超大国日本国召喚   作:一般通過愉悦部

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初めて一人称書いたので初投稿です。

上陸作戦が終了しました。
後ネタ多いです。

第1話をかなり修正したので、是非見てください。
展開が詳しくなっています。


第15話 ニュー・ノルマンディー 下編

中央暦1640年8月25日12時50分──

《パーパルディア皇国 都市ノルマディン沖 第826合同上陸任務部隊 旗艦『しきしま』》

 

 

第826合同上陸任務部隊を務める『秋山正信』下級海将は、『しきしま』の司令部作戦室(CDC)で通信員の報告を聞いていた。

 

 

「第825-2合同任務部隊は敵飛行部隊迎撃の為、合流できない様です」

 

「そうか」

 

 

援軍が居なくなるのは心配であるが、この艦隊も大部隊であり、その考えは杞憂であった。

 

         《第826合同上陸任務部隊編成》

 

【日本国海上自衛隊】

 

第1艦隊 第1護衛隊群 第1揚陸隊/第11水陸機動戦隊

            第7護衛隊

            第8護衛隊

     第2護衛隊群 第2揚陸隊/第12水陸機動戦隊

     第4護衛隊群 第4揚陸隊/第14水陸機動戦隊

            第5護衛隊

     第5護衛隊群 第5揚陸隊/第15水陸機動戦隊

            第6護衛隊

            第12護衛隊

 

第2艦隊 第6揚陸隊/第16水陸機動戦隊

     第6護衛隊群 第13護衛隊

            第20護衛隊

     第7護衛隊群 第3軽空母打撃群 

             第3軽空母打撃群護衛隊群

             第3軽空母航空団

            第14護衛隊

            第21護衛隊

第6艦隊 第8揚陸隊/第18水陸機動戦隊

     第9護衛隊群 第5ヘリコプター空母打撃群

            第16護衛隊

            第23護衛隊

 

【アメリカ合衆国海軍】

 

第1艦隊 第1両用部隊

      第11駆逐戦隊

 

【イギリス王国王立海軍】

 

 

本国艦隊 第1上陸作戦群

      第12駆逐艦隊

 

【フランス共和国海軍】

 

第1艦隊 第11上陸部隊

       第32駆逐隊

 

【大韓共和国海軍】

 

補助艦隊 第1揚陸部隊

 

 

 

◇◆◇

同日10分後──

《パーパルディア皇国陸軍 新皇都防衛隊 第1軍団 将軍『ノームアルト』》

 

第1軍団の将軍、『ノームアルト』は心配を隠せないでいた。

彼は日本軍の兵器が異次元であることも知っていたし、もうすぐ本土に上陸してくると、直感的に把握していた。

 

先程も超高速の飛行機械が飛び回り、軍の備蓄庫を正確に吹き飛ばした。

その時、彼の元に一本の魔信が入る。山頂の高倍率双眼鏡を配備してある監視拠点からであった。

 

 

「どうした!」

 

『て…敵の超巨大飛行機械が高空より接近!距離10km!!』

 

「!!」

 

 

彼はその超巨大飛行機械が皇都を爆撃したものだと確信して、指示を出す。

 

 

「壕に隠れろ!!」

 

「了解しました!総員退避!塹壕に立て篭れ!!」

 

 

ノームアルトは日本軍との戦闘を分析して、日本にワイバーンがいない事を知った。

ならば対ワイバーンでは火炎放射で炙られる塹壕に立て籠れば、少しは攻撃を回避できるのではと考えて、塹壕を掘った。

 

 

これであればあの空からの攻撃は防げる──。そう思って考えた。

塹壕に入ってから数分後、頭上でドシン、ドシンと言う、空からの爆弾の着弾音替え聞こえる。

 

 

「ぐおっ!」

 

「……」

 

「ぐ…」

 

 

塹壕の中は蒸し暑く、蒸し蒸しとするが、死ぬよりはマシだと考えてひたすら耐える。

 

 

「…終わったか」

 

「外に出ましょう」

 

 

体感にて1時間、本来はそれよりも短いが──爆撃は終わっていた。

だが、地上は悲惨の一言であった。

 

塹壕に入れなかった兵士が散らばり、塹壕に隠れていても塹壕ごと生き埋めになったり、爆散していたりした。

 

 

「これは…酷い…」

 

 

想像を絶する光景に瞠目していると、兵士が勢いよく報告して来た。

 

 

「司令!沿岸に敵多数!!」

 

「なにぃ!」

 

 

首元につら下げていたムー製の双眼鏡を除くと、そこには皇国海軍の数倍もいる艦船が数十隻も鎮座していた。1番大きい艦は、ムーの戦艦のような旋回砲塔を此方に向けている──

 

 

「不味い!艦砲射撃だ!!」

 

 

昔、ムーの海域の近くで暴れていた海賊の本拠地をムーが攻撃する際、観戦武官として派遣され、艦砲射撃の威力を見た。その恐ろしさに当時は鳥肌をかき、海賊を哀れに思ったが、こちらが攻撃される番となった。

 

その時、砲塔から煙が上がった。発砲したのだ。ノームアルトの生存本能が刺激され、『逃げろ』と語りかけてくる。

 

 

「逃げ──」

 

 

瞬間、ノームアルトの下半身の感覚がなくなり、彼は前のめりに倒れる。

腕で立ち直り、下を見ると──体が半分無かった。

 

 

「あ、あ…あ」

 

「し…しに…」

 

 

死にたくない──

助けて──

 

そう思って神に助けを求めるが、神は傲慢であり、非情である。

 

 

「あ──」

 

 

次の瞬間、炸薬量84kgの51cm砲弾が直撃し、近くに爆炎と爆風が乱れる。

煙が晴れた先には、何も無かった。

 

◇◆◇

1時間後──

《日本国海上自衛隊 しなの型強襲揚陸艦『あかぎ』ウェルドック 『AAV-7』兵員室内》

 

俺の名前は、『石鎚健斗』2等海兵曹。日本国海兵隊に所属している。

筋肉達磨野郎だけの狭っ苦しい兵員室に押し敷けられている。

 

相棒のACOGを付けた89式小銃(バディ)もずっしりと重さが伝わる。

今回の敵はパーパルなんとか?とか言う国らしい。

 

まあ、俺からしたら日本の敵ってだけで良いけどな!

東亜の時の旅順上陸の時みたいな激戦じゃ無いことを祈るぜ。

 

 

「おい、石鎚二曹!へばってんじゃねえぞ!!気ィ引き締めろ!!」

 

「イェッサー!!」

 

 

声をかけて来たのは、小隊長の『山下哲也』1等海兵尉。

元レンジャー教官という恐るべき存在だ。

 

彼に決して髪の話をしてはいけない。

前、髪ではなく紙の話をしていた同僚が10m吹き飛ばされてガラスを破って3階から落ちたのを見たことがある。

 

…あいつ元気かな。

 

 

「間も無く上陸です!」

 

「分かったか野郎ども!ケツの穴と装備閉め直せ!!」

 

「「「イエッサー!!」」」

 

「第1分隊よし!」

 

「第2分隊!ケツの締まり良し!」

 

「第3分隊、いつでも行けます!!」

 

「野郎ども!出撃だ!!」

 

「「「おう!」」」

 

 

そう考えていると上陸が近づいたようだ。

神経を研ぎ澄ませる。

 

 

「え~ご乗車有り難う御座います。本車両はあかぎ発、ノルマディン行き急行AAV-7です」

 

「次の駅は終点ノルマディン。お出口は後方です。お忘れ物の無いようにご注意ください、ハハハハハ」

 

「降車降車降車!GOGOGOGO!」

 

 

後方のドアから海岸に出ると、そこは地獄であった。

こびりついた血、謎の物体。死体が焼ける匂い。

 

ウェッ…此処は旅順よりある意味地獄だぜ。

しかしどうすっか…殺すべきクソ野郎どもが1匹もいねぇぞ。

 

小隊長殿に尋ねるか?いや前、訓練でそれ聞いて鉄鉢の上から叩かれて気絶した奴いたな。

…あいつも元気かな?

 

まあ、丁寧に尋ねれば叩かれないだろう。

 

 

「小隊長殿!どうするのでありますか?」

 

「うるせぇ!!黙ってろ、ドタマかち割るぞっ!!」

 

 

ヒェッ、こっわっ。やっぱり元ヤンじゃ無いかなこの人。

前寿司を一緒に食った時、『手が汚れるのがやだ』とか言って素手で食ってたし。

 

 

「ほう..ほう…そうですかい。その仕事、ウチの組がやりましょう」

 

 

組ってなんだよ。ヤ○ザかよ。やっぱり元ヤンじゃん。

そう考えていると、小隊長が目標を伝える。

 

 

「野郎共!仕事が入った。正面の洞窟に数人隠れているらしい。しかも将校クラスがいる様だ。将校は捕縛しろ。後は殺せ」

 

「「「イエッサー!!」」」

 

 

しかし道中は遮蔽物が全く無いな。

気をつけて進まなければ。敵は旧式っていうレベルじゃない程の大砲を使っているらしいが、大砲は大砲だ。

 

神経を研ぎ澄ませ、注意を払いながら進む。そうすると、目的の洞窟までたどり着いた。

聞き耳を立てると、どうやら階級は少将らしい。あれは多分俺たちの攻撃を見てイカれちまってるな。

 

小隊長殿が閃光グレネードを投げるそうだ。この狭い空間なら確実に平衡感覚を無くせるぜ。

 

 

「手榴弾投擲ぃ!!」

 

 

光と共に呻き声が上がる。…敵は哀れだな。俺たちの姿形を見ずに逝っちまう。

 

 

「行け行け行け!!」

 

 

中に一気に押し入り、兵士だけを殺す。将校はびびって股間が染みてやがる。

汚な(本心)。

 

 

「ヒィ!なんだ貴様らは!!」

 

「泣く子も黙る日本海兵隊だぁ!!全員お縄に着きやがれ!!」

 

 

…お縄に着く前に鉛玉食らってるんですがそれは。

小隊長殿の言葉を半端無視して、喚くデブの将校に拘束バンドを巻き付ける。

 

 

「俺は南部上流貴族!!ウォールトン家の長男スミルスト・ウォールトンだぞ!何をする!!」

 

「あぁ?動くなっ。撃つぞゴラ!!貴様は捕虜だ。変な動きをしなけりゃ命は保証してやる」

 

「なんだと貴様ぁ!!寂しい頭で恥ずかしくないのか!!」

 

「「「あっ(察し)」」」

 

「… なんだァ?てめェ......」

 

 

なんて事だ、もう助からないゾ♡(震え)。

いやマジでどうにかしないと将校殺しちまうぞ!!どうしよ!!

 

 

「小隊長殿!!上層部からの命令は生捕りです!殺すのは不味いかと!!」

 

「…ちっ!助かったな貴様」

 

 

第1分隊長殿!!長年の付き合いの分隊長殿の言葉なら聞いてくれる。

よかった。これで治るぜ。

 

 

「石鎚二曹!こいつを母艦まで輸送しろ!」

 

「サー!!イエッサー!!」

 

◇◆◇

同時刻──

《パーパルディア皇国 都市ノルマディン沖 第826合同上陸任務部隊 旗艦『しきしま』》

 

 

「海兵隊より連絡!『敵少将クラスの捕虜を獲得。母艦へ輸送する』とのことです」

 

「了解した」

 

「司令、橋頭堡を確保しました。上陸作戦は成功です!」

 

「よし!皆よくやってくれた!!」

 

 

艦橋の要員が喝采を上げる中、秋山は隣にいる2人の観戦武官に話しかける。

 

 

「どうですかな?我が海兵隊の実力は?」

 

 

その言葉に技術士官の『マイラス』は顎に指を当てながら返答する。

 

 

「凄まじいですな。特にあのLCAC?でしたかな?あれは凄まじい」

 

「どう言う原理で動いているのですか?」

 

「ああ、あれは吹き込み口以外に穴が空いており、風船の様に浮き上がってるわけではなく、あちこちの穴が十分に小さいので、吹き込み口から十分に空気を送り込んでおけば、狭い穴から逃げられなくて風船内部にとどまり、膨らみ続けるのですよ」

 

「私は技術系ではありませんからうまく説明できませんが…この様な感じです」

 

 

考えもつかなかった原理に驚くマイラスを他所に、戦術士官の『ラッサン』は答える。

 

 

それ(LCAC)も凄まじいですが、私が1番驚いたのはヘリコプターです」

 

「あれがあれば陸の戦場は、兵士達が二次元で戦って来たのが三次元に広がる。一直線ではなく、点と点をつなぐ様に飛行できるあれば凄いですな」

 

「もし我々が輸入できたら戦場の常識が変わるでしょう」

 

 

その後も3人の話し合いは続いた。

 

◇◆◇

中央暦1640年8月25日夕方──

《パーパルディア皇国 皇都エストシラント 皇城パラディス城》

 

 

皇城パラディス城の謁見室では、皇国軍最高司令官『アルデ』が皇帝『ルディアス』に対日本国に対しての作戦を説明していた。数時間前に沿岸部に日本国海軍の姿が見えたと報告され、ワイバーン部隊に攻撃命令が出ていた。

 

 

「──よって、先程報告にあった部隊が上陸部隊の可能性は高いですが、皇都防衛隊第1軍団が展開しており、日本軍が上陸しても、付近に駐留中の第2・3軍があり、3個軍団で30万の兵士を従えています」

 

「ほう…第1軍団が敗れたらどうする」

 

「はっ、日本軍の陸軍部隊は数は少ないので、人海戦術に寄って敵を追撃します」

 

「うむ、良いであろう。これならば日本と現在交渉中の和平条約を結べる」

 

 

パーパルディア皇国は日本やNWTOと外交が通じていないので、日本と交友があり、パーパルディアとも大使館は撤退したが、一定の関係があるムーを通じて、和平交渉を進めていた。

 

 

「余は降伏は認めぬ。講和か和平条約を結び、なんとでもこの皇国を存続させるのだ」

 

「はっ、ですが日本国は講和後はどのようにするのですか?」

 

「…認めたくはないが、日本は強い。だから属領をまず先にする。日本と和平後、日本を通じて属領軍と講和、数年後力を貯めて属領を取り戻す」

 

「属領を取り戻さなければ皇国は飢餓で滅ぶ。先ずは属領だ。力を貯めるのには神聖ミリシアルとも協力を惜しまない」

 

 

謁見室にいた全員は驚愕する。皇帝はゆくゆくは神聖ミリシアルも超えると話していた。それは消えたのだろうか?

 

 

「皇帝陛下、神聖ミリシアルは超えるとおっしゃっていましたが、どうするのでしょうか?」

 

「…優先順序と言うものがある。先ずは属領。そして日本だ。ミリシアルの技術力ならば流石に日本は超えらるまい。ミリシアルの力で日本を滅ぼし、その技術力を奪う」

 

「日本は科学技術国と聞いていますが、我が国とミリシアルは魔法技術国です。日本の兵器の運用はどうするのですか?」

 

「日本の軍人を使う。軍人でも命は惜しかろう。協力すれば褒美を与え、しないのならば殺す。そうすれば使えるであろう」

 

「最も、皇国兵が使用方法を覚えたのならば殺すがな」

 

 

またもや全員は皇帝の考えに畏怖する。その時、会議室の扉が勢いよく開き、外から通信兵が入ってくる。

 

 

「報告します!!」

 

「会議中だ!どうした!!」

 

「最重要報告です!!」

 

 

通信兵は震えた声で報告を始める。

 

 

「ほ…本日15:00頃、日本軍が都市ノルマディンへ上陸、数は10万だと言うことです!!」

 

「「「「「!!!!!」」」」」

 

 

通信兵の言葉に会議室の皆は驚愕し、アルデは言葉に詰まる。

すぐさま再起動し、通信兵に第1軍団の事を話す。

 

 

「第1軍団はどうした!!」

 

「全滅に近い被害を食らった模様!!」

 

「直様第2・3軍団を向かわせろ!!」

 

「で…ですが…」

 

 

通信兵は言い淀むように話す。

 

 

「だ…第2・3軍団は敵軍上陸と同時に高空からの攻撃によって殲滅されたと…」

 

「…………」

 

 

既に第2・3軍団はB-1による爆撃で壊滅していた。

その報告にアルデは放心していた。

 

 

「失礼します!!」

 

「今度はなんだ!!」

 

 

次々と入る報告に、アルデは胃が痛くなる。

 

 

「報告いたします!!!属領15か所が落ちました!!」

 

「くそっ!!すぐに北部陸軍を派遣せよ!」

 

「了解です…しかし…」

 

「他の属領もすべて反乱を始めました。これで72ヵ所すべての属領が反乱した事になります」

 

「また、統治戦力はすでに無く、間もなく全属領が落ちると思われます」

 

 

会議室の気温が、氷点下まで下がったと思われる。

 

 

「さらに悪い知らせが。」

 

「何だ…」

 

 

アルデは気絶寸前の状態で話を聞く。

 

 

「反乱軍は互いに通信し、アルタラスを含めた73ヵ国連合軍を名乗り、パーパルディア皇国に宣戦布告をしてきました」

 

「これについては元々あった軍が抑えていたため、侵攻してきたとしても、現有兵力で対応可能かと思われます」

 

「今のところ、反乱以外に目立った動きはありません」

 

「…そうか。ご苦労」

 

 

そう言って通信兵は出るが、彼はそそくさと帰っていった。

何故ならルディアスの怒りが頂点に達していたのである。

 

 

「おのれぇ…日本がぁ…」

 

 

それを側近たちは、ビクビクとしながら見ることしか出来なかった。

◇◆◇

中央暦1640年8月26日早朝──

《パーパルディア皇国 東部地方都市アルフォイ 近郊》

 

 

東部地方都市アルフォイの近郊では、陸上自衛隊南部方面隊第6騎兵師団第3空中騎兵旅団第9空中機動連隊第1大隊とパーパルディア皇国陸軍東部防衛第1師団が戦っていた。

 

沿岸部では、大隊を率いる『桐生五阿』2等陸佐が司令部を率い、サーフボード片手にやっていていた。

120mm滑腔砲を撃つ10式戦車C型の後ろで副司令と桐生は争っていた。

 

 

「2佐!!あまりにも危険すぎます!!」

 

「うるせぇぞ!3佐!!俺が安全と言ったら此処は安全なんだ!!玉無し野郎は自宅でマミーの母乳でも吸ってな!!」

 

「何がなんでもサーフィンをする!!」

 

 

そう桐生は言うと上半身裸になり、サーフィンの準備を始める。

 

 

「クソッタレ!なんで火縄銃相手に苦戦してんだ!サーフィンは神経を研ぎ澄まさないとやれないんだぞ!!」

 

「敵がヤシ林の中に立て篭もり、ゲリラ戦を展開しているので迂闊に入れません!」

 

「ならば貴様らにナパームの使い方を見せてやる!!」

 

「正確に言えばナパームでは無くMk. 77だけどなぁ!HAHAHA」

 

 

ナパーム弾は2000年前後に処分されていたので在庫はない。だがMk. 77はナパームと似た性質を持っている。

彼は無線機を掴み、上空を飛行する前線航空管制機の『O/T-4A』に連絡する。

 

 

「無線を貸せ!!」

 

「ダブ4へ!近接航空支援(CAS)を要請する!!あそこのヤシ林を、吹き飛ばせ!!」

 

『こちらダブ4、了解』

 

「石器時代に戻せ!!」

 

 

O/T-4Aの後部座席に乗る統合末端攻撃統制官(JTAC)機上前線航空管制官(Fast FAC)は、近くの『F-15E』へ爆撃命令を出す。

 

 

『ホーク1-2機へ、ヤシ林にMk.77をぶち込め』

 

『任せろ、やっつけてやるぜ!』

 

『ヤシ林の敵兵を殺る。編隊を崩すな、投下したら離脱する』

 

 

Mk.77を胴体下に吊り下げるF-15Eは編隊を組み、右へ旋回する。

投下場所の上空をO/T-4Aが飛行し、場所を指し示す。

 

 

『行くぞ』

 

『目標到着まで30秒。下がってろ。派手に行くぞ』

 

 

30秒後、第1師団が立て篭っていたヤシ林は爆撃され、大きな火焔が上がる。

灯油284リットルの爆弾は何個も炎上し、パーパルディア兵は地獄よりも辛い苦痛を味わいながら絶命する。

 

大規模な火焔を見ながら放心する部下に桐生は話しかける。

 

 

「朝のナパームの匂いは格別だ」

 

「昔イラクで12時間ブッ続けで丘を爆撃してな、その跡を散歩したが死体一つ転がっていなかった」

 

「そこら中にガソリンの匂いがした」

 

「………勝利の匂いだ」

 

 

その後も、第6騎兵師団第3空中騎兵旅団第9空中機動連隊第1大隊は快進撃を続けた。

 

◇◆◇

中央暦1640年8月26日午後──

《パーパルディア皇国 皇軍司令室兼大本営地下壕》

 

 

大本営が日本軍の飛行機械の攻撃によって破壊された為、急遽資材保管室として管理されていた地下壕を皇軍司令室兼大本営として使用するようにした地下壕。

 

現在は、日本軍による攻撃から備える為に皇帝『ルディアス』が居た。皇国軍の総司令官はアルデだが、この緊急事態の為に一時的にルディアスが部隊の計画を練っている。

 

コンクリートで固められている廊下を第三外務局長『カイオス』が歩く。司令室の周りの廊下には参謀らが集まっている。その傍らには、第一外務局長の『アルデ』とその秘書の姿も見える。

 

 

「なぜ此処にいる。早く避難をしないと日本軍が来るぞ」

 

「ならなぜあなたもいるの?」

 

「私はこの戦争の引き金を引いた責任者として此処にとどまる」

 

「…大丈夫よ。陛下は仰っていたわ」

 

「シュータイヤー将軍の攻撃が始まれば状況は改善すると」

 

 

カイオスは周りを見渡した後、エルトと秘書にしか聞こえないように話す。

 

 

「そんなのは私も知っている。ファンタジーという事をね」

 

「恐らく陛下自身もな」

 

「皇帝陛下が私に嘘をつかれる?」

 

「あり得るさ」

 

 

カイオスが司令室に入ろうと動いた時、エルトは声を上げる。

 

 

「私は信じないぞ!」

 

 

カシャン、という掠れた音と共にドアが開き、カイオスは入った後、後ろの手でドアを閉める。

室内では中央にこの皇国皇帝であり最高指導者ルディアスがいた。

 

彼はムー製のメガネをかけて報告を聞いている。彼の周りには参謀らがひしめき、地下という性質も合わさり、異様な風景を作り出している。

 

 

「日本軍は広範囲で陣を突破し前進しております」

 

「北東部ではではアルフォイを占拠し、フォルグスに進軍しております」

 

「北西部ではタルヤードとネルスランの郊外で行動しており、皇都西部ではルリストック・マリクード・カストロストルフの線にまで到達しました」

 

 

絶望的な報告が続くが、ルディアスは顔色を変えない。彼はパーパルディア1の将軍『シュータイヤー』が率いる精鋭の皇都防衛隊第1近衛軍にノルマディンに上陸した敵を攻撃しろと命令を出していた。

 

将軍が時間を稼ぎ、和平交渉で停戦をする。それが目的であった。だが、命令を出してから3日経っているのに攻撃成功の報告は上がらない。

 

 

「シュータイヤー将軍の第1近衛軍が来れば大丈夫だ」

 

「「「……」」」

 

「攻撃の成果がまだ上がって来ていないが…」

 

 

その言葉に、室内の参謀らは固まる。皇国陸軍総司令官の『カイーテラ・ヴォルペル』は、新皇都防衛隊長の『アンポータン・ヴェルヘルス』の方を向く。アンポータンは苦しい顔でアルデの方を向く。

 

 

「閣下……シュータイヤーは…」

 

「シュータイヤーは総兵力が乏しく、そのまま日本軍との攻撃を避けました」

 

「将軍は日本軍に投降したとの事です」

 

 

その言葉に、アルデはルディアスを、怒りの為に震える左手で外す。メガネを外した後、彼はゆっくりと話し始める。

 

 

「…以下の者は残れ。カイーテラ(陸軍総司令官)ヨードルフ(陸軍西部方面軍長)クレーポスル(陸軍東部方面軍長)アンポータン(新皇都防衛隊長)

 

 

呼ばれた4人と、第3外務局長のカイオス、皇国軍広報部長官のゲッべルマンが残る。その他の人員が出てドアを閉めた後、ルディアスは怒りを爆発させた。

 

 

「命令したぞ!!シュータイヤーに攻撃しろと!!」

 

「私の命令に背き、しかも降伏するなどなんて事だ!!」

 

 

ルディアスの怒声は、司令室の外まで聞こえ、参謀らは顔を見合わせる。

 

 

「どうしてだ!寝る間も惜しんで考えた作戦が水の泡だ!!」

 

「そもそっも、どこの誰が、私の命令に背いたのだ!その結果がこれだ!!」

 

 

そう言うと、ルディアスはずっと作戦を考えて痛めた腰を支えながら立ち上がる。

 

 

「大っ嫌いだ!誰もが私を欺いた、外務局も!監察軍もだ!」

 

「将軍どもはくそったれ以下だ、大っ嫌いだ!」

 

 

その言葉に、現場上がりのヨードルフ(陸軍西部方面軍長)が反論する。

 

 

「陛下、余の屈辱です!!将軍と兵はあなたのために血を流し…」

 

「将軍なんて臆病者だ!!大っ嫌いだ!皇国陸軍のバーカ!!」

 

「皇帝陛下!!いくらあなたと言えども言い過ぎです!」

 

「うるっせぇ!大っ嫌いだバーカ!」

 

「将軍なんてパーパルディア人の中のクズ共だ!!」

 

 

彼はそう言うと、ムーから輸入した鉛筆を机に投げつける。鉛筆は真ん中から折れ、散らばる。

 

 

「畜生め!」

 

 

ルディアスはそう言い吐き、4人を罵る。

 

 

「貴様ら、将軍と言っても知っていることは女の抱き方と兵士の消耗の仕方だ!」

 

「だが日本の力を見抜けなかったのは…It's判断力足らんかった…」

 

「なぜ日本の情報を調べなかったのだ!!最初の報告を信じていればこうはならなかった!!」

 

 

彼はそう言い、今度はレミールへ矛先を変える。

 

 

「そもそもレミールのせいなのだ!あの姿目に刺さるニャン!」

 

「いつもあいつのおっぱいぷるんぷるん!」

 

「あいつのせいで敗北したのだ!私への恐るべき背信行為だ!」

 

「私は父上の三男だったが、兄達を蹴落としたりしてこの地位まで上り詰めたぞ!!」

 

「だがあいつは皇族だからと言って、最初から外務省を統括し、しかも私に伝えないで日本と開戦をした!!」

  

「だが馬鹿には報いが来る。自分の命で購うのだ。お前ら自身の血で溺れ死ぬのだ!」

 

 

その言葉に、エルトは涙を流し、秘書に体を支えられる。

 

 

「エルト様、落ち着いてください」

 

 

今度は、ルディアスは椅子に座り、ゆっくりと話し始める。

 

 

「裏切り者が!!奴らは最初から私を騙していたのだ!!」

 

「終わりだ。この戦争は負けだ。パーパルディアは滅亡する」

 

 

その言葉に6人は刮目する。皇国の最高指導者、皇帝であるルディアスが負けを認めたのだ。

 

 

「だが諸君、私がエストシラントを離れると思うならそれは大きな間違いだ」

 

「その前に、自身で命を絶つ」

 

「後は好きにしろ」

 

 

室内には、静寂だけが残った。

 




今後は、最新話投稿→既存話修正→最新話投稿ってなりそうです
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