今章の間話は『日本国海兵隊特殊部隊、ルミエス王女救出作戦』
『ムー、日本製兵器を購入し、ウハウハ』
『異世界の鬼退治』
の3本を予定してます。(まあ、パ帝戦は長いので随分先になりそうです)
パーパルディア皇国 皇都エストシラント 第1外務局ーーー
日本国に注目してから数日後、第1外務局長エルトの指示により、日本の情報がかなり集まってきた。
まず、グラ・バルカス帝国とは関係が無く、国旗は白地に赤の丸であること。これにより皇国監査軍を退けたのはほぼ日本であることに間違いは無いと思われる。
監査軍のワイバーンロード部隊が全て未帰還となっているが、どうやったのかは不明である。
ロウリア王国と、日本の対戦について、『ヴァルハル』なる人物が荒唐無稽な報告書を挙げてきているが、彼を医師に診断させたところ、精神病を患っていたとのことであり、この報告書は信用に値しない。
日本については、第3国経由でおもしろい情報を入手した。日本国は、軍備に現時点で国内総生産の3%程度しかかけていないらしい。
これでは、多少装備の質がよかろうが、いかなる大国だとうと、数がそろわないため、軍としてはたかがしれている。
○舐めてはいけないが、恐れるほどの国ではない。
○日本が軍備を拡張する前の現時点で叩いておくのが良策である。
第1外務局は『日本国』についてこのように結論付けた。
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パーパルディア皇国 皇都エストシラント 皇城ーーー
国の重臣たちが平伏し、緊張が場を占める。
パーパルディア皇国の皇帝『ルディアス』が出席する最高会議が始まろうとしていた。
「それでは、これより帝前会議を始めます」
議長があいさつし、その後皇帝が話し始める。
「アルタラス王国は完全に掌握したな?」
皇帝ルディアスに突然問いかけられた軍の最高司令官アルデが返答する。
「はい、アルタラス王国内は完全制圧できました。現在本軍は撤収の準備にかかっています」
アルタラス王国は、皇国から国内最大の魔石産出量を誇るシルウトラス鉱山の献上と王女の奴隷化という理不尽な要求を突き付けられ、開戦を決意。
王も国民も勝てるとは思っていなかった様だが、予想を上回る戦力差のため、戦闘開始から僅か3日で占領されることになった。王族も脱出した『ルミエス』王女を除き、皆殺しにされた。
「次の軍の使用法だが…第2外務局長『リウス』、どう考えるか?」
「はっ!!北方の蛮族を滅し、新たな資源獲得を……」
「却下だ」
話を遮り、皇帝はリウスの案を一蹴する。
「は……はいっ!!!」
皇帝の気を悪くさせたら、皇国での死を意味する。
リウスは冷や汗を掻きながら、皇帝の言葉を待つ。
ゆっくりと、皇帝は話始める。
「余は……怒っているのだ」
リウスはその言葉に顔を青くする。誰も何も言えない空気が流れる。
「監査軍を1度退け、調子に乗っている蛮国が東にいるな………」
「「「…………」」」
「日本国……とかいったな?」
「ふん……まずは日本と友好関係にあるフェン王国を滅せよ。昔から生意気な国だしな。日本と友好的な国はどうなるのかを世界に知らしめるのだ」
皇帝の話は続く
「地理的にも、フェン王国の方が我が国に近く、日本を先に攻めるのは得策ではないしな…異論のある者は?」
誰も何も言わない。
皇帝ルディアスは軍の最高指揮官『アルデ』に顔を向ける。
「出来るか?アルデ」
「はい、もちろんであります」
「監査軍を退けた日本も出てくるかもしれんぞ?」
「当然撃破いたします」
「栄えある皇国に、旧式装備の弱軍とはいえ、文明圏外国家に敗北するとは…第3外務局と監査軍は皇国の恥であります」
「くっっ!!!!」
第3外務局長カイオスの顔が苦痛に歪む。アルデは話を続ける。
「陛下、フェン王国の東に隣接するガハラ神国についてはいかがされますか?」
「ガハラの民には構うな。あの国はまだ謎が多すぎるし、風龍相手だと『ワイバーンオーバーロード』も武が悪い。1戦で2国を相手にするのは、あっさりと勝てるだろうが、原則として避けたい」
「私の代で例外は作りたくないな…それに…ガハラ神国には皇国初代皇帝が世話になったからな……」
「戦略や細かい所はお任せしていただいてよろしいでしょうか?」
「うむ、お前の好きにしてよい。そうだな…フェン王国については、戦後の国土や民の扱いまでも好きにして良い。あそこには何も無いしな」
「「「な!!!!!」」」
一同に衝撃が走る。
1国の領土と民をたかが1機関が好きにして良いとの皇帝陛下からの暖かいお言葉、アルデは考える。軍人にある程度振り分けたとしたら、軍の士気はとてつもなく上がる事だろう。
たった一国の蛮族を滅ぼしただけで、我が一族の栄光は長年続くであろう。
「あ…あ…あ…ありがたき幸せ!!!」
フェン王国500万人の民と広大な土地が手に入る。軍人、部下にある程度振り分けたとしても地方の貴族を一気に抜き去り、1国を得るのと同じであるこの措置、アルデは皇帝への忠誠をいっそう強くしたのであった。
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パーパルディア皇国 皇都エストシラント 第3外務局ーーー
窓口勤務員『ライタ』はいつものように仕事をしていた。数多くの蛮国の相手をするのは本当に疲れる。
彼女は今、ゲッソリと痩せてしまっていた。数多くの蛮国の一つと思っていた『日本国』、課長がなかなか旅行から帰ってこないのが悪いのだが、ライタが日本の使者を窓口であしらい、組織に乗せていなかった。
課長に引き合わす前に第3外務局直轄の皇国監査軍と日本の軍がぶつかってしまったようだ。いつものように勝てば全く問題にならなかったのだが、あろうことか敗北してしまった。
この件で、皇帝は激怒したという。
「ああ……もう!!なんで私だけこんな貧乏くじを引かなければならないのよ!!」
その後は報告書の嵐であった。彼女は、今までは出世願望があったが、今回の1件で消し飛んでしまった。
彼女が落ち込んでいるとその時、
「こんにちは、日本国の外務省の者です。何度も申し訳ありませんが、課長様のご予定はその後どうなりましたでしょうか?」
ライタが顔を上げると、そこには自分の出世の道を断った日本という国の使者が立っていた。
「(ああ、最悪!……何で私の窓口に来るのよ!?こいつらは!!隣の窓口も空いているでしょう!?こんな時に私の窓口に来て!私を報告書の嵐で殺す気なの?過労死させる気!?)」
彼女は叫びたくなったが、ぐっと声を飲み込む。相手が相手だけに、今回はすぐに上司に報告することにした。
「しばらくお待ち下さい…確認してまいります」
第3外務局の皇帝陛下からの信頼を地に落とした相手だけに、上司はその上司へ、課長は部長へ、そしてその上へ迅速な報告が行われた。
一時してーー
「お待たせしました。第3外務局長カイオスが対応いたします。どうぞこちらへ」
外務省職員は顔を見合わせる。いきなり局長との会談、完全に想定外だ。
他の国々の使者で、今の声が聞こえた者たちは驚愕の表情で日本の使者を見つめる。普通は絶対にありえない措置だった。
日本の外務省職員は、窓口のある建物とは別館に案内される。外務省職員は待合室で雑談する。
「なんだか、ルネサンス期の建造物みたいですね」
「ええ、イタリアに旅行に行った時の城の待合室に似ています」
雑談をしていると、ドアがノックされ、先の窓口勤務員のライタが入ってくる。
「局長カイオスの準備が整いました、どうぞこちらへ」
ライタについて廊下を歩く。何度か曲がり、やがて重厚な扉の前に着く。
戸を優しくノックする。
「どうぞ」
「失礼します」
中から声が聞こえると、ライタが先に入る。
「どうぞ、こちらへ」
日本の使者がライタに続いて入室する。中に入ると、数人の男がテーブルに座っていた。
ライタが日本国外務省職員に話しかける。
「ここで自己紹介をして下さい」
「そうですか…」
日本国の外務省職員は、ライタに言われるがまま、自己紹介を始めた。
「日本国、外務省職員の朝田です。こちらは私を補佐する篠原です」
「どうぞかけて下さい」
最奥の男が声をかけ、朝田、篠原は席につく。
「(なんだか、会談というよりも面接みたいだな…)」
「(列強だから上から目線なのか…少し厄介な事になりそうだな)」
パーパルディア皇国の面子も自己紹介を始める。どうやら、外交担当でも相当権力を持った者たちのようだ。
朝田の手に力が入る。パーパルディア皇国の出席者は
○第3外務局長
○東部担当部長
○東部島国担当課長
○北東部島国担当係長
○群島担当主任
第3外務局長カイオスが口を開く。
「貴方たちが日本国の使者か…最近貴国は色々と有名ですな。して……今回は何用で皇国に来られたのだ?」
「はい、私たちは、不幸な行き違いから衝突してしまいました。よって、その関係修復と国交樹立の可能性の模索に参りました」
いきなり、東部島国担当課長が立ち上がる
「なんだとっ!!! 不幸な行き違いだぁ!!監査軍に攻撃を仕掛けておいて、何事も無かったかのようなその言動!タダで済むと思っているのか!!」
課長はいつも文明圏外国家の使者に対して行うのと同じ口調で日本人に活を飛ばす。『(地球での外交で序列は一番上だったから珍しいな…)』と思いながらも朝田は怯まない。
「いいえ、先に攻撃してきたのはあなた方です。我々は、降りかかる火の粉を払ったに過ぎません」
「栄えある皇国監査軍を火の粉だとぉっ!!!!!」
課長の目は血走っている。局長カイオスが、課長を手で制し、座らせる。
「なるほど…関係修復ですか…」
局長カイオスは考え込む
「うむ…私はもとより、このパーパルディア皇国の者は、誰も貴方たち日本の事は良く知らない」
「まずは貴方たちの国がどういった国なのか、教えていただきたい。我々と国交を結ぶに値する国なのか、私は知りたいですな」
外交官達はバックから資料を取り出す。
「ペーパーしかありませんが、写真付きです。我が国を紹介するための資料です」
篠原はパーパルディア皇国の各人に資料を配布する。
パーパルディア皇国の面々は、その資料を見る。フィルアデス大陸共通語で書かれており、文はしっかりと読める。
「な……に……?」
東部担当部長が顔を上げる。
国土面積は大した事無く、中規模国家程度である。しかし、人口が3億2千万人と、皇国の7千万人よりも多い。
文明圏外国家でも、ロウリア王国のように、人口だけは多い国もあるので、この人口に対して特別に驚いた訳では無いが、こんなにも人口の多い国がこれほどまでに近くにあったのに、今までの歴史上1度も気がつかなかったのがおかしい。
さらに資料を読み進める。
「国ごと転移だと!?」
ロウリア王国とクワ・トイネ公国との戦争の少し前、中央歴1639年に国ごとこの世界に転移してきたと記載してある。
突然の転移であれば、皇国がこれまでの歴史上1度も認知していなかった事実につじつまが合う。
だが、ムーの神話や、古の魔帝の未来への国家転移の神話以外に、国ごとの転移など聞いたことが無い。
第3外務局からすると、彼らがたわごとを言っているようにしか聞こえない。
「馬鹿馬鹿しい!!そんな、国ごと転移などあるわけがない!!おまえたちは皇国をからかっているのか?」
東部担当課長が声を荒げる。
「転移については、我が国でも、原因がまだ解っておりません。全力で調査中ではありますが…」
日本側の説明が一通り終わる。
「最後に……特使を一度日本に派遣していただきたいと思います。パーパルディア皇国大使の目で現実の日本を感じていただきたいのです」
東部担当部長が話し始める
「はっはっは!!!第3文明圏最強の国であり、世界5列強に名を連ねるパーパルディア皇国が、文明圏外の蛮族に使者を送るだと!?少し質の高い軍を持っているようだが、お前たちが戦ったのは旧式兵器を持った軍だ!!本軍の装備と規模であれば、こうはいかんぞ!?」
局長カイオスは、東部担当部長を睨みつける。
「おい、言い過ぎだ。日本との関係は、皇帝の御意思も入っている事を忘れるな」
「は……はっ!!」
東部担当課長は着席する。
「ところで、日本の方々よ、我が国には文明圏内に5カ国、文明圏外に67国、大小の差はあるが、計72カ国おっと、最近アルタラス王国が加えられたので、計73カ国の属国があるが、日本は何カ国属国をお持ちか?」
「属国…勢力圏であれば前の世界では友好国と世界を二分する勢力圏を持ってましたが…この世界では属国はなく、勢力圏もロデニウス大陸のみです」
「ほほほほほ…」
「はっはっはっは…」
「ぬるっふふふふ…」
パーパルディア皇国の面子が笑い始める。
「こらこら、日本の方々に失礼だぞ。属国を1カ国も持っていないからといって、そんなに笑うものではない。ここは外交交渉の場ぞ」
カイオスが皆をたしなめる。
「失礼…ところで、皇国から日本への人員派遣については、2ヶ月ほど待っていただけますか?こちらも色々と内部事情がありますので…2ヶ月後にまた第3外務局へ来ていただけますか?宿はこちらで手配しましょう」
「はい、解りました」
「ふ…では、2ヵ月後が楽しみですな」
カイオスは不気味に笑う。日本のパーパルディア皇国との最初の会談は終了した。
ーー会談後
「カイオス様、何故あのような穏便な事を?皇帝陛下の命では、『日本にきっちりと教育を行え』だったはず。つまり、日本なぞに遠慮すること無く、かの国の外交官に皇帝の意思を伝えた方が良かったかと思いますが…」
「ふふふ…まあ良いではないか。日本への外交担当のトップは私だ。わずかな可能性だが、私にも少し考えがあってな」
「お考えとは?」
「まあ良い、余計な詮索をするでない」
「ははっ!!申し訳ありませんでした」
「日本か……我が期待にこたえるだけの国力がある国だと良いのだがな。まあ、ただの蛮族ならば、このまま滅されるのみだ」
カイオスは不気味な笑いを浮かべるのだった。
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2週間後
フェン王国西側約200km先洋上ーーー
見る者に圧倒的な恐怖をもたらす艦隊が東へ向かっていた。
第3文明圏最強軍の『パーパルディア皇国軍』である。
100門級戦列艦を含む砲艦211隻、竜母12隻、揚陸艦101隻、合計324隻。向かう先はフェン王国。
皇国からの領土献上案を蹴り、監査軍を日本国支援の元、退けた。
皇軍は、フェン王国に対し、懲罰的攻撃を行うのでは無く、滅するために東へ向かう。
今回は監査軍が事前に敗北しているため、将軍シウスの肩に力が入る。
「警戒を厳とせよ」
「了解!」
皇軍は、アルタラス王国に続き、フェン王国を滅するために東へ向かった。
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同時刻ーーー
日本国 首都 東京 内閣総理大臣官邸
慌しく動き回る職員、閣僚が真剣な面持ちで報告を受ける。
防衛省からの情報により、パーパルディア皇国軍が大艦隊で東へ向かったと判明した。
他国を通じて得た情報等総合的に判断すると、艦隊はフェン王国へ向かったと思われる。
「どうする?」
総理が大臣達に尋ねる。
「フェンには国交がありますが…日本人は外交官が大使館にいるのみです」
「幸いにも巡視艇がアマノキに入港しているので、それで避難させれば良いかと…」
「フェンに武器を給与中ですが、旧式なので列強レベルであると実用化されてるものぐらいです」
「そうか…なら自衛隊が動くことは無いな」
総理が一安心したとき、扉が勢いよく開かれ、男が外務大臣に耳打ちする。
男の言葉を外務大臣が聞くと、彼は顔を青くした。
「総理、緊急事態です。日本人の団体ツアーの旅行客がフェンにいるようです」
「「「「「「!!!!!!!」」」」」」」
「に、人数は!」
「お、およそ80人ほど…」
総理は立ちくらみを起こす。
「なぜだ!フェンへは外務省から渡航禁止令が出てただろ!」
「それが…新ロウリア共和国から渡航したと…」
団体は戦国時代や江戸時代の町並みが揃っていると耳にし、裏ウェブサイトで旅行客を集め、ロウリア共和国から極秘にフェンへ入国していた。
「直ちに旅行代理店に確認を取れ!」
「はっ!」
「防衛大臣、フェンに一番近い自衛隊の部隊は」
「北京基地の空自輸送部隊が一番手っ取り早く行けますが、フェンには大規模空港がないので無理です」
「香港港に停泊中の第8艦隊第82揚陸隊の揚陸艦に海兵隊の第13海兵隊遠征隊が即応展開部隊で一番早く行けます…」
「ですが…最低でも6時間以上はかかります」
「できる限りのことはなんでもやってくれ、金がかかっても構わん」
「『最悪の場合』…パーパルディア皇国に宣戦布告する…」
「…最善を尽くします」
防衛大臣は部屋を出て、走りながら考える。
「(確実に間に合わない…一人でも良いから救う。『最悪の場合』は候補の一つだ…)」
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パーパルディア皇国 皇都エストシラント 第1外務局
第3外務局長のカイオスは第1外務局に呼び出されていた。
本来ならば、外務局間で人事交流はあるとはいえ、公的機関同士の外務局間で、しかも局長クラスを呼び出すなどありえない事だった。
しかし今回は『皇帝の命令書』を携えて第1外務局の担当がカイオスの元にやってきたため、局長クラスが第1外務局に出頭していた。
第3外務局長カイオスは、第1外務局長室の前に立つ。装飾品で飾られた重厚な扉、何度見ても嫌になる。
第1外務局員が扉を開き、中へ案内される。
部屋の中には、第1外務局長『エルト』、次長『ハンス』、下位列強担当部長『シラン』、そして見たことの無い20代後半の美しい女性が1人座っていた。
カイオスは面々に1礼する。
「皇帝陛下命での、第1外務局からの呼び出しとは…どういった御用件ですかな?」
「解らぬのか?身に覚えが無い訳ではなかろう」
座っていた美しい女性がトゲのある言葉を発す。
「失礼ですが…どちら様ですかな?」
カイオスが問う。
「外務局監査室のレミールだ」
外務局監査室、各外務局の不正や国への対応がまずい状況になった場合を考慮し設置された組織であり、同監査室によって監査を行い、場合によっては担当者を処分もしくは同外交案件について、同部署が担当する場合もある。
なお、エリート集団である外務局を監査するため、監査室の構成員はすべて皇族である。
つまり、眼前のレミールと名乗る女性は皇族という事になる。カイオスはレミールに頭を下げる。
「して、いったい何の事でしょうか」
カイオスはゆっくりと問う。
「日本の件だ。確かに、文明圏外国の担当は第3外務局で間違いは無く、局長はカイオス、お前だ。しかし、皇帝陛下は『日本にきっちりと教育を行え』と御発言された」
「日本との初会議録を見たぞ。なんだ?あの国賓のような対応は?」
「蛮族のたかが1担当者にあろうことか局長その他重役が首をそろえ、対応し、しかもその内容が弱腰外交、いや、平伏外交というほかない」
「列強たる皇国の担当が、こんな…陛下のご意思も読み取れぬとは…なさけないな。カイオスよ」
カイオスは額に汗を浮かべる。レミールは続ける。
「カイオスよ、今後日本との外交は、第3外務局ではなく、第1外務局が行う事とする。外務局監査室から私が第1外務局へ出向するという形をとり、今後日本国への外交担当は私が行う事とする」
「カイオスよ…皇帝陛下のご意思が読み取れぬ愚か者は皇国にはいらぬ。今回処分されなかっただけでも、ありがたく思え」
「今後、せいぜい気をつけるんだな」
「(小娘が…偉そうに!!!!)」
カイオスの拳に力が入る。
「は…承知いたしました」
第1外務局の重役の前での屈辱的なこの仕打ち、まるで晒し者だ。第1外務局長エルト以外は僅かに笑みを浮かべている。
こうして、パーパルディア皇国の日本に対する外交担当は、第3外務局から第1外務局へ権限委譲され、実質的に皇族であるレミールが担当となった。
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フェン王国 西部 ニシノミヤコーーー
フェン王国西部に位置するニシノミヤコ、パーパルディア皇国と戦争になった場合、そこは最前線となるであろう場所のため、武人が約2千人常時配備されている。
ニシノミヤコの約3km西側には人の住めない小島がある。この小島はパーパルディア皇国が侵攻してきた場合の監視塔としての役割を与えられた武人が2名常駐していた。
良く晴れたその日、波は穏やかだった。
機械音がないため、音といえば波と風、そして虫と鳥の鳴き声くらいのものだ。
見張り員の目に粒のような小さな黒い点が多数見える。小さなけし粒は徐々にその姿を大きくし、それは自分たちに絶望を与えるものだと理解する。
「つ…つ…ついに来たぞ!!!!!!パーパルディア皇国軍だ!!!狼煙をあげろ!!!!」
日本であるとデフコン1に相当する最上級の警戒色、赤い狼煙が島からあがる。
「あ…あれは!!!っ…太鼓を鳴らせ!!!」
赤い狼煙を見たニシノミヤコの監視員は即座に通信用の太鼓を鳴らす。」
その笛を聴いた武人たちは、さらに伝播のために太鼓を鳴らす。
ニシノミヤコの町全体に太鼓の音は鳴り響き、フェン王国の人々は何が起こったのかを理解する。
ニシノミヤコの港から内陸方向に約5km地点にある西城では、すぐに戦の準備が始まる。ニシノミヤコの港付近にある兵の詰め所でも武人たちが戦いの準備を進めていた。
ついに、覚悟はしていたが、列強パーパルディア皇国軍がやってきた。彼らがとてつもなく強いのは理解している。
しかし…タダでは負けない!こちらには日本の武器とある戦法があるのだ!
フェン王国軍は覚悟を決めるのだった。
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パーパルディア皇国軍ーーー
将軍『シウス』は部下からの報告を受ける。すでに竜母のワイバーンロードがニシノミヤコ上空に達しており、偵察を開始している。
ニシノミヤコでは大軍はおらず、目立ったものといえば、少し内陸に入った所にある西城と、港近くの兵の詰所である。
皇軍は出港から現在まで敵に遭遇しておらず、監査軍がフェン王国水軍を滅したとの報告からも、もうフェン王国には水軍は残っていないのだろう。
「まずは海岸堡を確保したいな…」
大軍を陸に上げるため、橋頭堡を確保したいが、いきなり港に船をつけさせてくれるほど甘くは無いだろう。
ニシノミヤコには一箇所だけ広大な海岸があるため、そこに上陸することを決める。
上空からの偵察情報によれば、海岸には貧相な木製の防壁が設置されているようだ。
「まずは、港近くの敵兵の詰所に艦砲射撃を行い、これを破壊する。続いて海岸に設置された木製の防壁を砲で破壊する」
「破壊後に、第一次上陸部隊として1000人の歩兵を上陸させ、海岸堡を確保し、その後地竜や主力軍の陸戦兵器の揚陸を行う」
「はっ!!」
シウスの命令は下された。
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数刻後ーーー
数時間前には平和であった国に厄災が訪れる。
100門級戦列艦を含む皇軍の一斉射撃により、パーパルディア皇国とフェン王国の戦いは始まった。
静かだった町は燃え始め地獄のような世界が展開する。
港にあった兵の詰所は6発もの砲弾の着弾により、あっさりと崩れ落ちる。
町の所々から火の手と煙が上がる。
「助けてーー!!!」
「だれがーー!!!」
「血が…血が…」
逃げ惑い、パニックになる人々。その上から容赦なく砲弾の雨が降り注ぐ。
パーパルディア皇国軍の艦砲射撃は『強烈・熾烈』の一言であり、港の兵の詰所と海岸の木製の防壁は粉砕された。
海から海岸を見る限り、海岸にある構造物は粉砕された木のみである。
パーパルディア皇国陸軍歩兵第1軍第3小隊第4分隊長である『アルマ』は、上陸用の小船の上から海岸を眺めていた。
表情には余裕が見られる。上陸用の小船は総数100艇、人員にして約1000人が海岸に海岸堡を確保するために徐々に近づく。
フェン王国という文明圏外に属する蛮族を滅するために、我々はその先頭に立つ。アルタラス王国を滅した時には、地竜の脇を抜けてきた敵騎兵をマスケット銃で撃って倒した。
何事にも変えがたい高揚感だった。今回も、指を動かすだけで、敵を一撃で倒せる威力のある、皇帝陛下から皇国臣民へ頂いた銃がある。
今回も楽に勝てるだろう。
現に、海岸にはすでに木の残骸が散らばるのみであり、弓ではその先の森からは届くまい。大型投石機があった兵の詰所はすでに魔道砲により粉砕された。
「楽な仕事だなぁ」
皇国全体が『必ず勝つ、しかも被害はほとんど無しで勝つ』と思っている。小船は海岸に接岸し、上陸を開始する。
約1000人の全てが海岸に到着した。反撃は全く無い。
少し散開し、辺りを見回す。
「やけに静かだな…」
「…俺たちに恐れを成したかな!!???」
そういった途端、夥しい数の銃弾が森から撃たれる。
不意をつかれた何十人が砂浜に斃れる。
「な!なんだ!」
「なんて連射力だ!」
「ええい!撃ち返せ!」
「弾幕が凄くて顔を出せません!」
パーパルディア国軍はその弾幕に圧倒される。
その時、一時的に弾幕が止む。
「!!はっ!弾切れか!蛮族らしいな!陣形を組め!」
生き残ったパーパルディア兵は急いで陣形を組む。
「よし!突撃?」
「なんだ?この音は?」
上空から風切り音が聞こえる。
次の瞬間、
「な!な!なんだあっ!」
「砲撃だ!伏せろぉ!!」
砲撃(擲弾筒の攻撃)によって兵達が爆発四散する。
一時的に凌ぎ、また陣形を組もうと森の方に目をやると、煙が充満していた。
「?煙幕ぅ?」
「好都合だ!行くぞ!」
アルマは前進を開始する。
「(よくもやってくれたな…蛮族め!)」
そう思って煙の中に前進すると、横から絶命音が聞こえる。
「グアッ!」
「け、けむりのガッ!」
「どうした!返事をしろ!」
周りから声が聞こえなくなり、不安になったアルマは走る。
「(なんだ!この煙は!何が!)」
煙を抜けるとそこには、剣を持ったフェン王国兵がいた。
「!!!フェン王国兵!!!」
アルマは銃を向けようとするが、至近距離のため、銃を向けるのに時間がかかる。
距離が近すぎる!!!
「チェストォォォォォォォォォォ!!!!」
かん高い気迫の篭った声をあげながら、フェン王国兵はアルマに向かってくる。
「ちくしょう!!!」
銃を放り投げ、腰にある剣を抜く。
「ウオォォォォォォッ!!!」
フェン王国兵は上段から剣を振り下ろす。
カキン!と音が鳴り、火花が散りアルマの剣とフェン王国兵の刀がぶつかる。
「なっ!!!」
剣を防ぐ事に必死だったアルマの注意は上に向く。
すぐに左斜め下から上に向かい、刀が向かってくる。剣速が速い!!!!!!
「な…か…か…ぐ…そっ!!」
フェン王国兵の刀は体に埋まり、アルマは血飛沫をあげながら崩れ落ちる。
煙幕の外にいるフェン王国兵は200名にも及び、敵味方が入り乱れ、銃の使えない至近距離での戦いが始まった。
フェン王国軍の小隊長は日本の本を読みあさっており、パーパルディア皇国軍の艦砲射撃を有効に回避し銃に剣が勝つにはには、塹壕を掘り、煙幕で撹乱し、銃が苦手な近距離に持ち込んだ。
パーパルディア皇国軍は過去にこのような戦法をとられたことは無く、混乱する。
結果的にフェン王国兵は全滅するし、海岸堡の確保には成功するが。パーパルディア皇国の歩兵は890名も戦死することになる。
陸上兵器を揚陸するには第二次上陸隊から何人か上陸させなければならなくなり、時間が遅れることになる。
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パーパルディア皇国軍上陸後ーーー
日本人観光客はフェン王国西側の町、『ワオリ』に来ていた。
政府から海兵隊がそこに来ると連絡を受けたためである。
「来た!」
上空を見ると海兵隊のCH-47FJが飛んできた。団体の前に着陸し、後部ランプドアが開く。
ドアの近くには90式車載7.62mm機関銃が設置してあった。
「皆さん!早く!乗ってください!」
「ありがとうございます!ありがとうございます!」
観光客は涙ながらに機内へ行く。
「これで全員ですか?」
「ええ、あっ!野村さん達と田中さん家がいないわ!」
「なんですと!」
「誰かどこ行ったか知ってる人はいない!?」
「俺知ってるぞ!野村さん達は宿に荷物忘れたって戻って、田中さんちは真希ちゃんが迷子になったって探してたぞ!」
「不味い…探しに…」
そうでようとすると奥の家の奥から人影が現れる。
「!人だ!撃てっ!」
パーパルディア兵である。彼らはパーパルディア皇国軍主力武器のマスケット銃を撃つ。
「キャァ!!」
「撃てっ!」
観光客が悲鳴を上げる中、海兵隊員は90式機関銃を操作し、パーパルディア兵に向けて撃つ。
現代兵器に勝てるはずもなく、パーパルディア兵の何人かは斃れる。
だが、人数が多く、このままでは万が一ローターに弾が当たると離陸できなくなる。
せっかく救出した観光客を無化にできないと思った指揮官は撤退を命じる。
「『のと』まで行け!早く離陸しろ!」
「残った人はどうするんですか!」
「今は生き残った者の命だけを考えろ!」
「ッ!!(すまん…)」
CH-47FJは洋上の揚陸艦『のと』に着艦した。
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パーパルディア皇国 皇都エストシラント 第1外務局ーーー
実質的に日本国担当かつ全権大使となり、外務局監察室から第1外務局所属となった皇族のレミールは、この日、日本国の外務省の担当者に対し、『すぐに来るように』との内容で命令書を出した。
命令書は第3外務局を通さずに、直接日本国外務担当者のいるホテルへ届けられる。
「…フェンのことか…」
「名目上は説明文のとおり、皇国の外交担当組織が変わったからでしょう…しかし、実際はフェンのことだと私は思います」
外務省の朝田と篠原は不安を抱きつつ、ホテルを出る。皇軍の準備していた馬車に乗ると、馬車は静かに出発した。
何分か後、馬車は皇帝の住まう皇宮の門へ到着した。
第3外務局の時は、皇宮の外の建物に入っていったが、今回は皇宮の内部に担当部署があるようだ。門を抜け、皇宮の敷地内に入る。
白を基として、美しい建造物が並び、庭は完璧に整備されている。
やがて、一角にある建物の前に馬車は到着した。皇国の使者の招きにより、馬車を降車し、建物に入る。
優雅な庭、廊下を通過し、一行は重厚な黒色で出来た扉の前に至る。皇国の使者が扉の中を確認してくる。
「どうぞ、お入り下さい」
使者の招きにより室内に入る。その先には、豪勢な椅子に腰掛けた20代後半くらいの美しい銀髪の女性が座っていた。
細い体系をしており、頭には金の環をかぶっている。朝田らは、彼女の鋭い眼光によって睨みつけられたが、元世界一の国力を持った国の外交官だ。動じない。
日本国外務省の一行は皇国の使者から促され、椅子に着席する。女性が話し始める。
「パーパルディア皇国、第1外務局のレミールだ。貴様ら日本にたいしての外交担当だと思って良い」
「日本国外務省の朝田です。こちらは篠原といいます。急な用件との事ですが、どのようなご用件でしょうか?」
今にでもフェンのことで問い詰めたいが、沈黙する。
「いや、今日はお前たちに面白いものを見せようと思ってな…皇帝のご意思でもある」
高圧的な声でレミールは語りかける。
「それはそれは、いったい何を見せていただけるのでしょうか?」
レミールは使いの者に目を走らせる。ドアが開き、1m四方の立方体の水晶のようなものが現れる。
「これは、魔導通信を進化させたものだ。この映像付き魔導通信を実用化しているのは神聖ミリシアル帝国と我が国くらいのものだ」
「そうですか」
デカイテレビ電話のようなものだろう。いったい何が始まるのか。国力を見せ付けたいだけなのだろうか。
「これを起動する前に、お前たちにチャンスをやろう」
日本人からすると、少し質の悪い紙が配布される。
フィルアデス大陸共通言語で書かれたその紙には、要約すると以下の事が記載してあった。
【パーパルディア皇国皇帝ルディアスから日本国へ注ぐ】
○日本国の王は、皇国人とし、皇国から派遣された者を置くこと。
○日本国内の法を皇国が監査し、皇国が必要に応じ、改正できるものとする。
○日本国軍は皇国の求めに応じ、必要数を指定箇所に投入できることとすること。
○日本国は皇国の求めに応じ、毎年指定数の奴隷を差し出すこと。
○日本国は今後外交において、皇国の許可無くしてあたらな国と国交を結ぶことを禁ず。
○日本国は現在把握している資源の全てを皇国に開示し、皇国の求めに応じてその資源を差し出すこと。
○日本国は現在知りえている魔法技術のすべてを皇国に開示すること。
○パーパルディア皇国の民は皇帝陛下の名において、日本国民の生殺与奪権利を有する事とする。
○日本国民は・・・・・・・
「な!!!!なんだ!これは!」
拳を強く握り締め、朝田は外交の場であるのにもかかわらず、敬語を無くす。この内容では、属国以下であり、最悪な植民地状態である。飲める訳が無い。
「皇国の国力を知らぬ者が行う愚かな抗議だな。おまえたちの国は比較的皇国の近くにあるにも関わらず、皇国の事を知らなさ過ぎる…」
「当初いきがっていた蛮族も、普通なら皇都に来れば意見が変わる。態度も条件も軟化する」
「しかし、おまえたち日本はこともあろうか、当初から治外法権を認めないだの、通常の文明圏国家ですら行わないような…そう、まるで列強のような要求だ」
「お前たちは皇国の国力を認識できていない。もしくは外交の意見が実質的に本国に通っていない。通っていても、それを認識する能力が無い」
話は続く
「お前たちは皇国監査軍を押し返した。しかし、部内的な問題だが、当時の艦長らは精神が病んでいたにすぎない。現に、艦長らは医師に精神病を勧告されている。これはつまり、監査軍におまえたちが勝ったのではない。我が国の部内的な問題だ」
一時の沈黙が流れる。
「では問おう。日本の外交担当者よ。その命令書に従うのか、それとも国滅びるのか」
命令書の内容に従える訳も無いが、いきなり列強と戦争をしても良いといった指示も受けていない。
「断る。貴様らがやってることは列強では無い。ただの未開人だ」
銀髪の女、『レミール』は、顔を怒りに任せる。
「我が偉大なるパーパルディア皇国を蛮族だと!!………やはり蛮族には教育が必要なようだな。皇帝陛下のおっしゃるとおりだ」
レミールは続ける。
「哀れな蛮族、日本国民よ。お前たちは皇帝陛下に目を付けられた。しかし、陛下は寛大なお方だ。お前たちが更生の余地があるか…教育の余地を与えてくださった」
目の前の女は何が言いたいのか。真意を計りかねる。
「ホッホッホ…これを見るがいい!!!!!」
レミールが指を鳴らすと、眼前の水晶体に質の悪い映像が映し出される。朝田はその映像を見て絶句する。
「なっ!」
「フェン王国のニシノミヤコを攻め落としたが、こやつらは、我が国に対する破壊活動をする可能性があるのでな…スパイ容疑で拘束している」
首に縄をつけられ、各人が縄で繋がり、1列に並べられている人々が7人。着ている服から日本人だと分かる。
「に…日本人!!…彼らはフェン王国に観光に来ていただけで、何の罪も無い人々だ。あの人らに危害を加えるならば我々は容赦しないぞ!即時解放を要求する!」
沈黙…
「要求する?蛮族が皇国に要求するだと!?立場をわきまえぬ愚か者め」
レミールは通信用魔法具を取り出す。
「処刑しろ」
「なっ!!!!」
剣が一列に並べられた一番左の男の首にめり込み、鮮血がほとばしる。
『あなたぁぁぁぁ!!!!…………いやぁぁぁぁぁぁ』
女性の悲鳴が聞こえる。
『ひぃ!やめっやめってっ!!!』
叫んでいた女性の首に剣がめり込む。
『おかあさぁぁぁぁん…うわぁぁぁぁえ!嫌だ!!やめてぇぇぇぇ』
小さな子供も処刑される。悲鳴…絶叫…地獄絵図。
「貴様らぁ!!!!!!今すぐやめさせるんだ!!!!!」
朝田は絶叫していた。
「お前たちは、自分が何をしているのか解っているのかっ!!!!」
「お前たちだと…蛮族風情が皇国に向かってお前たちだと!!?」
「蛮族蛮族と偉そうにしているがな、あなた方こそ、我が国の国力を見抜けない。いや、見ようともしない。盲目的に目を瞑る…愚か者だよ!!!!」
「…皇帝陛下は何故このような愚か者たちに教育の猶予といった御慈悲を与えるのか…」
「まあいい。そんな大口を叩けるのも、いつまでかな?止めることが出来ない自分たちの国力の無さを痛感するが良い。そして、本国が消滅の危機にさらされているということを学ぶがよい」
「アマノキが落ちるまでに、日本が我が国の要求を飲むか飲まないかを決めるがいい。そこで、日本国本国の運命も決するであろう」
既に、水晶体の中に映る日本人はすべて動かなくなった。
「私は日本国の全権大使ではないが、これだけは言わせてもらおう」
朝田は怒りに震える。
「貴様らの行為は、日本国政府は元より、3億2000万人の日本人全てが猛烈に怒ることだろう」
「彼らは確かに違法的に入国したが、それでも日本人に変わりはない。ただ平和に暮らしていた人を一方的に虐殺する行為は、あなた方は理解できないかもしれないが、日本人の目には、とても野蛮な行為であり、そのような野蛮な国は、すぐにでもなくなって欲しいと日本人は願うだろう」
「今回の行為に関して、日本国は、決して見てみぬふりはしない。行為の主犯者には必ず償いを受けてもらう」
「日本国の本当の国力をあなた方が知ったときのあなたの顔が今からでも思い浮かぶよ…滑稽だな」
「今回の行為は、地球で恐れられた我が軍の本当の力を解放させるであろう…次に来た時には精々この辺が
「貴様らは眠れる獅子を叩き起こすどころが銃で撃った…覚悟しとけ」
こうして、会談は終了した。
観光客93人を救うも、7人の日本人が殺された。この事実は激震となって日本中を駆け回った。中には『不法入国したんだから当然だろ』という声もあったが、その発信元は
最早日本国民の脳内からは彼らが不法入国したことなど消え去っていた。それ程日本人が惨めに殺されたのが効いたのだ。
そしてテレビで放送された内容が日本人の奥底にある
このマスコミの内容によって世間は参戦へと傾いた。
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2時間後ーーー
「間もなく首相の記者会見が開かれます」
日本人に対するフェン王国での大虐殺は、全ての国民の知るところとなった。パーパルディア皇国の蛮行は、日本のみでは無く、日本と国交を有する全ての国にも知れ渡った。
通常の国が相手なら戦争になるだろう。
しかし、相手はパーパルディア皇国である。多くの文明圏外国家であれば、列強の国力の強大さから、国民7名もの少人数であれば、目を瞑るだろう。
しかし、今回の当事者は日本である。皇国はその国力の強大さから、日本がどういう国か判断を誤ったのだろう。
日本と外交関係にある各国の外務担当は、日本国内において、テレビを食い入るように見つめる。
シャッター音が鳴り、阿倍野首相がスーツ姿で現れる。顔は険しく、いつも記者と軽口を叩き合う笑顔など微塵もない。
演題に首相が立つと、ざわついた空気が静まり返る。首相はゆっくりと話始める。
「皆様、知ってのとおり、フェン王国のニシノミヤコがパーパルディア皇国の攻撃により陥落しました。ここにおいて、逃げ遅れた何の罪もない日本人が捕らえられました」
「外務省がパーパルディア皇国に観光客であるため、すぐに釈放するように要求しましたが、彼らは…信じられないことに、非道なやり方で日本人を虐殺しました」
「……私達は、この蛮行に目を瞑ってはいけません!!今回の虐殺の首謀者には、必ず捕まえ、罪を償ってもらいます!!!」
「このままパーパルディア皇国を放置すれば、彼らは調子に乗り、中華地方・本土まで押し寄せることでしょう」
「日本国政府は日本を、日本人の命を守るという事に責任があります。そして、我が国の同盟国であるフェン王国、他国だからといって、一方的な侵略を受けていいというものではありません」
「正義は此方にあるのです!傍若無人なパーパルディア皇国を絶対に許さない!」
「話の通じない侵略者に対しては、断固とした態度で対応し、彼らを追い払わなければいけない!」
「我が国と同盟国たるフェン王国は、お互い協力しあい、日本人を守るために侵略者をフェン王国からたたき出す事で意見が一致いたしました」
「私は首相として、全自衛隊に対し、日本を守るためにフェン王国を奪還するよう命令しました」
シャッター音が鳴り響く。様々な質問が行われ、首相会見は終了した。
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トーパ王国 城塞都市トルメスーーー
「号外!!号外!!!」
情報屋が新聞を配っている。その見出しにトーパ王国の人々は目を丸くする。
《日本国と列強パーパルディア皇国がついに衝突へ!!!!》
「おい、どっちが勝つと思う?」
「そりゃあ日本だろ?魔王ノスグーラを倒したあの鉄龍を見ただろう?あんな常識外れなとんでもない兵器をもってるなら、日本が勝つに決まってるだろう?」
「しかし、相手は世界の上位列強国だからなぁ。パーパルディア皇国がアルタラス王国を攻めた時も、ほとんど兵に被害が無かったらしい」
「全面戦争ならパーパルディア皇国有利と見るぞ」
「だが、あんな地龍、パーパルディアも作れない!日本が優勢だぞ!」
「そうだな、日本が勝つさ」
日本の国力を1部でも知るトーパ王国では、日本が勝利するといった意見が優勢になった。
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アルタラス王国 王都ル・ブリアス 地下組織ーーー
パーパルディア皇国に攻め滅ぼされ、実質的に属国となったアルタラス王国、しかし、皇国は全て掌握できておらず、対皇国の地下組織も僅かではあるが存在する。
そんな地下組織に第3国経由で魔通信が届く。
「軍長、面白い通信が届きました」
軍長は紙に目を通す。
「文明圏外の2カ国連合が皇国と戦争をするようですね。軍長はどっちが勝つと思いますか?」
「ふぅ…文明圏外の2カ国程度なら、皇国の圧勝だろう?我が国は文明圏外だったが、装備のレベルは文明圏国家と同レベルだった。それでも皇国には手も足も出なかった」
「まあ、少しでもダメージを与えてくれれば良いが、現実は領土が広がって、国力が増すだけだろうが…」
「日本という国を知りませんか?」
「知らんな」
「私はこの戦い、面白くなると思います。日本はクワ・トイネ公国をロウリア王国の侵攻から救った実績があります」
「うむ、ロウリアを破ったなら確かにすごいが、皇国は別格だぞ?まあ無理だろうな」
彼らはルミエス王女が日本に救助されたと知らなかったため、アルタラス王国地下組織では、この情報に希望を抱く者はほとんどいなかった。
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第2文明圏 列強国ムー
パーパルディア皇国、日本国の2カ国と国交を有するこの国は、どちらに観戦武官を派遣するのか会議を行っていた。
負ける側に武官を派遣すると、戦闘に巻き込まれ、死亡する可能性が高くなるため、派遣先は十分に見極める必要性があった。
両国共に、ムーが観戦武官の派遣を要請すれば、受け入れるだろう。
「以上の報告から勘案するに、日本国は極めて高い機械文明を有しており、部分的にはムーをも上回る技術があります。観戦武官は日本国に派遣したいと思うがよろしいか」
ムーの軍人が手を挙げる。
「報告書には何度も目を通した。しかし、私が気になるのは報告書の真意だ。本当なのか?我が国を上回る技術というが、実物を見たのか?そして、戦力としてパーパルディア皇国を上回る武力の投入が可能なのか?」
「国力については間違いない。国交樹立の際、対応した哨戒機の操縦士、臨検した艦隊の幹部、技術士官、日本国で勤務している外交官からも、訪問してきた国会議員からの聴取も報告書と一致する。軍からも数人が派遣されているはずだが?」
「軍の内部からも同様の報告がなされている。しかし…やはり信じられんな…」
会議の結果、列強ムーは観戦武官を日本国へ派遣することを決定した。
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神聖ミリシアル帝国 港町カルトアルパス とある酒場ーーー
中央世界にある誰もが認める世界最強の国、『神聖ミリシアル帝国』、その交易拠点となっている港町カルトアルパス。
とある酒場では、またもや酔っ払い達が話しをしていた。
「列強パーパルディア皇国と、文明圏外の2カ国連合が戦うらしいぞ」
「また、2つの国が滅び、パーパルディア皇国がその版図を広げるのか….」
「しかし、最近のパーパルディア皇国は無茶苦茶をしているな。戦争戦争戦争また戦争だぜ。第3文明圏の統一でもするつもりか」
「パーパルディア皇国は中位列強国、『神聖ミリシアル帝国』や機械文明『ムー』に比べたら国力は落ちる。世界の主導権でも握りたいのか?」
「しかし、その2カ国も勇敢だな。国民のほとんどが不幸になると解っていて従属しないとは」
「剣の国、フェンと新興国日本だ」
「日本?あの日本か??これは、皇国も珍しくダメージを負うかもな」
酒場では、皇国圧勝という意見が大半を占めた。
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日本国 鹿児島県 種子島宇宙センター 第2射点ーーー
ロケットの発射台にそれは置かれていた。
全長63.6m、重量574t。地球であれば静止衛星軌道上に6.5tもの打ち上げ能力を有する日本の技術の結晶、H3ロケット。
内部には、自衛隊の索敵に使う偵察衛星が収容されていた。カウントダウンが進む。
「フライトモードオン【Flight mode on】、12.駆動用電池起動【Start the drive battery】、11.10.9.8.全システム準備完了【All systems ready】、7.6.5.4.3、メインエンジンスタート【Main engine start】、2.1.0、SRBA点火、リフトオフ!【SRBA ignition, lift off】!!」
「リフトオフ、H3ロケット第19号機、21時51分36秒に種子島宇宙センターより発射されました」
轟音を轟かせ、全てを見通す目が、大空へ打ち上がっていった。
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フェン王国首都 アマノキーーー
剣王シハンは上機嫌だった。
「よし!!!よし!!!」
顔は満面の笑みである。日本国が対列強戦に参加することを決めた。
フェン王国単独ではおそらく国力の差からしてやられていたであろう。
皇国監査軍ワイバーンロード部隊を赤子の手を捻るかの如く倒した日本の超巨大魔船が今度は皇国本軍と戦うためにやってくる。
フェン王国は救われた。
剣王は日本国へ全面的に協力するよう部下に下命した。
遅くなってすみません…自分学生なんで投稿頻度が下がるかもしれません…
さて、やっとパーパルディア編に入りました。なんか虐殺の導入が下手かもしれませんね…
政府が暗躍してますけどキニシナイ…世論は大切だからねしょうがないね
私作の朝田さんは日本が超大国だからほんのちょっとパワーアップしています
提督兼指揮官兼トレーナーさん、戦闘護衛艦するがさん、Lejeさん、ぴょんすけうさぎさん、ご感想ありがとうございます。
橘みずきさん、第一連合艦隊さん、小椋李区さん、山奥の村人さん、やまねこ3417さん、屯田兵さん、cain708さん、お気に入りに登録ありがとうございます
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