よく晴れた午後のことでした。
わたくしたちメイドは、昼から休みをいただきました。
それを知ったフーム様とブン様に誘われて、わたくしは村へおります。途中カービィを探しました。
一緒に村へ行くためです。
野原の中、三人で「カービィ!」と声を張ります。
そして、カービィを見つけました。
わたくしは池の前でカエルと見つめ合うカービィに、声をかけます。
「カービィ、そのカエルは……?」
「ぽよ?」
「ゲロ!!」
カエルはカービィに飛びかかりました。
わたくしは思わず、カエルの体を凍らせました。
ドスン!
氷の塊が地面に落ちました。
カエルは首から下が凍っています。身動きがとれず、首から上だけをブンブンと動かしていました。
「ぽよ!?」
「ごめんなさいね、カービィ。……このカエルは普通じゃありませんね」
「ゲロ!ゲロ!」
「近くにフーム様たちがおります。カービィ、呼んできてください。――わたくしはカエルを見ておきますわ」
「ぽよ!」
カービィは野原をかけていきました。
それから、フーム様とブン様に合流します。
お二人にも、カエルのことをお話すると、怪しいという結果になりました。
すぐさまメタナイト卿の部屋に行きます。
青い戦士は、部屋にいらっしゃいました。
件のカエルを見せると、メタナイト卿は「デビルフロッグ!」と声を上げられます。
「なぜここに?いや、それよりも全員無事だな」
「どういうことですか?」
「デビルフロッグは相手にとりつき、操る。そして悪事を働くのだ」
「まあ!」
「じゃあ、リーノがこのカエルを凍らせてなかったら……」
「カービィは今ごろ、いたずら三昧ってことか……?」
「いたずらでは、すまされん。陛下がおこす以上の事件が、おきていたはずだ」
「恐ろしいですわ……」
わたくしと背筋が寒くなるようでした。
想像すると不安で、両手を握ります。その握る手に、メタナイト卿の手が重なりました。
「カービィもだが、そなたが無事でよかった。操られていれば、村にも被害が出ていただろう」
「わたくしが村を襲ったかもしれないのですね……」
「そうだ。……だがデビルフロッグを捕まえたことで、村は守られた。そなたのおかげだな」
「そうですね……そのように考えれば良いのですね!」
メタナイト卿は頷かれる。
村の平和を守ることができたと、村に貢献できたと考えれば、心が軽くなりました。
わたくしは微笑んで、メタナイト卿に「ありがとうございます」と言いました。
デビルフロッグは、城の中庭で倒しました。
わたくしの氷を吸い込み、アイスカービィに変身してもらうのです。
そして、吹雪をデビルフロッグにおみまいします。デビルフロッグはカチンコチンになった後、爆発しました。
爆発音を聞きつけて、陛下と閣下が走ってきました。
「なんの騒ぎゾイ!」
「城を壊す気でゲスか!?」
「違うよ、カービィが……」
「魔獣を倒したのよ」
ブン様とフーム様の言葉に、陛下と閣下は不思議そうな顔を浮かべます。
「陛下、魔獣なんて……」
「ダウンロードしたかゾイ?」
「デビルフロッグという魔獣でしたわ。見た目は普通のカエルで、ゲロゲロと鳴いておりました」
「ゲロ……ゲロ……――あ!思い出したゾイ!わしの可愛いカエルちゃんに、何してくれとるゾイ!」
怒る陛下に対して、わたくしは目をつりあげて言いました。
「放置していれば、村に被害が出ていました。見過ごせませんわ!」
「うぐぐ……!」
はっきり言い返せば、陛下はたじろぎます。
今回ばかりは、村に多大な被害が出ていたかもしれないのです。譲れません。
わたくしが譲らないとわかっていただけたのか、閣下は陛下をチョンとつつきました。
「陛下……今日はちょ〜っと形勢不利かんも……」
「ぐぬぬ……覚えているがよいゾイ!!それと、今日は豪華な料理にせい!」
「和食のフルコースにいたしますわ」
「それでよいゾイ!フンだ!!」
「あ!陛下、待って〜!!」
陛下はお怒りを隠さず、ズンズンと歩いていきました。離れる陛下の背を、閣下は急いで追いかけます。
お二人の背中が見えなくなったころ、ブン様が言いました。
「……いいなあ、デデデのやつ。リーノの和食のフルコースが食べれてさ」
「まあ、たしかにそれは羨ましいかもね」
「まったくだ……」
「あれ?メタナイト卿はいつもリーノのご飯食べているんじゃないの?」
「時間が合えば、一緒に食べていますよ」
「――そうだな」
「ふーん?恋人って毎日会うわけじゃないのね」
「どちらにも、仕事がありますから……それでは、わたくしはこれで失礼しますわ」
今日は和食のフルコースに決まりました。今から食材の確認と、買い物、下準備をしなければいけません。
一人より、アーニャとランタンがいてくれたら、助かります。
たしか城にいたはずです。探しましょう。
「ああ。リーノ、今日は助かった。ありがとう」
「お役に立てて良かったです」
わたくしとメタナイト卿はしばしの間、見つめ合いました。
気づかなかったのですが、その隣でフーム様とブン様が顔を赤くし、カービィは不思議そうにしておりましたわ。
――――――
それから数日後。
城も村も平穏でした。
今日の天気は晴れです。
昼からピクニックに出かけた大臣一家を見送り、わたくしたちメイドは仕事に戻ります。
本日は、一階から地下に向かって全ての部屋と廊下を掃除します。
地下牢に続く廊下を、掃除しているときでした。
廊下の奥から声が聞こえてきます。
「――やめてよ!離してってば!!」
「……フームさま?」
その声の主はフーム様でした。
陛下と閣下が先頭を歩き、フーム様らしき人影がワドルディたちに運ばれています。そして地下牢へ降りていきました。
わたくしの周囲がひんやりと、温度が下がります。
「すみません。わたくし、行ってきます」
「一緒に行くわ」
「でも……」
「今日は何だか様子が変です。三人で行きましょう?」
「――そうですね。アーニャとランタンがいてくれたら、心強いです」
「じゃ、決まりね!」
わたくしたちは掃除道具を端にまとめて、地下へ突入しました。
地下牢をこっそり覗きます。
ワドルディたちが五人ほど、見張りをしています。
牢屋の中は灯りがもれていて、なんだか甘くて良い香りがしました。
陛下と閣下の声が聞こえます。
「言え!ワープスターをどこに隠した!」
「言わないと……内臓脂肪ぶくぶくの刑でゲスよ!」
わたくしは胸をなで下ろしました。
どうやら酷いことはおきていないようです。
アーニャとランタンと顔を合わせます。それから小声で話しました。
「ひとまず、安心しました……」
「それでも、捕まっていることに変わりないですよね……」
「助けに行くんでしょ?」
わたくしは頷きます。
「どうするの?」
「?凍らせちゃいます。わたくしには、それしかできませんから」
「充分すごいことだと思います……。リーノ、一緒にいきますからね」
わたくしは驚いてアーニャの顔をまじまじと見ました。
「危ないですよ」
「あら、そんな危険なことをするつもりですか?」
「いえ、パパッと終わらせちゃいますけれど……」
「なら、大丈夫じゃない?相手は陛下たちだし……。リーノが兵士たちを抑えている間に、私とアーニャが……」
「おれたちも参加するよ」
わたくしたちは、飛び上がってしまうほど驚きます。
声がする方へ振り返ると、ブン様、カービィ、ロロロとラララがいました。
「どうしてこちらに?」
「ピクニック中に、デデデが姉ちゃんをさらったんだ。やるならおれたちも、参加する」
「うーん……、まあ危ないことは、すべて凍らせてしまえばいいですよね」
「そうそう。ほら、やっちゃおうぜ」
「では、参ります。みな様、続いてください」
わたくしを先頭に、牢屋へ走り出します。
見張りのワドルディたちが気づきました。槍を向けてくるので、尖っている先を凍らせます。先が重くなったため、槍を持てなくなったワドルディは慌てます。
そんなワドルディにロロロとラララ、しかもブン様まで体当たりされて。あ、鍵をゲットされました。
「姉ちゃん!」
「ブン!」
ブン様は牢屋の鍵を開けて、中に入ります。
牢屋の中は明るいです。テーブルの上には様々なお菓子やデザートが置かれています。わたくしたちは作っていませんから、ワドルディたちに作らせたのでしょう。
ブン様はフーム様の縄をほどきました。
フーム様は解放されて、ホッと息を吐きます。
ブン様に驚き、兵士たちを無力化したわたくしたちにも驚いた陛下と閣下。
あちらにこちらと顔を向けて、怒ります。
「もう!邪魔するでないゾイ!!」
「減給もんでゲスよ!」
「フーム様にいじわるする方が問題ですわ!大体、一体なにごとなのでしょうか?」
「フームに、ワープスターの場所を聞いていたんでゲスよ」
閣下の言葉を聞いたブン様が、ごく自然に言いました。
「え?ワープスターなら、カブーの中じゃん」
「!!」
「!?」
「ブン!!」
「――あ!」
ブン様は慌てて口を塞ぎます。
ですが、もう遅いです。
陛下と閣下は顔を見合わせて笑いました。
「デーヘッヘッヘッ!」
「いいこと聞いちゃったもんね!」
お二人は瞬く間に、牢屋から出ていきます。
あっという間に姿が見えなくなりました。わたくしが止める隙もありませんでしたわ。
ブン様がフーム様に謝ります。
「姉ちゃん、ごめん」
「口が軽いのね」
「うっ……すぐに行こう!」
「大丈夫よ。カブーは、あなたよりずっと口が固いから」
「はい……」
そこにわたくしは疑問を口にしました。
「ですが、ワープスターを取られたりしませんか?うう、自分で言っていて悲しい気持ちになりますわ」
「無理しないで、リーノ。……それも大丈夫。ワープスターは私の命令に従うの。――それを知っているのは、私だけじゃないの」
それから明かされる秘密は、初めて耳にするものでした。
ワープスターとフームさまの繋がり。それを知るカブーとメタナイト卿。
とても、不思議な話でした。
わたくしは、その話に思いをはせるのではなく、次に行動を移しました。
「とにかく、カブーの谷へ行きませんか?陛下と閣下を止めないと、カブーに迷惑をかけてしまいますわ」
「それもそうね……デデデたちを追いかけましょう。カービィ、オヤツは吸い込んでいいわよ」
「ぽよーい!」
カービィはあっという間に、オヤツを吸い込みました。
お皿とスプーン、フォークは出してくれます。あとで、洗いましょうね……。
とにかく、カブーの谷を目指すべく地上へ上がりました。
その途中で、大臣夫婦に出会います。どうやら、さらわれたフーム様を追って来たようです。
大臣一家が喜び合っている、そのとき。
空が暗くなりました。
「?雲が出始めたのかしら?」
「いえ、あれは……!?」
「宇宙船!」
とんでもなく大きな円が、お城の空をおおいました。
その円は、ピカピカ光っていて、まさしく宇宙船と呼ぶのに相応しい姿をしています。
宇宙船の内側に、小さな円がもう一つあります。そこがカッと光りました。
――攻撃が始まりました。
光弾が放たれ、それは曲線を描きつつカービィを狙います。
「カービィ!」
フーム様の声もあってか、カービィは直撃をまぬがれました。
ですが、爆発に巻き込まれ、空中に飛ばされます。
地面を転がり、慌てて立ち上がると、また光弾が降ってきました。
避けて、再び飛ばされます。
フーム様がカービィを助けに行こうとなさるので、パーム様と一緒に止めます。
カービィは、どんどんわたくしたちから遠ざかります。パルクールでかけまわるように、城の中を移動していきます。
わたくしはフーム様に言いました。
「遠回りしましょう!そこでカービィと落ち合うのです!」
「ええ!」
パーム様とメーム様、それからアーニャにランタンにも反対される前に、わたくしとフーム様は走り出します。
城が攻撃されて揺れ動く中、どんなに歩きにくくても、わたくしたちは足を止めませんでした。
広い廊下の反対側から中へ入ると、奥にカービィの姿が見えました。
体中、汚れています。ケガは、見えませんでした。
カービィにかけよったフーム様は言います。
「カービィ!ここは危険よ。カブーの谷に、逃げましょう」
「ぽよ……」
そこにあの方の声が聞こえました。
「ワープスターを呼べ!」
「メタナイト卿!」
メタナイト卿が走ってきました。
決断を迫るような、そんな気配がありました。
「――敵の狙いは、ワープスターだ」
「……敵の狙いに乗れってことね」
「ときによってはな……」
――考える間もなく、次の攻撃が始まります。
光弾で、またカービィが空中を飛びました。
たまらず、フーム様がワープスターを呼びます。
「来て!ワープスター!」
カービィは中庭に逃げ出しました。
瞬く間に、ワープスターはカービィの前にその姿を見せます。
ですが、中々乗ることができません。
光弾が、絶妙なタイミングで邪魔をしてくるのです。
メタナイト卿が飛び出しました。
続いて、ソードナイトさんとブレイドナイトさんも飛び出します。
三戦士が、三つの光弾をはじいて隙を作りました。
「今よ、カービィ!!」
「ぽよ!」
フーム様のかけ声に、カービィはようやくワープスターに乗ります。
カービィは光弾をものともせず、ぐんぐん空へ舞い上がります!
勝利を確信した、そのときでした。
光弾がこっちに――!
「フーム様!危ない!――きゃっ!!」
「きゃあああ!!」
わたくしは光弾を凍らせました。
そうしたら爆発してしまって、わたくしたちは爆風に巻き込まれました。
そして空中に飛ばされます。
わたくしは背中から壁にぶつかって、全身を強打しました。
ですが、意識はなんとか保ちました。
「リーノ!!」
「うう、フーム様は……!」
「行くな!下がれ!」
「いやです!フーム様が!」
メタナイト卿が片腕を掴み、わたくしを行かせてくれません。
やがてはっきりしてくる視線の先で、フーム様はカービィの乗るワープスターに乗り込みました。
二人は空を逃げ回っていました。
ですが、逃げきれなくて。
ワープスターは被弾しました。
落ちゆくワープスターと共に、フーム様はカブーの谷の方へ飛んでいきました。
わたくしは、メタナイト卿の方へ振り向きます。
「メタナイト卿、フーム様を頼みます」
「そなたはどうする?」
「必要なものをそろえて、カブーの谷へ行きますわ」
わたくしは、空高く居座る宇宙船をにらみつけました。
妹のように大切なフーム様を傷つけられたのです。
絶対に負けない、そんな気持ちになりました。
――――――
アーニャとランタンに会えば、止められてしまうでしょう。
だから、わざと二人に会わないように、城の中を進みます。
自室は無事でした。
写真立てが倒れていますが、それだけです。
大きめのリュックを取り出し、まず救急箱を入れました。それから飲み物と食料も詰め込んでいきます。
準備ができたので、部屋から出て、カブーの谷を目指しました。
体がズキンズキンと痛みました。
それでも、足を動かします。
カブーの谷は森に囲まれています。
ですが道は整備されているので、月明かりさえあれば大丈夫です。
すっかり夜になりました。月明かりが足元を照らしてくれます。
あの巨大な宇宙船は、カブーの谷までおおえないようですね。
そのことにちょっとだけ気分を良くしながら、カブーの元へたどり着きました。
少し緊張しつつ、カブーに話しかけます。
「こんばんは。カブー」
「待っていた。リーノ」
カブーは根元の火を消して言いました。
「中へ入れ」
「ありがとうございます」
わたくしはカブーの中へ足を踏み入れました。
中は空洞になっていて、入るとすぐ下へ続く階段があります。
下にはメタナイト卿、ブン様、ロロロ、ラララがいて……。
「フーム様、カービィ……」
そしてフーム様とカービィが倒れていました。
声が届いたのか、メタナイト卿がこちらを向いたので、手を振ります。
わたくしは一番下に降りました。子供たちが気づきます。
「リーノ」
「ブン様、お二人の様子は……?」
「寝てる。カブーが起こしちゃダメだって」
「そうなのですか?」
わたくしはメタナイト卿と目を合わせました。
彼は言います。
「今は、な」
「……かしこまりました」
ならばケガの手当は、自然と目が覚めるのを待ちましょう。
見る限る、小さなケガだけのようです。フーム様には、少し我慢していただきましょう。
わたくしはリュックをおろして、子供たちに食料を配りました。
「ありがとう、リーノ」
「お腹減ってたんだ」
「すごく助かるわ」
三人とも喜んでくれます。
メタナイト卿にも進めますが、断られました。
「それよりも、そなたはよいのか?」
「わたくしは食欲がなくて……いえ、どこも痛くはないのですよ?」
「……わかった」
本当は全身、少し痛みます。
メタナイト卿には、それがお見通しなのでしょう。
……事件が解決したら、正直に申し上げた方がよさそうですね。
それから長い夜が始まりました。
子供たちは寝かせて、大人たちは見張りをします。途中、メタナイト卿から休むよう言われましたが、わたくしは正直に申し上げました。
「緊張して眠れないのです。……起きていてもよろしいですか?」
「ならば、仕方あるまい」
優しく、そう仰っていただけたので、わたくしは安心して夜明けを迎えました。
先にブン様、ロロロ、ラララを起こします。
ブン様はフーム様を見て言いました。
「姉ちゃん、まだ起きてないんだ」
「――すぐに起きる」
カブーの言う通りになりました。
フーム様とカービィは目を覚ましたのです。
「フーム様!」
「姉ちゃん、よかった!」
「ブン……ここは…………?」
「カブーの中だよ」
フーム様とカービィはゆっくり起き上がります。
そしてわたくしたちの顔を見回したあと、言いました。
「敵のワープスターは?」
「敵のワープスターですか?」
「そうよ。襲ってきたでしょ……」
「いえ、敵の襲撃はありませんでした。――フーム様とカービィはずっと眠っていたんですよ」
「――じゃあ、あれはなんだったの?」
「ぽよ?」
「あれは、カブーが見せた夢だ」
カブーか言うには、どうやらナイトメア社は、星の戦士からワープスターを奪いとったようです。
奪われたワープスターは、敵が利用してきます。カービィはそれに対する力を身につける必要がある、と。
だからカブーは、そのワープスターの情報を、夢の中でカービィに見せました。
フーム様はパチン!と、ウインクしました。
「それならカービィが、あっという間に乗りこなしたわ!」
「ぽよ!」
「やるじゃん!カービィ」
「これで、敵がワープスターに乗ってきても、戦えますね」
場が、明るくなったそのとき――。
あの嫌な音が、また聞こえてきました。
――光弾が降ってくる音です。
カブーが攻撃されました。
パラパラと土埃が落ちてきます。地面が揺れて、まともに立てません。
わたくしは倒れかけました。それをメタナイト卿が支えてくださって。
「ありがとうございます」
「いい。気にするな」
彼の優しさにふれたのに、ときめく暇もありません。
「カブー!」
「なんとかしてくれ!」
フーム様とブン様の言葉に、カブーは言いました。
「無理だ。カービィに戦ってもらうしかない」
「でも……」
「やってもらうしかねえよ!」
「ぽよい!」
ワープスターが光を放ち、浮かびました。そしてカービィの前で大きくなりました。
カービィは乗り込みます。それからフーム様と目を合わせました。
力強く、頷きました。
「――お願い」
「ぽよ!」
そしてカブーの「ワープスター!」という声とともに、カービィは外へ飛んで行きました。
揺れがおさまりました。……光弾がカブーを攻撃していません。
「今なら外に出れますよね?」
「出るぞ」
「はい!」
わたくしたちはカブーから出て、空を見上げました。
カービィはすでに宇宙船の中に入ったみたいです。姿が見えません。
――そして。
宇宙船が爆発しました。
わたくしたちはすごく驚きましたが、次にカービィの姿が見えたので、喜びました。
誰よりも、フーム様が喜ばれました。
「カービィ!やったわ!」
カービィはゆっくり降りて来ました。
そしてワープスターは、地面にカービィをおろすと、パッと小さくなり、地面に転がりました。
「どうしたのでしょうか?」
「わからん」
メタナイト卿もわからないこと。
それがとても不安で、わたくしはワープスターをじっと見つめました。