思い立ったが吉日。
アーニャやランタンのように、自室に統一感を持たせたいと思いました。
思い出の品をランダムに飾ることも楽しいです。けれど自室に訪れた方が落ち着ける空間を作ることが、重要な気がするのです。
仕事が終わり自室に帰ったら、まず紙にどんな部屋にしたいか書き出しましょう。
「リーノ!リーノはおるでゲスか!?」
「はい。こちらに」
城内。
廊下の角から、閣下が現れました。
閣下が呼ばれるので、掃除していた手を止めて傍に寄ります。
「何かご用でしょうか?」
「陛下が散らかして、玉座の間が汚いんでゲス。掃除しに来てくれでゲス」
「かしこまりました。すぐにワドルディたちと共に向かいます」
わたくしは来た道を戻りました。
一緒に廊下掃除をしていたワドルディたちを連れて、玉座の間へ向かいます。
玉座の間はたいへん汚れていました。
ゴミがあちこちに散乱し、微かに異臭がします。
その中で陛下はオヤツを食べて、ドラマを見ていました。
わたくしは部屋の扉を開けっ放しにしたまま、陛下のいる玉座まで進みます。
陛下は玉座に座り、大きなモニターでホーリーナイトメア社のドラマを視聴しています。
「陛下、ご機嫌麗しゅう」
「なんゾイ」
「部屋の掃除をさせていただきますわ」
「後にせい。今いいところゾイ」
「申し訳こざいません。今させていただきます。ワドルディの皆さん、お願いします!」
ワドルディたちはただちに掃除を始めました。
わたくしはゴミを分別するため、袋をいくつか用意します。そして、袋の近くのゴミを集めて分別します。
「だあああ!騒がしくて集中できんゾイ!」
「すぐに終わりますわ。どうかご容赦を」
ワドルディたちのおかげで、掃除は十分ほどで完了しました。
空気の入れ替えも完了しました。清々しい気持ちでいると、陛下と閣下がゴミ袋の前で何やら話し合っていました。
そしてお二方とも、ニヤリと片方の口角を上げると、命令をしました。
「者共!城にあるゴミ袋をここへ持ってこーい!!」
「急ぐでゲスよ!」
「……え?」
ワドルディたちは走っていきました。
わたくしはポカンと口を抑えました。そして、陛下と閣下のところへ歩み寄ります。
「あの、一体どうされるのですか?」
「ホーリーナイトメア社に送るゾイ」
「……断られるのでは?」
「その時は取引停止ゾイ!デハハハハハ!!」
「左様ですか……。では、わたくしは夕食を作りにいってきます」
「うむ。今日はハンバーグにするがよいゾイ」
「チーズインハンバーグでゲスよ!」
「かしこまりました。チーズインハンバーグを作ります。それでは、失礼いたします」
わたくしは玉座の間を出ました。
料理をするので、汚れた服を着替えるべく、まずは自室に向かいました。
――――――
その次の日、朝のニュースでサトさんとボルンさんが取り上げられていました。
信じられない言葉が聞こえてきました。
「……サトさんが片付けられない女性?」
いいえ。サトさんは綺麗好きです。家にお呼ばれした当時、とても良く片付けられていた事を覚えています。
一体、なにがあったのでしょうか?
わたくしは朝食をできるだけ急いで食べました。
村へおりて、サトさんの家に向かいます。
家にはすでに村人が集まっていました。まるで観光地のようです。写真を撮ったり、家の中を見学される方がいます。
家の近くに、サトさんとボルンさんを見つけました。
わたくしは素早く動き、人と人の間を抜けて二人に近づきます。
「サトさん、ボルンさん……」
「やあ、リーノ」
「あら、リーノも来たのね」
お二人の声に元気がありませんでした。
というか、サトさんの目元が赤いような……?
優しいサトさんを泣かせるなんて許せない、と思いました。
自分の周りが凍えていくのがわかります。ですが、止まりません。
ふ、と視線を感じて振り返ります。
離れたところに陛下と閣下がいました。
「ちょっと失礼」
サトさんとボルンさんから離れて、陛下たちに近づきます。
「――陛下、閣下」
「ひえ!寒いゾイ!!」
「リーノ!吹雪は止めるでゲス!」
「質問に答えていただけたら、やみます。――なぜ、サトさんは泣かれたのですか?」
「し、知らんゾイ……」
「同じく……」
わたくしの足元が凍る――バキンッ!という音を合図に、お二人は走り出しました。
「陛下!閣下!」
「うるさいゾイ!次は村長宅に行くゾーイ!!」
「どんな家か楽しみでゲスな!」
「ええー!!!?」
「ハナさんまで困らせる行動は慎んでくださいませ!!」
タイヤを凍らせようとして冷気をまといました。
ですが、車はいくら待っても発進しません。
陛下たちの視線の先には、異変が起きた城がありました。
「あれは一体なんゾイ?」
「陛下!あれはゴミでゲスよ!!」
「なに!?すぐ発進するゾイ!」
「アイアーイ!」
閣下は車を風のように発進させました。
城に帰るのであれば、わたくしは止めません。陛下たちを見送って、それからサトさんのところへ戻ります。
サトさんとボルンさんも城を見ていましたが、わたくしに気づいて顔を向けました。
「サトさん、ボルンさん。わたくし、良い事を考えましたの」
「あら、なにかしら?」
「家の中にあるいらない物を、いる物にしちゃいましょう。つまり売るのです!」
その言葉にボルンさんが待ったをかけます。
「だが、これらはすべて落し物なんだよ。それを売るというのはなあ……」
「あら、いい考えだと思うわ」
フーム様がやって来ました。彼女も話に加わります。
「販売するかどうかは、これから話し合って決めればいいと思う。けれどどこかのタイミングで、このたくさんの落し物を手放さないと、また家がゴミ屋敷になっちゃうわ」
「家がゴミ屋敷なのはもうイヤよ!あなた!」
「うーむ。とりあえず村人と相談してみようか」
「では、みなさんと相談される前に、いくつか決めておきましょう。持ち主が見つかったとき、販売するものの選別方法、販売方法など……」
ゴミ問題について、話し合っていました。
話を進めていくうちに、家を片付けられるかもしれない、とサトさんの表情がほころびました。
案を忘れないようにと、メモを書き込みます。
常にメモを携帯しておいて良かったですね。
――そこに魔物が来ました。
「ゴメンナサーイ!ゴメンナサーイ!!」
謝るように大声を上げるその魔獣は、見た目が円柱のゴミ箱に手足がニョキっと生えているのでした。
魔獣は村のあちこちを巡り、ゴミを吐き出します。
さすがのカービィもゴミは吸い込めません。
ならば、とわたくしはほうきを買いに走りました。
近くにいたコンビニ店店長のタゴさんと、コンビニへ走ります。
そしてほうきを購入して、急いでカービィたちのところへ向かいます。
ゴミ箱の魔獣は広い道の真ん中で、ゴミを吐き出していました。
離れた距離に人が集まっています。最前列に陛下たちを見つけました。きっとあそこにはカービィもいることでしょう。
急がなければならないのに、人が密集していて行けません。
焦っていると、聞き慣れた声が聞こえてきました。
「――リーノ」
「あ、メタナイト卿!」
「それは、私が持っていこう」
メタナイト卿はほうきを指しました。
わたくしは頷き、ほうきを差し出します。
「お願いしますわ」
「任された」
青い戦士は軽やかに屋根に上がり、また違うお宅の屋根へと飛び移ります。
カービィはほうきを吸い込み、クリーンカービィに変身しました。
そして魔獣の攻撃をすべてさばき、ゴミを浄化します。ゴミを吐き出せなくなった魔獣は瞬く間にクリーンカービィに倒されました。
クリーンカービィは村中のゴミを浄化し、サトさんの家のゴミも浄化しました。
ゴミがなくなった家の中はとっても綺麗でした。サトさんとボルンさんはカービィにお礼を言っていましたわ。
――村はクリーンカービィのおかげで、その美しさを取り戻しました。
しかし、城は魔獣が吐いたゴミだらけです。
陛下も閣下も、みんなで力を合わせて掃除に取り掛かりました。
異臭が取れるまで数日かかりましたわ……。