ようこそみーちゃん至上主義の教室に   作:無久

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遅くなりました。
誤字報告、感想、お気に入りをしてくださりありがとうございます。
今回も駄文になりますが面白いと思っていただけると嬉しいです。


そう言えばよう実の2期が決定しましたね。今から楽しみです。
アニメが始まれば二次小説も増えるのではと密かに期待しています。


やっぱ、働くなら美少女の下だよね

 昼食を食べ終え特別棟や図書館などを見て周り時刻は17時を回っていた。

 

 結局、学校内の施設を回って気になったのは0円の山菜定食と特別棟に監視カメラが無かったこと、図書館の本の量に驚いたことぐらいだった。

 

「坂柳さん、外も暗くなってきたしそろそろ帰ろうか」

 

「そうですね。今日は付き合ってくれてありがとうございます」

 

 学校を出ると外は既に暗くなっており街灯が辺りを照らしていた。

 学校内ではあるが何となくロマンティックな雰囲気がある。

 傍から見たら僕と坂柳さんは恋人に見えるのではないだろうか。

 坂柳さんからしたら迷惑な話だろうが男子としては美少女と恋人に間違われるのは少し嬉しかったりする。

 

 妹以外の女性と初めての下校に少しドギマギしながら歩くこと数分。

 歩いている間は坂柳さんとの会話は無い。

 この何も喋らない雰囲気が心地よかったりする。

 別に僕がコミ症だから喋れない訳じゃないよ。

 

 誰に向けている訳でもない言い訳を繰り返していると横から声が掛けられる。

 

「……王君。まだ、言っていない仮説があるのですが聞いてもらえるでしょうか」

 

「凄いね。まだ、他にも何か考えがあるんだね」

 

 僕が感心していると坂柳さんが一つの問いを出してくる。

 

「王君は学校で学ぶことが勉強だけだと思いますか?」

 

 ……学校で学ぶことか。勉強が第一だとは思うが他に学ぶものと言ったら何だろう。

 勉強以外だと社交性だろうか。

 人間は集団で生きる生き物だから早いうちに学校で集団生活をさせることで社交性を学ばせる。

 

「社交性とかの集団生活で必要なものとかかな?」

 

「流石は王君です。私は中学生のころ学校は勉強だけでなく集団生活を学ぶ場所でもあると言われたことがあります。それは高校生になっても変わりません。ここからが私の仮説なのですが集団生活を最も効率よく学ばせるには一つの目標に向かわせればいいとは思いませんか」

 

 確かに一つの明確な目標があることでクラスは一致団結をする。

 例を挙げれば体育祭や文化祭などの行事が分かりやすい。

 優勝や最優秀賞という一つの目標を目指しクラスは一つに団結をする。

 

「うん、体育祭とかがいい例だよね。でも、それがどうしたの?」

 

「体育祭などは確かに集団生活を学ぶには良い行事だとは思います。しかし、優勝という名誉だけで頑張れる人はどれだけいるでしょうか。クラス全員が協力して頑張るには優勝という餌では少ないのです。そこで私は考えたのですがプライベートポイントという価値のある餌なら全員とは行かなくてもクラスの大半の生徒は協力するのではないかと」

 

 ……プライベートポイントという名の餌。

 そして学校側が集団生活を学ばせるために強制的に一つの目標を作る。

 

 この二つから導き出されることは

 

「……もしかして坂柳さんはプライベートポイントが個人単位での増減でなく、クラス単位での増減だと言いたいの?」

 

「その通りです。プライベートポイントの増減をクラス単位にすることで生徒たちは、ポイントを減らさないように又は増やすために協力せざる負えません。そうやって集団生活を学ばせるのではないでしょうか」

 

 筋は通っていると思うし、可能性は高そうだけど、プライベートポイントがクラス単位での変動だとは思いつかなかった。

 プライベートポイントは個人単位であるという固定概念に惑わされていた。

 

「……多分、その仮説はあってると思うな。正直、10万円あげるあげる詐欺をするような学校が日常生活を正しく過ごすだけの人に10万円をあげるとは考えられないからね」

 

 何となく怪しくは感じていた。

 ルールを守る良い子ちゃんでいれば得をするほど世の中は甘くはない。

 時には品行方正な人間よりも品性下劣な人間のほうが勝つこともある。

 

「そして王君、集団生活で必要なものはなんだと思いますか?」

 

 坂柳さんはさらに僕に質問をしてくる。

 まるで何を試しているかのように

 監視カメラの話をしているときにも感じたが坂柳さんは僕に何を期待しているのだろう。

 

「集団で生活するときに必要なのは優秀なリーダーの存在。動物社会で秩序を守るためには対等な関係よりも一人の圧倒的存在がいる方が簡単なんだよ。この人に着いていけば大丈夫、こいつには勝てないと思える存在こそが集団生活で最も必要な存在。僕はそう思うよ」

 

「そこまで分かっているなら私が言いたいことが王君は既に分かっているのではないですか?」

 

「坂柳さんは群れのクラスのリーダーを目指している。僕も坂柳さんにはその力があると思うよ。初日でここまでSシステムのことを理解している人は殆ど居ないんじゃないかな。ポイントの話をしている時クラスの様子を見てたけど気づいた素振りはなかったし」

 

 なんとなくは察しが付いていた。

 リーダーの話を始めたぐらいから坂柳さんがクラスのリーダー的存在になろうとしていることに。

 多分、僕に質問してくるのは役に立つ存在か見極めているってところかな。

 別に僕が優秀って訳ではないと思うがリーダーの思考を読みとることは部下として必要最低限の力ってことだろうか? 

 

「お褒めいただきありがとうございます。私の見立てですとAクラスのリーダーとしての才覚があるのは葛城君」

 

 葛城君がリーダーになりうる存在であることは納得できる。自己紹介を提案した行動力や部下に対しての配慮も出来ると見た。

 

 葛城君の分析をしていると坂柳さんは更に言葉を続ける。

 

「……そして、王君、私はあなたもリーダーとしての才覚があると見ます。監視カメラの仮説から始まり、真嶋先生の話から分析、頭の回転の速さ。私は王君のことを高く評価しています」

 

 坂柳さんは何故か僕のことを高く評価してくれているらしい。

 美少女に褒められて嬉しくない訳はないが過剰評価なのではないか。

 

「そんなに褒められると照れるな。坂柳さんが評価してくれるのは嬉しいけど僕はそんなに大した奴じゃないよ。僕の自己紹介を聞いてたでしょ。緊張しちゃって変なこと言ってたし。女子とか特に凄い目で見てたよ」

 

 あの睨んでいるような目で見られたら誰だってビビッてしまう。

 特に神室さんって子が滅茶苦茶、怖かった。

 きっとこのシスコン野郎とか思われてるんだろうな。

 絶対、あの目つきドSだと思うんだ。

 僕はノーマルだから興味は無いよ。うん。

 

「王君それは…………いえ、今はいいです。つまり、王君はAクラスのリーダーになるつもりはないと」

 

「うん。リーダーは坂柳さんに任せるよ。Aクラスのことを頑張って率いて欲しいな。勿論、僕も協力するからね」

 

 僕はリーダーになるような器ではないし、興味もない。

 それよりも「王君それは」の後が気になる。

 もしかして、「王君それは私も気持ち悪いと思いました」とかじゃないよな。

 ……泣くわ。

 坂柳さんにまでそんなこと言われたらショックで学校休みそう。

 

 僕の落ち込みを知らないであろう坂柳さんは一つの提案を出してくる。

 

「では、王君一つ提案なのですが私の派閥に入っていただけますか? 私の予想ですが葛城君はリーダーとして台頭してくるでしょう。その時、王君には私の派閥に居て欲しいのです」

 

「まぁ、二人仲良くリーダーをやるのは無理だよね。群れにリーダーは二人もいらないから。……うん、僕は坂柳さんの派閥に入るよ」

 

 葛城君も良い人ではあると思うけど仕事をするなら美少女の下の方がやる気が出るよね!! 

 それに、僕の野生の感が坂柳さんに着いていけば大丈夫と言っている気がする。

 

「その言葉が聞けただけでも今日は大きな収穫です。まだ、本格的には動きませんが手伝って欲しいときは連絡をするので協力してください」

 

「うん、喜んで協力させて貰うよ。これからよろしくね坂柳さん」

 

「こちらこそ、よろしくお願いします。王君」

 

 

 話が一段落し、また無言の時間が始まる。

 出会って一日も経っていない人と話し続けるのは難しいと思う。

 しかもそれが異性ならレベルは更に跳ね上がる。

 再度言うが別に僕はコミ症ではない。

 強いて言うなら恥ずかしがりやだ。

 

 結局、学生寮に着くまで無言の時間が続くのだった。

 でも、この時間は嫌いでは無いな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 寮に着いた僕たちは一回フロントの管理人からカードキーと寮でのルールが書かれたマニュアルを受け取り、エレベーターに乗り込む。

 エレベーターのドアが閉まり上に上がっていくなんと言えない浮遊感が体を襲う。

 エレベーターが着いてしまう前に再度今日のお礼を済ませる。

 

 「本当に坂柳さん今日はありがとうね」

 

 「いえ、こちらこそありがとうございます。とても有意義な一日でした」

 

 お礼を済ませるとエレベーターの数字が坂柳さんの降りる階を示す。

 到着音が鳴りドアが開く。

 阪柳さんは「では、また明日」と言い、カツカツと杖を鳴らしながら降りていく。

 

 エレベーターのドアが閉まってしまう前に坂柳さんに僕はどうしても気になっていたことを聞いた。

 

 「ねぇ坂柳さん。坂柳さんと僕って友達かな?」

 

 「私はとっくに王君とは()()()だと思っていますよ」

 

 坂柳さんのお友達発言を聞きドアは閉まる。

 ドアの閉まる寸前、坂柳さんが小さく手を振っていたので僕も手を振って返す。

 最後の含みのあるお友達発言だけが僕の心残りとなった。

 

 阪柳さんと別れ、部屋の前とやってきた。

 『402』今日から3年間ここが僕の部屋となる所だ。

 家ではみーちゃんと二人部屋で幸せではあったが、自分専用の一人部屋に少し憧れがあった。

 

 わずか八畳ほどのワンルーム。一人で暮らすには特に困らない大きさの部屋。

 部屋を見渡すとベットやテレビ、冷蔵庫など日常生活で使うものはすべてそろっている。

  

 ネクタイを軽く緩めベットに腰を下ろし、フロントの受付で渡されたマニュアルに軽く目を通す。

 

 ゴミ出しや時間、騒音に気を付けること。水の使い過ぎや無駄な電気をの使用を控えることなど、生活の事柄が書かれていた。 

 電気代も掛からなければ水道代も掛からない。

 ポイントから引かれると思っていたがそこまでは厳しくないようだ。

 もし、ポイントが0になったら何もできなくなってしまうから代金がかからないのは妥当なのかもしれない。

 真面目に生活していれば0ポイントになることはないのであまり考えられないが。

 

  

 一通り、マニュアルに目を通し時計を見ると時刻は19時になっていた。

 

 「お腹すいたな」

 

 夕食を食べるにはちょうどいい時間だ。 

 しかし、食料は何一つない。

 冷蔵庫の中を確認してはみたが当然食料は何もなく、カップラーメンなどのインスタント食品類も無かった。

 

 坂柳さんと帰るのに気を取られ過ぎて今日の夕食のこと何も考えていなかった。

 何も食べない訳にもいかないので面倒くさいがコンビニへ買いに行くことにした。

 

 寮から徒歩数分、コンビニへ到着する。

 節約のためにも何かご飯を作ろうと考えていたが、学校初日の疲れと慣れない女子との会話の疲れで今日は何もしたくない気分だったのでお湯を入れるだけですぐに作れるカップラーメンでお腹を満たすことにした。

 カップラーメンと日用品を数点購入してコンビニを後にする。

 

 「ここにもあったな無料商品」

 

 レジで会計を済ませるときに無料という字が目に入った。

 シャンプーや歯ブラシなどの日用品も置いてあり、意外とポイントがなくても生活自体は出来そうだ。

 

 

 

 部屋に戻りカップラーメンを完食した後、僕は湯舟に浸かって今日一日の疲れを落とした。

 

 お風呂から出て、喉の渇きを潤すためにお茶を飲む。

 お風呂から出た後に飲む冷たい飲み物は格別だ。

 

 お茶を飲み干しベッドに横になる。

 思ったよりベットはフカフカで寝心地がなかなかに良い。

 特にすることも無いので学生証端末を弄ろうと画面を見るとみーちゃんから電話がかかってきた。

 

 『もしもし、お兄ちゃん?夜遅くにごめんね。特に用件があるわけじゃないんだけど電話しちゃった。今までお兄ちゃんと同じ部屋だったから一人部屋になると少し寂しいね。お兄ちゃんも寂しかったりする?』

 

 みーちゃん、お兄ちゃんも寂しいよ。

 毎朝みーちゃんを起こす僕の日課が無くなったり(寝顔可愛い)、一緒にゲームで遊んだり(負けたとき少しいじけちゃうの可愛い)、寝るまで二人で今日の出来事話し合ったり(みーちゃんが告白された話を聞かされた時は殺意が芽生えた)できなくなると思うと寂しい。

  

 「みーちゃん、僕も寂しいよ。一人暮らしに少し憧れがあったりするけどやっぱりみーちゃんと同じ部屋の方が楽しいし、落ち着く気がするよ」

 

 『お兄ちゃんも寂しいと思ってくれてたんだね。よかった。私だけだったら落ち込んでたよ。そう言えば今日、クラスの子と出かけるって言ってたけどどうだった?お兄ちゃん、私以外の女の子とあんまり出かけないから慣れてないと思うけど失礼なことしなかった?」

 

 ……失礼なことはしてないと思う。多分。

 坂柳さんも不快な顔をしていたようには見えなかった。

 気になる発言はあったけど…

 大丈夫だ。

 

 「多分、大丈夫だと思う。嫌な顔とかしてなかったし。それよりもみーちゃんこそカラオケどうだった?みーちゃんは社交性あるし、愛嬌もあるから失礼なことはしてないと思うけど」

 

 『私もしてないと思うよ。みんな優しいし。今度はお兄ちゃんも一緒にカラオケ行こうね』

 

 「うん、そうだね。明日の買い物はどこ行くの?」

 

 『明日は、日用品と私服を買いたいからショッピングモールに行こうと思ってるよ。10万ポイント貰ったから可愛い服いっぱい買えるしね。お兄ちゃんも一緒に選んでね』

 

 みーちゃんはまだポイントのことに気づいていないのか。先生の伝え方は気づかせないようにしてるから無理もないけど。

 

 ただ、このことをみーちゃんに伝えるべきか悩むな。

 多分この学校は他にも試験とかでこういうミスリードをしてくると思う。

 その時、教えられることに慣れてたらきっと気づくことが出来ない。

 いつでも僕が教えられるならいいがきっと無理だろう。

 みーちゃんのためにもここは黙っているのが良いのかもしれない。

 でも、ポイントが減ってしまったらみーちゃんが快適に過ごせないだろうし。

 

 僕がみーちゃんに伝えるか悩んでいるとみーちゃんから心配の声が聞こえる。

 

 『お兄ちゃん急に黙ってどうしたの?もしかして、買い物行きたくなかった?』

 

 「そんなことないよ。みーちゃんにはどんな服が似合うか考えてただけだよ」

 

 ごめん、みーちゃん。これもみーちゃんのためなんだ。

 大丈夫、もしポイントが無くなったらお兄ちゃんがあげるから安心してね。

 

 『ありがとう、お兄ちゃん!私、明日の買い物楽しみにしてるね。そろそろ、眠くなってきたから電話切るねお休み』

 

 「うん、僕も楽しみにしてるね。お休み」

 

 僕はそう言って電話をきる。

 

 罪悪感が凄い。

 でも、これはみーちゃんのためだ。

 

 僕は寝る寸前まで罪悪感に苛まれるのだった。

 

 




みーちゃんにポイントのことを伝えるか滅茶苦茶悩みました。
多分、伝えると櫛田ちゃんに伝わりDクラスのクラスポイントが変動すると思い伝えない選択肢を選びました。

主人公はみーちゃん至上主義ではありますが甘やかすだけがみーちゃんもためなるとは思っていないので厳しいところもあります。
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