【完結】転生者がカービィ世界で生き抜く話   作:紅絹の木

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2023/01/05
ちょっとだけリーノの台詞を変更しています。
コメントにいただいた通り、変更した方がストーリーとして、良いものになると思ったので。


電子ペットと魚と結婚記念日

 のどかな昼過ぎ。外は晴天で、洗濯物がよく乾く。そして少々暑い。

 その日はランタンの家で、レース編みを教えてもらっている時だった。

 ダイニングテーブルを借りて、そこにレース糸や見本を広げていた。ランタン、アーニャ、私が座っている。今日の先生役はアーニャだ。

 

「そういえば知ってる?カービィのおもちゃの話」

「カービィのおもちゃ?」

 

 聞いた事がなかった。あんな幼子のおもちゃが噂話の対象になるのか、疑問に思った。

 

「パーム大臣から、最新の電子ペットをプレゼントされたそうよ」

 

 最新のおもちゃか。それなら物珍しくて、村人たちは注目するだろうな。

 アーニャがすいすいと編みながら言う。

 

「おもちゃにしては、よくできてますよね。カービィの言う事、やる事が理解できるみたいでした」

「……それほどの最新のおもちゃを、ガングさんが入荷したの?」

「なにかおかしい?」

 

 絡まったレース糸をほどきながら言う。

 

「だって、最新のおもちゃってすごく高いわ。それこそ、この村では村長一家か大臣一家、エスカルゴン閣下、デデデ陛下しか買えないんじゃないかしら?」

「そうねえ。お金に余裕がありそうな家といえば、そのあたりよね」

「買ってくれる人が少なくて、しかも購入するかもわからない高価な物を、仕入れるのって勇気がいるじゃない?ガングさんはお店を一人で切り盛りできる人よ。そんな賭けするのかなって思ったの」

 

 私の言葉に二人は顔を見合わせる。解けたレース糸を見ながら、「考え過ぎかしら」と呟いた。

 

 

 

 

 

 レース糸で編んだイヤリングを付けて、城に帰宅する。これはアーニャの手作りだ。お店に売られている物と遜色ない出来栄えだ。なので彼女にはお金を払わせて貰った。彼女はいつだって遠慮するけれど、その度に伝えるのだ。あなたが作った物は、とっても素晴らしい物なんだよって。

 昔は申し訳なさそうに眉を寄せていたけれど、今は笑顔でお礼を言ってくれる。「ありがとう」と言われると、こちらも嬉しかった。

 その事を思い出して頬を緩ませていると、廊下の角でフーム様に会った。何やら悩まれている様子だった。

 

「こんにちは、フーム様。どちらに向かわれるのですか?」

「こんにちは、リーノ。図書館に行くの。ちょっと調べたいことがあって……」

「左様でございますか。わたくしも、お手伝いしましょうか?」

「ありがとう。でもいいの。自分で調べたいから」

「かしこまりました。あ、そういえばフーム様はご存知ですよね。カービィのおもちゃについて」

 

 フーム様はばっと顔を私に向けた。

 

「リーノは、あのおもちゃについてどう思うの?」

「実際に見たわけではありません。なので、おもちゃその物よりも別の事が気になっています」

「それは何?」

「ガングさんです」

「一体どういうこと?」

 

 私は、フーム様に友人二人に話した事を聞かせた。彼女の顔がどんどん険しくなっていく。

 

「そうね……言われてみればヘンだわ!ありがとう!参考になったわ」

「?お役に立ててよかったですわ」

 

 走り去るフーム様の背中をしばらく見つめて、その日は家に帰った。

 

 

 

 深夜。布団に潜ってから考える。

 あれ?そういえば、カービィのおもちゃって最後に爆発しなかったっけ?

 もう数十年も、さらに昔の記憶だ。曖昧な部分ばかりではっきりしないが、思い出したところは妙に確信があった。

 カービィ、悲しむだろうな……。

 リーノは目をつぶった。

 

 

 

 翌日、ブン様とロロロとラララに遊んでもらうカービィの姿を見てほっとした。彼が元気そうだったから。自分の中で区切りを付けられたのだろう。

 強い星の戦士。きっとそれは、体だけじゃなくて、心もそうなのだ。

 

 

 

村にはまた平穏が訪れる。途中、フーム様に魚の恋人が現れた。

 その魚は名前をカインという。マンボウだった。

 

 カインでマンボウといえば、カービィ2に登場したキャラクターだろう。長年のカービィファンとして、一度会ってみたい。

時間を見繕って夕方前に、タオルを持って海岸の方へ歩いて行く。すると遠くに、竜巻が起こっていた。私はすぐに駆けだした。

 竜巻はすぐに無くなったものの、その中からカービィが出てきた。頭に竜巻の冠を被っている。あれはトルネードのコピー能力だったのか。

 陸地から海を見ると、離れた岩場にフーム様とブン様とメタナイト卿がいる。助けに行かなくてはならない。すぐ傍にいた漁師の方にお願いして、舟を出してもらった。

 迎えに行きたかったけれど、私のせいで定員オーバーになってはいけない。なので、大人しく浜で待っていた。

 

 数十分ほどで三人と漁師さんは浜に戻ってきた。

 

「三人を迎えに行ってくださって、ありがとうございました」

「このぐらいどうってことないさ」

「おっちゃん、ありがとな」

「ブン!あの、助かったわ。どうもありがとう」

「礼を言う」

 

漁師の方は照れくさそうに頬をかいた。

びしょ濡れの三人に、念のため持って来たタオルを渡す。三人は体の水気を拭う。

これで風邪を引くことはないだろう。

濡れていたわけを聞き出すと、ため息がでた。また陛下たちのせいなのだ。陛下たちが海でバカンスを過ごすために、サンゴの海を壊そうとした。環境破壊だ。それを止めるべく三人とカービィは海に潜ったらしい。

私は三人に頭を下げた。

 

「陛下を止めてくださって、ありがとうございます。それから、本当にすみませんでした」

「リーノが謝る事じゃねーだろ。全部デデデの奴の仕業だ!」

「ブンの言うとおりだわ!リーノは気にしなくていいの。さあ、カービィを探しに行くわよ」

 

 お二人から湿ったタオルを預かる。子供たちの背はあっという間に見えなくなってしまった。

 

「さすが。体力がありますわね。メタナイト卿も行かれるのですか?」

「いや、私はもう必要ないだろう。城へ戻る」

「では、ご一緒しても?」

「ああ。行こう」

 

 最後に、漁師の方にお礼としてカップケーキを渡しておいた。カービィ用に持って来たお菓子だけど、そのピンクの彼がいない。無駄になるよりも、こうして食べてもらった方がいいと思う。

 海岸から城への道を、のどかな風に吹かれつつ歩く。特に話すことはなく、私たちは沈黙していた。でも居心地は悪くない。

 彼と同じ時間を共有できることに、私の胸は高鳴っていた。

 

 夕方も過ぎて、水平線のむこうで夜が顔を出し始めた頃、城に到着する。ここまでの坂道は地獄かと思うほど長く続いていたのに、いざ城に着いてしまうと時間はあっという間に過ぎる。

 もう少し彼といたいような、物足りなさを感じつつも。私たちは分かれ道に差しかかった。

 そこでワドルドゥ隊長に出くわす。

 

「こんにちは。ちょうどメタナイト卿を探していたところであります」

「どうかしたのか?」

「実は兵士たちが使う風呂場が壊れまして。お風呂に入るときは村の銭湯に行っていただきたく……」

「……わかった。そうするとしよう」

「ソードナイト殿とブレイドナイト殿には、もう伝えております。では」

 

 そう言って隊長は来た道を戻っていった。

 メタナイト卿の背中から、私の見間違いかもしれないけれど、お風呂にすぐに入られない事へのうんざりした気持ちが滲み出ている気がした。

メタナイト卿は海水で汚れ、私は汗だく。二人ともすぐにお風呂に入るか、汗を流すべきだ。そして私は、久々にゆっくりお風呂につかりたいと考えていて。一人ではお湯がもったいないとも考えていた。

 

 

 だから、この時、あんな事が言えたのだ。

 

 

「メタナイト卿、もし、よろしければわたくしの部屋に来ませんか?」

「なに?」

 

 彼は振り返って、驚きの声を上げた。

 誤解させてはいけないと、手をパタパタ振って「変な意味じゃなくて、ですね」と続ける。

 

「今日はゆっくりと湯船につかりたい気分なんですけれど、一人だとお湯がもったいないでしょう?ですから、メタナイト卿に来ていただけたら、いいなと思いまして……」

「……私は男だ」

「誰にでもこのような事、申し上げませんわ。メタナイト卿だからこそ、招くんです」

 

 しばし見つめ合った後、メタナイト卿は「そう言った言葉は本命に言うべきだな」と言った。

 なんの問題もなかったので、「ええ。そうですわね」と返すと、再び数秒ほど見つめ合う事になった。

 

「君は時々、本気かわからないな」

「今のは本気ですわ」

「……そうか、わかった。着替えを取りに行った後、君の部屋に向かう」

「わかりました。お待ちしておりますわ」

 

 

 

 湯船がちょうど出来上がった頃、メタナイト卿がやって来た。部屋の中に招き入れる。

 

「ちょうどお風呂ができたところです。どうぞ、お入りください。それとも何か飲み物を飲んでから入られますか?」

「水筒を持って来たから、飲み物は遠慮する。……入るぞ」

「どうぞ。浴室は奥です。ご案内しますわ」

 

 一人で住むには案外広い、部屋の中を案内する。浴室の扉を開けると、少し暖かい空気がむわりと肌にまとわりついた。

 

「中にある物は自由にお使いください。タオルはすでに出していますので、迷うことはないかと」

 

 そこまで言ってメタナイト卿の方へ振り返る。彼は真っ直ぐ、私を見ていた。

 その目がなんだか、きらりと輝いているようで。いつもと違う彼に胸が騒いだ。

 

「あの、どうかしましたか?」

「君を……」

「はい」

「君をどうやって誘おうか、悩んでいる」

 

 何に?とは口に出さなかった。浴室を前に男女が二人。しかもいい歳をしている。お互いに相手を少なからず想っている。(と、私は考えている。)

 この状況で私が取れるべき行動は二つ。とぼけるか、誘いに乗るかだ。

 今、私は恥ずかしくてとぼけたい気持ちを踏みとどまっている。ならば、一歩踏み出すべきなのだろう。

 後は、どうやって伝えるかだ。まずは気持ちを確認するべきだろう。足が震えだす。

 それでも勇気を振り絞って、リーノは好きな人に、笑顔を向ける。

 

「メタナイト卿」

「なんだ」

「私は、あなたが好きですわ。この気持ちに気が付いたのは最近です。けれど、きっと、もっと前からあなたが好きでした」

 

 突然の告白に彼は驚いた。けれどある程度予想がついていたのだろう。すぐに元通りだ。

 

「……私は、私がはっきりとそなたを想うようになったのは、ここ数年のことだ」

「あら、随分前から好いてくださっていたんですね」

「ああ。だから、今日部屋に誘われた時は心から驚いた。そして、ここへは覚悟を決めて来た」

 

 メタナイト卿の手がゆっくり伸ばされて、私の手を優しく握る。

 

「君と共にあるか、離れるかだ」

 

 私はその手を、力が入らない手で握り返した。

 手が震える。きっと向こうにも伝わっている。

 

「私は、ナイトメアとの戦いに負けて、次なる戦士を育てるべく、ここへ来た」

「ナイトメア……陛下が懇意にしている会社である、ホーリーナイトメア社のことですか?」

「その会長と因縁がある。……状況によっては、私がナイトメアに狙われるかもしれない。カービィを連れてここから離れるかもしれない。そのとき、君はどうする」

 

 共に行きたい。ここから離れることはできない。あなたを守りたい。

 言葉がぶつかって、声が出なかった。

 

「……今は答えが出せなくてもいいかもしれない。だが、私と付き合うとは、そういう問題が付きまとう。それでも、君は私を想ってくれるのか?」

「想います」

「……いいのか?」

「未来はわかりません。でも、今、言えることがあります。メタナイト卿が好きです。どうか、傍にいさせてください」

「君が、そう望んでくれるなら」

 

 私たちは手を取り合って、浴室へ入った。

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 パタパタ。パタパタ。

 同じところを何度もパタパタ。

 

「わにゃ」

「はい……。あ、ここはもういいですね。次はこっち……」

 

 パタパタ。パタパタ。

 ワドルディが何度も声をかけてくれる。それでも私のぼんやりは治らなかった。

 見かねた一人のワドルディが走り出して、エスカルゴン閣下を連れて来た。

 そして私の顔を見るなり、怪訝そうに眉を歪めた。

 

「な~んか熱っぽいでゲスね。体調が悪いならさっさと休む!」

「し、しかし……」

「うつされて困るのはこっちでゲスよ。早めに治さないと給料カットでゲスぞ!」

「わ、わかりました。今日は早退します」

 

重い足取りで廊下を歩く。

昨日の今日だ。何かしら影響が出るかもと覚悟はしていた。そして、こんな風に不調になってしまうと、情けないような気持になる。何か生産的なことをして、気分を紛らわせたい。せっかく早い時間から休みを貰ったのだから、レース編みの練習でもしておこうかな。

 趣味に時間を使えると考えて、気分が浮上した。どんな物を編もうかと、持っている編み図を思い出す。

 あれこれ考えていると、前方からメーム様が歩いてきた。廊下の端に寄り、背筋を伸ばす。頭は少し下げて、彼女が通り過ぎるのを待った。メーム様は私の前で立ち止まった。どうやら用事があるみたい。

 

「いかがなさいましたか、メーム様」

「リーノにお願いしたいことがあるの。今度、私たち夫婦の結婚記念日パーティがあるのだけれど、リーノも参加してくれない?それとも、今年も仕事で忙しいのかしら?」

「正直に申し上げますと、当日になってみないとわかりませんわ。陛下の急なわがまま……仕事が入るかもしれませんもの」

「うちもそうだけど宮仕えは大変ね。とりあえず、席は取っておくわ。来られるようなら、来てちょうだい」

「よろしいのですか?ご迷惑になりませんか?」

「私たちとあなたの仲じゃないの。迷惑じゃないわ。じゃあ、当日はコックカワサキの店よ。待ってるわね」

「かしこまりました」

 

 頭を下げる。そして顔を上げると、メーム様がにこにこと笑っていた。私はなぜ笑顔を向けられるのかわからず、首を傾げた。

 

「あの、まだ何か?」

「リーノ、あなた。何かあったでしょう」

 

 どきっと心臓が飛び上がった。女性は勘が鋭いと言われているが、メーム様もそうらしい。

 私は、私たちはまだ付き合い始めたばかりである。まだ人に話すつもりはない。

 

「何か、ですか?」

「ええ、私の見立てでは……恋ね!」

「恋ですか」

「リーノ、あなたのことは家族同然に思っているわ。だから、いつでも相談しに来なさいね!」

「ありがとうございます。メーム様」

 

 家族同然という言葉が嬉しくて、心から目を細める。メーム様はそんな私に満足されたのか、今度こそ去って行った。

 

 その背を見送ってから私も自室へ向かう。

 寝巻に着替えて、ベッドに潜り込むとすぐに睡魔が襲ってきた。よほど疲れが残っていたらしい。体中から力を抜く、その心地良さに瞼を閉じる。意識はあっという間に途切れた。

 

 

 

 それから数日、大臣夫婦の結婚記念日まで。メタナイト卿には会えなかった。ソードナイトさんとブレイドナイトさんが言うには、所用で城を空けているらしい。きっとハルバード建設に必要な部品を、買い付けに行っているんだわ。会えない寂しさよりも、城を空ける知らせを人伝に聞かされた方が寂しい気がした。彼は忙しいのだ。時間がなかったのかもしれない。

 

「……それでも、帰ってきたらデートぐらいしてほしいですわ」

 

 今度はお城の噴水から。そこから眺める夜空は美しいだろう。

 

 

 

 結婚記念日は驚きをもって、うまくいった。

 コックカワサキが出した魚にカービィが飛びつくと、その魚が指輪を吐き出したのだ。

 指輪はパーム様の物だったらしく。その指輪を見て、大層驚かれていた。

 指輪は無事にメーム様の指にはめられた。

 

 ようやく、あるべき場所に指輪が収まったのだ。

 私は嬉しくて、いつもより多くのお酒を飲んだ。

 

 

 

 

 

 結婚記念日のパーティが終わり、大臣一家と共に城へと帰る。仲睦まじく、手を取り合い並んで歩くご夫婦に、私は喜びを感じた。旧知の仲であるご夫婦が、こんなに幸せそうだとこちらも嬉しくなる。思わず笑い声が漏れてしまった。

 

「ふふふ……」

「なんだよいきなり」

 

 ふらつく私の手を引いてくださるブン様が、怪訝そうな声を上げられました。

 

「パーム様とメーム様が幸せそうで、わたくしも幸せなのです」

「ふーん、そういうもの?普通は羨ましくて、自分もああなりたい!とか思うものじゃないの?」

「いつかはブン様のご家族のように、家族を持つことができたら嬉しいですね。でもそれ以上に、今はお二人の幸せを祝福したいのです」

「そっか。へへ、ありがとう。リーノ」

「こちらこそ、今日は呼んで下さりありがとうございます」

 

頭を下げると、かくんと首が据わらない赤子のように頭が沈む。

 ブン様が「気を付けろ」と、心配してくださるのがまた嬉しくて。私は笑う。

 

 城へと続く橋を渡ると、一人の人影が前を遮った。

 メタナイト卿だ。帰ってきたんだ。会えたことが、その姿を見られたことが嬉しくて、じっと彼を見てしまう。

 

「……ですので、後は私が」

「ええ、頼みました」

「リーノ、送ろう」

「はい。メタナイト卿」

 

 自分でも驚くほど甘い声が出た。びっくりして手を口に当てる。多分顔が赤くなっているだろう。少し恥ずかしい。

 それでも伸ばされた手を掴み返して、私たちは大臣一家から離れた。

 

「それでは、パーム様、メーム様。フーム様、ブン様、おやすみなさい」

「おやすみ。リーノ」

「おやすみなさい。足元に気を付けてね」

「じゃあな!また明日」

「おやすみなさい。リーノ」

 

 

 

 リーノたちが離れると、メームは口元を扇で覆い隠した。

 

「まさか、相手があのメタナイト卿だったなんて!」

「メーム、声を落としなさい。気づかれてしまうよ」

「何の話?」

「リーノの恋人の話よ!あの二人、最近仲が良かったから何かあると思っていたのよ。まあ~リーノにもとうとう春が来たのね!これはお祝いしなくちゃ!」

「ママ、まだそうと決まったわけじゃないんだから」

「確かにそうね。でも、あのリーノの声色は間違いなく恋よ!きっと相手であるメタナイト卿も気づいているはず!じゃなきゃ、こんなところで待ち伏せなんてするもんですか」

「たまたまだって、さっき言ってたよ」

 

 メームは聞こえていないのか、興奮した様子だ。こうなっては落ち着くまで、耳を貸してもらえないだろう。

 フームたちは、奥様方のウワサの種になるだろうリーノたちのことを案じた。

 

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