ハリー・ポッターと錬金術師の弟子   作:丸子

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タイトル通り日常回かつ短めです。よろしくお願いします。


13,日常と訪問者

このところのハッフルパフ生の話題は限られていた。

 

一つはクィディッチ杯。ハッフルパフはグリフィンドールのチームに敗北し、順位は三位になった。次のグリフィンドール対レイブンクロー戦の結果次第では二位に浮上するが、グリフィンドールのシーカーであるハリー・ポッターはかなりの強敵であった。

 

もう一つはここ最近の寮対抗杯。つい先日、何があったのか、グリフィンドールの点数が150点も一晩で消えてしまった。スリザリンを嫌っているハッフルパフ生にとってこれは由々しき事態である、スリザリンはここ数年連続で寮対抗杯を獲得しているらしく、今年こそは寮杯をスリザリン以外の寮にとってほしいと皆が思っていたのだ。

 

 

「……ま、私はそんなに争わなくてもいいと思うがな」

「アリア!あなたがそんなこと言って先生方に加点をあんまりもらわないからハッフルパフは今三位だし……スリザリンが一位だっていうのよ!信じられない!!!」

 

ハンナはここ数日ずっとプリプリしている。漠然とあこがれていたハリー・ポッターがグリフィンドールの点数を一気に減らしたらしいと聞いてからずっとこうだ。アリアもそろそろこの話題には慣れたもので、こう声をかけた。

 

「クィディッチの結果次第じゃないか、それよりも魔法薬学のレポートは終わったのか」

 

ハンナはキャッと声を上げて羊皮紙に向き合う。試験が近づいていた。

 

 

 

季節は飛ぶように過ぎて、ホグワーツに夏が訪れていた。試験までもう一週間もない。ハンナだけでなく、すべての生徒が試験勉強に精を出すようになっていた。話すことと言えば、先に挙げたクィディッチ杯、寮対抗杯、そして学年末試験の話ばかり。奇しくもほとんどにハリー・ポッターが登場している。

 

アルバスにハリー・ポッターの様子を見ることを頼まれたはいいが、アリアはハリー・ポッターと接触しづらい状況が続いていた。ハッフルパフ生がハリーに対して反感を抱いたことに加え、学年末試験が近づいている。アリアはいつにも増して図書室でハッフルパフ生の手助けをしていた。ここ数日は、上級生までアリアの元に書籍の情報を聞きに来る始末である。アリアは人知れずため息をついて、窓の外の湖で涼む生徒を眺めた。

 

「『忘れ薬』の手順なんて30工程はくだらないわ!これを試験に出して来たらスネイプは鬼よ」

 

横で教科書を睨みつけながらハンナがぼやく。彼女は特に魔法薬学の勉強に苦戦していた。暖かくて眠気を誘う談話室から離れ、試験前最後の週末にアリア達は図書館に来ていた。試験が近づいており、珍しくスーザンやエロイーズといった同室の生徒もアリアやハンナにくっついて図書室に来ていた。加えて、アリアの元にはあまり話したことがない同級生ですらも度々やってきていた。

 

ある女子生徒が聞く。

「アリア、呪文学の実技試験で出されるならなんだと思う?」

「最後の授業でフリットウィック先生が仰っていたのを聞いていなかったのか、物を滑らかに動かせれば試験は問題ないと言っていただろう。私の見立てでは有機物を動かす呪文になると思うが」

 

別の男子生徒もアリアの元にやってきた。

「変身術の筆記試験、何が聞かれるかなぁ」

「おそらく魔法の構造化についてだが、変身術は実技が重要だからな。実技試験の配点が高いと思うぞ」

 

アリアは口調はぶっきらぼうながらも、丁寧に生徒たちの質問に答えていた。しかし、ある別の生徒がアリアに近づいてくると、アリアはそれを見てうんざりとした顔を見せた。

 

「『人狼』の範囲で出題されるならどこだと思う?」

「……脱狼薬は必ず出題されるだろうな。セドリック、同級生に聞けばいいだろう」

同級生に交じって試験のことまでアリアに聞くセドリックに、嗜めるように言う。このところ、彼はこうして不意打ちでアリアに質問をしてくる。しかも三年生にしては発展的な内容を。

 

 

「アリアに聞けばすぐに答えが返ってくるからさ」

 

茶目っ気たっぷりにセドリックは微笑み、くしゃりとアリアの頭を撫でる。アリアは煩わしそうにそれを振り払った。

 

「子ども扱いするな」

 

その態度にハンナやスーザンは信じられないという目でアリアを見てきた。身長は伸びてきたものの、アリアは未だ130cm後半で、同年代の生徒よりかなり小さい。そんなアリアが子ども扱いするなというのはあまりにも無理な話であったし、そもそもその相手はあのセドリック・ディゴリーなのだ。

 

「ごめんごめん、それじゃまた」

セドリックは気分を害した様子もなく笑って、別れを告げて立ち去った。

 

ハンナとスーザンは目を見合わせ、肩をすくめた。

 

「ディゴリー先輩、アリアのことがお気に入りよね」

「でも妹みたいな扱いよね、こんな頭が良くて可愛い妹がいたらとっても嬉しいだろうなっていう気持ちはわかるけれど」

 

二人はうんうんと頷き合う。妹扱いされているアリアになぜか同情的な視線を向けてくる。

アリアは不満げにそれを見ていた。

 

思春期の子供の頃の気持ちなどとうに忘れている自分は、本当に子ども扱いされたくないだけだったというのに……。

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