【完結】転生者がカービィ世界で生き抜く話   作:紅絹の木

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ペンギー

 

 

 常夏のププビレッジに、また冬がやって来ました。

 たった一日で赤とんぼが飛び、森は紅く染まります。

 肌寒くなってきましたので仕事を一時中断し、急いで秋冬用のメイド服に着替えます。

 雪が降ってきましたので、すぐに洗濯物を室内に移動させます。

 作業の合間に、アーニャとランタンとお話しました。

 

「今回の冬って、また陛下のせいなのかしら?」

「何か聞いていますか?リーノ」

「たしか、陛下が魔獣の代金を支払っていないのでデリバリーできないと、閣下から聞きましたわ」

「なら、この冬は魔獣のせいじゃないのかしら」

「どうなのでしょう……」

 

 三人寄って考えますが答えが出ません。

 洗濯物は案外早く、移動できました。

 

 夜にはしんしんと雪が降り、冬特有の静けさがプププランドを包みました。

 こんな時ほどメタナイト卿のお傍にいたいと思うのです。

 

 

 

 朝。

 雪が積もりました。

 手袋をはめ、マフラーを巻いて、ワドルディたちと雪かきをします。外から入り込んだ雪は、廊下の半ばほど積もっています。上から雪を落としては危ないので、集めては秘密のエレベーターで地上に下ろします。

 アーニャとランタンは比較的暖かい中で作業をしてもらい、わたくしは地上で作業をしました。

 

 城から門の橋まで雪かきをしていると、ブン様に声をかけられました。フーム様とカービィも一緒です。

 手を止めて応えました。

 

「おっはよう!リーノ」

「おはようございます。ブン様、それにフーム様とカービィも」

「おはよう、リーノ。朝から精が出るわね」

「ぽよい!」

「お三方は、これから遊びに行かれるのでしょうか?」

「ええそうよ」

「スノーボードをするんだ!なあ、カービィ!」

「ぽよ!」

「まったく。気楽でいいわね……」

「だって楽しまなきゃ損じゃん?行こうぜ」

「ぽよー」

 

 ブン様とカービィは自分の身長より長い板を持って、走り出しました。

 お二人の楽しそうな表情とは対象的に、フーム様のお顔は曇りがちです。そのお顔が、わたくしの方を向きました。

 

「リーノはどう思う?この異常気象について」

「そうですね。魔獣の線は薄いと考えています」

「それって、デデデが代金を支払っていないから?」

「ご存知だったんですね」

「昨日、問い詰めたら聞かされたの」

「左様でしたか……。実はわたくしも、アーニャとランタンと共にこの異常気象について考えたのですが、答えが出なくて……」

「まあ、そうだったの」

「とにかく情報が足りません。今は様子を見てはいかがでしょうか?」

「……そうね。そうする!ありがとう、リーノ」

「お役に立てたのなら幸いです」

 

 手を振って走り去るフーム様に、手を振り返します。

 その背中が小さくなるころ、わたくしは再び手を動かしました。

 

 

 ――――――

 

 

 夜になると、村を訪れたペンギー一族を持て成すために祭りが開催されました。

 そして見つけたのです。村の中央広場、そこに飾られた氷像たちの一つ。

 

「メタナイト卿の氷像……!」

 

 あの方のミステリアスな雰囲気が見事に出ていますわ!素晴らしい作品です。造られた方はどなたですか!?ぜひとも、握手をいたしましょう。

 

 キョロキョロと辺りを見ますが、それらしい人物が見えません。ですが、ふと視線を感じて振り向きました。

 ――メタナイト卿が人目を忍ぶように、物陰からこちらを見ていらっしゃいました。

 わたくしと目が合うと、彼は奥へ消えていきます。なんだか、そちらに行かなくてはいけない気がしました。

 わたくしは遠回りして、メタナイト卿がいらっしゃるだろう家の裏へ向かいました。

 

 目的の場所に、彼はいました。

 お傍に寄ります。

 

「メタナイト卿」

「リーノ、よく来てくれた」

「わたくしに、何かご用が?」

「城の地下へ身を隠せ。アーニャとランタンも一緒に。……急げ」

「か、かしこまりました」

 

 わたくしは来た道を戻り、アーニャとランタンを見つけます。

 二人は一緒にいました。

 

「リーノ。探しました。一体どこにいたのですか?」

「えーと、メタナイト卿の氷像を見ていましたわ!それよりも……」

 

 二人に耳を近づけて、ごにょごにょとメタナイト卿から伝えられた事を話します。

 二人は「詳しい話は後で」と、まずは城に戻ることを優先してくれました。

 

 

 

 急いで城に戻り、地下へ直行します。

 いつも食事会を開いている地下厨房へ行くと、ブレイドナイトさんがいらっしゃいました。

 

「ブレイドさん」

「アーニャ」

 

 二人が手を取り合います。

 話はアーニャが進めてくれました。

 

「メタナイト卿から城の地下へ行けと、そう言われて私たちはここまで来ました」

「その件で説明するよう、メタナイト卿から言われている。三人とも聞いてほしい。今村にいるペンギーたちが怪しい動きをしている」

「怪しい動き?」

「そうだ。危険じゃないとわかるまで、ここにいてほしい……頼む、アーニャ」

「あなたを信じています。ここにいますわ」

 

 お互いを見つめ合うアーニャとブレイドナイトさんにあてられて、わたくしとランタンは顔を赤くしました。

 

「あー……二人きりの世界の中悪いんだけど、私たちもここにいさせてもらうわ。ね、リーノ」

「はい。一緒にいますね」

「もちろん。みんな一緒ですよ」

 

 振り向いて微笑むアーニャは、幸せそうに笑っていました。たいへん可愛かったです。

 

 

 

 メタナイト卿とソードナイトさんはすぐに地下厨房へいらっしゃいました。

 

「ペンギーが侵略を始めた」

「え!?」

「逆らうものも、逃げるものも氷漬けにされた。……すぐに解かれていたが、みな警察署の牢屋に入れられている」

「そ、そんな……」

 

 目の前が真っ暗になるようでした。体は震えて、村のみんなのことを思うと胸が痛みます。

 手を胸の前でぎゅっと握りしめました。

 ですが、メタナイト卿の次の一言で、目の前が再び明るくなりました。

 

「私はペンギーたちに紛れて機会を伺うつもりだ。……力を貸してくれ」

 

 ――わたくしにもできることがある。そう思うと力がわきます。

 ソードナイトさんとブレイドナイトさんが前に出ました。

 

「卿、我々も」

「お供します」

「それでは、三人の傍が手薄になってしまう。リーノたちを頼む」

「……かしこまりました」

 

 悔しそうな声が、ソードナイトさんから聞こえる。ランタンがそっと、彼の肩に手を乗せました。

 

「それで、わたくしたちは一体何をすれば良いのでしょうか?」

「ペンギーの衣装を作ってほしい。できる限り、本物に見えるように」

「かしこまりました。それなら……」

「ええ!私たち三人の出番ですね!」

「すぐに作ってきます!こちらでしばらくお待ちください」

 

 わたくしたち三人は地下厨房を出ました。

 

 

 

 地下厨房から離れて、少し入り組んだ廊下の先。

 そこにわたくしたちの秘密基地はあります。

 

 大きく広い室内、部屋を明るく照らしてくれるいくつもの照明、左の壁には衣装が畳まれており、右の壁には布地がいくつも置かれていました。

 中央、丸いテーブルは大きく十人が座っても余裕がありそうです。そこにはミシンなどが並んでいました。

 よく目を凝らせば、奥にはアクセサリーが並んでいます。

 

 ここにあるアイテムのほとんどはハンドメイドで作ったものです。

 いつかお店を持ったときに、これらの作品を販売しようと、わたくしたちは話していました。

 

「さあ、急いでペンギーの衣装を作りましょう。まずは……」

 

 わたくしたちは手分けして動き始めます。

 

 

 ――――――

 

 

 ペンギーの衣装作りはうまくいきましたわ。

 趣味だった服作りが、こんな形でメタナイト卿のお役に立てるとは思いもよりませんでした。

 

 ペンギーに変装したメタナイト卿は地上へ向かいます。

 わたくしたち五人は、長い夜を地下厨房で過ごしました。

 

 

 

 夜が明けるころ、メタナイト卿が戻ってこられました。一目散に駆け寄ります。

 

「メタナイト卿、ご無事でなによりです」

「うむ。心配をかけたな。もう大丈夫だ。ペンギーたちは旅に戻った」

「旅にですか……」

「そうだ。我々は仕事に戻る。そなたたちはどうする」

「仮眠したので体調面に問題はないかと、仕事に戻るつもりですけれど……」

 

 アーニャとランタンの顔を見る。

 うん。少し寝不足の顔をしているけれど、問題はなさそう。

 二人は頷いた。

 

「私たちも仕事に戻ります」

「出した冬物、片付けなくちゃね!」

「では、一緒に行きましょうか。まずは陛下の朝食作りから……。メタナイト卿、ソードナイトさん、ブレイドナイトさん。助けてくださって、ありがとうございます」

 

 わたくしに続いて、アーニャとランタンもお礼を言いました。

 メタナイト卿たちは、おそらくですけれど、微笑まれました。

 

 

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