ハリー・ポッターと錬金術師の弟子   作:丸子

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後々修正が多そうな回です。


3,組分け

列車がホグワーツに到着すると、アリアは眼前の巨大な城に目を奪われた。荘厳な空気を漂わせた城は、星明りにキラキラと照らされている。

新入生は大男に伴われてボートに乗り、城の地下の船着き場へ向かう。そこから厳格そうな女性に引き渡された。

 

その女性はちらりとアリアの方を見た気がしたが、すぐに目を逸らした。女性はマクゴナガル教授というらしい。彼女が予告した組分けはどんなものなのか。ハリーとロンはそればかりを話していた。

 

アリアはハリーとロンとは違い、どこの寮になるかはあまり気にしていなかった。どの寮になろうと、アリアの目的を実現するのに支障はないからだ。

 

 

新入生たちは大広間に通された。大広間は素晴らしかった。沢山の蠟燭が宙に浮かび、四つの長テーブルを照らしている。テーブル毎に座っている生徒のネクタイの色が違う。おそらく寮で分かれて座っているのだろう。天井には魔法がかけられていて、星空が広がっていた。

広間に全員が入ると、マクゴナガル教授が目の前にスツールを置き、更に古ぼけた帽子を乗せる。帽子はそれぞれの寮の特徴を表す歌を歌った。どうやらその帽子を被ると組分けされるらしい。ロンは兄たちにさんざん組み分けのやり方について脅かされていたことを憤っていた。

 

 

マクゴナガル教授が名簿を読み上げ始めた。

 

「アボット・ハンナ!」

「ハッフルパフ!」

 

「アルカー・アリア!」

 

二番目に呼ばれたアリアはてくてくと帽子に向かい、深く被った。次の瞬間、頭の中に声が聞こえてくる。

 

(ふむ、面白い……レイブンクローに相応しい知識欲、勇気もそこそこ。しかし特筆すべきは君のその望みだな。温和な君は、ヘルガと良い友達になれただろう)

 

「ハッフルパフ!!」

 

ハッフルパフのテーブルから歓声があがった。

席につくと、アリアの前にハッフルパフに組分けされたハンナ・アボットがよろしくね、と微笑んだ。

 

「ハッフルパフにあなたが来てくれてほんとに嬉しい!」

 

ホグワーツ特急内で顔見知りになった女子生徒がハグしてくる。

 

「あまり子ども扱いしないでほしい」

アリアがむくれると、その女子生徒は破顔した。

 

「あら、ごめんなさいね。私、家に妹がいるものだから……監督生のフィービー・ブランストーンよ」

 

「アリア・アルカーだ」

 

互いに自己紹介している間にも、次々と組み分けがなされていた。アリアの周りにはハッフルパフに組み分けされた新入生が次々に腰かけ、ハッフルパフの上級生たちは新入生の世話を焼いていた。

アリアは来賓席をうかがった。教師陣は全員組み分けを眺めている。ハッフルパフの寮監、スプラウト教授は優しそうだった。

 

 

特別注目された組み分けは、やはりハリー・ポッターのそれだろう。帽子はたっぷり悩んだ末、

「グリフィンドール!!」

と叫んだ。

ハッフルパフの隣の机から大歓声が上がった。

ロンもグリフィンドールに組み分けされ、最後のザビニ・ブレーズがスリザリンに組み分けされたところで儀式は終わった。

 

マクゴナガル教授が帽子を片付けると、校長が立ち上がった。

アリアは上級生と歓談するのをやめて、ダンブルドアを注視する。

 

「おめでとう!ホグワーツの新入生、おめでとう!歓迎会を始める前に、二言、三言、言わせていただきたい。では、いきますぞ。そーれ!わっしょい!こらしょい!どっこらしょい!以上!」

 

出席者はどっと笑った。

アリアの隣に座っていたハンナは「ダンブルドアってやっぱりとっても変わってる!」と言ったが、次の瞬間には机に現れたローストビーフに心を奪われたようだった。

 

 

 

アリアが満足するまで夕食をとりおえる頃には、ほとんどの生徒が食べ終わっていた。

 

「アリア、あなたって凄く沢山食べるのね……」

 

隣に座っていたハンナが慄いている。アリアはその小さな体にどうやって収まるのか、ハンナの三倍ほどの量の夕食を食べ終えたばかりだった。

最後のデザートが消えてしまうと、ダンブルドアが立ち上がった。広間に静寂が訪れる。

 

「全員よく食べ、よく飲んだことじゃろうから、また二言、三言。新学期を迎えるにあたり、いくつかお知らせがある――」

 

告げられたのは諸注意だった。禁じられた森への立ち入り厳禁。廊下での魔法の使用禁止。どうにもグリフィンドールの方に向けて行っているように見えるのは気のせいだろうか。

最後に付け加えられた「四階の右側への廊下への立ち入り禁止」には、ハッフルパフの上級生も首をかしげていた。

 

「あそこに何かあるっていうのかしら。そっちは寮とは遠いからあまり行かないと思うけれど」

 

監督生であるフィービーすらも知らないようだったが、ダンブルドアが校歌を歌うよう促すと適当に歌い始めた。全員がてんでばらばらに歌うので、アリアは眉を顰める。歌い終わると、ダンブルドアが感激の涙を拭いながら告げる。

 

「ああ、音楽とは何にも勝る魔法じゃ」

 

アリアはその言葉には同意できるが、今のばらばらの斉唱が音楽だと思う感性は少し疑問に思う。

 

「さあ、諸君、就寝時間。駆け足!」

 

ダンブルドアの号令で生徒は全員立ち上がった。

 

 

「みんな、私たちについてきて!」

フィービーともう一人の男子監督生に連れられて、アリアたちハッフルパフの一年生は寮へ向かった。

 

地下の厨房の廊下に並んだ樽の前に立つと、フィービーは声を張り上げた。

 

「入り方を覚えてね。この樽を、このリズムで叩くの」

トントン、と叩いて見せる。すると積まれた樽が左右に退き、扉が現れた。

 

呆気にとられる一年生に、フィービーは微笑む。

 

「初めは間違えるかもしれないけれど、失敗しても大丈夫よ。熱いビネガーをかけられるだけ!!」

 

アリアの見たところ、ビネガーを被るだけで“大丈夫”と考えている生徒は少なそうだった。

 

 

寮に入ると、黄色を基調とした暖かい談話室が新入生を迎えた。談話室からつながっている扉はたくさんあり、何かの動物の巣を思わせる。

 

「一年生の女子の寝室はここよ」

フィービーが扉を示した。どうやら一学年の男子、女子はそれぞれ全員同室らしい。

 

 

部屋に入ると、清潔で暖かそうなベッドがアリアたちを迎えた。

 

「わーっ、アリア、私とベッドは隣ね!!」

 

ハンナが金髪のおさげを解きながら嬉しそうに告げた。

アリアは返事もそこそこに着替えてベッドに横になる。実はかなり眠かったのだ。

 

「そうだな……おやすみ……」

 

「アリア?ちょっと、もう寝ちゃうの――

 

薄れゆく意識の中でハンナの声が聞こえた。




ハッフルパフの寮内の描写は想像で補っている部分が多々あります。

グリフィンドールに組み分けされた方が何かと上手くいくことが多いのですが、アリアの性格上ハッフルパフが一番合っていると判断しました。帽子もあっさり決めてくれます。ネームドのオリキャラはあまり増やしたくないので、気を付けないといけないですね……(因果応報)。
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