超大国日本国召喚   作:一般通過愉悦部

26 / 47
「おっし、投稿完了!BFVでもやっか…」
↓ a few moments later…
「ハーメルン最近見てなかった…感想あると嬉しいな」
↓新着感想あり
「( ^ω^)おっええやん、かんそうあるべ、返信しよ」
↓感想ズラー
「( ゚д゚) ポカーン・・・ (つд⊂)ゴシゴシ (;゚д゚) ・・・ (つд⊂)ゴシゴシゴシ (;゚ Д゚) …!?」
ってなったので初投稿です。

あと評価もして♡(強欲)


第4話 開戦

中央暦1640年1月下旬

パーパルディア皇国 皇都エストシラント 皇帝ルディアスの私室ーーー

 

第3文明圏最強・最大の都市であり、あらゆる富が集まる場所、皇都『エストシラント』。

その国力の象徴とも言える皇城に住まうのはパーパルディア皇国第13代皇帝『ルディアス』。彼の私室には1人の銀髪の女性がいた。

 

 

「レミール、この世界のあり方について、そしてこのパーパルディア皇国について、お前はどう思う?」

 

 

ルディアスの質問に銀髪の女性『レミール』が応える。

 

 

「はい、陛下、多くの国がひしめく中、皇国は第3文明圏の頂点に立っています」

 

「多数の国を束ねる方法として、我が国では恐怖を用いていますが、これは非常に有効的であると思います」

 

「そう、恐怖による支配こそ、国力増大のためには必要だ。神聖ミリシアル帝国や、ムーは近接国と融和政策をとっている。そんな軟弱な国よりも我が国が下に見られている事自体が我慢ならない」

 

「我が国は、第3文明圏を統一し、大国、いや、超大国として君臨する」

 

「何は第1文明圏、第2文明圏を配下に置き、パーパルディアによる世界統一により、世界から永遠に戦争を無くし、真の平和が訪れる」

 

「それこそが、世界の国々の人のため…そうは思わぬか?レミールよ」

 

 

レミールは感動に震える。

 

 

「(へ…陛下はなんという器の大きいお人なのだろうか!!)」

 

「…陛下がそれほどまでに世界の民のことをお考えだとは…レミール感動でございます」

 

 

レミールは、感動のあまり、目に涙を浮かべている。

ルディアスは続ける。

 

 

「そのためには、多くの血も流れるだろうが、それは大事を成し遂げるための小事、やむを得ない犠牲だ」

 

「そして、皇国の障害となる者たちは排除していかなければならない」

 

「はい!!!」

 

「そういえばレミール、フェン王国と日本についてはどうなっている?そなたの口からも聞きたい」

 

「はい、皇軍については、フェン王国のニシノミヤコを落としました。その時に、7名ほどの日本人を捕らえ、日本との会談に役立てました」

 

 

話は続く。

 

 

「我が国の要求を伝えたところ、日本は我が国を侮辱するような返事をしたため、捕らえた日本人全員を魔画通信で中継しながら殺処分いたしました」

 

 

皇帝は薄ら笑いを浮かべる。

 

 

「ほう…7名はちと少ないが、それはさぞかし慌てた事だろう。私の言ったとおり、教育の機会を与えたのだな…して、反応は?」

 

「蛮族らしく、大声をあげていました。陛下、あのような民は滅ぼした方が良い思とうのですが、何故あのような者たちにも教育の機会が必要なのでしょうか?」

 

「…私はどんな蛮族でも等しく滅びから回避する機会を与えなければならないと思っている。それでも気付かぬ愚か者たちであれば、滅してしまえばよい」

 

「解りました。陛下、日本とはフェン王国の首都アマノキを落とし、我が軍の強さを見せつけて再度会談をいたします」

 

「そこで、我が国の要求を拒否すれば本格的な殲滅戦に突入するのか、陛下の判断を仰ぎたいと思っております」

 

「そうだな、承知した」

 

 

レミールの左上に装着してあるブレスレットが光り始める。怪訝な顔をするレミール。

 

 

「公務だろう?…今は公式な場では無い。私的に話をしていただけだ。そこの魔信を使って良いぞ」

 

 

レミールは皇帝に一礼し、私室の魔信を使用する。

 

 

「何事だ」

 

『日本の外交官が急遽話をしたいと申し出ておりますが、いかがされますか?』

 

「解った。行くので待たせておけ」

 

 

レミールは魔信を切る。

 

 

「陛下、今話していた日本が急遽会談をしたいと申してまいりました。教育の成果、陛下の御慈悲に答えるのかもしれません。行ってまいります」

 

「蛮族とはいえ、国の存亡がかかっており、必死なのだろうな。予約無しでの会談については、許してやるがよい」

 

 

レミールは部屋を出ようとするが、はっとした表情で振り返る。

 

 

「陛下、今日は他にご予定がありますか?」

 

「いや、無い」

 

「では、公務終了後に戻ってまいってもよろしいでしょうか?」

 

「うむ、良いぞ」

 

 

レミールは満面の笑みで部屋を出て行った。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

第2文明圏列強 ムー国 ーーー

 

 

技術士官のマイラスは、軍の上層部に呼ばれていた。

 

 

「と、いう訳で、技術士官『マイラス』、戦術士官『ラッサン』の2名は本日付けをもって、観戦武官として日本国への派遣を命じる」

 

 

申告が終わり、具体的説明に移る。

 

 

○ムーと日本は2万1千km離れている。それだけ広大な距離であるため、航空機の航続距離は不足している。

○よって、1番航続距離の長いレシプロ旅客機『ラ・カオス』(巡航速度280km/h、航続距離7000km)を使用し、同盟国連絡用のムー専用空港を使用、3回の中継地を経て日本に向かう。

○中継地では迅速な給油を行い、すぐに飛び立つが日本までは5日かかる。

○日本にはすでに連絡してあるが、日本の領空近くになると、日本の戦闘機の護衛を伴い、西側の都市香港市の空港へ着陸する。

○日本からは、ムーの観戦武官の到着を前にして、フェン王国奪還の可能性がある旨説明を受けており、我が国もそれを了承している。

 

 

以上の事から、戦闘途中からの観戦になる可能性が高い。

 

 

説明が終わり、マイラス、ラッサンの二人はすぐに準備に取り掛かる。

 

3時間後、マイラス、ラッサンと食料等を乗せたムーの誇る最新鋭旅客機ラ・カオスは遥か彼方の日本国に向け、飛び立った。

長い飛行だった。ワイバーンでは絶対に出来ない航程だ。

 

ムーを飛び立って5日目の朝、レシプロ旅客機『ラ・カオス』は日本に接近してきていた。

間もなく日本の防空識別圏と呼ばれる飛行圏内に突入し日本の戦闘機の護衛が来るはずだ。

 

 

「どんな戦闘機が来るんだろう?」

 

 

接触時に日本の戦闘機を見た技術士官のマイラスはワクワクしながらそれを待つ。

マイラスとは裏腹に、戦術士官のラッサンは冷めている。

 

 

「文明圏外だ、どうせ大した事は無い」

 

「いや、俺が対応した時は凄かったぞ」

 

「我が国と国交を結ぶために特別に『神聖ミリシアル帝国』に頼んだんだろ」

 

 

そういった話をしていた時、機内にいても解るほどの雷鳴の轟きが2回聞こえる。

条件反射的に首を窓に向ける。

 

矢じりのような形をしたプロペラが付いていない戦闘機とすれ違う。その機はすぐさま旋回し、速度を合わせて旅客機と並ぶ。

 

 

「は…速い!!!」

 

 

二人は唖然とする。

 

 

「プロペラが無いぞ!!!!」

 

 

ラッサンは戦慄する。

 

ムーの旅客機は日本の戦闘機『F-22』の先導により、日本へ近づく。

 

やがて日本の領土の上空に入り、香港空港が近くなる。空から見る初めての日本。眼下には人口750万人の先進的な都市が見える。

やがて、見たことも無いような立派な滑走路に着陸する。

 

自分たちの乗ってきた旅客機が…列強ムーの技術の結晶である最新鋭機がおもちゃに見えるほどの、巨大で美しい機体が空港の駐機場には多数並んでいる。

 

 

「とんでもない国に来たな…」

 

 

マイラスは自分の任務の重要性に身震いするのだった。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

パーパルディア皇国 皇都エストシラント 第1外務局ーーー

 

日本国外務省の朝田と篠原は、パーパルディア皇国の第1外務局を訪ねてきていた。レミールが応対する。

性悪な笑みを浮かべ、レミールは尋ねる。

 

 

「急な来訪だな。まあ、国の存続がかかっているのだ。その気持ち、無理も無いな」

 

「皇国は寛大だ。アポ無しではあるが、国の存続がかかっている者たちだ。今回は許して使わそう」

 

 

話は続く。

 

 

「して…前回皇国が提示した条件、検討結果を聞かせてもらおうか」

 

 

朝田はゆっくりと発言する。

 

 

「今からお伝えする事は、日本国政府の正式な決定事項です」

 

「ほう、やっと皇国の力を理解したのか」

 

「(譲歩を引き出すために交渉に来たか…小賢しいな)」

 

「ではまずあなた方、パーパルディア皇国のために下記の提案をいたします」

 

 

朝田は公文書をレミールに手渡す。

 

○現在フェン王国に展開する全ての軍を即時撤退させること。

○フェン王国に対し、被害を与えたため、公式に謝罪し、賠償を行うこと。なお、賠償については建物に与えた実被害額の20倍を支払うこと。

○日本人の虐殺に関し、公式に謝罪し賠償を行う事。賠償額に関しては被害者遺族に一人当たり100000000パソ(皇国通貨)分を、金に代え、支払うこと。

○今回の日本人虐殺に関し、日本の刑法に基づき、処罰を行うため事件に関係した者の身柄をすべて日本に引き渡すこと。

 

 

「!!!何だ!これは!!!」

 

「上記が確約されなければ、日本国は、実力でフェン王国から皇軍を排除しいたします。もちろん、排除しただけでは終わりません」

 

「なお、犯罪者には貴女も当然入っており、パーパルディア皇帝も虐殺の嫌疑がかけられている重要参考人ですので、身柄を引き渡していただきます」

 

「…やはり蛮族だな。皇帝陛下の御慈悲が解らぬとは…戦争により自国の民を滅したいのか?」

 

「いえ、あなた方の旧式な兵器で我が国の本土など1mmも侵攻できませんよ」

 

「…蛮族が!!…無礼な!!…」

 

「この犯罪者の引き渡しは、皇国民のためなのです。このままでは、我が国は無差別爆撃をしなければなりません。それ程まで日本国民は怒っているのです」

 

「ですが、我々は、皇国の一般市民が攻撃に巻き込まれて死者が出ることをあまり良しとしません」

 

「…馬鹿だな。お前たちの国は、文明圏外国家の中では自信があるのだろうが、列強と文明圏外国家の根本的な国力差が全く理解できていない」

 

「まあ良い。まだ教育が必要なようだな。フェンのアマノキを落とした後、我が軍の実力を知るが良い」

 

「そこで、止められない自らの力を思い知る事になるだろう。その後の会談が楽しみだな」

 

「お前たちは皇帝陛下の寛大な御心により、生かされているという事を忘れるな。皇帝陛下がその気になれば、殲滅戦になるぞ?」

 

「すべての国民が処分されるということが現実になる事を理解しろ」

 

「では、私どもも通告します。日本国は報復の為、実力をもってフェン王国よりパーパルディア皇国軍を排除いたします。排除後に、再度会談をいたしましょう」

 

「犯罪者の引渡しは日本国政府の絶対に譲れない条件です。日本の意思は強いとご理解いただきたい」

 

「あと1点、日本国に降伏する場合は、白旗を振ってください」

 

会談は日本の攻撃の意思を明確に示し、終了した。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

パーパルディア皇国 皇都エスとシラント 第1外務局執務室ーーー

 

レミールは書記に作らせた報告書に目を通していた。横には局長エルトも同席し、書面に目を通す。

 

 

「蛮族が…滅亡に向かって突き進む…か」

 

 

彼女は続ける。

 

 

「トップが馬鹿だと大変ですな。日本はすべての民が消滅の危機にさらされているという事が全く理解出来ていない」

 

 

哀れみすら感じる。皇国は多くの国を滅してきた。

今回もその一部になるだろう。坦々と処刑される蛮族の姿が頭に浮かぶ。

 

次の瞬間、ドアがノックされる。

 

 

「入れ」

 

次長『ハンス』が決裁書類を持って駆け込んでくる。その顔色は悪く、酷く緊張している。

 

 

「どうした?」

 

 

エルトは尋ねる。

 

 

「今回のフェン王国の戦いに関し、観戦武官の派遣の有無を列強に調査いたしました」

 

「神聖ミリシアル帝国については、今回も派遣をしないとの回答でした」

 

「うむ、いつもの事だな。で、ムーは何時派遣してくるのだ?」

 

 

ハンスの顔が緊張に包まれる。

 

 

「その…ムーは皇国へ観戦武官の派遣はしない旨回答してきました」

 

「ほう、珍しいな。ムーが派遣をして来ないとは。戦闘の収集癖が無くなったのか?」

 

「………………」

 

 

ハンスは言葉を選ぶ。

 

 

「ん?どうした??」

 

「ムーは…日本に観戦武官を派遣した事が判明いたしました」

 

「…え!!!!!!????」

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

中央暦1640年1月28日

ガハラ神国南東側海域ーーー

 

海上自衛隊第2艦隊第8護衛隊群所属の第10空母打撃群はガハラ神国南東300kmの地点に展開していた。

彼らの目的はフェン王国『ニシノミヤコ』の西方約30kmの位置に展開する敵竜母艦隊の撃滅である。

 

第10空母打撃群旗艦ずいかく型航空母艦5番艦『たいほう』の飛行甲板上の4基のカタパルトには、未だ『ひりゅう』と『たいほう』にしか配備されていない『F-2』の艦載機型『F-2E』が出撃と今か今かと待ち侘びていた。

彼らは日本人を殺戮したパーパルディア皇国に強い憎しみを持っていた。

 

数分後、CATCC(空母航空管制室)より、発艦命令が出され、各カタパルトのカタパルト・ステーションにいる管制員がボタンを押し、カタパルトを起動させる。

瞬間、全長15.52m、重量22,100kgを誇る『F-2E』4機が、時速296kmで射出される。

 

彼らは上空で合流して、ニシノミヤコへ進路を取った。

 

発艦してから何分か後、『F-2E』は海面スレスレを飛行していた。

海に溶け込むように青く塗られた機体が12機、上空から見たら見失うだろう。

 

一個飛行隊の『F-2E』は海面から20m程度の超低空を超音速巡行(スーパークルーズ)状態のマッハ1.2で飛行していた。

各々の機体のハードポイントには各機4発の93式空対艦誘導弾(ASM-2)対艦ミサイルを搭載している。

 

12機の『F-2E』のミサイルの数は計48発にも及び、数が多すぎて明らかにオーバーキルであるが、竜母艦隊に確実にダメージを与えるため、多めに機が割り当てられる。

後方上空にはE-2Dアドバンスドホークアイ早期警戒機(AEW)が飛行しておりすでに艦隊上空に12機程度の敵機がいる事も確認されている。

 

敵機は、第2分隊12機の翼端に装備されている04式空対空誘導弾(AAM-5)で対応する予定である。

 

『F-2E』は音速で海面スレスレを進む。敵艦との距離はどんどん縮まり、すでにミサイルの射程距離に入っている。

敵艦との距離が100kmに迫った時、飛行隊長の機に司令部から無線が入る。

 

 

『こちら司令部、攻撃を開始せよ、繰り返す、攻撃を開始せよ』

 

「全飛行隊機に次ぐ、攻撃開始!」

 

 

12機の編隊から、計48発の空対艦誘導弾がパーパルディア皇国軍竜母艦隊に向かい、飛翔していった。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

同時刻ーーー

フェン王国 ニシノミヤコ沖合い約30km先海上

 

パーパルディア皇国皇軍海上竜母艦隊は隊列を組み、整然と並んでいた。

竜母はワイバーンロードの発着を行うため、他の戦列艦に比べ、2回り大きい。

 

他国とは隔絶した圧倒的な造船技術があるからこそ、この船は造る事が出来る。

その見る者に圧倒的な存在感と恐怖をもたらす竜母艦隊を眺め、艦隊副司令の『アルモス』は満足そうに頷く。

 

 

「竜騎士長!!」

 

 

すぐ横に立つ竜騎士長に話しかける。

 

 

「はっ!!」

 

「皇軍は強い!!!」

 

「存じております。」

 

「何故強いと思う?」

 

「総合力です。」

 

「そうだ!!だが、圧倒的な強さを誇るのは戦列艦もさることながら、この中核たる竜母艦隊がいるから強いのだ!」

 

「どんな戦列艦の大砲よりも、この竜母があればアウトレンジから攻撃できる!騎士長、制空権を制する者が結局制海権、制地権を制する。私はそう思うのだ。」

 

「はっ!!先進的な考え方であります!!」

 

「パーパルディア皇軍が、今までの海戦で無敵を誇ったのはこの竜母艦隊があってこそ、この艦隊がある限り、皇軍は覇王の道を突き進むであろう!!」

 

「そして見よ!!この竜母艦隊の中でも、最新鋭の旗艦『ミール』を!!……すばらしい。艦は大きく、機能美に満ちている!!」

 

 

通常の竜母に比べ、砲弾への耐性を持たせるため、対魔弾鉄鋼式装甲をふんだんに使用した美しく、強く、そして大きな竜母がそこにあった。

 

だが、前方の護衛戦列艦から警戒音が上がり、話が中断される。

アルモスは前方を注視する。

 

 

「!?何だ!!??」

 

 

非常に見えにくいが、青く塗られた2本の大きな矢が、超高速で『ミール』に向かっていく。

 

 

「は……速い!!!」

 

 

海上スレスレを飛んで来た『それ』は艦の前方で1度大きく上昇し、斜め上方から旗艦ミールに突入した。

 

『F-2E』から放たれた93式空対艦ミサイル(ASM-2)のうちの2発は、時速1150kmで、パーパルディア皇国皇軍海上竜母艦隊、『ミール』に命中した。

 

猛烈な閃光が周囲を照らす。『ミール』は光に包まれる。

 

巨大な『ミール』の船体よりも大きな爆煙が轟音と共に『ミール』を包み込む。

巡洋艦を1発で大破させられるほどの威力を持つ対艦ミサイルの直撃により、『ミール』は内部の人員、ワイバーンロードと共に、アルモスの眼前で木っ端微塵に粉砕され、跡形も無く消滅した。

 

海上に爆音が鳴り響く。

 

 

「な……な……何だ!?今のは何なのだ!!??」

 

狼狽……。

 

 

「飛行物体、多数飛来っ!!!!」

 

 

竜母艦隊は隊列を崩し、各々が勝手な動きを始める。

 

 

「ああっ!!!!」

 

 

閃光……そして轟音……。

 

 

「『フィシャヌス』轟沈!!!」

 

皇国の誇る最新鋭の100門級戦列艦『フィシャヌス』。最新式の対魔弾鉄鋼式装甲を施した皇国自慢の艦が、たったの1発でなす術も無く、木っ端微塵に粉砕される。

猛烈な閃光と爆音が連続して発生する。

 

 

「竜母『ガナム』消滅!!!竜母『マサーラ」消滅!!!」

 

 

悲劇が報告され続ける。

連続して飛来する謎の物体はただの1発も外す事無く命中した竜母を消滅させる。

 

 

「ば……ばかな!!!最強の皇国竜母艦隊が、こんな……馬鹿なぁっ!!!」

 

 

アルモスの脳は、自分の経験則から必死で原因を探そうとフル稼働する。

今までの戦闘の知識、経験では考えられない現実が眼前にあった。

 

 

「ま……まさか、これは古の魔帝の誘導魔光弾か!?」

 

「この艦に向かって来るぞ!!!」

 

 

見張り員が絶叫する。

 

 

「うわぁぁぁぁぁ!!!!」

 

皆が絶叫する。

アルモスの考察は途中で強制的に切断された。

 

日本国海上自衛隊第10空母打撃群艦載機による『F-2E』を使用した対艦ミサイルの波状攻撃はパーパルディア皇国海上竜母艦隊とその護衛の砲艦、計20隻を全艦撃沈するに至った。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

数時間後ーーー

 

フェン王国『ニシノミヤコ』の沖合いに展開しているパーパルディア皇国大艦隊。

 

その大艦隊の旗艦、パーパルディア皇国の技術のすべてをつぎ込んだ最強の120門級超F級戦列艦『パール』(超F級とは、超フィシャヌス級の意味であり、今世界でドレットノート級を超える戦艦を超弩級戦艦と呼ぶのと同様)、その艦上にいた皇軍の将『シウス』は西を眺めていた。

 

この世界は地球に比べ、大きいため、水平線は地球よりもはるかに先にある。

シウスは西を見たまま動けずにいた。その額はびっしりと汗に濡れている。

 

西の方角で猛烈な爆発が連続してあった。その後、皇国竜母艦隊、計20隻と全く連絡が取れなくなっている。

 

すべての艦が魔通信に応答せず、そして信じられない事に、全ての艦の魔力反応が消えている。

非常に短期間で20隻もの列強艦隊が本部に通信を発する暇も無く沈む原因は、シウスには想像できなかった。

 

艦隊はすでに戦闘態勢に入っており、確認のために砲艦4隻が現場海域に向かい始めている。

 

 

「(もしも竜母艦隊が消滅していたら……)」

 

 

シウスの脳裏に最悪なシナリオが浮かぶ。

既にニシノミヤコには基地が造られ、陸戦隊主力は、首都アマノキに向け出陣し、支援攻撃のために砲艦20隻も出発した。もう戦いは後に引けない。

 

この戦いは皇帝陛下の関心も高く、例え、敵が強かったとしても、撤退や敗北の2文字は許されない。

 

一笑に付した監査軍の報告書が思い出される。シウスの思考は駆け巡る。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

同時刻ーーー

 

竜騎士小隊長『バルオス』は眼下の惨状を見て、言葉が出なかった。突然竜母が連続して大爆発を起こした。そのようにしか見えなかった。

彼は配下の12騎を引き連れ、ニシノミヤコに着陸する事を決める。

 

 

「前方に未確認物体!!真っ直ぐこちらへ飛んで来ます!!!」

 

 

一番目の良い部下が報告してくる。バルオスは目を細める。

 

 

「なんだ!?」

 

 

何か矢のような物が超高速で突進してくる。

すれ違う気配。

 

彼の後方の空に黒い花が咲く。

 

 

「え!!!」

 

 

精鋭のワイバーンロード竜騎士隊8機がズタズタに引き裂かれて落ちていく。

前方に何かが2つ見える。

 

 

「は……速い!!!」

 

 

考える暇もなくそれは上空を通過し、『それ』が通過した後、音が遅れてやってくる。

『それ』からは、2本の赤い炎が後ろに噴射されている。

 

 

「は……速すぎる!!!」

 

 

竜騎士団は飛行物体を追おうと機首を未確認飛行物体に向ける。

全く追いつけない。

 

 

「っ!!なんなんだ!!あいつは!」

 

 

飛行物体は常識では考えられないほど急激な上昇を行い、天に消える。

天空の破壊神はすぐさま機首をこちらに向け、戻ってくる。

 

 

「!何か発射したぞ!!!導力火炎弾か!!?」

 

 

ワイバーンロード竜騎士隊は回避し始める。

『F-2E』の発射した04式空対空誘導弾(ASM-5)は超高速でバルオスの乗騎するワイバーンロードを襲う。

回避の暇は無く、彼とその部下は空対空ミサイルが着弾し、地上に落ちていった。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

日本国広東県捕虜収容所ーーー

 

 

パーパルディア皇国との戦争を想定し、刑務所を改装した捕虜収容所、ここに輸送されてきた皇国監査軍東洋艦隊の特A竜騎士『レクマイア』、彼はフィルアデス大陸共通言語と日本語を解するための辞書を片手に日本で発行されている新聞を読む。

 

一言ずつ訳しながら、読み進めていく。彼の指先は徐々に汗に濡れる。

やがて、脂汗は全身に広がり、背中を濡らし、指先は震えはじめる。

 

新聞の見出しにはこうある。

 

 

【パーパルディア皇国、日本人観光客を虐殺!!日本国政府『絶対に許すことは出来ない!!』政府は陸、海、空、海兵4自衛隊に対し、フェン王国からパーパルディア皇国軍を排除するよう指示!!】

 

 

 先日パーパルディア皇国に日本人観光客が虐殺された事件につき、政府は自衛隊に対し、フェン王国からパーパルディア皇国軍を排除するよう指示した事を明らかにした。

 当社記者が戦闘の可能性を質問したところ、「新たな日本人の犠牲者を出さない。決して出させない。そのための軍事行動だ!!」と強く発言、パーパルディア皇国軍が退かない限り、戦闘は避けられない状況となった。

 日本の本格的な軍事行動は戦後初、実に70年ぶりであり、自衛隊創設以来初めての事となる。

 政府は決してこれ以上、フェン王国に取り残された日本人観光客に被害を出さない事が求められる。(記者 田所浩二)(関連記事3面)

 

 

「や……やってしまった。」

 

 

 ついに祖国がいつもの脅迫外交の手段に出てしまった。

 組織が巨大すぎる場合、報告は上に行くほど簡素化され、情報は上の都合の良い様にねじ曲げられる。

 日本が危険であるという兆候はすでにあったはずだが、超大国列強の悪い癖が出た形となってしまった。

 もう日本との戦争は避けられないだろう。

 

 

「(……勝てるか?)」

 

 

 レクマイアは考える。

 

日本の国力は自身が日本人の管理下にあっても身にしみた。しかし、所詮島国、もしも総力戦になればどうなるか。……いや、転移直後の日本であれば、もしかすると、何とかなったかもしれない。

しかし、資源国クイラと、農業立国クワ・トイネ公国により、日本は補給が可能となってしまっている。

 

少なくともフェンでは負ける。列強たる祖国の基盤を揺るがす事になるかもしれない。

レクマイアは皇国の未来を憂うのだった。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

フェン王国首都 アマノキ 東海岸ーーー

 

首都アマノキの東海岸では、新たに編成された日本国海兵隊フェン王国奪還軍の第1陣、戦闘団1,530名が荷揚げ作業を行っていた。

邦人を虐殺する行為に対し、何の躊躇いも無い敵の脅威があるため、即時戦闘に移行出来るよう新たに編成された戦闘団。

 

 

            【日本国海兵隊 フェン王国奪還軍 第1陣 編成】

 

 ○海兵隊員   1,530名

 ○トラック   75台

 ○90式戦車B型 12輌

 ○74式戦車H型 6輌

 ○89式機動戦闘車 3輌

 ○89式装甲戦闘車 2輌

 ○87式装輪戦闘車 12輌

 ○99式自走155mm榴弾砲 5輌

 ○10式装甲車 15輌

 ○96式装輪装甲車 10輌

 

 

となっている。

 

 

フェン王国の剣王『シハン』は沖合いを眺める。

 

視線の先にはしなの型強襲揚陸艦『ちとせ』、つがる型揚陸艦『ねむろ』いず型輸送揚陸艦『しまばら』の3隻から発出され、海岸と海を往復しているLCAC-1級エア・クッション型揚陸艇がある。

 

同揚陸艇はホバークラフトであり、海上のみではなく、海岸の上まで上がり、日本軍の車両や人員を排出している。

シハンは傍らに立つ騎士長『マグレブ』に話しかける。

 

 

「やはり日本はとんでもない国だな。船が陸まで上がってきておるぞ」

 

 

ホバークラフトは厳密に言えば航空機であり、浮いて走行するため、海上のみならず、突起物さえなければ陸上も通行できる。

揚陸艇から陸揚げされる戦車、自走砲……それらのどれもが彼にとって初めて見る物であり、用途、理解に苦しむ。

 

 

「本当に驚くべき国にございます。日本が今回の戦闘に参加する事になったのは、剣神の導きがあったとしか思えませぬ」

 

 

騎士長マグレブは答える。揚陸作業は続く。

 

海岸には、パーパルディア皇国 皇国監査軍東洋艦隊のワイバーンロード竜騎士団を葬り去った日本……その陸軍を一目見ようと、フェン王国の人々が集まる。

 

 

「日本の魔船が来ると聞いて見に来たが、船が陸を走るなんて、本当に魔船だ!!これでフェン王国は救われる!!!」

 

「列強も、まさか日本がこれほどまでとは思うまい。今見た自分でさえまだ信じられない。」

 

「ありがたや、ありがたや。」

 

 

フェン王国人の日本に対する期待は高い。第1陣は海岸にて準備を整える。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

パーパルディア皇国皇軍陸戦隊ーーー

 

 

陸戦隊と陸将『ドルボ』はニシノミヤコを出発し、フェン王国の首都アマノキに向け進軍していた。

その数約3000名。

 

その進撃の中には、皇国の誇る陸戦の主力、『地竜』32頭と、『偵察用ワイバーンロード』12騎を含む。

 

ワイバーンロードは地竜にけん引された台車に乗り、地上を進んでいたため、『F-2E』の攻撃から洩れていた。

現在陸戦隊は山岳を迂回中であり、ニシノミヤコの旗艦艦隊からの魔信不感地帯で一時休憩に入っている。

 

自らの進軍進路で、敵の隠れる可能性のある場所は事前にワイバーンロード3騎体制で索敵し、敵がいた場合、上空からの導力火炎弾でダメージを与え、歩兵のマスケット銃により殲滅する。

すでに3回、フェン王国の小隊を滅した。

 

 

「コウテ平野に出れば、この戦争は勝つ!!」

 

 

ドルボは陸戦策士『ヨウシ』に話しかける。

 

「はい……コウテ平野に出れば我が陸戦隊の本領が発揮出来ます。得意な布陣になった我が陸戦隊は組織されてから今まで、一度も負けた事はありません」

 

「それに……今回は支援攻撃として砲艦20隻が加わります。アルタラス王国では7倍弱の兵力差を覆し、我が国が圧勝いたしました」

 

「アルタラスは文明圏外国家としては突出して強かった、が……我が国が圧勝しました。フェン王国程度……いや、もしかしたら日本国が参戦してくるかもしれませんが、その程度、アルタラスには及びますまい」

 

 

ドルボの脳裏に日本人の腕時計が浮かぶ。

 

将軍ドルボは日本人が身に付けていたあるものを眺め、不安になる。

彼が処刑された日本人を見ていた時、自動巻きの腕時計を見た。

 

パーパルディア皇国にも時計はあるが、基本は壁掛けタイプであり、非常に大きい。

金持ちの友人から、列強ムーのお土産としてもらった『ねじ巻き式』の腕時計を見た時は驚いたものだった。さすが列強たる世界一の機械文明のムーだと感心した。

 

『(しかし、眼前にある物はなんだ!?)』

 

ムーの時計よりも遥かに精巧に作られており、軽く、デザイン、そして質感が高い。このような時計を持っていたのは1人や2人ではない。

7名中5名も着けていた。

しかも、そのうち半数以上の時計が…秒針が同時に動いていたのだ。

 

考えるだけで戦慄が走る。微かな不安……

 

彼は言葉を飲み込む。今更作戦は止まらない。日本人はどんな武器を使用するか、全く不明であり、強いかもしれないし弱いかもしれない。

未知数である。

 

 

「(しかし!!皇国は強い!!)」

 

 

これはまぎれも無い事実である。ドルボは不安を押し殺す。

 

陸戦隊は進路途中にある集落を襲い、略奪を繰り返しながら侵攻してきた。今後、休憩を挟み、平野部へ向かう予定である。

 

フェン王国の集落の人及び物は、兵の好きにさせている。蛮族を好きに扱う権利くらい与えなければ、戦争の士気も上がらないだろう。

時折悲鳴が聞こえるが、いつもの事、気にも留めない。

 

パーパルディア皇国皇軍陸戦隊は後数時間の進軍でコウテ平野に到達する。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

同時刻ーーー

 

日本国海兵隊フェン王国奪還隊で第1陣として派遣された第1戦闘団長の『天野保志』一等海兵佐は部下からの報告を分析していた。

 

敵、皇国陸軍を叩くにはコウテ平野が付近に民家も無く、最適だ。しかし、後続の部隊は本戦に間に合いそうにない。

敵の現在地は判明しているが、付近に集落があり、空爆で戦力を削ぐ事が出来ない。

 

現時点投入可能な戦力は、この戦闘団1,530名と、トラック75台、90式戦車B型12輌、74式戦車H型6輌、89式機動戦闘車3輌、89式装甲戦闘車2輌、87式装輪戦闘車12輌、99式自走155mm榴弾砲5輌、10式装甲車15輌、96式装輪装甲車10輌の大部隊。それに海上自衛隊の強襲揚陸艦『ちとせ』に乗せてあるAH-1Zヴァイパー5機、空自に要請したA-10サンダーボルトⅡ3機である。

 

 

 

「コウテ平野で敵を叩くぞ!混戦になれば不可能だが、可能であれば状況により空自に近接航空支援(CAS)を要請する」

 

「はっ!!」

 

 

フェン王国コウテ平野では、フェン王国の運命を決定付ける陸の戦いが始まろうとしていた。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

パーパルディア皇国 皇都エストシラント 第2文明圏列強、ムー大使館ーーー

 

 

ムー大使館には、皇国第1外務局の職員『ニソール』が訪れていた。

ムー国駐パーパルディア皇国大使、『ムーゲ』が対応する。

 

 

「急な会談とは、いったいどうされました?」

 

 

 ムーゲはニソールに尋ねる。

 

 

「現在我がパーパルディア皇国とフェン王国は戦争状態にある事はご存知と思いますが、日本国も参戦してくる可能性があります」

 

「はい、存じております。皇国は《日本国民7名の観光客を国家の意思をもって殺した》と聞き及んでいます」

 

「今回の戦いは、我が国、ムーも非常に関心をもって注視しております。」

 

「はい、その通りです。そして、今回観戦武官を日本側に派遣したと伺い、その真意を確認に参りました。」

 

「我が国は日本側に観戦武官を派遣したことは、間違いありません。」

 

 

事前情報として解っていたにも関わらず、その事実をムーの大使から告げられ、ニソールは衝撃を受ける。

ニソールは一呼吸置き、尋ねる。

 

 

「理由をお伺いしたい」

 

「私は軍務専門ではありませんので、詳しい事は不明ですが、我が国の軍部が冷静に分析を行った結果、日本に派遣する事が相当と判断したものと思われます」

 

「貴国は今まで、勝つ側にしか観戦武官を派遣して来なかった。今回日本側に派遣したということは、まさか我が国が今戦いに負けると分析しての事でしょうか?」

 

「先ず、ムーはパーパルディア皇国へ敵対する意思は無いということはご理解いただきたい」

 

「そして…この魔写をご覧ください」

 

 

ムーゲは一枚の写真を取り出す。

そこにはミリシアルやムーの飛行機械よりも先進的な戦闘機があった。

 

 

「こ…これは…貴国の新型飛行機ですかな?」

 

「いいえ、これは我が国が日本国から輸入した戦闘機『F-1C』です、ムーでは『スピットファイア』戦闘機と呼んでいます」

 

「なっ!」

 

 

機械文明最強の国、ムーが他国の機械を輸入するなどとんでもないことだ…つまり…

 

 

「こと戦闘機の速度はマッハ1.8、時速だと1,900kmになります」

 

「…は?」

 

 

時速1,900km…化け物の部類だ。ミリシアルでもそんな速度の航空機は作れまい。

 

 

「あと一つ、これは大使としてではなく、個人的な発言として申し上げたいのですが、よろしいですか?」

 

「…は…はい」

 

「パーパルディア皇国は、日本という国を分析し、勝てるといった結論に至ったからこそ日本人観光客を殺して、日本の逆鱗を叩き割る行為に出たと我が国は考えています」

 

「我が国が分析した結果……ムーはとても同じ事は出来ません。ムーは、日本に敵対できるほどの国力を持ち合わせてはおりません」

 

「何度も申し上げるように、これはムーの正式意思ではなく、私の個人的な感想なのですが、私は貴国の勇気に敬意を払いたいと思います」

 

「な!!!!」

 

 

第1外務局職員、ニソールの背中から冷や汗が吹き出る。

会談は終了し、彼は早急に帰省、『緊急調査報告書』の作成にとりかかった。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

日本国 首都東京 霞ヶ関ーーー

 

 

日本に保護されたアルタラス王国の王女『ルミエス』は外務省から話がしたいと呼ばれ、霞ヶ関に来訪していた。

来賓室の扉を開け、中に入る。部屋の中にいた日本国外務省職員、その他が起立し、ルミエスに一礼する。

 

 

「どうぞこちらにお座り下さい。」

 

 

一同が着席し、話が始まる。

 

 

「私にご用件とは、いったいどのような内容でしょうか?」

 

 

ルミエスが問う。 

 

 

「外務省の柳田です。パーパルディア皇国が日本人観光客を虐殺した事件はご存知でしょうか?」

 

「はい、聞き及んでいます。日本の民の方々のご冥福をお祈りいたします。」

 

 

ルミエスは左手を右胸にあて、目を瞑る。第3文明圏の主力宗教の祈りの形だ。

 

 

「ここで、日本国政府から提案なのですが、フェン王国からパーパルディア皇国軍を我が国が追い払った後、ルミエス王女を長として、アルタラス王国の正当政府を名乗っていただけませんか?」

 

「もちろん日本もこれを承認すると共に、現在日本と国交のあるすべての国に承認するよう働きかけます」

 

 

ルミエスは驚きの表情を浮かべる。

 

 

「そ……それは、私にとっては願ってもなく、ありがたい事なのですが、……その……それをしてしまうと、列強パーパルディア皇国は属領の反乱という自国の基盤を揺るがしかねない事態とみなし、日本に殲滅戦を仕掛けてきます」

 

「日本国を不幸にしてしまうかもしれない…それでも、本当によろしいのですか?」

 

 

アルタラス王国は文明圏外の国家としては突出して強い戦力を有していた。そして、パーパルディア皇国を研究していたにも関わらず、圧倒的な敗北をしている。

王女ルミエスは、日本が強いであろう事は理解していたが、列強の恐怖に心をとらわれていた。

 

 

「はい、日本国政府はパーパルディア皇国と全面戦争になる事を恐れません、赤子の手を捻るように亡国にできます」

 

「フェン王国奪還後に考えてもらっても構いません、アルタラス王国開放のためには、自衛隊の派兵を行うつもりです」

 

「アルタラス王国の解放は、パーパルディア皇国からの植民地解放のモデルケースになり、皇国解体への第一歩となるでしょう。」

 

「!!!!」

 

 

日本は自国の民を殺された怒りから、列強パーパルディア皇国を解体するつもりなのだ。そんな列強解体なんて、考えた事も無かった。

大きな、歴史を動かすような所業が本当に可能なのだろうか?

 

アルタラス王国 王女ルミエスは熟考する。第一回目の会談は終了した。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

フェン王国 コウテ平野ーーー

 

ニシノミヤコから首都アマノキに至る途中にコウテ平野という平野がある。

平野部ではあるが、大地に栄養は無く、作物が育たないばかりか、水の吸収性が良く、雨は大地のはるか下層まで一気に落ちるため、水の確保が出来ない。

 

よってここは無人の平野であり、木も育たず、短い草の生えるのみの草原となっている。

 

パーパルディア皇国陸戦隊の約3000名はこのコウテ平野に至り、布陣を整えていた。この平原を抜けると首都アマノキに至る。

この場所では、フェン王国軍が死に物狂いになって突進してくる事が想定されていた。

 

陸将『ドルボ』は南側を注視する。南の海上には、支援攻撃のための砲艦20隻が見える。

 

列強戦列艦の雄姿を見る。絶対の自信。

ドルボはいやらしい笑みを浮かべる。

 

 

「フ……これでいかなる戦力が来ようとも、負けるはずがない!!」

 

 

一呼吸おいて、彼は命令を下す。

 

 

「よし、進軍するぞ!!」

 

 

上空にワイバーンロードが12騎天空に舞い上がり、進軍進路上の偵察を開始する。

横1列に並んだ地竜の先頭に、隊は進む。

 

 

「首都アマノキを落したら、そこの人間はやりたいようにするよう兵に伝えろ!!」

 

「ウォォォォ!!!」

 

 

兵たちは、様々な想像をし、士気も上がる。

 

 

「今回も……皇国が勝つ!!」

 

 

気合が入る。

 

 

「(……ん??)」

 

嫌な予感。

その瞬間、突如としてはじけるような炸裂音が鳴り響く。

 

 

「何の音だ!!!」

 

 

音のする方向を見る。

上空を見ると、偵察に向かっていたワイバーンロード12騎がバラバラに粉砕され、肉片が雨のように落ちてくる。

 

 

「!!な!!何だ!!!???」

 

 

ドルボは海を見る。

 

 

「!!!」

 

 

陸将ドルボの目に、見たことも無いような巨大な艦が1隻映る。当初は自分の遠近感がおかしいのかとも思ったが、そうでは無いらしい。

その艦を望遠鏡で覗く。

 

巨大艦の上には太陽が輝く旗がはためく。

 

 

「!?日本の艦?」

 

 

突如、巨大な艦から連続して煙が上がる。

 

 

「まさか、魔道砲の発射炎か?」

 

 

凄まじく装填が速い!!!!轟音が連続して聞こえる。

 

 

「!!!!!!!」

 

 

信じられないものが目に映る。

味方が……味方の精強な戦列艦がなす術も無く連続して爆発する。

 

 

「そんな……そんな馬鹿な!!」

 

 

信じられない事に、音の数だけ味方の戦列艦が連続して爆発し、撃沈される。

 

 

「わ……我が方の魔道砲の射程距離を遥かに凌駕している!!!しかも…まさか…全弾命中だとぉ!!」

 

 

短時間の敵の砲撃で、自分たちを支援するはずの戦列艦は海の藻屑となった。

 

洋上では、ムーの技術士官『マイラス』と戦術士官『ラッサン』はゆうぐも型護衛艦8番艦『かざぐも』に乗船し、それを眺めていた。

先進的なデザインではあるが、ムーの誇る戦艦『ラ・カサミ』に比べ、船長は長いが船幅は小さい。砲の数も1門しか無く、やはり頼りない。

 

機械動力艦であるため、パーパルディア皇国の帆船に射程距離まで近づかれる事は無いだろうと思いたいが、こんなに弱々しい艦であれば、もしかしたら戦列艦隊に捕らえられて被害を受けるかもしれない。

そう思っていた。

 

しかし、日本の軍船はたったの1隻で列強パーパルディア皇国の20隻もの艦隊に戦いを挑み、一方的に撃破してしまった。

砲の射程距離は長く、常識では考えられない速さで連射できる。

 

そして何よりも驚くべきことは、敵も自分も海も動いているにも関わらず、百発百中の射撃精度。

自分たちの戦術の常識がガラガラと音をたてて崩れ落ちる。これほど砲が当たるのであれば、確かに1門でも目的を達するのだろう。

マイラスは技術的考察に耽るのだった。

 

任務を完了させた『かざぐも』は、戦場を離脱していった。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

同時刻ーーー

 

パーパルディア皇国陸戦隊は、眼前で偵察用のワイバーンロードが撃墜され、目視範囲にいた第3文明圏最強の皇軍戦列艦が連続して爆発し、轟沈するのを目の当たりにし、士気が低下する。

 

 

「!!!何かが18騎向かってきます!」

 

 

目の良い者が叫ぶ。ドルボは地平線を見る。

遠くの方から土煙をあげ、角の付いた異物が18騎、こちらに向かってくる。

 

 

「(速い!!)」

 

「何だ!?」

 

 

ドルボは物体のことを良く理解できない。向かってくる異物を見た地竜のうち何体かは、導力火炎放射の準備にかかる。

地竜の口内に、火球が形成されはじめる。

 

その時、18騎いた敵の角から爆裂魔法が投射された。

 

地竜に向けて発射された90式戦車A型の120mm滑腔砲と74式戦車H型の105mm滑腔砲は、全弾それぞれ狙った地竜に命中、竜の内部を引き裂き、砲の飛び出し口に大きな穴を開ける。

弾は貫通し、その後方の歩兵密集地で爆発した。

 

爆音があたりに木霊する。命中した部分の歩兵は30人単位でなぎ倒され、中途半端に生き残った者たちはさながら地獄のようなうめき声を上げる。

 

 

「チッ!!爆裂魔法!?いや、魔導砲か!?」

 

 

敵の鉄竜はさらに距離を詰める。

 

 

「牽引式魔導砲であの化け物を仕留めろ!!」

 

 

皇軍兵は騎兵に牽引させてきた魔導砲で化け物、鉄竜に狙いをつける。大きな炸裂音と共に、鉄竜が再び発砲する。

地竜が耳を塞ぎたくなるほどの断末魔をあげ、即死する。

 

 

「装填が早い!!なんという射撃精度だ!!!!」

 

「一番近い敵に集中砲火!!!!」

 

 

パーパルディア皇国、皇軍陸戦隊から一番近くにいた90式戦車A型に向け、皇国の移動式魔導砲が発射された。

複数の魔導砲の弾が最前にいた90式戦車に降り注ぐ。

 

大地が削れる。

奇跡的に、複数の魔導砲のうち2発が90式戦車に命中、戦車は煙に包まれる。

 

 

「敵、鉄竜に2発命中!!!」

 

「フハハハハハ!!調子に乗りおって!!他の鉄竜も片付けるぞ!」

 

 

魔導砲着弾の爆炎の中から命中したはずの鉄竜が何事も無かったかのように現れ、止まる。

 

 

「ま……まさか、全く効いていないのか!!?」

 

「そんな……そんな馬鹿な!!」

 

 

鉄竜から再度、雷鳴の轟きと共に大地を裂く強大な爆裂魔法が放たれる。

パーパルディア皇国陸戦隊の地竜32頭は日本国海兵隊の90式戦車A型と74式戦車H型の射撃により全滅した。

 

 

「鉄竜、後退していきます!!」

 

 

地竜を葬り去った90式戦車は前面を皇国陸戦隊に向けたまま後進してゆく。

皇国陸戦隊の中には自分たちの魔導砲が鉄竜を追い払ったと勘違いした者たちが歓喜の声をあげる。

 

 

「地竜、全滅!!」

 

 

報告があがる。やつらは地竜だけを狙い、目標を撃破したからこそ退いたのだ。

 

「ええい!次は何が来る!」

 

 

ドルボは恐怖に支配されていた。

城門すら1撃で吹き飛ばす皇国の切り札、陸戦兵器のけん引式魔導砲、これが着弾しても壊れない物体を彼は知らなかった。

 

日本の兵器……魔導砲が確実に命中したのに、何事も無かったかのように動き続け、攻撃をしていた。

現在の自分たちにあの鉄竜を破る術はない。

 

 

「どうする……」

 

 

脳裏に降伏の2文字が浮かぶ。

 

 

「(いや、それは出来ない…)」

 

 

皇帝陛下の関心が高いこの戦いで降伏すると、一族がどんな目にあうか解らない。

ドルボは戦う事を決意する。

 

敵の鉄竜は、陸戦隊から約3kmはなれて停車し、角をこちらに向ける。

 

 

「いったいどうするつもりだ?」

 

「後方に未確認飛行騎!!数は3騎!!」

 

 

ドルボは後ろを振り向く。

 

 

「!あれは何だ!?」

 

 

我が軍のはるか先、微かに見える位置に灰色の飛行騎が3騎、編隊を組み飛行していた。

耳を澄ますと、ゴオォォォという音が聞こえる。それはワイバーンオーバーロードよりも早かった。

 

 

「なんだ??!!!」

 

敵騎が咆哮し。下部からブォォォォォォォォォ、という濃厚な音が流れる。

それは重低音だけを撒き散らすのではなく、白い煙を上げながら、連続して陸戦隊に向かい、光の槍が猛烈な速さで飛んでくる。

 

声を発する暇も無くそれは着弾、巨大な爆発と共に、歩兵が被害を受ける。後方の隊は恐怖に駆られ、前方の中心部に逃げる。

しかし、隊の最前列は停止しているため、密集体系となる。

 

敵騎は上空に飛来する。マスケット銃を撃つも当たり前だが当たらない。

それどころか、敵機はギュォォォオオオォオという声と、ゴオォォォという音を出す。

 

 

「ひぃっっっっっっ!」

 

「し、神龍かぁ!??」

 

 

兵士は怯える。その間にも敵騎は旋回し、また陸戦隊を正面に見据える。

 

 

「くそ!!あの飛竜も倒せないのか!!!」

 

 

ドルボは吐き捨てる。

味方は既に脅えきっており、主力の地竜も全滅、敵については空の鉄竜、鉄の地竜を倒す術も見つからない。

 

 

「ドルボ様、ドルボ様っ!!!」

 

 

陸戦策士のヨウシはドルボに必死に語りかける。

 

 

「何だ!!!」

 

「早急に降伏を進言いたします!!我々は追い込まれています!!!」

 

「何!」

 

「我々は追い込まれているのです!兵が無意識のうちに密集、中心部に追い込まれています!!敵は止めを刺すつもりです!!!地竜も、ワイバーンロードも、支援攻撃の砲艦も失いました」

 

「もう勝つ術はありません…全滅する前に降伏を!!!」

 

 

そうする間にも敵騎…『A-10』は近づいてくる。

 

 

「しかし……我々は、日本人を殺した部隊だぞ。降伏してもなぶり殺しに遭うだけだ。」

 

「ですが!!このままでは全員死にまする。全員死ぬよりも、僅かでも生き残る手段を!!!」

 

「……解った。」

 

「降伏の旗をk「敵騎何かを投下!」なんだ!!」

 

 

その時、『A-10』からMk.77爆弾が投下される。

ナパーム弾の後継とされるその爆弾は効果を発揮し、陸戦隊を壊滅に追い込んだ。

 

パーパルディア皇国皇軍陸戦隊は、フェン王国コウテ平野において、日本国海兵隊フェン王国奪還軍第1戦闘団との戦いに敗れ、全滅した。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

パーパルディア皇国 皇軍ーーー

 

 

超F級戦列艦『パール』の艦上で、将軍『シウス』は悩んでいた。

フェン王国を支配せんがために派遣された皇軍、当初の戦力であればあっさりとフェン王国を支配できていたはずだった。

現にニシノミヤコはあっさりと落ちた。

 

だが、第1外務局の皇族レミールの命令により、日本人観光客を処刑してから何かが変わり始めた。

先ほど竜母艦隊のあった所に偵察に行った砲艦4隻から竜母艦隊壊滅の報が来た。壊滅的被害ではなく、壊滅である。

 

上空を飛んでいたワイバーンよりも圧倒的な速さを誇るワイバーンロードの12騎も超高速で飛翔する鉄竜により、あっさりとなす術も無く撃墜されている。

そして、何よりも懸念すべきことは、そろそろ魔信不感地帯から出るはずの陸戦隊とも、支援攻撃のための戦列艦とも連絡が取れない。

 

 

「まさか……全滅か!?」

 

 

いや、そんなハズは無いと否定したい自分もいるが、現に竜母は壊滅し、ワイバーンロードを落した鉄竜は常識を遥かに超える速さだった。

 

 

「南西方に未確認艦16!!!」

 

 

見張り員から報告があがる。

 

 

「来やがったか!!!」

 

 

将軍シウスは皇軍に戦闘を指示する。

 

 

「(まだ、数において、圧倒的に我が軍が有利だ!!!)」

 

 

後に、フェン王国の戦いと、歴史上では一括りにされた海戦が始まろうとしていた。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

フェン王国 ニシノミヤコ沖合いーーー

 

 

パーパルディア皇国、皇軍の戦列艦183隻を含む284隻の大艦隊は向かい来る日本軍16隻を撃つため、戦闘態勢に移行していた。

列強たる皇国の技術とプライドの結晶たる100門級戦列艦隊が前に出る。

 

パーパルディア皇国最大・最強であり、大艦隊の指揮をとる超F級戦列艦『パール』に乗艦する将軍『シウス』は日本軍を眺める。

旗艦は艦隊中央部に位置し、指揮をとる。

 

 

「ダルダ君、君は勝てると思うか?」

 

 

隣に立つパール艦長『ダルダ』に尋ねる。

 

 

「これほどの大艦隊と、最新の戦列艦をもってすれば、神聖ミリシアル帝国の有名な第零魔道艦隊を相手にしても負けますまい」

 

「海戦の強さを決するのは、戦列艦の質と量です。第3文明圏最高の質と、戦列艦183隻の量を超える者など、ここには存在しません」

 

 

話は続く。

 

 

「もし仮に、日本軍の艦の性能が我が方を凌駕していたとしても、砲も少数、そしてたったの16隻ではどうにもなりますまい」

 

 

ダルダは絶対の自信を見せる。

 

戦列艦隊は魔力を出力最大にした風神の涙を使用し、帆いっぱいに風を受け、波を裂きながら進む。

シウスは日本軍を注視する。

 

日本の艦は見たことが無いほど大きい。砲は1門か2門、艦前部に設置されているのみである。

砲の大きさから見て、第2文明圏の列強ムーの戦艦『ラ・カサミ』の回転砲塔に近いものなのだろう。

日本の艦も、過去に魔写で見たことのある『ラ・カサミ』と同様に帆が無い。

 

 

「(…いやな予感がする)」

 

 

1発あたりの威力は、我が方の100門級戦列艦よりも大きそうだ。

 

 

「速いな」

 

 

敵艦の速度が自分の知る船の常識からかけ離れている。これほど速いなら、魔導砲を当てるのも大変だろう。

 

 

「まあ、それは敵も同じ事か…」

 

 

日本軍との距離は、近い所で10kmを切っている。緊張が走る。

 

 

「ん!!??」

 

 

日本軍の最前列にいる艦の砲口が光、煙が発生する。

 

 

「敵艦発砲!!!」

 

「まだ10km近く離れているぞ。何の儀式だ?」

 

「何か、威嚇のつもりでしょうか?」

 

 

決して砲弾が届くはずのない距離からの発砲。シウスとダルダは日本軍の意図を計りかねる。

突如として皇軍の最前を進んでいた100門級戦列艦に光が走る。

 

ヘリコプター搭載型ミサイル巡洋艦『やましろ』の127mm単装速射砲から発射された砲弾は、正確にパーパルディア皇国、皇軍の100門級戦列艦に着弾し、対魔弾鉄鋼式装甲をあっさりと貫通、弾薬庫で爆発した。

爆圧は内部から外部に向かい、木造部分を粉砕しながら上部に突き抜ける。艦は上部に壮大な火柱を上げ、真っ二つに折れて沈んでゆく。

 

 

「せ………戦列艦『ロプーレ』轟沈!!!」

 

「「……………」

 

「な……ど……どういう事だ!?」

 

 

シウスとダルダは眼前の現実の理解に苦しむ。

その時…

 

 

「敵艦連続発砲!!!」

 

「な……なんという装填の速さだ!!!」

 

 

艦隊の前方に連続して火柱が上がる。

 

 

「戦列艦『ミシュラ』、『レシーン』、『クション』、『パーズ』轟沈!!!」

 

 

沈み行く船が多すぎて、報告が間に合わない。敵船は未だ我が方の射程距離のはるか先にいる。

 

 

「敵艦、進路を変えます!!」

 

 

砲を放ち続け、敵艦は我が艦隊に腹を向ける。その距離約6km。敵は後続の艦も攻撃に加わり、射撃密度が増加する。

全弾命中し、発砲音の数だけ沈み行く味方の船。

 

 

「全弾当たるとは、どんな魔法だ!!!」

 

「じ…上空に敵騎多数!!」

 

「!!!」

 

 

敵騎には竜母隊が壊滅している為、攻撃できない。

上空から戦列艦隊を殲滅している第15護衛艦隊の100km後方の第6艦隊第3軽空母打撃群所属『いぶき』から発艦したAV-8B ハリアー II5機が急降下する。

ハリアーⅡの主翼のハードポイントからCBU-87/Bクラスター爆弾が投下される。

 

CBU-87/Bは約200個の子爆弾を放出する。小爆弾は対魔弾鉄鋼式装甲を薄紙のように貫通し、穴を上げて水を浸水させる。

 

シウスは運良くCBU-87/Bの直撃を喰らわなかったが、艦隊の殆どが航行不能か沈没していた。

 

 

「こんな……こんな現実があってたまるかぁぁぁぁ!!!!」

 

 

シウスは閃光と共に、強烈な揺れと衝撃に見舞われ、壁に叩きつけられる。

 

 

「左舷に被弾!!!!」

 

「逃げろぉぉぉ!」

 

 

120門級戦列艦『パール』の左腹に大きな穴が開く。

海水が艦内に流れ込み、バランスを崩した『パール』は、徐々にその巨体が傾き始め、やがて転覆、装甲の重みでゆっくりと沈んでいった。

 

シウスは海を漂う。流れてきた木材に掴まり、海上から皇軍を見る。

信じられないほどの短時間で、第3文明圏最強の国、列強パーパルディア皇国の大艦隊は1隻も残らず、海の藻屑と消えた。

 

パーパルディア皇国皇軍284隻は日本国海上自衛隊第9艦隊第18護衛隊群16隻と交戦、284隻全てを失い全滅した。

 

その数時間後、ニシノミヤコに残存していた皇軍はその主力を失ったため、ニシノミヤコを奪還に来たフェン王国軍に降伏、列強と2カ国連合軍の戦いは、2カ国連合の圧勝に終わった。

フェン王国のニシノミヤコでは、この日を記念し、船の形に組んだ木を焼く火柱祭りが毎年開催されることとなる。

 

 




レレレさん、ポギャンさん、51さん、マクロススキーさん、リュンさん、知らんやつさん、提督兼指揮官兼トレーナー、戦艦紀伊さん、ご感想ありがとうございます。マクロススキーさんと知らんやつさんは2回感想書いてくださり感謝です。

cipher13さん、はぜさん、hirohiroさん、ローエンさん、ジョン・ヘイさん、イクサバさん、神尾鈴さん、バイパーゼロさん、shockさん、トトマルさん、ちぇん0さん、龍一123さん、笛とホラ吹きさん、ゴルペーザさん、関山さん、お気に入りに登録ありがとうございます

エヴァはLRSさん、nogi-爽汰さん、トトマルさん、13FAさん、なかてさん、ポギャンさん、よこしゅうさん、ケーキリゾットさん、レレレさん、A1さん、ARIAHALOさん、Suzu1202さん、腐乱華悪棲鬼威さん、zharさん、神城さん、undeさん、評価ありがとうございます

山鳩さん、誤字報告ありがとうございます、助かります

感想で質問も募集中です。返信を必ずしますのでお気軽に感想を寄せてください。ログインしていない方もかけます。

そしてこの作品が2万UAいただきました。ありがとうございます。
私のような初心者の駄文を見ていただけてとても感謝の気持ちでいっぱいです。
これからパ帝戦全盛期になります。皆様が楽しく・面白くなるような小説を作っていきたいと思います。
今後も『強化日本国召喚』をよろしくお願いします

感想・評価お待ちしてます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。