【完結】転生者がカービィ世界で生き抜く話   作:紅絹の木

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パイ

 

 ワドルドゥ隊長にメイド三名、戦士三名が参加する旨を伝えた二日後。

 わたくしは、大臣一家にスカーフィちゃんたちが夕食を食べてしまったお詫びの品を届けてから、調理に参加しました。

 時間は夕方でした。

 

 一階、大食堂に隣接する大きな厨房に入ります。

 部屋の中では、すでに慌ただしく調理する音が響いています。

 アーニャとランタン、メタナイト卿、ソードナイトさんとブレイドナイトさんが一箇所に集まっていたので、そちらに足を向けます。

 

「遅れました。手伝います」

「リーノ、待ってましたよ。私たちは隊長さんから味付けを任されています」

「では、味付けをするまで、ワドルディたちの仕事を手伝いましょうか」

「そう言うと思ったわ。今玉ねぎの皮を剥いているところよ。そろそろ切り始めましょうか」

 

 今日の夕食の献立は、ご飯、わかめのお味噌汁、生姜焼き、デザートの果物です。ご飯と果物はすでに準備が終わっているはずなので、お味噌汁と生姜焼きを作ります。

 今回の生姜焼きには、玉ねぎも一緒に使います。

 

 お味噌汁の材料はワドルディたちに任せて、生姜焼きを作っていきます。

 三戦士たちと、わたくしで玉ねぎとお肉を切ります。アーニャとランタンは玉ねぎを剥き続けてもらいます。

 

 玉ねぎをすべて剥き終わったら、わたくしたちと同じように、材料を切ってもらいます。

 

 材料を切り終わったら、深めの鍋を火にかけます。

 

 ここからは、三戦士たちが主軸となって調理してもらいます。隣りには、それぞれサポートにわたくしたちがつきます。

 

 お肉を先に入れて、さらに麹入りのお酒も入れます。お肉の色が変わるまで焼きます。焦げないように混ぜつつおこないます。

 次は玉ねぎです。甘くなるのでたくさん入れます。

 お肉に火がとおり、玉ねぎが透き通りしんなりとしたら、生姜入り特製のタレを入れます。

 よく馴染ませたら完成ですわ。

 

「メタナイト卿、お上手ですわ」

「ソード、とってもおいしそうよ」

「今からいただくのが楽しみです。ブレイド」

 

 褒められた三人は満更でもない様子でした。

 三戦士たちの料理の腕は確実に上がっていました。

 そのことを喜んでいると、ワドルディに呼ばれました。

 どうやら味噌汁の味を見てほしいそうです。

 私は一言告げて、五人の傍から離れました。

 

 

 

 ――――――

 

 

 

「いただきます」

 

 周りから同じ言葉が重なって聞こえます。

 少し離れた席からは「わにゃわにゃ」とワドルディたちが話す声が聞こえました。

 

 大食堂にいるすべての兵士たち、それにゲストのわたくしたちに配膳がいき渡ったので、夕食を食べ始めます。

 

 どれもおいしくできています。

 頬を緩ませて食べます。隣りを見れば、アーニャとランタンも同じように「おいしい」と言葉にしながら食べていました。

 そんなわたくしたちの様子に、特に、ソードナイトさんとブレイドナイトさんが喜びをあらわにしました。

 

「今日は上手くできて良かったよ。ランタン」

「そうね、ソード。とってもおいしいわ!調理する手際も良かったし、私の補助はもういらないかしら」

「いやあ、まだまださ」

 

 ソードナイトさんが謙虚に答え、ブレイドナイトさんが同意します。

 

「うむ。もうしばらく教えてくれたら助かる」

「わかりました。また一緒に作りましょう」

 

 和気あいあいといった感じです。良い雰囲気の中で食べるご飯は、さらにおいしいですわ!

 

 わたくしは常に笑顔で、食事を楽しみました。

 ふと、視線に気づきます。

 

「メタナイト卿、なにか?」

「いや、おいしそうに食べてくれると思ってな……」

「ええ、とってもおいしいですもの」

「そうか」

 

 メタナイト卿が微笑まれた気がしたので、わたくしはさらに嬉しくなりました。

 

 

 ――――――

 

 

 

 楽しかった夕食の次の日。

 今日も良い日になればいいですね。そう思いつつ起きます。

 

 昼過ぎからおこなわれる生番組、チャンネルDDDの「1分クッキング」のサポートをしているときでした。

 

 事件は起きたのです。

 

 巨大なパイを作り、それを巨大な電子レンジで加熱したところ。

 パイが電子レンジから吹っ飛び、陛下に当たったのです。

 

 スタジオ中が笑いに包まれます。

 わたくしは笑いよりも、陛下のためにタオルを用意することの方が大事でした。

 

「陛下、こちらを」

「うむ。エスカルゴン!いつまで笑っとるゾイ」

 

 タオルを受け取った陛下が、顔や身体中のクリームを拭います。

 閣下は顔を引き締めますが、また笑ってしまうようでした。

 陛下は拗ねられてしまいます。

 

「もうよい!番組はおしまいゾイ。ワシは風呂に入る」

「かしこまりました。すぐに準備します。アーニャ、ランタン!行きますよ」

 

 肩を震わせていた二人も、仕事と聞いて真面目な顔に戻りました。

 わたくしたちは先行して、陛下の自室に向かいます。そして、すぐにお風呂の準備をしました。

 

 

 

 さらに次の日。

 朝のニュース番組で、陛下にパイが当たった事件を大々的にとりあげています。

 そこに、陛下はわたくしたちメイドを連れて乱入しました。

 陛下は閣下に怒り、パイを投げつけます。

 閣下もお返しにパイを投げつけます。

 

 その様子をテレビで見ていた村人たちは、大笑いしていました。

 そんな他人事な村人たちに対して、陛下は悪い笑みを浮かべるのです。

 

 

 

 そして、時間は流れて昼前。

 ワドルドゥ隊長とワドルディ十人が大きな厨房に集められました。

 なにかあると思ったわたくしはこっそりその様子を見ていました。

 

 陛下はゆったりとした足取りで、部屋に入っていきました。

 

「あー、コホン。これよりパイを作るゾイ」

「それもたくさんでゲスよ」

「どのくらいの数が必要なのですか?」

 

 ワドルドゥ隊長が質問すると、ガラガラという大きな音をたてて、荷車が彼らの前に置かれました。

 

「これに山盛りゾイ」

「かしこまりました。すぐに作り始めます!」

 

 以前作った大量のお菓子は、カービィのための罠でした。

 今回もそうかもしれません。

 わたくしは急いでフーム様を探しました。

 

 フーム様は大臣一家のお部屋にいました。

 わたくしは陛下がなにか動いていることを、伝えます。

 

「そんな大量のパイ、どうするつもりかしら」

 

 わたくしは記憶の海からすくい上げた未来を、思いついた出来事のように話します。

 

「村人たちに投げる……とかでしょうか?」

「デデデならありえるわ。ありがとう、リーノ!またなにかあれば教えてね!」

「かしこまりました。フーム様、気をつけて行ってらっしゃいませ」

 

 

 

 

 ――――――

 

 

 

 仕事を終えた夕方。

 陛下と兵士たちが村から帰ってきました。

 みな様、パイまみれでした。陛下は少しケガもしているようです。

 

「大変!すぐにお風呂をご用意しますわ!アーニャ、ランタン!急ぎましょう」

「はい!」

「かしこまりました!」

 

 お風呂やタオルなどの用意は二人と他のワドルディたちに任せ、わたくしは陛下のケガを治療します。

 傷口を洗い、薬を塗って大きめのバンソウコウを貼ります。

 

「これで良し。お風呂に入ってもしみないと思います。ですが、バンソウコウを取ったりしないでくださいね」

「わかっとるゾイ」

「陛下。お風呂の準備ができました」

「すぐ入るゾイ。……礼を言うゾイ、リーノ。メイドたちはもう休んでいいゾイ」

「はっ、ありがとうございます。陛下」

 

 わたくしたちは深く頭を下げました。

 陛下を先頭に、閣下と陛下たちは城の中へ入りました。

 陛下たちの姿が見えなくなってから、ランタンが声を上げます。

 

「陛下たちパイまみれだったわね。なにかあったのかしら?」

「機嫌が良くなかったので、その件に触れるのは止めておいたほうがよさそうです」

 

 アーニャの言葉にわたくしは頷きました。

 

「同感です。話は村のみんなに聞いた方がよさそうですね。今から行っては遅くなってしまうので、また明日以降にしましょう」

 

 

 

 ――――――

 

 

 次の日の昼過ぎ。

 洗濯場からの帰りでした。兵士たちを連れて歩く陛下と閣下に、すれ違いました。

 慌てて廊下の端に寄り、頭を下げます。

 陛下はわたくしの前で止まりました。

 

「村に行ってくるゾイ。夕飯は、程よく働いた体の疲労を取る食事にするゾイ」

「それでは鍋にしましょう。野菜をたっぷりといれて甘くしますね」

「うむ」

「ところで陛下、後ろの荷車のパイは一体……?」

「なんでもないゾイ!」

 

 陛下と閣下は慌ててパイの前に立ちました。

 うーん、隠されると気になりますね。陛下は昨日もパイを山盛り作るよう、命令されていました。それに陛下は軽いケガをされて帰ってきました。

 

「陛下……、なにも聞きません。ですから、どうかわたくしもお供に加えてください。陛下がケガをされるかもしれないのに、じっと待って城にいることはできません」

「うむむ……」

「なーんにも手を出さないと、約束できるでゲスか?」

「ケガをされない限りは、お約束いたします」

「陛下」

「よし!連れて行ってやるゾイ」

「ありがとうございます!陛下、閣下。アーニャ、ランタン、あとは頼みます」

「行ってらっしゃいませ、メイド長」

「お帰り、お待ちしておりますわ」

 

 快くわたくしを見送ってくれた二人に感謝します。

 わたくしは陛下と閣下が乗る高級車に揺られて、村へ向かいました。

 

 村の広場に到着すると、壁のように高いバリケードが敷かれていました。

 一体どうしたのでしょうか?

 驚いている傍で、閣下が怒られます。

 

「あいつら!パイで処刑でショーの時間なのに!陛下どうするでゲスか?」

「どうもこうもないゾイ!貸せ!」

 

 陛下は閣下から拡声器を受け取ります。

 そしてバリケード側に言います。

 

「今よりポヨと言ったやつは犯罪者ゾイ!」

 

 カービィだけを狙った言葉に対して、わたくしは注意しました。

 

「陛下!」

「こら!黙っておく約束でゲスよ!」

「うぐ……」

 

 それもすぐに閣下に封じられます。

 どうしたものかと考えている間もなく。

 カービィがバリケードの前に登場しました。

 

「ぽよー」

「カービィ!」

 

 慌ててフーム様も顔を出しました。バリケードの上にいらっしゃいました。

 ばちりと、フーム様と目が合います。けれど言葉は交わせませんでした。

 

「あっー!ポヨと一回言うたゾイ!兵士!」

 

 陛下の合図で、カービィに向けられてパイが一つ飛びます。

 カービィは難なく食べてしまいました。

 

「ぽよ、ぽよ、ぽよ、ぽよ!」

 

 まるで「もっとちょうだい!」と言うかのように、跳ねて喜びます。

 

「今度は、四回!撃てい!!」

 

 再び、陛下の合図でパイが飛びます。連続で四つもです。

 すべて食べられてしまいました。

 バリケード側から声が聞こえます。

 

「こりゃ処刑というより、大道芸ですな」

 

 村人たちが一斉に笑いだします。

 わたくしも誰もケガをしないだろう雰囲気に、笑みをこぼしました。

 

 陛下は、それは大層怒られました。

 

「こうなれば……いでよ!!!」

 

 一際大きな声を上げます。一体どうしたのかしら?

 辺りは静まりかえっていましたが、やがて人々は空を指さします。

 わたくしも空を見ました。葉っぱに遮られてよく見えませんでした。けれど、それは陛下たちがいる上空に止まったので、その姿をよく見ることができました。

 

 魔獣です。

 大きなパイの形をした体で、空を浮いています。等間隔に腕が生えており、そのすべてがフライパンを握っていました。

 

 これはやりすぎです。わたくしは陛下に抗議します。

 

「陛下、初めから魔獣でカービィをやっつけるおつもりだったのですか?!」

「たまたまゾイ!やれ!パワーストマック!!」

 

 魔獣は回転しました。そして止まると、なんとフライパンの上にパイが出現しました。

 超高速回転してパイを投げます。

 狙いはカービィです。

 カービィは食べることができず、パイを頭からかぶりました。

 十個以上のパイをかぶったカービィは、パイに埋もれてしまい姿が見えません。

 そこにあるのは、まるでパイの山です。

 

 動かなくなった星の戦士を心配して、フーム様たちや村人たちがバリケードを超えて降りてきます。

 わたくしも車から降りて、すぐ傍にいきました。

 

「掘り出しましょう!」

 

 フーム様に言うと、彼女はすぐに頷きます。

 手を出したその時、パイの山が震えました。

 ぴたりと手を止めて数瞬見つめると、突然辺りにパイが飛び散りました。

 そして、中からカービィが現れたのです。

 

「カービィ……」

「無事で良かったですわ……」

 

 パイまみれになっちゃいました。

 そのパイが、ふと、口の中に入りました。

 

「――おいしくない……」

「え?」

 

 わたくしは、きっとそのとき苦々しい顔を浮かべていたでしょう。

 そのパイはぐちゃぐちゃで苦くて、それ以上言葉にできませんでした。

 

 

 わたくしが俯いてパイの味に耐えている間にも、魔獣はパイを投げ続けました。

 パイを口に入れた村人たちが「まずい」と連呼しました。

 フーム様も、ブン様も、陛下も、閣下も、ワドルドゥ隊長も、兵士たちも。

 みんながまずいと言う中で、魔獣が静かになりました。

 

 いつの間にか傍にいたメタナイト卿が説明してくれます。

 

「パイの専門家だから、自身のパイをまずいと言われて怒っているのだ」

「では、すぐに魔獣の猛攻がくるのでは……?」

 

 わたくしの言葉を聞いていたメタナイト卿、フーム様がゆっくりと魔獣のほうを見ます。

 魔獣は大きな声を発し、さらにパイを投げつけてきました。

 

「まずい!このままでは……」

「言ってはいけませんわ!メタナイト卿!」

「!しまった……」

 

 魔獣はこちらにパイを投げつけてきました。

 

「散れ!」

 

 わたくしは必死に飛び退きました。

 すると「のわ!!」と驚いた声がしたのです。

 振り返ると、メタナイト卿がたっぷりとパイをかぶっていました。

 

「メタナイト卿、ケガは……?」

「問題ない。それにしても、本当にまずい……」

 

 それはそれは、小さな声で仰られました。

 

 広場はどんどんパイまみれになります。

 みかねたフーム様が、バリケードの中に隠れていたカービィに指示を出されました。

 

「カービィ、吸い込みよ!」

「んー!んー!」

「え?嫌なの?」

「ははっ!カービィも食べないほどのパイだ!」

「ブン様!」

 

 ブン様の言葉に、魔獣はさらに怒ります。そしてパイをブン様とカービィに投げました。

 

「うわ!」

「ぽよー!!!」

 

 ブン様には当たりましたが、カービィは辛うじて逃げます。しかし、そのせいで近くにいたフーム様に当たりました。

 

 カービィはあちこち逃げ回ります。魔獣はそれを追いかけます。

 やがてカービィは陛下たちがいる車の運転席へ逃げ込みます。

 魔獣は車に体当たりして、クリームが辺り一面に飛び散りました。

 

 わたくしも、クリームをかぶりました。

 クリームの海からもがいて、抜け出します。

 広場にいたはずの陛下たちが、姿を消しています。見回してもいません。一体どちらにいらっしゃるのでしょうか?

 

「上を見ろ!」

「え……あれは!?」

 

 巨大な胃袋が、広場上空を浮かんでいました。

 胃袋の上から車が飲み込まれていきます。

 

「あれはパワーストマックの本当の姿、イブクロンだ!」

「そんな……じゃあ、飲み込まれてしまったら……」

 

 メタナイト卿はこくりと頷きます。

 

「胃液に溶かされてしまう」

「そんな!……陛下ー!閣下ー!」

「カービィ!!!」

 

 叫んでも、三人は返事をしませんでした。

 きっと、車と一緒にイブクロンに飲み込まれたのです。

 わたくしは魔獣を倒すべく、巨大な氷の作ろうとしました。しかしメタナイト卿に止められました。

 

「やめるんだ。陛下たちを巻き込んでしまうかもしれん」

「そうかもしれません……。では氷で貫くのではなく、殴って吐き出させるのはどうでしょうか?」

「それよりも、氷を中に入れてカービィに吸い込ませて、アイスカービィを狙う方が良いかもしれん」

「やってみます!」

 

 

 わたくしは人の頭部ほどある氷を二十個ほど作りました。それを操ってイブクロンの上部から、イブクロンの中へ入れます。

 

 ――数分がとても長く感じました。

 

 イブクロンが青く、より青くなっていきます。

 そして内側から凍るように氷漬けになって、空から落ちてきました。

 地面とぶつかった衝撃で、クリームが飛び散りました。それを拭って、イブクロンが落ちた場所をもう一度見ます。

 イブクロンが割れて、中から陛下たちが飛び出しました。そこにはアイスカービィもいます。

 わたくしとフーム様は叫びました。

 

「陛下、閣下!」

「カービィ!」

 

 陛下と閣下は魔獣の中から助かった安堵から、うつ伏せに倒れます。そのままクリームの中に埋もれました。

 口にクリームが入ったのでしょう。

 飛び起きて「まずい、まずい」と顔を歪ませていました。

 とりあえず元気そうです。

 カービィも元気にフーム様たちのところへ走ります。

 みんな無事で安心しました。良かった。

 肩の力を抜いているわたくしに、メタナイト卿が寄り添ってくださいました。

 

「お疲れ様、リーノ」

「ありがとうございます。メタナイト卿」

「これからどうする?」

「村の片付けをお手伝いします。どこもかしこもクリームまみれですもの」

「わかった。私は先に城へ戻る」

「あの……なにかあれば……わたくしの部屋のものをお使いください」

 

 こしょこしょと話します。

 以前、城のお風呂が壊れたときのことを思い出して言いました。

 メタナイト卿も小さな声で言いました。

 

「助かる。ありがとう。……ではな」

「はい。また」

 

 メタナイト卿の背を見送ります。

 次はフーム様が、傍に来ました。

 

「リーノ、ありがとう。カービィを助けてくれて」

「気になさらないでください。わたくしはカービィに陛下たちを助けていただいたのですから」

「リーノ!」

「はい、陛下」

 

 気づけば、陛下が後ろに立っておられました。

 振り向いて頭を下げます。

 

「帰るゾイ!」

「帰って風呂に入りたいでゲス」

「わたくしは村の片付けを手伝ってから帰ります。どうぞ先にお戻りください」

「フン!終わったら、早く帰ってくるゾイ」

「かしこまりました」

「兵士ー!!!」

 

 陛下と閣下は兵士たちを連れて城に帰られました。

 その後ろ姿を見届けてから、村長さんが音頭をとります。

 

「それではみなさん、片付けを始めましょう」

 

 各々が動き出したのを見て、わたくしもフーム様たちと一緒に動き始めました。

 

 

 

 

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