ハリー・ポッターと錬金術師の弟子   作:丸子

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9,錬金術の権威

翌週の木曜日、アリアは約束通り図書館に来ていた。そして一緒にいるのはロン・ウィーズリーとハーマイオニー・グレンジャーである。ハリーは今クィディッチの練習中で、終わり次第ここに来る予定だということだった。

 

「私、あなたのこと知ってるわ。小さくてかわいいのに大人顔向けの知識量だって聞いてて、ずっとどんな子か知りたかったの。でもあなただったなんてね、私たちここで何度かすれ違ったわよね」

 

一気にまくしたてるハーマイオニーの後ろで、ロンが「久しぶり」ともごもご呟いた。アリアの見立てでは、ロンが一番保守的だろう。兄弟が多く同族意識が強い。ハッフルパフに入ったアリアに気さくに話しかけられていないことからも伺える。

 

 

「詳しい話はあとだが、一つ確認したい。私がニコラス・フラメルについて教える代わりに、なぜ君たちがそれを知りたがっているのかも教えてくれるんだろうな?」

 

アリアがそう聞くと、ハーマイオニーは歯切れ悪く答えた。

「あー……ええ。大丈夫だと思うわ」

 

「ハーマイオニー、ちょっと」

ロンがハーマイオニーを引っ張って少しアリアから離れ、二人でひそひそ話を始める。

 

「――アは――かもしれな――スネイプ――」

「でも――加点――」

 

漏れ聞こえる会話から察するにアリアが信用できるか話しているようだが、そこにスネイプ教授の名前が出てきているのはなぜだろうか。アリアは黙って見守った。

 

そうこうしている間に、練習明けのハリーがやってきた。何か事件があったのだろうか、息切れしている。アリアに気づいて片手をあげて挨拶し、少し離れたところで三人で話し始める。三人だけの秘密の会話といったところか。

 

 

(呼び出されてきているのは私なのだがな……)

 

アリアも伊達に長年子供の相手をしているわけではなかったので、少し呆れはしたがニコラス・フラメルについての蔵書を見繕うために書棚に分け入っていった。

 

 

 

 

アリアが戻ってくると、ちょうどハリー達も話を終えたようだった。

 

「アリア、経緯を話すよ。だから、ニコラス・フラメルについて教えてほしい」

 

ハリーがアリアに告げた。深い緑の目はきらきらとアリアを見つめている。アリアはふぅ、とため息をついて持っていた本をドサドサと机に積んだ。ハリー達三人は机の周りに集まってきた。四人で机を囲み、まるで悪だくみをしているかのような囁き声になる。

 

「『14世紀の偉大なる魔法使いたち』?」

 

眉を顰めてロンが一番上に積んでいる古ぼけた本の題名を読み上げる。この薄い本に知りたいことが載っているものか、とでもいいたいのだろうか。アリアはニヤっと笑ってその本の中ほどのページを開き、細い指である一節をなぞった。

 

「『14世紀の魔法史を語る上で欠かせないのは、やはりニコラス・フラメルその人であろう。彼は賢者の石の研究の第一人者であり、優れた錬金術の研究者である。――』思い出したわ!」

 

アリアの示した一文を読み上げたハーマイオニーが鋭く声を上げた。

 

「私、『魔法使いの始祖から現在まで~優れた魔法使い1000人~』を読んだことがある。あそこに載ってたのね!彼は賢者の石の創造者よ!」

 

「錬金術って、こういうやつだろ?」

そう言いながらロンが胸の前で手のひらを合わせた。

「ロン、それはエ〇リック兄弟ね。僕らはニコラス・フラメルの話をしてるんだ」

 

冷静にハリーがつっこむ。アリアは三人を一瞥して言葉を続けた。

 

「この本が発行されたのは80年余り前だ。そこからニコラス・フラメルは、ダンブルドアの助力もあり賢者の石を完成させるまでに至った。完成した賢者の石から生まれた“命の水”は、不老不死をもたらす」

 

よどみないアリアの言葉に、ハリーはアッと声を上げた。

 

「賢者の石だ!スネイプはそれを狙っているんだ……」

「スネイプ教授がどうしたって?」

 

アリアが聞きつけて、片眉を上げた。

 

 

 

今度はハリー達が話す番だった。

 

 

立ち入り禁止の四階の廊下に偶然三頭犬がいることを知ったこと。

ハロウィーンの日にスネイプが三頭犬によって怪我をしていたこと。

クィディッチ試合の日、スネイプがクィレル教授を脅していたこと。

それを聞いたハグリッドがニコラス・フラメルの名前を漏らしたこと。

 

「だから、僕らはスネイプが何を守っているのか調べようとしてたんだ」

 

ハリーがそう締めくくると、アリアは「そうか」と言い、机上の本を黙って戻しに行った。

 

なんだか話しかけられない雰囲気を醸し出していて、ハリー達はそれを黙って見守っていた。

 

 

戻ってきたアリアは、ハリー達に有無を言わさぬ口調で言う。

 

「このことはこれ以上生徒に話すんじゃないぞ」

 

ハリー達がうなずくと、アリアはつかつかと図書室から出て行った。

 

 

「なんか感じ悪くないか?」

 

アリアを見送ったロンがそう呟く。ハリーはそれを否定することもできず、アリアの表情や言動の意味を考えていた。

やがてスネイプ教授がクィディッチの審判に選ばれたことを思い出し、寮に戻って作戦会議でもしようと三人で図書室を出る。

 

 

 

しかし、そこには先ほど図書室から出て行ったはずのアリア、そしてなぜかネビル、マルフォイ、クラッブ、ゴイルの5人が一触即発の空気で立っていたのだった。




フライング投稿してしまいましたので上げ直しました。なんとなくキリのいい時間に投稿したい病です。申し訳ありません。
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