隊は夥しい数の兵士達を一斉に上陸させることができた。

 

そして、最後の映像。『核』と言われる物。あれは古の魔法帝国のコア魔法と同じであった。

つまり日本国は最低でも古の魔法帝国と同じ戦力があるということ。

 

参加した人物達は日本国がこちらについてくれたことに安心すると同時に、日本国がこちらに牙を剥くのを恐れていた。(まあ、クワ・トイネは日本の生命線なので亡国したら日本が詰むので牙を剥くことは絶対にない)

 

 

「いずれにせよ、今回の海からの侵攻は防げた。まだ200隻残っているが、たった1隻にここまでやられては、警戒して海からの再侵攻には時間がかかるだろう。陸のほうはどうなっている?軍務卿?」

 

「はい、現在ロウリア王国は、ギムの周辺陣地の構築を行っております。海からの進撃が失敗に終わったため、ギムの守りを固めてから再度進出してくるものと思われます。我が情報部では、電撃作戦は無くなったと解しております」

 

 

軍務卿が続ける。

 

 

「また、日本国は大規模な陸軍部隊をマイハークより上陸させており、近頃に反抗作戦を実施する予定であるそうです」

 

「そうか」

 

「(日本国──確かあの国の国旗は白地に赤い丸の模様であった筈)」

 

「(赤い丸は太陽…まさか…)」

 

「──太陽神の使いではないのか?」

 

 

ボソッとカナタつぶやいた言葉は、誰にも聞かれずに庭園内に薄れていった。

 

◇◆◇

中央暦1639年8月10日──

《日本国 首都東京 首相官邸 総理執務室》

 

一部の人達(おホモだち)が大喜びするこの日。執務室では、防衛大臣がロデニウス沖大海戦の結果報告をしていた。

 

 

「──して、海上自衛隊はロウリア海軍4,200隻を撃破。この海戦で勝利しました」

 

「ほ~ん、完全勝利か。よかったよかった」

 

 

部屋の中には真面目に報告する防衛大臣とカキ氷を食いながら聞く総理大臣という不思議な光景が広がっていた。

 

事実、入ろうとした官房長官と統合幕僚長は、ドアを開けたらこの異質な空間を確認し、ドアをそっと閉めた。

 

 

「そういや陸自と空自と海兵隊のクワ・トイネへの派遣部隊の編成はどうなってんの?」

 

「先ず、陸上自衛隊からは陸上総隊より特殊作戦軍団(SOC)の第1・2特殊作戦群、第1空挺軍が先程エジェイ基地に到着したとの事です」

 

「また、北部方面隊より第7機甲師団、東北方面隊より第17旅団、東部方面隊より第12機械化師団、中部方面隊より第13自動化師団、西部方面隊より第5騎兵師団、南部方面隊より南部即応機動師団の第17即応機動連隊、中央方面軍より中央方面飛行隊第301戦闘ヘリコプター隊がエジェイに駐留しております」

 

「海兵隊は、第1,2海兵遠征軍の両師団、第2海兵遠征旅団と第21海兵遠征部隊が出撃準備完了との報告です」

 

「うむ…作戦は?」

 

「それは赤城統合参謀長が説明します」

 

 

一歩後ろに居た自衛隊統合軍統合参謀長『赤城繁義』高級空将が近寄る。

 

 

「作戦概要をご説明させていただきます」

 

「作戦名は『旭日作戦』です」

 

「作戦の第一段階は、クワ・トイネの城塞都市『エジェイ』付近に展開する部隊の対処です」

 

「うん?まだ展開してないんだろ?なんでロウリアの作戦を知ってんだ?」

 

中央国家情報局(CNIA)の諜報活動においてです」

 

「あいつら仕事はぇーな」

 

 

内閣直轄の情報機関中央国家情報局(CNIA)は、旧世界(地球)でもアメリカの中央情報局(CIA)やイギリスの秘密情報部(MI6)などに肩を並べる機関であった。この世界でもその諜報力を大いに活用し、ロウリアへ潜入していた。

 

 

「エジェイ付近に展開する部隊は、AC-130(ガンシップ)によって攻撃します」

 

「MARSによる攻撃も考えましたが、こっち(ガンシップ)の方が安上がりで済みます」

 

 

日本は転移後の現在、クワ・トイネとクイラの2か国とでしか貿易をしていない。クワ・トイネへの輸出は確かに儲かるが、出来るだけ出費は抑えたい。

 

 

「その後、ギムに駐屯しているロウリア陸軍本隊には、F-15Eによる爆撃を想定しています」

 

「友邦国を爆撃するのは不味くないか?」

 

「クワ・トイネに確認した所、日本が再建を手伝ってくれれば良いと」

 

「そうか」

 

 

中世程度の家であったら、政府開発援助(ODA)で陸自の施設団や国内の住宅メーカーと建築すれば良い。

 

 

「次に、反抗作戦に出ます」

 

「機動力に優れた第7機甲師団と第13自動化師団によってロウリア首都ジン・ハークまで電撃戦を加えます」

 

「途中の都市などは?」

 

「戦略爆撃隊によってロウリア軍基地だけ爆撃します。流石に民間人まで殺したらまずいです」

 

「ロウリアは人口資源が豊富なようなので、反乱が起きたら手に負えないです」

 

「これで作戦概要の説明を終わります」

 

「ありがとう」

 

 

そう言うと、防衛大臣が作戦許可証を机に置く。

 

 

「これにサインを」

 

「ああ」

 

 

側にあった万年筆で、証明書の1番下の欄にサインする。

 

 

「許可を頂きましたので、今作戦は中央暦1639年/2019年8月20日に開始します」

 

「了解した」

 

 

防衛大臣が退室した後、総理はフウとため息をついた。

 

◇◆◇

中央暦1639年8月16日──

《クワ・トイネ公国 日本国自衛隊ダイタル基地》

 

『旭日作戦』開始が決定されてから6日、航空自衛隊の無人偵察機『RQ-4』がクワ・トイネ公国の城塞都市『エジェイ』付近を偵察していた。

 

偵察目的は作戦時の地理情報入手の為であり、じっくりと偵察していた。その時、操作をするオペレーターがある事に気づく。

 

 

「人間?」

 

「隊長、人間を発見しました。エジェイより25kmほど東です」

 

 

隊長と他のオペレーター達が続々と集まってくる。

 

 

「避難民か?」

 

「エルフだな…クワ・トイネ側にここら辺に逃げ遅れた村などが無いか確認しろ」

 

「はっ」

 

 

その後、クワ・トイネ側に確認すると、此処から比較的近距離に避難し遅れた村がある事を知り、クワ・トイネ公国派遣軍司令官兼第7師団長から第5騎兵師団第51空中機動連隊第1中隊に緊急出動命令が、付近を飛行していた中央方面飛行隊第301戦闘ヘリコプター隊第1飛行隊に偵察命令が出された。

 

◇◆◇

同日──

《クワ・トイネ公国 ギムより東の地点》

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

「頑張れ!もう直ぐだぞ!」

 

 

耳が尖った形をしているエルフが草が生える平野を進む。

彼ら彼女らの村はある名も無き小さなエルフの村であり、外からの情報伝達が遅かった為に、避難が遅れていた。

 

ギムの方角より見えた黒煙から戦争が始まったと村の上層部が判断し、村人全員が避難を開始したが既にクワ・トイネ軍の姿は無く、ロウリアの勢力圏からの必死の逃亡が始まった。

 

新緑の色の腰の高さ程の草が生える草原、小鳥は囀り、野生の牛は美味しそうに草を食っている。

この光景は、素晴らしく戦時でなければ家族と出かけるのも良い場所であっただろう。

 

だが平原は遮蔽物が少なく、逃げ場は無いに等しい。また、視界が良い為に見つけられやすい。

ロウリアの騎馬隊にでも見つかったら、僅かな男しか居ないこの避難民達は無様に殺されるであろう。

 

総員200名の避難民の中に、一人の男児がいた。彼の名前は『パルン』。幼い頃に母を病気で亡くし、父子家庭であった。

 

だが、父はロウリア侵攻の兆しのために軍の予備役に収集されたために、彼と妹の『アーシャ』のみの避難であった。

 

彼は、重い足を動かしながら目的地の『エジェイ』へ向かう。後25km程の東に行けば着くはずだ。喉が乾き、水筒に手を伸ばすも既に妹に与えて無い事に気づき、手を引っ込ませる。

 

 

「お兄ちゃん、疲れたよう。休もうよ」

 

「頑張れ、あの壁が見えるだろう。あれがエジェイだよ」

 

「本当だ!もうすぐだ!!頑張る!」

 

 

無邪気にエジェイを見るアーシャを見ながら、出征する前に聞いた父の言葉を思い出す。

 

 

『パルン、良いか。アーシャを頼んだぞ。お兄ちゃんなんだからな』

 

『わかった。僕がアーシャを守る!』

 

『ああ、良い子だ。ありがとう』

 

 

父は笑って、エジェイに行った。もしかしたらエジェイに居るかもしれない。

パルンは、父に会えるかもと希望を膨らませた。

 

その時、後方の軍の招集から残った者から叫び声が聞こえる。

 

 

「ロウリアの騎馬隊だ!!」

 

「走れ──!逃げろぉ──!!」

 

 

後方を見ると、ロウリアの騎馬隊約100騎が接近してくるのが見えた。

 

◇◆◇

同時刻──

《ロウリア王国クワ・トイネ征伐軍東部諸侯団所属ホーク騎士団第15騎馬隊》

 

──ホーク騎士団第15騎馬隊

その名を聞いただけでロデニウス大陸の者であれば恐れ慄く部隊である。

 

ホーク騎士団は、ロウリア王国東部諸侯団所属の中でも精鋭とされ、一騎当千の荒くれ者揃いと言われている。

 

元々はロウリア王国拡大期に軍に採用された山賊や海賊たちで、戦果により爵位を賜り貴族となった者達であった。

 

その中でも第15騎馬隊隊長『ジョーヴ・シラストン』は残忍な性格をしており、敵はおろか味方すら気分によって戦死に見せかけて殺す危険人物である。

 

先天性の病気で目の虹彩が赤い為、『赤目のジョーヴ』として悪名を広めていた。

 

 

「おい、見ろ。エルフの疎開民達だ」

 

「偵察だの地形把握だの面倒くさかったが…良い獲物が居んじゃねーか」

 

「ギムは最高でしたぜ隊長。もっとご褒美をくだせぇ」

 

「二ヒヒヒヒ…仕方ねぇ奴らだなぁ」

 

「さてと…狩るか」

 

「あの亜人どもを、皆殺しにするぞ!突撃!!」

 

「俺に続け!皆殺しだ!!」

 

「ひゃっは──!!!」

 

 

日本人が聞けばある世紀末漫画を思い浮かべる奇声を発しながら第15騎馬隊が前進する。

騎馬隊の襲撃に、エルフ達は大混乱に陥った。

 

 

「荷は捨てろ!!街道を逸れて!」

 

「平原に散るんだ!!」

 

 

僅かに残った若い男達が避難を促す。パルンはアーシャと一緒に避難しようとしたが、アーシャが途中でつまづいてしまう。

 

 

「ごめんなさいお兄ちゃん。もう走れないよぉ」

 

「心配するなアーシャ。僕が守ってあげるからな」

 

 

パルンは近くにあった木の棒をロウリア騎馬隊の方へ向け、構える。

だが、所詮木だ。すぐ様にやられるであろう。

 

彼は、死を目前にしながら死ぬ前の母親によく聞かされた昔話を思い出していた。かつて魔王率いる軍がロデニウス大陸に侵攻した際、各種族は種族間連合と呼ばれる連合軍を組織し魔王軍に対抗するが、敗退を繰り返しエルフの聖地『神森』まで追い詰められた。

 

人類の未来を危うんだエルフの神は創造主である太陽神に祈りを捧げ、太陽神は願いを聞き入れて自らの使者をこの世界に降臨させたとされる。

 

 

「(神様、神様!太陽の神様!!本当にいるのなら、今助けてください!)」

 

「(自分は生贄になっても良い。どうか…妹を助けたいのです)」

 

「(神様、僕たちを殺そうとしているロウリア軍の魔の手から、僕たちを救い出して下さい!)」

 

 

その瞬間、パルンに接近していたロウリア騎馬隊の一角が吹き飛んだ。馬は肉片と化し、鞍上の人物は灰すら残らなかった。

 

 

「なんだ!?」

 

 

同時に、騎馬隊の後ろからバラバラという音と強い風が襲った。

パルンの願いは果たされた。ロウリア側に最悪の形であり、クワ・トイネ側で最高な形で。

 

◇◆◇

5分前──

《中央方面飛行隊第301戦闘ヘリコプター隊第1飛行隊》

 

中央方面飛行隊第301戦闘ヘリコプター隊第1飛行隊隊長兼1番機パイロットの『久保山渉』2等陸佐は、副操縦士兼機銃手(ガンナー)の『渡川俊樹』3等陸佐と共に愛機を操縦していた。

 

愛機は『AH-64E アパッチ・ガーディアン』。『AH-64D アパッチ・ロングボウ』と外見に大きな変化こそないが、新素材の活用で装甲防御力が15%向上し、耐久性と出力を向上したT700-GE-701Dエンジンの搭載や複合製メインローターの採用により機体性能も向上している。

 

また海上運用にも適合し着上陸阻止や離島防衛、揚陸作戦支援などにも使用可能になった。アビオニクスの面では、ワイドバンド通信機能の装備、電子機器のアップグレード、無人機制御能力、ロングボウ・レーダーの海洋目標モード追加と探知距離延伸、LINK16戦術でデータリンクやセンサー融合技術の導入などを行った最新型攻撃ヘリコプターだ。

 

第301戦闘ヘリコプター隊第1飛行隊のエンブレムは日本神話に登場する()()()()()()()()()()をモチーフとしている。

 

 

「ウッヒョー!待ってろよエルフちゃん!俺が駆けつけるぞ!」

 

「いや、敵に襲われているわけでもありませんし、第一我々は周囲の警戒だけで着陸して保護するのは51空機連*1ですよ」

 

「…FUCK!」

 

「えぇ…(困惑)」

 

 

後部席でエルフに会えるとはしゃいで勝手に自滅したのが久保山2佐である。ただの巨乳エルフ好きの変態である。どこぞの総理と友達になれそうだ。

 

 

『ボイヤー1よりジークフリート1-1へ、どうぞ』

 

「此方ジークフリート1-1。どうかしたか?」

 

『エルフの避難民の近くにロウリア軍の騎兵隊が確認できた。襲撃される可能性も高い。至急急行せよ』

 

「了解、ジークフリート1-1よりジークフリートSQ(スコードロン)へ。敵騎兵がエルフの疎開民を攻撃しようとしている。我々で対処するぞ!」

 

『『『『了解』』』』

 

 

計12機のAH-64Eは、一斉にエルフ避難民の方角に向けて急行した。数分ほどすると、TADS(目標捕捉・指示照準装置)によって襲撃されるエルフ達が見えた。

 

 

「ちっ!間に合わなかったか!ハイドラでやる。You have a contorol(操縦権を譲る)

 

「了解、I have a control《操縦権を譲られた》」

 

 

ハイドラや対戦車ロケット(TOW)機銃手(ガンナー)ではなくパイロットが撃つ。そのために久保山は渡川に操縦権を譲る。

 

 

「発射!」

 

 

 

胴体両測面のスタブウイングに設置された内側兵装パイロンに設置されたM261ロケット弾ポッドから、M151ハイドラ70ロケット弾が撃ち出される。

 

機関砲よりは遅く、それでいてワイバーンやヘリなんかよりはよっ ぽど早い速度でロケット弾は飛翔し、着弾するとM440着発信管が作動する。 1kgの高性能爆薬が爆発し、あたりに外殻の破片や仕込まれていた 金属片をまき散らし周囲にいた騎兵を殺傷する。

 

他の機も各自で攻撃し、地面は破壊の嵐に飲み込まれる。久保山の機もハイドラを全部撃ち切ってしまった。

 

 

「ハイドラ撃ち切り!30mmで攻撃しろ!」

 

「了解しました、You have a contorol(操縦権を譲ります)

 

I have(操縦任された)」 

 

 

機体前部下部に設置されたM230 30mmチェーンガンが、IHADSS(統合化ヘルメット・表示標準システム)に映されたAN/ASQ-170目標補足・指示照準装置(TADS)によって照準される。

 

 

30mm(チェーンガン)発射!」

 

 

ドドドドという音と共に30mm機関砲弾が放たれる。現代の主力戦車(MBT)も撃破可能な30mm砲弾は装甲化されていないロウリア騎兵をいとも簡単に屠る。

 

ホーク騎士団第15騎馬隊にとっての悪夢は始まったばかりであった。

 

◇◆◇

同時刻──

《クワ・トイネ公国 ギムより東の地点》

 

 

大地が轟く。轟音が周りを支配し、パルンは咄嗟に目を瞑り、アーシャを守る。目を開けると、悲惨な死体が目に入った。ロウリアの騎馬隊だ。

 

空を見ると、方舟に風車の羽根がぐるぐると回っているのが確認できた。空の方舟は自分達の方を一瞥すると、残っているロウリア騎兵隊に光の弾を浴びせる。

 

 

「逃げろ!!逃げろ!!」

 

「くそっ!なんだあれwグワっ!!」

 

 

あのロウリア騎兵隊が手を出せずに一方的に殺戮される光景。それを見て、避難民のエルフの一人がボソリと呟いた。

 

 

「──バケモノ……」

 

 

瞬間、空の方舟はパルンの前を通り過ぎる。その時、方舟の側面に書かれている紋章を見た。白い旗に赤い丸。その旗はまるで──

 

 

「!太陽!!太陽のシンボルが書いてある!!太陽神の使いが本当に来てくれたんだ!!」

 

 

◇◆◇

同時刻──

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

 

ホーク騎士団第15騎馬隊の一員である、『フローレス』は逃走していた。既に隊長のジョーブは戦死しており、混乱もあるために逃走は容易であった。

 

 

「クソ!クソ!クソ!」

 

 

彼は悪態を突きながら、騎馬隊を一瞬で崩壊させた奇妙な物体について考える。

 

 

「(鋼鉄の天馬!?何なんだだあれは!?)」

 

「(人には抗えない絶対的な暴力!!全てを叩きつける力!!)」

 

「(誇りも!名誉も!全てを否定する!!)」

 

「(これは女神の蔑みなのか!?人はなんて虚弱で!無価値で!無意味なのか!?)」

 

 

その時、ふと前方から風を感じ、前方を見る。前方の空にはあの鋼鉄の天馬が現れていた。

 

 

「ひっ!やめr」

 

 

瞬間、体が空中に浮遊し、そこで彼の意識はなくなった。ホーク騎士団第15騎馬隊は、陸上自衛隊中央方面飛行隊第301戦闘ヘリコプター隊第1飛行隊のAH-64Eによって全滅させられたのであった。

 

◇◆◇

5分後──

《陸上自衛隊クワ・トイネ派遣軍第5騎兵師団第51空中機動連隊第1中隊》

 

第5騎兵師団第51空中機動連隊第1中隊は、2機の『CH-47JF』、5機の『UH-2』と『UH-60JM』、そして護衛の『MH-6H』で構成される空中機動部隊である。

 

その隊長、『中村淳』3等陸佐は 89式小銃を持ちながら、CH-47JF内で副中隊長と話していた。

 

 

「第301戦闘ヘリコプター隊第1飛行隊から連絡、ロウリア騎兵は全員撃破との報告です」

 

「了解した。行くぞ」

 

 

CH-47JFが着陸し、後部のランプドアが開かれる。サングラスなどをつけた隊員達が降り、辺りを警戒する。

 

 

「第1・第2小隊は避難民の誘導、第3・4小隊はロウリア騎兵の死亡確認と負傷者の救助に回れ」

 

「「「「了解」」」」

 

 

一斉に隊員達が動き出し、避難民達はそれに怯えている。

 

 

「(まあ…無理もないか)」

 

 

異形の者達が敵対していた部隊を一瞬で壊滅させ、何かわからない物体で降りてきたのだから怯えるのは当然だ。中村は落ち着けさせるように拡声器を使って話しかける。

 

 

「お怪我がある方はいらっしゃいませんか!?」

 

 

だが、エルフ達は更に恐慌する。エルフにとっては人間とは思えないほどの声で話しかけられるのだから当然だ。その時、1人の少年が中村の前に出てきた。

 

 

「助けてくれてありがとうございます。おじさん達は太陽神の使いですか?」

 

「(太陽神の使い?我々の国章が白字に赤丸だから何か勘違いしているのか?)」

 

 

CH-47JFには取り付けられていないが、野戦用迷彩服の迷彩服二型には胸元と腕の2箇所に日本国旗が縫い付けられている。

 

 

「(まあ、子供の言うことだし乗っかった方が良いかな)」

 

「ああ、そうだよ。君たちを助けるために遣わされたんだ」

 

「「「「「!!!!!」」」」」

 

 

場がどよめく。エルフ達はある伝承を思い浮かべていた。

 

 

「太陽神の御使いだと!?」

 

「言われてみれば、空を飛ぶ舟、大地を焼く魔法」

 

「太陽の印…どれも伝承通りだ!」

 

「太陽神と緑の神の言い伝えは真であった」

 

 

突如平伏す避難民に自衛隊は面を喰らう。

 

 

「おいおいおい、不味いな。誤解させてしまったか?」

 

「まあ、誤解は帰還してから解くとして、先ずはCH-47(チヌーク)に乗せましょう」

 

「そうだな」

 

「さあ皆さん。彼方の乗り物に搭乗頂きたい」

 

「とんでもない!太陽神の御使い様の空を飛ぶ舟に乗るなど!」

 

「さあさあ」

 

「いえいえいえ」

 

「どうぞどうぞ」

 

「いやいやいや」

 

 

避難民との押し問答に、自衛隊員たちは時間を要する事となった。

 

*1
第51空中機動連隊の略




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