ビビった。あと今回小ネタが多いです。
パーパルディア皇国 皇都エストシラント 第1外務局ーーー
第1外務局長室では、今後の日本に対する措置について、パーパルディア皇国軍最高指揮官『アルデ』を交えて話し合いが行われていた。
通常であれば、文明圏外の蛮国1国程度に軍の最高指揮官や、皇族が介入するはずもないが、本件は皇帝陛下の関心が高く、失敗は許されないため、皇国幹部の関心も高くなっている。
第1外務局長『エルト』が発言する。
「間もなく皇国陸戦隊がフェン王国の首都アマノキを落とす頃ですね」
「で、その後の事だが……」
その時、ドアがノックされ、話が中断する。
「入れ!!!」
第1外務局次長『ハンス』が汗をかきながら入室してくる。
「本会合に関係ある内容でしたので、失礼とは思いましたが、文書をお持ちしました。」
顔色が優れない。ハンスは局長エルトに対し、文書を差し出す。
【緊急調査報告書】
そう書かれていた5枚程度の簡単な報告書が机上に置かれる。ハンスは報告書の概要を口頭で説明する。
「第2文明圏列強ムーがフェン王国での戦いに関し、日本側へ観戦武官を派遣した事案につき、ムー大使に事実確認とその意図を調査した結果の報告書になります」
「うむ」
ムーが観戦武官を日本側へ派遣した事を知っていた第1外務局は、ムーの意図を計りかねていた。
もしかすると日本はムーが注目するほどの新魔法を持っているのではないかといった説も出た。
よって、観戦武官の戦死を覚悟してまでも日本に派遣したと……
しかし、であるならば皇国側に派遣してこなかったのが不思議であったため、確認を行っていた。
「結論から申し上げますと、ムーはフェン王国での戦いは日本が勝つと判断しています」
「「「何っ!!!!」」」
エルト、レミール、アルデの3人は同時に発言する。
「ハンス!どういう事だ!!?」
「ムーは、自らが入手した情報を分析した結果、今回の戦いは日本が勝つと思っているのです」
「どうやら日本の戦闘機をムーは輸入しており、その速度は音の速度を超えると…」
沈黙……。
「まさか…」
軍の最高指揮官アルデは話し始める。
「もしかすると、これは仮説ですが、日本は元々皇国と全面戦争をするつもりだったのでは?そして、準備はすでに相当に進んでいた」
「そこで、皇軍がフェン王国に向かう事を察知し、艦船数千隻、そして10万を越える陸軍を送り込んだのかもしれん。我が軍では、日本には砲艦があると分析されています」
「技術レベルは通常文明圏弱と思われ、文明圏外国家としては突出して高いと分析しています。我が国に劣るとはいえ、数千隻の砲艦が相手では、ちと今回の派遣軍だけでは荷が重いかもしれません」
「何より、砲弾が不足してしまう。陸戦隊も3千のみであるため、敵の陸軍が5万を超えたら荷が重い」
「いずれにせよ、シウス将軍が派遣されている。援軍が必要であれば、要請してくるでしょう。要請があれば、西部艦隊も差し向けます」
「しかし……ムーは、何か情報を掴んでいたな……」
「もしそうだとして、皇軍は敗れるのか?」
エルトが問う。アルデは、笑みを浮かべ、答える。
「エルト様、ご安心下さい。このまま継続して戦うと砲弾が不足するかもしれないといった心配であり、数千隻の船が電撃作戦を行うのは不可能でございます」
「我が方が被害を受けることはございません。なにより、我が国の風神の涙の質は世界一でございます」
「船速が違うので、艦隊が被害を受けることもございません。 仮説が正しければ多少フェンを落とすのに予定よりも時間を要するかもしれませんが、後でシウス将軍には確認し、必要があれば援軍を差し向けます」
「フェン王国は皇国から近いため、敵が一気に攻めてきていたとしても、弾薬が尽きる前に援軍を到着させられるでしょう」
安心した空気が漂う。
「もしそうだとすると……日本か……蛮族め!!!」
レミールが吐き捨てるように言う。
またもや戸がノックされる。
「失礼します!!!!」
汗にまみれの第1外務局の若手幹部が入室してくる。
「何だ!!!!」
「フェン王国に派遣していた皇軍は、戦列艦隊、揚陸艦隊、補給艦隊、竜母艦隊、陸戦隊、すべて全滅、残ったニシノミヤコ守備隊は、日本国とフェン王国の連合軍に降伏しました」
「「「「!!!!!!!!!」」」」
「な……何だと!?」
エルトは狼狽する。
「ば……馬鹿な!!何かの間違いではないのか?」
アルデは、誤報ではないかと指摘する。
皆が狼狽している時、食器の割れる音がする。室内にいた者は、その音源に注目する。
そこには鬼の形相をした女性が立っている。
「な……何だと!!?蛮族ごときに、局地戦とはいえ、この皇国が敗れただとぉ!!!アルデ!!奢ったな!!!戦で相手の戦力を分析し損ねるとはっ!!」
パーパルディア皇国軍は、フェン王国を落とすために十二分な戦力を整えていた。日本さえいなければフェン王国を落として余りある戦力だった。
「も……申し訳ございません!!軍を再編成して、万全を期します。もう皇国が負ける事はございません!!!では、すぐに準備に取り掛かります!!!」
アルデは逃げるように退室した。
「お……おのれぇ!!蛮族めぇぇぇぇ!!!!」
レミールの目は血走っている。フェン王国で、皇国が敗れた事はすぐに各国に広まるだろう。
73カ国の属国を抱える列強パーパルディア皇国が文明圏外国家に対し、局地戦とはいえ敗れることの意味、そして危険性をレミールは十分理解していた。
恐怖支配をしている属国に対し、宗主国が弱い姿を見せるとろくな事にはならない。恐怖支配の脆弱性である。
「殲滅だ!!列強たるパーパルディア皇国がここまでコケにされた事を許すわけにはいかない!!!日本国を殲滅するしかない!!!エルト!!」
「はい!!」
「陛下に許可をもらいに行く。殲滅戦の準備をしておけ!!!アルデにも伝えろ!!!」
「ははっ!!!」
レミールは退室した。
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旧アルタラス王国 王都 ル・ブリアス 地下組織ーーー
パーパルディア皇国の支配下にあるアルタラス王国の地下組織は活動を続けていた。
しかし、列強との力の差は絶望的なほど開いており、万が一、王国内にいる皇軍を駆逐したとしても、本国から再びあまりにも強い軍隊がやってくる。
地下組織は勝ち目の無い戦いに突入していた。しかし、辞める訳にはいかない。
軍長『ライアル』はいつものように、皇国の動きを把握する。せめて、王族の誰かが生きていたら、その方を長として動けば国民も賛同するだろう。
しかし、王は戦死し、王族のほとんどは皇国に虐殺されたか、戦闘中に行方不明となっている。
「ちくしょう!!」
ライアルは、未来を考え、ストレスがたまる。
「軍長!軍長!!!」
突然部屋のドアが開かれ、各国の魔信を傍受していた通信員が駆け込んでくる。
「(ノックもしないとは、非礼な奴だ)」
「軍長!!すぐに通信室に来てください!!」
「いったい何だ!?」
「いいから、早く!!早く!!!」
通信員はライアルの手を取り、部屋へ引っ張っていく。
部屋に入ると、並べられた魔導通信具の中の受信具がほのかに緑色に光る。
「第三文明圏内国家の『マーズ王国』経由の通信です!!これはマーズの魔信ニュースです!!!」
受信具に注目する。
ガ……ガガーガ……と受信具が鳴る。決して通信状態は良好ではない。
『ガ…ガガガガ…みなさん、私はアルタラス王国の王女ルミエスです』
「!!!!!!!!」
ライアルは全身に打たれたかのような衝撃が走り、目尻に涙が溜まる。
「ル……ルミエス様、生きておられたのか!!!!」
「しーっ!!しーっ!!!聞こえない!!!」
ライアルは注意を受け、沈黙する。
『……であり、現在我が国はパーパルディア皇国によって、不法に占拠されています。よって、同時刻を持ち、アルタラス王国は日本国内において、臨時政府を置き、私『ルミエス』を長として、ここにアルタラス王国の正統政府を宣言いたします』
『現在我が国アルタラス王国と日本国は、安全保障条約の締結に向け、話し合いを進めています』
『パーパルディア皇国は、直ちにアルタラス王国から撤退しなさい。さすれば、無益な殺生はいたしません』
そこで声は止められ、息を吸う音が聞こえる。
『アルタラスの民よ!私の声が聞こえているなら、《その刻》に向かい準備をしなさい!!我が国の民なら誰でも解る方法で《その刻》を知らせましょう!!』
『現在パーパルディア皇国の支配により、苦しんでいる国の人々よ!!本日、フェン王国を攻めていたパーパルディア皇国軍は、日本とフェン王国の2カ国連合に敗れています!!』
『列強パーパルディア皇国軍は確かに強い。しかし、最強ではありません!!!負けない訳ではないのです!!!』
『時期がくれば、あなた方の《力》が必要となるでしょう。今は準備をしていただきたい!!!』
『アルタラス王国王女ルミエス氏はこのように述べ、アルタラス王国の正統政府の樹立を宣言いたしました。これに対し、日本国政府は同王女を正統政府と認め、安全保障条約締結に向け、話し合いをしていく旨発表し、各国にも正統政府と認めるよう働きかけていく方針を示しました』
『……えー、今新しいニュースが入りました。先ほどのルミエス王女の発言にあった、パーパルディア皇国がフェン王国での戦いに敗れたといった内容に関するニュースです』
『本日未明、フェン王国を攻めていた列強パーパルディア皇国軍は、フェン王国と日本国の2カ国連合軍に敗れています。え!?……編集さん、この数値は本当ですか?』
『……失礼しました。同戦いで、パーパルディア皇国軍は300隻以上の艦船を失っています。これは……全滅に近い、海上戦力に関し、全滅したようです』
『ボソボソボソ……えー、パーパルディア皇国軍はその主力ともいえる竜母艦隊、竜母艦隊、これも失っている模様です。ちょっと……原稿を読んでいて、信じられません』
『変わって、次のニュースです。魔導師キャンディー氏は、美肌に関する魔法を同じく日本国の三浦氏と中村……』
通信が切られる。沈黙。
皆、顔が笑った状態で震えている。
「パーパルディア皇国が、フェン王国で、完膚なきまでに叩き潰されて負けているぞ!!!」
「ルミエス様が生きていたんだ!!!」
「よし、時が来るまで全力で頑張るぞ!!!」
地下組織の士気は上がっていく。
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パーパルディア皇国 皇都エストシラント 第1外務局ーーー
「何だ!!今の魔信は!!!!」
日本から各国に向けて発せられた魔信は、皇国でも傍受されていた。局内に怒号が飛び交う。
属国が独立宣言を行った。しかも、他の国にも決起を呼びかけているのではないかともとれる発言をしている。
皇国の基盤を揺るがしかねない事態。
「これは……レミール様の、皇帝陛下への殲滅許可については、結果を聞くまでもないだろうな。皇帝陛下は殲滅を選択されるだろう」
「日本国も馬鹿なことをしたな。本当の列強の恐ろしさを思い知る事になるだろう。」
幹部たちは執務室で話す。その時、窓口勤務員が執務室に飛び込んでくる。
「今度は何だ!!?」
「日本国外務省2名が、担当と会談をしたいと事前連絡をしてきました!!」
「「「……………」」」
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パーパルディア皇国 皇都エストシラントーーー
パーパルディア皇国軍最高指揮官『アルデ』は困惑していた。
ムーが観戦武官を日本側に送り、かつ日本がフェン王国での戦いに勝つと分析していると知った時、日本は大軍をもって対応したと考えた。
であれば、ムーの分析も理解できるし、敵の出方を見誤っただけかとも思った。しかし、トップ会談中に飛び込んできた情報は、彼を困惑させるのに十分な威力を持っていた。
フェン王国派遣部隊の全滅、皇国陸上戦力として見れば損傷は軽微だが、皇国海上戦力としては全てが壊滅したに等しい。
この情報がもたらされた事により、彼の頭の中は混乱の極みとなる。
仮に文明圏内の国家が戦列艦数千隻を使用し、今回の派遣部隊に襲い掛かったとしても、僅かな被害と作戦の遅延が予想されるのみであり、決して全滅にはならない。
ロウリア王国と日本国の海戦経緯から、日本国の戦力を算出していたが、どこかの情報が根本的に間違っているのかもしれない。
「一度日本に関するすべての情報を洗いなおせ!!情報源まで特定しろ!!!」
「ムーは……いったい何を掴んでいるのだ!!!まさか!!?」
アルデの脳裏に最悪のシナリオが思い浮かぶ。まさか……、ムーは今まで決して行ってこなかった、自国の機械科学兵器の輸出を開始したのかもしれない。
自国のある第2文明圏から最果ての地である日本に輸出すれば、自国が被害を受ける可能性も無く、そして我が国への攻撃にもなる。
万が一第3文明圏が日本の手に落ちたとしても、間には第1文明圏があり、神聖ミリシアル帝国を挟んで牽制できる。
文明圏外国家であれば、文明差がありすぎて複製も出来ないだろう。
ムーにとっては自国の兵器が他の列強にどれだけ効果があるのか測定でき、輸出費も儲け、そしてパーパルディア皇国への牽制も出来るため、一石二鳥ならぬ一石三鳥である。
「もしそうだとすると……マズイ!!マズすぎる!!!!」
アルデは、日本国に関して再調査するよう部下に下命した。
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第1文明圏 列強 神聖ミリシアル帝国 港町カルトアルパス とある酒場ーーー
酒場では、平面水晶体に酔っ払いどもが注目する。
最上位列強国、神聖ミリシアル帝国ではカラー映像の魔信ニュースが送信され、平面水晶体の受信機で見ることが出来る。
方式は違えど、映像付きのニュースが流れるのは、神聖ミリシアル帝国と、第2文明圏の列強ムーのみだろう。そして、カラーで見ることが出来るのはこの世界最強の国、神聖ミリシアル帝国のみである。
平面水晶体には、週1回流される、世界のニュースが映し出される予定だ。貿易で働く者たちにとって、このニュースはとても価値のあるものだった。
「始まるぞ!!」
音楽が流れはじめ、ニュースが始まる。
『こんにちは、世界のニュースの時間です。今日は皆様に信じられないニュースをお届けします』
『それでは、最初のニュースです。覇を唱え、周辺国に対し、繰り返し侵略を行ってきた第3文明圏の列強【パーパルディア皇国】が、【フェン王国】の攻略に失敗し、派遣軍は事実上全滅いたしました』
『今回の全滅により、パーパルディア皇国は、海上総戦力の全てを失った模様です。パーパルディア皇国を退けたのは、東の果てにある文明圏外国家、【フェン王国】と【日本国】の2カ国連合です』
『どのような兵器を使用したかは不明ですが、今回のパーパルディア皇国の敗戦は、第3文明圏のあり方に、大きな影響を与えると考えられています』
『変わって次のニュースです。【グラ・バルカス帝国】、通称【第8帝国】は【神聖ミリシアル帝国】に対し、2年に1度我が国が主体となって開催される会議、先進11カ国会議に参加させるよう、要求をしてきました』
『政府はこの申し出に対し、検討する旨を回答している模様です。【グラ・バルカス帝国】は列強【レイフォル】との戦争に圧勝しており、列強の自覚があるため、今回このような要求をしてきたものと思われます」
ニュースが終わる。
「おいおい!!聞いたか!??」
今日の酔っ払いたちの話題は1つだった。
「聞いたぜ!!第3文明圏列強パーパルディア皇国が、フェン王国に攻め入って、文明圏外の2カ国連合と戦い、返り討ちにあったらしいな!!!」
「列強が、文明圏外国家にやられるとは、信じられねぇ」
「またあれか!新興国の日本とかいう国が絡んでいるな!!ロウリア王国の侵攻からクワ・トイネ公国を救った国だ」
「そういえば、日本は第3文明圏の神話に出てくる魔王ノスグーラが復活したとき、小隊を送って魔王を倒してしまったらしいぞ」
「魔王って、大層な名前だが、どの程度のものなのだろうな。しかし最近レイフォルが崩壊したり、局地戦で列強が敗れたり、話題に事欠かないな」
「まあ、しかし、日本がどれだけ凄かろうが、中央世界は安泰だよ。神聖ミリシアル帝国は格が違いすぎる」
「はっはっは、そうだな!!!」
酔っ払いどもの話は続く。
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パーパルディア皇国 皇都エストシラント 皇宮ーーー
皇族『レミール』は、日本に対する殲滅許可をもらうため、皇帝『ルディアス』の下に訪れていた。
「もう報告書は読まれたと思いますが……。」
レミールは概要を説明する。
「……結果、皇軍はフェン王国の攻略に失敗しました。そして、日本国内からアルタラス王国王女、ルミエスが臨時政府の樹立を宣言いたしました」
「他の属領もわき立っております。このまま日本国をのさばらせておくと、皇国の癌になりかねません」
「よって、日本国に対する正式な宣戦布告と、同国国民に対する殲滅戦の許可をいただきに参りました」
皇帝ルディアスはゆっくりと話始める。
「今回の失敗、アルデは驕ったか……。奴の処遇についても考えねばならんな」
「しかし、たかが文明圏外の蛮族どもに……列強たる皇国がこれほどまでに、なめられるとはな……私は不愉快だよ」
「レミール、流石だな。最初からおまえの言うとおりだった。私が甘かったようだ」
「やはり、このような蛮族は殲滅し、皇国に逆らった愚か者はどうなるか、世界に知らしめなければならない」
「……今、ここにパーパルディア皇帝ルディアスの名において、日本に対する宣戦布告及び殲滅戦を許可する!!!」
第3文明圏列強パーパルディア皇国は、日本国に対し、民族浄化を原則とした戦争を行うことを決意した。
それが眠りから起きた龍を本気にすると知らずに…
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数時間後ーーー
レミールは、第1外務局の会議室に向かっていた。本来なら「敵」となった日本のために出向く事は考えられないが、『フェン王国での戦いの後に会談をする』とレミール自身が日本側に伝えており、日本国外務省の担当もこれを了承していた。
局地戦とはいえ、決して負けるとは思っていなかったため、会議室へ向かうレミールの足取りは重い。今回は、つけ上がった日本が前回よりもさらに高飛車な態度に出てくる事が予想された。
「……小賢しいな」
しかし、考え方によっては、日本に早急に宣戦布告を伝える事が出来るため、組織としての事務手続きは楽になる。
そして、日本国の外交官の口から蛮族の国民どもに、列強たるパーパルディア皇国が本気で殲滅戦をしかけてくる事が伝えられ、日本国民は恐怖のどん底に叩き落されることだろう。
「(まあそれも良いか…)」
レミールは会議室のドアを開ける。中には見慣れた顔が2人、朝田大使と補佐の篠原である。
会議が始まる。
「……フェン王国での戦いの結果は知ってのとおりと思いますが……パーパルディア皇国の民のためにも、前回提示した日本国からの要求、考えていただけましたか?」
日本国からの要求は、大まかに言えば重要参考人(皇帝)を含む、日本人虐殺に関与した被疑者の引渡し、そして被害日本人への賠償及びフェン王国への謝罪と賠償であった。なお、被疑者にはレミール自身も含まれる。
「フ……解りきった事を聞くのだな。断る」
「そうですか、では日本国としては……」
「こちらから伝える事がある」
レミールは朝田の発言を遮るように話し始める。
「おまえたちは、我が国の属国の独立を促す者を保護する等、皇帝陛下の怒りを買いすぎた。自分たちが何をしているのか、全く理解できていない蛮族はこの世には要らぬ」
話は続く。
「お前たちは列強の力をなめ過ぎている。そして、お前たちの国の意思決定を行う者たちは、自分たちだけは安全だと思っているのではないか?甘いな」
「その愚かな考え方が、自分たちを滅ぼすことになる。その考え方が……皇帝陛下の猛烈な怒りを買う事になり、自らを滅ぼすことになってしまうのだ」
「哀れな日本国民よ、我が国、パーパルディア皇国は日本国に対し宣戦を布告、全国民を抹殺する事を決定した。」
朝田は驚愕の表情を浮かべる。
「ほう…民族浄化ですか…皇帝陛下はヒトラーにでもなったつもりですかな?」
「(ヒトラー?誰だそれは?)…お前たち2人も、国に帰った後、侵攻してきた我が国の兵により殺されるだろう。今殺さないのは、私からの慈悲だ」
「……呆れるな…」
「自分たちの置かれている状況が見えないばかりか、虐殺を良しとするとは、あなた方ほどの愚か者と交渉したのは初めてだよ」
「蛮族、蛮族と相手を見下し、戦う相手の手の内を見ないとどうなるか…この戦いで学ぶと…いや、国が滅ぶのだから学べないな。これは失礼失礼」
「あなたが言った言葉丸々貴国にお返しする。我が国が本気を出すとどうなるか見るが良い」
朝田、篠原は席を立つ。
「この世界、列強と虚勢を張っていてもこの程度ですか……あなた方のような蛮族どもとは、個人的には2度と交渉したくないものです」
「ふん、その言葉、死に行く者の戯言として受け取ろう」
日本国外務省のパーパルディア皇国交渉担当の朝田と篠原は退室した。
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数分後ーーー
日本国外務省の朝田と篠原は、第1外務局を出た後、荷物を取りにホテルに向かっていた。
途中、急に馬車が停車する。
「!何だ!?」
すぐに従者に偽装した国家憲兵隊治安介入部隊の隊員2人が立ち塞がる。黒い服を着た男が1名、馬車の前に立つ。
男は馬車に近づき、朝田に話し始める。
「少し話しがしたいのだが、その先に私の屋敷がある。そこで話は出来ないか?」
話しかけてきた男に、朝田と篠原は見覚えが……パーパルディア皇国第3外務局局長『カイオス』の姿がそこにはあった。
「カイオス殿!?…日本国と貴国は戦争状態に突入した。もう申し上げる事は何も無い、失礼」
朝田らは立ち去ろうとする。
「待ってくれ!!今後戦争がどのように推移するにせよ、双方に全く話し合いの窓口が無いのは不幸な事だ。せめて私と貴国だけでも連絡手段を確保しておきたい」
「魔信を渡そうとも思ったが、信用出来ないようであれば貴国の準備する通信機器を私の屋敷に置くといった方法をとっても構わない」
「正気ですか?貴国の事だ。内容が上に知れたら、貴方もタダではすまないのではないですか?」
「ああ、タダではすまないな。しかし、貴国も唯一の窓口である通信機が置いてある場所には『戦略爆撃隊』で『空爆』はしないだろう?」
「皇族の近衛隊には、私の息がかかっている者が何人もいる。通信機を設置するだけだ、貴国にとっても悪い取引ではないと思うが」
「『空爆』……貴方は我が国について、少しは調べたようですね。解りました。その話、本日中に上に報告しましょう。」
カイオスの屋敷は海に面しており、敷地も広大であったため、後日秘密裏に通信機と発電機が設置された。
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日本国首都 東京 とあるホテルの一室ーーー
ムーの技術士官『マイラス』と、戦術士官『ラッサン』は、話し合いをしていた。
『ゆうぐも型護衛艦』に乗り、観戦武官としての使命、日本の力を計る事は彼らにかつて無い衝撃をもたらしていた。
まず驚いた事は、大砲の連射性と、その命中率であった。船は動き、海にも波があり、そして相手も動く。
そんな中、目視していた限りでは、実に100パーセントというとんでもない命中率を、日本の艦船はたたき出している。
日本で買った本を解読したところ、これは砲を安定させる技術と、『FCS』と呼ばれる相手との相対速度を瞬時に算出し、そして砲弾の飛翔速度をも計算、敵の未来位置に向かい、砲を撃っているらしい。
こんな情報が一般市街の本屋に売ってて大丈夫か!??と近くにいた中央国家情報庁の職員に聞いたところ
ちなみに興味本位で『もし、許可を得ずに
|『|その時は我々が死なない程度に痛めつけて雇い先を追い詰めて色々制裁します《具体的には、口にマーマイトとハギスを突っ込んで、『鬱アニメ12時間連続視聴休憩は無しだよ♡』上映会をやる》と言っていたので彼らは日本国、中でも情報機関に喧嘩を売らないことを誓った。
…閑話休題。このシステムにより、信じられない事であるが、大砲で空を飛ぶ目標をも撃墜できるとの事であった。そして、その本のには今回見る事が出来なかった脅威の兵器が記載されている。
『潜水艦』と呼ばれる海に潜る事が出来る船、『誘導弾』と呼ばれる射程距離が100kmを超える兵器、そして海中を進む『魚雷』と呼ばれる兵器…そんな兵器は考えたことが無かった。
そして極め付けの本のラストに書いてあった『核』と『ICBM』…概要を読んだかこれは『禁忌』だ。古の魔法帝国の『コア魔法』と同様の物だ。
どれもが現時点のムーの技術力の総力を結集しても造れるものでは無く、今回我が国が見た日本国の圧倒的な力は、まだまだ日本の極一部の力にすぎず、技術的優位性は全く無いという事に気付かされる。
2人は日本の底力を脅威に思うと同時に、友好国となった事に安堵する。これほどの力、そして技術力を我が方に輸入出来ればグラ・バルカス帝国にも対応する事が出来よう。
「マイラス、日本をどう見る?」
「どうもこうも、技術が我々よりも進みすぎていて、良く理解できない事が多すぎる。特に、LSIとかいう集積回路や、コンピューターと呼ばれる高性能演算装置の原理が良く理解できない」
「『スピッドファィア』戦闘機の時点で少しは知っていたが…はっきり言われるとキツイな…」
「そうか、俺は戦術が根本的に異なる事に驚いている。はっきり言って、我が国の艦隊はパーパルディア皇国なら蹴散らす事が出来るが、日本を相手にした場合、今回のパーパルディア皇国艦隊と全く同じ運命をたどるだろう」
「日本に高い兵器を使わして、より金を使わせる事くらいしか出来そうに無い」
「「はぁ…」」
2人は溜め息をつく。重い空気が流れる。
「ラッサン、しかし収穫ならあるぞ」
「何だ?」
「兵器の概念、進むべき方向性が見えた。考えた事も無かった『誘導弾』という兵器、おそらく、日本のそれに比べれば速度は遥かに遅いが、初歩的なものであれば我が国でも作れるかもしれない」
「日本と外交する事で、我が国は長期的に見て神聖ミリシアル帝国を超える事が出来るだろう」
「ほう、ちなみにグラ・バルカス帝国はどうだ?」
「解らない。だが、日本側に伝えたところ、日本も『グラ・バルカス帝国』を脅威に思っているらしい」
「どうやら対グ帝用に日本は『第1~2世代主力戦車』や旧式の『第2~3戦闘機』や退役した護衛艦をそのままくれる様だぞ!」
「そうか!だが、我が国でも主力戦車やジェット戦闘機を作りたいな…」
ムーの観戦武官たちの考察は続く。
「…ん?、これは!?『ドイツ第三帝国の戦車全解説編!設計図もあるよ♡』だと!!」
「なんだそのエ○漫画みたいの」
「ちなみに私は熟女モノが好きです」
「誰も聞いてねえよ」
作者はド○チェフ氏やチ○チ○亭氏みたいなムチムチ系が好きです。
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日本国 首都 東京ーーー
外務省の柳田は、ムー大使館を尋ねていた。
「ムー大使のユウヒです。本日はどのようなご用件でしょうか?」
少し緊張した顔で大使は話す。その表情から、多少の狼狽が見て取れる。
「実は、日本国政府から貴国に対しての要望があります」
ユウヒの顔はさらに緊張する。
「何でしょうか?」
「実は……」
柳田はカバンの中からA3サイズの写真を取り出す。
「ムーは、各国の地に外交連絡用の空港を造っていると聞いています」
柳田は写真の一箇所を指差す。
「アルタラス王国にあるこの空港の使用許可と、この空港がどの程度の加重に耐えられるのか、設計の詳細が知りたいのです」
「な!!!こ……これは!?なんと精巧な!!航空写真ですか?」
「いえ、宇宙空間にある我が国が打ち上げた人工衛星が撮影した写真です。」
「!!……いやはや、貴国の本で読んで、事前の知識はありましたが、自分の前に写真が広げられると、貴国の技術を実感いたします。」
ユウヒは一呼吸おく。緊張の顔は既に解かれている。
「確かに、その空港は我が国が造りました。細かい仕様はすぐには分かりませんので、本国に問い合わせ、判明すればすぐにお伝えいたします」
「アルタラス王国は、大規模魔石鉱山があるため、将来的に大型輸送機の開発及び輸送も考えられていたため、相当強く造っていたはずです」
「ただ、我が国が飛行場を造る場合、土地の使用及び飛行場の建設許可をもらった後、建設いたしますが、その所有権はあくまで空港のある国に属します」
「つまり、アルタラス王国であれば、アルタラス王国の所有物となります」
「現在はパーパルディア皇国が支配していますので、パーパルディア皇国の所有物ですね」
「皇国がアルタラス王国を攻める時、ムーにも事前通告があり、アルタラス王国内に現在ムーの人員はおりません」
「つまり、飛行場を利用したい場合は、ムーではなく、現在所有している国に許可を取る必要があります」
「所有権を有する国が良いという事であれば、ムーは空港を日本国が使用する事に口は出しません」
「アルタラス王国に関しては、皇国の支配により、現在はすでに使用出来ない状態となっているため、基地として使用いただいても、改造してもらっても構いません」
柳田の顔は明るくなる。
「ありがとうございます。その言葉だけでも十分です!!!」
会談は終了した。
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日本国 首都 東京 国会議事堂ーーー
国会議事堂ではパーパルディア皇国への宣戦布告案が採決しようとしていた。
議長が議事堂内を見渡し言う。
「これより採決をいたします」
議長の右側に座る阿倍野総理の顔が険しくなる。
「本案に賛成の皆さんの起立を求めます」
「「「「「!!!!」」」」」
「「「「…………………」」」」
そう言われた直後、けたたましいフラッシュが生じる。
なんと全ての国会議員が起立していた。第1野党党首も、左派最大勢力の党首も全員が起立していた。
若い議員の中には目尻に涙を浮かべる人もいる。
「過半数と認めます。よって、本案は可決されました」
「宣戦布告案は7日前の衆議院での可決と今会の可決により、宣戦布告は認められました」
「宣戦布告案可決の為、日本国憲法第四章第六五条に則り、内閣総理大臣『阿倍野三晋』君に演説を求めます」
記者たちのフラッシュが焚かれ、阿倍野総理が壇上に向かって歩く。
総理が手を上げ、ザワついた空気が静まりかえる。『日本国内閣総理大臣』はゆっくりと話し始める。
「みなさん、我々の外交交渉も虚しく……皆さん知ってのとおり、パーパルディア皇国は我が国、日本国に対し、宣戦を布告いたしました」
「さて、パーパルディア皇国は今回、日本国民の全てを虐殺し、民族浄化を行うと伝えてまいりました」
「日本国政府は、皆様の前ではっきりと宣言いたします」
「日本国政府は、その持てる力の全てをかけて、日本国民の皆様を守ります!!絶対に!!!絶対に守り抜きます!!!」
「私は、パーパルディア皇国の宣戦布告に対し、日本国憲法第五章第七三条の自衛隊の最高指揮権に基づき、自衛隊全隊にパーパルディア皇国を滅亡させる様命令しました!!」
「日本国政府は、必ず皆様を、パーパルディア皇国の民族浄化から守り抜きます!!!」
「本日、2020年1月30日午後3時30分を持ちまして、日本国はパーパルディア皇国に対して宣戦布告をします!!!!」
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日本国 外務省ーーー
アルタラス王国の王女ルミエスは、またもや日本国外務省を訪れていた。
あいさつが行われ、会議に入る。
「外務省の柳田です。日本国政府からの言葉をお伝えします」
「アルタラス王国との安全保障条約ですが、政府は条約を結ぶ用意があると言うことです」
ルミエス王女の顔が喜びに溢れる。柳田は心の中で『(結婚したい)』と思いながらも、話を続ける。
「そして、条約によって、アルタラス王国内のパーパルディア皇国軍基地を潰そうかと思います」
「皇国軍の大半を日本が潰しますので、アルタラス王国が独立した後、王国内にあるムーの造った飛行場と周辺の土地を基地として使用させていただきたい」
「もちろん追加工事はこちらで行います。それが出来れば、パーパルディア皇国の皇都エストシラントまでの自衛隊と
アルタラス王国の空港を使用する事が出来れば、日本側と含めて、2方面での上陸作戦を行える。
ルミエスは短時間考えた後にこう回答した。
「我が国と貴国が安全保障条約を結び、再び独立する事が出来るのであれば、日本国が国内の空港を使用する事を許可いたします。基地を造っていただいても構いません」
会談は早期にまとまり、アルタラス王国に進駐するパーパルディア皇国軍を攻撃する事が決定された。
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神聖ミリシアル帝国 帝都ルーンポリスーーー
神聖ミリシアル帝国情報局はかつて無いほどの忙しさに見舞われていた。
神聖ミリシアル帝国は、『情報』の重要性を良く理解し、情報を制する者は世界を制するといった考えの下、情報分析に力を入れている。
しかし良く理解できない事象が2つあった。
1つ目は、近年西方海上に出現した『グラ・バルカス帝国』、彼らは歴史の表舞台に突然現れた。
文明国に属する国家と、文明圏外に属する国家では超えられないと言えるほどの壁が存在する。
ゆえに、文明圏外国家は、文明圏に入ろうとする場合が多いが、文明圏の各国とも、文明圏外国家を見下しており、かつ文明圏外の国の国力が万が一にでも文明圏を超えないために、技術流出に対しても相当の制限がかけられている。
そしてその国力差をもって、文明圏内の国は文明圏外国家から、様々な物を吸い上げる。技術差を利用した文明力の差による既得権がそこには存在している。
歴史上、文明圏外国家の国々が連携をとり、文明圏に攻め入る事象はいくらでもあった。しかし、それは1度も成功する事は無かった。
『グラ・バルカス帝国』なる文明圏外国が、周辺の国々、文明圏外の蛮国を瞬く間に制圧し、第2文明圏に対し、最初に交渉してきた時、第2文明圏の『パルス王国』は、列強『レイフォル』を窓口にしてくれと伝えている。
レイフォルの性格からして、それは正しい判断だったと言えよう。
しかし、レイフォルに、彼らが交渉に出向いた際には、文明圏外国家はまず『パガンダ王国』を通せと言われ、窓口で追い返されている。
そして第2文明圏のレイフォルの保護国、『パガンダ王国』に彼らはやってきた。その時、交渉したのはパガンダ王国の王族だった。
パガンダ王国は、グラ・バルカス帝国が王国を通さずにレイフォルに直接交渉に行った事に対し、礼を知らない文明圏外の蛮族と罵しり、さらに莫大な賄賂を要求したようだ。
グラ・バルカス帝国の交渉担当も皇族だったという情報もあり、パガンダとの交渉の際に。
『我が帝国が、貴様らごときの低文明でかつ小国に対し下手に出てやっているのに、その言い分は何だ!!!』
と激高したという。
交渉したパガンダの王族は、文明圏外の蛮族のたかが外交担当ごときが、文明圏のレイフォルの保護国たるパガンダ王国の王族に対し、無礼であるとし、不敬罪の名の元に処刑。この出来事により、グラ・バルカス帝国は激高。第2文明圏に宣戦布告し、パガンダ王国を強襲制圧し、列強レイフォルとの戦争も圧勝している。
情報局長『アルネウス』は、傍らの部下に話しかける。
「グラ・バルカス帝国について、その後新たに情報はあるか?」
「現在、グラ・バルカス帝国は、本国の位置さえ不明です。そして、レイフォルとの戦いから分析した結果、第8帝国の戦艦グレードアトラスターに関して言えば、我が国の最新鋭戦艦と同等かそれ以上の性能と思われます」
「全く信じられない事ですが、分析結果はそのようになっています。」
突然の強国の出現に、情報局長は頭を痛める。
そして不可解な事象の2件目、第3文明圏フィルアデス大陸の北東に位置する『トーパ王国』、そこで第3文明圏にある神話に登場する存在、魔王『ノスグーラ』が復活した。
その時、日本国と呼ばれる文明圏外の国が小隊をもって、『ノスグーラ』を倒したという。魔王を倒す際に日本が使用した兵器、戦車と呼ばれる兵器は出力の関係上、我が国の魔導機関をもってしても、出力不足で動かないと分析されている。小型にすれば可能らしいが……
そして、信じられない事に、人が持ち運び可能な対空型の誘導魔光弾のような兵器が使用されたとある。誘導魔光弾は、対艦用がまだ開発中であり、対空用にあっては、夢の兵器。
人が持ち運び出来るまで小型化するというのは、夢のまた夢である。
また、日本国は去年同じく文明圏外であるが、人口は超列強の国『ロウリア王国』を滅ぼした。ロウリアはクワ・トイネとクイラという国を滅ぼそうとしたが、日本が参戦した直後、首都を制圧され降伏したと伝えられている。
迷信の類を信じたいが、ロウリアの首都を砲撃した戦艦は300m級だという。
もしもこの報告が本当なら、日本国は神聖ミリシアル帝国の技術を上回ることになる。さすがに、この報告は荒唐無稽であり、情報局内でも信じる者は少なかった。
しかし先日、パーパルディア皇国がフェン王国へ侵攻、日本とフェン王国の連合軍に対し、戦いで全滅の被害を出して敗れた事により、日本国の軍事技術に関する情報を『ウソ』と決め付ける訳にはいかなくなった。
「もっと日本に関する情報をかき集めろ!!」
神聖ミリシアル帝国情報局長アルネウスは部下に対し、日本について調べるよう指示した。
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日本国 防衛省ーーー
「意外と簡単に落ちるかもな……」
アルタラス王国を撮影した衛星写真を見ながら、担当者は分析する。
現在アルタラス王国内のパーパルディア皇国軍は、首都『ル・ブリエス』から少し離れた場所にワイバーンロード用の滑走路を置き、基地を建設している。
それが1点。
2点目として、首都ル・ブリエスの港に戦列艦が20数隻停泊している。
3点目は、首都から北方約40kmの位置に基地のようなものがある。
アルタラス王国内でのパーパルディア皇国軍は、この3箇所に集中しており、幸運な事に、人口密集地に基地は無い。
この3箇所はすべて艦砲の届く位置でもあり、皇国の主力をこの射撃により消滅させれば、アルタラス王国自身の手で王国を取り戻せるのではないか?
「うーん、そんなに甘くは無いかな」
戦争の準備は着々と進んでいた。
2行でわかる今回の流れ!!
パ帝「は?何フェンの軍殲滅してくれちゃってくれんの?あったまきた…(激昂)殲滅戦だしまっす」
日本「なんだぁ…てめぇ…」
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突如やる用語解説
○新世界条約機構(NWTO)
旧ロウリア王国の領土に独立した地球諸国の連合。異世界版NATO。
参加国は、アメリカ共和国、イギリス王国、フランス共和国、ドイツ共和国、カナダ公国、ロシア共和国、東アジア連合、アフリカ連合、中東連合、スカンディナビア共和国、など
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感想・評価お待ちしてます
宣戦布告フェーズ。ちゃんと国家を通して宣戦布告したのは総理が先を見通して『列強を滅ぼすならちゃんとやっとかないとなぁ』となってやりました。
国民性なのか、この日本はアメリカみたいに大統領が独自で派兵することはあまり今までありませんでした。
朝鮮戦争、ベトナム戦争、イラク戦争、湾岸戦争の時も一々議会をまって派兵した為アメリカは『早く兵力よこせや!!』って叫んだとか?(ちなみにベトナム戦争は日本軍が参戦したことや史実の日本軍製ゲリラ戦がなかった為、ベトナムは民主化しました)