【完結】転生者がカービィ世界で生き抜く話   作:紅絹の木

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秘宝、紫外線

 

 

 初夏が近づいてきた今日この頃。

 夜明けと共に、陛下たちの朝ごはんを準備していました。たいへん眠たいですが、今日も頑張りますわ。

 ところが、なぜか陛下と閣下は城におりません。ワドルドゥ隊長に確認すると、夜明け前に車で出て行ったそうです。

 

 厨房で、アーニャとランタンと顔を見合せました。

 お互い「しょうがない」と肩を落とします。

 

「今回は何かしらね?」

「カービィ絡みでしょうか?それともこれから起きるのでしょうか?」

「それを確かめるためにも、城の門で陛下たちのお帰りを待った方が良いかもしれません」

 

 今回は、厨房にアーニャが残ります。わたくしとランタンは門へ向かいました。

 

 

 

 ゆっくり歩いて門に向かうと、ちょうど陛下の車が走ってきました。

 わたくしたちは門の端に避けます。頭を下げて、車を迎え入れました。すると車はわたくしたちの前で止まります。

 わたくしたちはお声がかかるまで待ちました。

 

「リーノ、ランタン。出迎えご苦労でゲス」

「今日の朝メシは何ゾイ」

「おかえりなさいませ。陛下、閣下。今日はサラダ、コーンスープ、ウインナー、オムレツ、パンをご用意しております」

「ウインナーとオムレツは、食堂にて陛下たちの御前で作らせていただきます」

「つまりできたてを食べられるでゲスな!」

「あーん、それを聞いたら余計に腹が減ったゾイ!今日は散々な目にあった。はよう用意するゾイ!!」

 

 そして陛下たちを乗せた車は、城の奥へ走りました。

 車か去ってから、わたくしたちは頭を上げます。

 

「散々な目にあったということは、カービィと何かあったのでしょうか」

「多分ね……。じゃあ、私は厨房に戻るわ。メイド長はあとから?」

「はい。おそらくフーム様たちが帰ってこられるでしょうから、待とうかと」

「そう。じゃあ、朝食は私とアーニャに任せてね。それじゃ」

「はい。よろしくお願いします」

 

 ランタンは早足で厨房へ戻っていきました。

 

 

 

 メタナイト卿にもプレゼントしたあの懐中時計を懐から取り出して、時間を確認します。

 あと十分したら、わたくしも自分の仕事に戻ろう……。そう思った矢先、遠くに複数の人影が見えました。

 フーム様、ブン様、メタナイト卿、……フーム様とブン様に運ばれるカービィです。

 わたくしは門で、四人を迎えました。

 

「お帰りなさいませ。それから、おはようございます」

「おはよう!リーノ」

「おはよー」

「おはよう」

「くう……くう……」

「カービィは……戦闘疲れですか?」

「あら?リーノ、何があったのか知っているの?」

「先程、陛下たちも帰ってこられたんです。その時、散々な目にあったと仰っていらしたので、魔獣絡みかと思いまして……」

「その通りよ。今回はキュリオさんが巻き込まれちゃって……」

「まあ!キュリオさんまで……」

「詳しくは歩きながら話すわ。カービィを部屋で寝かせてあげたいの」

「私はここで別れよう。……またな、リーノ」

「はい。メタナイト卿、お会いできてよかったです」

「うむ。私もだ」

 

 メタナイト卿はマントをひるがえし、城の中へ入られました。

 その姿にときめいていると、ブン様もフーム様もニコニコと口元を緩められます。

 

「なにか?」

「別に」

「なんでもないわ」

 

 なんだか恥ずかしくて、わたくしはこっそり、ポケットに入れてある青いコンパクトを撫でました。

 

 それから大臣一家のお部屋に戻る間、フーム様が事件について教えてくださいました。

 

 陛下が作ったニセの古文書のせいで、キュリオさんが魔獣を目覚めさせてしまったこと。

 カービィが夜だけ襲われるようになったこと。

 魔獣を吸い込んだけれど、能力をコピーできないスカだったこと。

 陛下の投げた爆弾で、ボムカービィとなったこと。

 最後は朝日で魔獣をやっつけたこと。

 

 わたくしは息を吐きだします。

 

「……大変な一日でしたわね」

「まあ、いつもの事よ」

「だなー。あー腹減ったし眠い。朝ごはん食べたら寝よう」

「そうね。私も、ふわぁ……眠たいわ」

「お疲れ様でした。ごゆっくりお休みください」

「ありがとう。それじゃあね、リーノ」

「またなー」

 

 わたくしたちは大臣一家のお部屋の前で別れます。

 わたくしは歩きながら考えました。

 

 キュリオさんにお詫びに行った方がよいでしょう。ついでに村の様子も見ておきましょう。

 もしかしたら、魔獣との戦闘のせいで、村のどこかが壊れてしまったかも。修繕が必要かもしれません。

 差し入れは多めに作っておきましょう。

 

 今日は昼から村に行こうと、決めたのでした。

 

 

 

 

 ――――――

 

 

 

 

 それからまた一週間ほどたちまして。

 ププビレッジでは紫外線が話題になり、怖がるようになりました。エアコン、紫外線対策の化粧品が飛ぶように売れたと聞きました。

 

「たしかに、ここ最近は日差しがおかしいような……」

 

 不安になり、青空を眺めます。

 アーニャとランタンも不安そうでした。ですが、仕事は休めません。

 

「とりあえず、急いでシーツを城の中に入れちゃいましょう!」

「そうしてくれると助かる」

「あら、メタナイト卿」

 

 シーツを干している庭に、メタナイト卿と……加えてソードナイトさんとブレイドナイトさんが現れました。

 

「三戦士お揃いで、一体どうされたのでしょうか?」

「ここで熱気球をつくりたいのだ」

「気球を?どうして……?」

「空の異変を、確かめに行く」

 

 わたくしたちは空を見上げました。

 いつもの空がありました。

 

 とにかく、急いでシーツと干すための道具すべてを、片付けます。

 選択場に集まっていたワドルディたちにお菓子を与え、気球作りを手伝ってもらいます。

 

 設計図はフーム様とキュリオさんが考えられました。

 ロロロとラララに、朝から出かけたブン様とカービィを探しに行ってもらいます。

 

 材料は城にあったもので足りました。

 ワドルディたちのおかげで、スムーズに作業が進みます。

 

 やがて完成した気球には、メタナイト卿、フーム様、ブン様、カービィが乗り込みました。

 ブレイドナイトさんの合図で、気球に繋がれた縄は切られます。

 

 気球は空高く飛んでいきました。

 

「メタナイト卿、フーム様、ブン様、カービィも。ご無事で……」

「それじゃ、私は行くよ。メタナイト卿から頼まれているからな」

「何を、でしょうか?」

「空での調査結果を、後で報せると言われてな。村で待つことにするよ」

「そうなのですね。かしこまりました。それではキュリオさん」

「ああ、またな」

 

 

 

 

 それから気球はどんどん上がり、やがてある地点で止まりました。

 何か、様子がおかしいです。気球の周りで何度もチカチカと光が見えます。

 

「戦闘でしょうか?」

「おそらく……」

 

 わたくしと、アーニャ、ランタン、ソードナイトさん、ブレイドナイトさんは空を見上げています。

 そこにバタバタと慌ただしい音が聞こえてきました。

 

「どけどけどけーい!!!」

「宣戦布告でゲスよ!」

「陛下?閣下?」

 

 陛下と閣下、パーム大臣、ワドルドゥ隊長、ワドルディたちが、駆け込んできました!そして大きな大砲をセットし始めます。

 ――それは真上を向いていました。

 

「まさか……!?陛下、お止めくださいませ!メタナイト卿たちに当たります!」

「黙らっしゃい!」

 

 あっという間に砲台は完成して、砲弾は真上に向かって発射されました。

 

 ――気球は爆発はしませんでした。

 しかし、その周りで爆発する音が何度も聞こえてきます。それは数分で止みました。

 

 戦闘が終わったのでしょうか?

 気球がどんどん降りてくるので、わたくしたちは急いで気球の降下地点に向かいました。

 

 

 

 気球は草原に降下しました。

 カービィはワープスターに乗って降りてきます。みんな無事です。

 

 わたくしたちは手を叩いて、その勝利を祝いました!

 

 

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