超大国日本国召喚   作:一般通過愉悦部

42 / 47
水着マック&ゴルシが当たらなかったので初投稿です。キレそう
あとCBとシリウス実装いつだサイゲ


第2話 世界最強の国の驚愕

中央暦1641年1月23日──

《日本国中華地方香港上空 神聖ミリシアル帝国使節団 天の方舟35型》

 

 

「つっ!」

 

 

神聖ミリシアルの外交官『フィアーム』は、目の前の光景にプライドを破壊された。

眼下に広がるのは神聖ミリシアル帝国の首都『ルーンポリス』を遥かに凌駕する大都市。

 

しかも其れが首都ではなく、地方都市だと言う事が、彼女の思考を停止させる。

 

 

「日本は機械文明国だと聞いたが…これほどの大都市を魔法なしで作れるのか!?」

 

「…なんて国だ…まるで古の魔法帝国(ラヴァーナル帝国)の都市のようだ…」

 

 

技官『ベルーノ』と情報局員『ライドルカ』は感嘆した言葉を口にする。

数分後、香港国際空港に到着する。彼らの祖国のそれより、遥かに大きい空港に。

 

 

「デカいな…」

 

「これが…日本の旅客機か…天の方舟とは一線を画しているぞ…」

 

 

使節団は、天の方舟35型の横に駐機している、『MRJ-150』と、『ボーイング767』型機を見て惨めな気持ちになる。

 

中央世界の、ひいては世界最強を誇る神聖ミリシアル帝国の最新型機『天の方舟35型』。その丸みを帯びた美しい機体、他を大きく突き放す速度は彼ら彼女らが見るたびに自信とプライド、誇りを覚えていた。だが、横の機体を見ると惨めな気持ちになる。

 

機体を降りると、日本軍の儀仗隊と、黒い服の外交官がいた。使節団は儀仗隊を巡閲した後、外交官が近づいてくる。

 

 

「ようこそ遠路遥々お越しくださいました、神聖ミリシアル帝国の使節団方々。私は日本国外務省()()()()局長を務めさせていただいています『近藤伸宏』と申します。今回は皆様方の案内を務めさせていただきます。宜しくお願いします」

 

 

日本外務省は、日パ戦争*1の教訓から、異世界の地域別の局を作るために、5つあった局を統合して文明圏別に設立した。*2

 

 

「こんにちは日本国の皆様。私は神聖ミリシアル帝国遣日本国使節団長を務めるフィアームだ。よろしくお願いする」

 

 

2人は握手すると共に、側に控えていた日本の記者がフラッシュをたく。其れを見ていた技官『ベルーノ』は舌を巻いた。

 

 

「(あのカメラ!連写できるのか!我が国のカメラよりも性能が良さそうだ…)」

 

 

使節団はその後、リムジンに乗ってホテルへ向かった。

 

 

「(この『リムジン』と言う車。我が国の魔導車よりも滑らかに進むぞ…)」

 

「近藤さん。この車はオーダーメイドですか?実に素晴らしい」

 

 

情報局のライドルカは近藤へそう尋ねる。

 

 

「ええ。この車は政府の特注品ですね」

 

「ほお…貴国は車技術は素晴らしいですね。我が国にも車がありますが」

 

「貴国にも車があるのですか!乗ってみたいですな!」

 

「もしよろしければ国交を結べたら何台かお譲りしますよ。所で日本には何台の車があるのですか?」

 

「我が国にはおよそ一億二千万台ありますね。ほら、あのように」

 

「「「「っっ!!」」」」

 

 

4人が見る先には、何台もの車が走る高速道路があった。あの車の数、もしかして日本は一般人でも車を保有しているのかもしれないと4人は考えた。

 

 

「近藤さん、日本では民間人も車を持てるのですか!?」

 

「ええ…小型車だと新品で100万から200万で買えるので、一家に一台普通ですね」

 

 

4人はさらに驚愕する。ミリシアルでは魔導車は政府の高官でもないと乗れないほど高級であった。

使節団は日本への畏怖の念を強めながらホテルへ向かった。

 

◇◆◇

翌日──

《日本国中華地方香港府香港市 ザ・ペニンシュラ香港》

 

神聖ミリシアル帝国の使節団は、日本の説明のビデオを見ていた。

日本神話から戦国時代、明治維新に世界大戦。其れを見ているうちに、使節団は日本が本当に転移国家だと言うことを実感する。

 

特に驚いたのは、2度あったと言われる世界大戦。世界が二分され、国民が一丸となり戦う総力戦。2回合計で9,000万人もの死者が出た大戦。

神聖ミリシアル帝国も体験したことがない戦争。かの神話に語られる竜魔戦争とも引けを取らない。

 

1番驚愕したのは、『核兵器』と言われているもの。これは古の魔法帝国(ラヴァーナル帝国)のコア魔法ではないか。

つまり日本国はコア魔法を実用化している。外交官にさりげなく聞いた所、日本は約5,400発のコア魔法を保有していると言う。

 

──絶句。しかも日本がいた世界はコア魔法を保有している国が日本の他に9カ国有ったと言う。それで世界が滅びなかったのは、それらの国は、互いに核兵器を突き付け合っており、1発でも撃ったら、報復攻撃で自国も確実に滅ぶと解っていたからだと言う。

 

まさに修羅の世界。古の魔法帝国(ラヴァーナル帝国)が複数いる世界など想像を絶する。

歴史の解説が終わった後、外交官がマイクを持って使節団の前に出る。

 

 

「改めてこんにちは、神聖ミリシアル帝国の使節団の皆様方。先ずは明日からの予定についてご説明させて頂きたいと思います」

 

「明日は、8時から朝食のバイキング、その後このホテルを9時30分に出発。もう一度香港国際空港に行き、江西大演習場隣接の飛行場に着陸します」

 

「着陸後、江西大演習場で陸上自衛隊の兵器について説明します」

 

「その後、ヘリコプターで上海国際空港へ移動。上海からは総理大臣専用機で中部国際空港へ移動し、空港隣接のホテルで一泊します」

 

「翌日は、名古屋駅から品川駅まで中央新幹線で移動、横田基地へ移動し、そこで航空自衛隊の装備説明・展示飛行・体験搭乗を行わせていただきます」

 

「当日夜には、政府関係者らとの実務者会議を行います」

 

「翌日には天皇陛下の即位礼正殿の儀に参加いただき、その後ホテルで一泊」

 

「一泊後、横須賀に移動し、天皇陛下即位記念国際観艦式に参加頂きます。その後香港港へ入港します」

 

「それでは皆様、よろしくお願いいたします」

 

 

挨拶が終わり、食事が運ばれてくる。見たことがない料理に目を輝かせながら、ライドルカは隣のフィアームに話しかける。

彼女は苦い顔をしながらも食事を楽しんでいた。

 

 

「フィアームさん、さっきの映像を見てどう感じられました?私は、とんでもない技術を持った国だと思います!興奮が抑えられませんよ!」

 

「…うむ。魔法文明ではないから些か国力が読みづらい。魔法について何も触れなかったから、魔法がないかもしれないな」

 

「確かに、魔法がないかもしれませんね。ですが機械文明だけでムーより上だとは…ベルーノ殿はどう思いますか?」

 

 

ベルーノは、食べていたちまきを飲み込み、話し始める。

 

 

「私としてはあの新幹線…あれが気になります。1日に何百本も運行し、それでも事故を起こさせない技術。あれにはかなりの演算装置が使われていると思います」

 

「………」

 

 

フィアームは、カバンの中にある電卓を思い出す。まさかあれよりも高度な電卓が日本にあるのだろうか…。彼女は外交官へ電卓を渡すのをやめた。

その後、使節団は各々の部屋に戻り、日記を書いたり、部屋を探索して1日を終えた。

 

◇◆◇

翌日──

《日本国中華地方香港府香港市 ザ・ペニンシュラ香港》

 

 

ザ・ペニンシュラ香港のロビーには、神聖ミリシアル帝国の使節団らが集まっていた。

ライドルカは、眠そうな顔をしているベルーノに挨拶をする。

 

 

「おはようございます、ベルーノさん。眠そうですが昨夜何かしていましたか?」

 

「ああ、おはよう。昨日従業員に図書館があると聞いてね。本を借りてきて読んでいたら徹夜していたのだよ。コーヒーがあって助かったね」

 

「バリスタ?とか言う機械ですね。あれは凄い。機械であんな美味しいコーヒーが飲めるなんて…是非情報局内に一台欲しいですな」

 

 

軽話をしていると、近藤が話し始める。

 

 

「皆様、おはようございます」

 

「本日は、先日お話した通り、江西大演習場での陸上自衛隊の演習を見ていただきます」

 

 

一向は、リムジンで香港国際空港へ向かい、手荷物検査などを受けて『MRJ-90』に乗り込む。

乗り込んだライドルカは、シートのふかふか具合に驚嘆する。

 

 

「ほお!実に柔らかい!」

 

「天の方舟35型よりも…悔しいですが、一歩先を進んでいますな」

 

 

その後、飛行機は離陸体制に入る。

 

 

『間も無く離陸します…もう一度シードベルトをご確認ください…』

 

「もうすぐですな」

 

「魔光呪発式空気圧縮放射エンジン以外の飛行機…楽しみです」

 

 

その瞬間、エンジンの回転数上がり、凄まじい振動と音が流れる。

 

 

「うおっ!」

 

「きゃっ!!」

 

 

ブレーキが解除され、一気に加速される。離陸可能速度まで達した旅客機は、機首を上げて、北へ針路を向ける。

一向は、天の方舟とは違う日本国の飛行機に言葉を無くしていた。

 

◇◆◇

1時間後──

《日本国中華地方江西県 江西大演習場》

 

 

神聖ミリシアル帝国の使節団は、着陸後陸上自衛隊南部方面団総監『平山清之』の説明を受けていた。

一向は、10式戦車の前に移動する。

 

 

「これは…」

 

「この車両は、陸上自衛隊の主力戦車の10式戦車A型です。武装は120mm滑腔砲と、90式車載7.62mm機関銃などを備えています」

 

「鉄を纏っているのですか!?」

 

「ええ、複合装甲と呼ばれています。軍事機密から詳しくは言えませんが、厚さ400mm以上の鋼鉄に匹敵する装甲です」

 

「「「「!!」」」」

 

 

400mmの鋼鉄に匹敵する装甲を纏った、120mmの巨砲を持った車両。武官であるアルパナは、この車両がミリシアルに侵攻した場合、止める術がない事に冷や汗をかく。

 

 

「そ…速度は…」

 

「約70km/hですね」

 

「…………」

 

 

つまり目の前のこれは、時速70km/hで動き回る120mm巨砲を持った撃破不可能の鉄竜である。彼らは他にも説明を受けたが、インパクトが強すぎて説明が終わる頃には、頭を痛くしていた。

 

 

◇◆◇

翌日夜──

《日本国関東地方東京都 帝国ホテル一室》

 

 

日本が誇る帝国ホテルの一室では、神聖ミリシアル帝国の使節団幹部の4人が話していた。

1時間後に控えた日本政府高官との会談、其れと今までの訪問のまとめである。

 

 

「戦車…あれは是非欲しいですな。輸入するか日本から技術を貰うか…だが、そう易々と技術は渡してくれないだろう、輸入するにしても頭の硬い上層部がそれを許すかどうか…」

 

「私はあのリニアモーターカーという鉄道が1番興味深いですね… エルペシオより早い鉄道など考えたくないですが…」

 

「やはりあの『F-15』が想像以上でした。護衛機があのレベルなので想像はしていましたが、あれほどの高性能機を何百機も保有しているなど…悪夢ですね。技術については是非とも見てみたいですが」

 

 

三人が考察する中、フィアームは頭を抱えながら言葉を口にする。

 

 

「……文明圏外にこれ程の国があるとは…グラ・バルカス帝国といい、何でこのような国がポンポンと現れるのだ…」

 

「もしかすると、古の魔法帝国の遺産である魔王『ノスグーラ』が最後に語っていた通り、古の魔法帝国の復活が本当に近いのかもしれません」

 

「「「なに!!」」」

 

 

ライドルカの言葉に、三人は一斉に目を丸くする。

 

 

「そのような事、我々は一切把握していないぞ!!」

 

「…確信が持てなかったので情報局内で止まっていました。すいません」

 

「ですが、日本は歴史を見る限り、自国に敵対的行動をする国以外とは戦争をしておらず、自国から戦争を吹っかけることをしていません」

 

「魔法帝国が復活したら、良い味方になってくれるでしょう」

 

「…情報局は良いな気楽で。私は頭が痛い。今までのこと全てを上層部に説明せねばならないのです、国ごと転移などという現象は、現実的では無さ過ぎます」

 

「報告書を作っても左遷されるのがオチですよ…情報局上層部から外務省に話を通して欲しいですな…」

 

「帰ったら伝えておきます」

 

 

その時、部屋にあった電話が鳴り、日本国の準備が整ったと連絡があった。

 

 

「よし、行くぞ」

 

 

◇◆◇

10分後──

《日本国関東地方東京都 帝国ホテル大会議室》

 

 

フィアームは緊張していた。自国よりも発展している文明を相手するのは初めての経験であり、さらに事前に連絡が無かったこの国の政治のトップ、内閣総理大臣も出席していたのだ。

 

 

「(何故国のトップまでが…そうか、我が国が本当に世界一の国なのか見計らう訳か。なるほど、見せてやろう神聖ミリシアル帝国の外交官の力を!)」

 

 

フィアームはそう考えたが、実際の理由は外務省からフィアームが美人と伝えられ、予定を全部キャンセルして急いで駆けつけたのだ。*3

 

そんなことがありながらも、会議は無事に開かれた。

政府幹部の前には、紙が配られていた。要約するとこうだ。

 

 

○先進11カ国会議は、4年に1回、神聖ミリシアル帝国の港町カルトアルパスで開かれる。

○次回は、1642年に開催する予定である。

○ 世界に多大な影響力を持つ大国が参加し、今後の世界の流れを決定する。参加するだけでも名誉なことであり、世界中から「大国」として認識される。

○世界中(彼らの把握している範囲の世界)の国々が列強を打ち破った日本国に注目しており、参加すれば国益にも叶うと思慮される。

○参加国は、世界運営について、新たな意見を述べる事ができる。

○第3文明圏については、今まで固定参加1か国、持ち回り参加1ヵ国の計2か国であったが、固定参加国のパーパルディア皇国が貴国に降伏し、参加権を失ったことから、今回は固定参加国を日本国にしたい。

 

【前回中央暦1638年先進11カ国会議参加国】

 

○神聖ミリシアル帝国〔列〕(第一文明圏・中央世界)

○ムー〔列〕(第二文明圏)

○エモール王国〔列〕(第一文明圏・中央世界)

○トルキア王国(第一文明圏・中央世界)

○アガルタ法国(第一文明圏・中央世界)

○マギカライヒ共同体(第二文明圏)

○ニグラート連合(第二文明圏)

○パンドーラ大魔法公国(第三文明圏)

○アニュンリール皇国(文明圏外、南方世界)

パーパルディア皇国〔列〕(第三文明圏)参加権剥奪

レイフォル国〔列〕(第二文明圏)滅亡

 

 

「開催まで残り1年程しかないことは悔やまれますが、参加するだけで日本国の世界での影響力は上がり、国益にも十分プラスされると思います」

 

「是非、我が国としては日本国を大国と認め、第3文明圏の長として──いや、ここは文明圏ではなかったですね」

 

「東方国家群の長として、是非先進11ヵ国会議には参加していただきたい」

 

「質問ですが」

 

「どうぞ」

 

「前回参加国に、取り消し線が引かれていますがレイフォル国とあります。グラ・バルカス帝国に滅亡させられたと聞きましたが、レイフォルの代わりには何処の国が入るのですか?」

 

「レイフォルの抜けた部分は、いまおっしゃられたグラ・バルカス帝国が参加する方向で、検討をしています」

 

「まだ日本国と同じように、打診をしている段階なので、1年後という国際会議としてはあまりにも急な打診に対応できるかわかりません。故に、貴国も含めて参加するかどうかはわかりません」

 

「解りました、ありがとうございます」

 

 

他にも様々な質問が飛んだ後、会議は終了した。

後日、日本国政府は、中央世界、神聖ミリシアル帝国の開催する先進11ヵ国会議に出席する事を正式に決定した。

 

神聖ミリシアル帝国遣日本国使節団は、戦艦『きい』の巨大さに腰を抜かしながら、香港へ向かっていった。

 

◇◆◇

中央暦1641年9月18日──

《グラ・バルカス帝国 帝都ラグナ 国会会議議事堂会議室》

 

 

──グラ・バルカス帝国、通称『第八帝国』。列強レイフォルをたった1日で滅ぼしたこの国は、日本と同じく転移国家である。

転移前に存在していた惑星ユグドでは、世界最強国家の地位にあったが、本土のみ転移したため、広大な属領と植民地を失ったが、偶然戦力の大半を本土に集めていたため軍事力はほとんど低下していない、日本と同じ偶然に見舞われた。

 

ここ、帝都ラグナの国会会議議事堂会議室では、軍の幹部や情報部幹部などが集まり、国家戦略・安全保障会議が開かれようとしていた。

 

                    【国家戦略・安全保障会議参加者】

 

○グラ・バルカス帝国軍本部長 『サンド・パスタル』

○グラ・バルカス帝国陸軍最高司令官『ベテルスルス』

○グラ・バルカス帝国海軍最高司令官『カリウス』

○グラ・バルカス帝国海軍東方艦隊司令長官 『カイザル』

○グラ・バルカス帝国監察軍司令長官 『ミレケネス』

○グラ・バルカス帝国帝都防衛隊長 『ジークス』

○グラ・バルカス帝国海軍戦艦「グレードアトラスター」艦長 『ラクスタル』

○グラ・バルカス帝国情報局局長 『ムスドリフ』

 

 

他にも、各重工業の社長や代表取締役らが集まっている。

 

 

「本日はご集まり頂いたのは、日本国のことです」

 

 

この会議の司会を務めるムスドリフは、一息付いてから話し始める。

 

 

「日本国は、ロウリア王国・パーパルディア皇国と、列強或いは列強レベルの国々を短期間で打ち破ってきました」

 

「それの何が問題なんだ?我が国も同じことをしているぞ」

 

 

グラ・バルカス帝国海軍東方艦隊司令長官であり、帝国3大将軍の1人でもあるカイザルの言葉に、ムスドリフはうなづく。

 

 

「はい。我が国も同じような事をしています。でずが、問題はこれです」

 

 

彼は、一枚の写真を中央の机に置く。それを見たグラ・バルカス帝国監察軍司令長官のミレケネスは、驚きの表情で写真を見つめる。

 

 

「これは…グレード・アトラスターではないか!?」

 

「いえ、違いますなミレケネス殿。若干違いますな」

 

 

ミレケネスの言葉を修正するのは、会話に出たグレード・アトラスターの艦長、ラクスタルである。

彼は近くに置いてあったグレード・アトラスター級の図面をムスドリフが出した写真の横に置いて話し始める。

 

 

「まず、主砲塔の数が違います。グレード・アトラスター級が3連装3基9門に対し、この写真の艦は連装4基8門です」

 

「む…門数で勝っているならばこの戦艦の何が問題なのだ?」

 

「実は情報局では、これらの写真と情報員の報告を元に、グレード・アトラスター級の性能と比較してみたところ、驚くべき事が分かりました」

 

「推測ですが、全長:約425m、全幅:約43m、満載排水量10万トン以上、主砲は確実に46cm以上、用途不明の火器幾つかです」

 

 

絶句。語られた性能に会議室の誰もが言葉を失う。  

 

 

「信じられん…46cm以上の主砲など…」

 

「こいつを名づけるならば…超グレード・アトラスター級だな。もしこの艦とグレード・アトラスターが殴りあった場合…負けるぜ」

 

 

帝国3大将軍の1人、しかも海軍の東方艦隊司令長官が負けると口にした事で、会議室は騒然とする。

 

 

「カイザル将軍!!グレード・アトラスター級は帝国の威信を掛けた戦艦ですぞ!それを簡単に負けると認めるのは不愉快です!」

 

「だが、グレード・アトラスターの装甲は重要防御区画(バイタルパート)は46cmに耐えられるぐらいだぞ。46cm以上の砲に耐えられまい」

 

「しかも戦艦っていうのは、自身の攻撃に耐えられる装甲を施すものだ。こいつが46cm以上クラスを耐えられる装甲を持っていたら単純に撃ち合いで負けるぜ」

 

「そこでです。パスタル本部長殿。例の作戦、グレード・アトラスターも参加するのですね」

 

「ああ、部隊の中核を担う」

 

「カイザル殿にお聞きしますが、もし、先進11カ国会議にこの戦艦が参加し、我が部隊と戦闘する場合、どの程度の艦隊が必要ですかな?」

 

 

カイザルは、一旦息を吐くと、ゆっくりと話し始める。

 

 

「…グレード・アトラスター級が2隻…いや4隻だな。それでも何隻かは沈むだろう。確実に屠るならばグレード・アトラスター級2隻を中核とした戦艦 4隻、巡洋戦艦4隻、巡洋艦30隻の戦艦部隊、そして正規空母8隻の空母機動部隊も投入しないといけない」

 

 

カイザルの言葉に、各重工業の社長や代表取締役が苦言を言う。

 

 

「そんなの不可能だ!海軍だけに予算は使われているのではないぞ!戦車や航空機などの製造ラインを停止しないとやっていけない!!」

 

「現在は世界征服の為、国家総動員法を定めているところだぞ!!さらに民に重圧を敷いたら、いつクーデターが起こるかわからないぞ!!」

 

 

会議が論争までに発展した時、軍の最高司令官であるパスタルが喝を入れる。

 

 

「静まれ!!…全く、今考えるべきは戦艦の新造ではなくこの戦艦をいかにして沈めるかだ」

 

「日本もこの戦艦を会議に出席するだろう。先ずは海軍の編成を見直さねばならない」

 

「カリウス、カイザル、ミレケネス君達。君たちはZ作戦における海軍の戦力の増強を図ってくれ」

 

「了解しました」

 

「それに置いて本部長殿、ド・デカテオン社代表取締役殿、お願いが。これがこの戦艦に勝てる鍵になります」

 

「なんだ」

 

 

カイザルは、パスタルの目を見て話す。

 

 

「グレード・アトラスター級2番艦──『グレード・ウォール』。これをZ作戦までに就役させて欲しい」

 

「なっ…」

 

 

ド・デカテオン社代表取締役である『ヒルラス』は、絶句する。グレード・ウォールは、1年前に進水したばかりであり、未だに艤装作業中であった。

 

 

「Z作戦までは、後7ヶ月でしょう!!最高速度でやっても8~9ヶ月はかかります!しかも色々と試験を行わなければいけないのですよ!!」

 

「私からもお願いする」

 

「パスタル様!」

 

「ガイザル君は、海軍内では1番優れている将軍だ。その人が言うならばグレード・ウォールが必ず必要だ。この作戦は、皇帝陛下の強い要請、そして今後の帝国の未来にも関わる案件だ。よろしく頼む」

 

「…っっ!完成しても対空砲などの一部は間に合わないかもしれません」

 

「そうですか…だが最悪主砲が撃てれば良いのです。頼みます」

 

 

パスタルは、他の参加者の方を向いて伝える。

 

 

「取り敢えず、日本国は神聖ミリシアル帝国よりも強大な敵になろう」

 

「各員全力を注いで日本国と、この戦艦に関する情報の収集と精査に励んでくれ」

 

 

 

 

*1
日本とパーパルディア皇国の日本側の呼称。他国では大陸の名前をとってフィルアデス大陸戦争や第三文明圏戦争とも呼ばれる

*2
北米局&欧州局→中央世界(第一文明圏)局。アジア大洋州局→第二文明圏局。中南米局→第三文明圏局。中東アフリカ局→文明圏外局

*3
こんな奴が総理大臣で良いんか国民 by官房長官




あともう少しで!!日本国召喚の総合評価原作で1ページ目に入るので!!評価お願いします!!(迫真)
フォーク海峡戦は、グ帝も強化されるぞい。

あと、召喚WIKIの方で、『強化って言うより魔改造じゃね?』って言われたので、タイトル募集します。アンケートにあるやつか、活動報告で貰った中から選ぶのでオナシャス!感想で書くとアウトなので活動報告に、書こうね!

◇◆◇

チャビさん、たんぼたんぼさん、ふゆふゆさん、ルポさん、hatobeamさん、中島静さん、yieldingさん、紅葉小粥 さん、D-カズマさん、kishiyaさん、あき090909さん、horse boneさん、ISO1919さん、ぴっぴ!さん、シャルグさん、お気に入り登録ありがとナス!


感想評価募集中

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。