とある夜、私はいつものようにあこちゃんと一緒にオンラインゲームのNFOを協力プレイしている
その日はチームイベント初日で最低2人から最高8人まででチームを組んでプレイヤー同士の腕を競うイベントらしい
私はあこちゃんと2人のチームを組んで挑んでいた。
「りんりん、そっち行ったよ!」
「任せて!」
私はコマンドを入力して私のアバターが使える最大の広範囲魔法を放つと相手はその攻撃にのまれてアバターが消えていく
でも、私の広範囲魔法は使うと少しの間動けなくなる、その間に近接魔法が得意なあこちゃんが時間を稼いでくれるのが普段の戦闘なのだけど、今回はあこちゃんも少し手間取っているみたいで私はあっという間に囲まれてしまった
「無敗記録もここまでかな…」
そう呟いた時だった、目の前を赤黒い斬撃が通り過ぎてそれと同時に真っ赤な波動のような攻撃が目の前を覆い尽くした
私は思わず目を閉じた後アバターが消える時の音が響いてきて目を開けると真っ黒なコートのような装備と血のように真っ赤な剣を持ったアバターが立っていた
「1人で…あの数を…倒したの?」
私のつぶやきが聞こえたのかそのアバターは振り返った
私は画面越しに初めて恐怖を感じた
「つまんねぇ〜の、下手な鉄砲数打ちゃ当たるなんて言うけど、1発どころが一撃すらかすらねーじゃん!」
そう言ってその剣士のアバターは私に剣を向ける
「あんた、俺と殺る?」
私は首を横に振って答える
「やりません。早くどこかへ行ってください…」
「あっそ!」
そういうとその剣士は剣を納めるがそれと同時に別チームの攻撃が襲い来る
「チッ追われるのも楽じゃねーな!」
そう言ってその剣士のアバターはどこかへ走り去って行った
そして現れた別チームの1人が私に話しかけて来た
「あの剣士、どっちに行ったかわかるか?」
「向こうの森の方に走り去って行きました」
「聞いたか!賞金首は森林エリアに逃げたらしい!追うぞ!」
そう言ってその別チームのアバター達はその剣士のアバターが走り去って行った方向に向かっていった
「助かった…のかな?それに、賞金首って…」
「りんりん!大丈夫!?」
そこへあこちゃんのアバターが駆け寄ってきた
「ごめんね、こっちも手間取って」
「ううん、一応助かったから大丈夫」
「さっき見えた赤い光ってりんりんの魔法じゃないよね?」
「うん、私の魔法じゃなくて、ちょっと怖い剣士の人の技だったよ、賞金首って呼ばれてた」
「賞金首!?それってかなり凄い事だよ!」
「そうなの?」
「うん、賞金首ってかなり高レベルのソロプレイヤーかプレイヤーキラーしてる人達にしかつかないんだよ!」
「じゃああの人はたまたま単独行動していたプレイヤーキラーのチームの人なのかな?」
私はさっき見たアバターの事を思い出す
NFOではモンスターだけじゃなくプレイヤーキラーと呼ばれる集団やソロプレイヤーなんかもいるみたいで、従来のゲームじゃ珍しくはないと前にあこちゃんが言っていた、私は実際にあったことはないけど、多分あの人は間違いなくプレイヤーキラーの人だろうなと思った。
「とりあえず、今日のイベントは終わりみたいだし、街に戻って消耗したアイテム揃え直して明日に備えよう!」
「そうだね、そうしよっか!」
そう返答し私達は街に戻るセーブポイントに向かった
私は、向かっている間もずっとあの剣士のアバターの事を考えていた、あの剣士アバターの目付きや言動などが目や耳に残って離れなかった…
その後ゲームをセーブしてからパソコンの電源を落としわたしは就寝するためベットにはいった
「あの人…何者なんだろう?」
私の中であの剣士アバターに対する興味は尽きなかった
次の日学校が終わると私達はLIVEハウスの練習スタジオに集まりバンドの練習をしている。私とあこちゃんはRoseliaというバンドに所属していて、私はキーボード、あこちゃんはドラムを演奏している。
そして、練習の間の休憩時間、私は昨日の事を考えていると
Roseliaのメンバーでベースを弾いている今井リサさんが話しかけてきた
「燐子、どうしたの?なんか考え事?休憩に入った途端なんか難しい顔してるよ!」
「そうですか?」
「りんりん、もしかして昨日の事考えてた?」
「うん、ちょっとね」
「何?なんかあったの?」
「いえ、あの、あこちゃんといつもやっているゲームの事でちょっと気になる事がありまして」
「そうなんだ、ゲームの事はわかんないけど、聞いていい?」
「はい、あの、まず、皆さんに聞いてみたいんですけど、あくまでもゲーム内で人を殺す事って有りだと思いますか?」
私の質問意味をそしてその答えを今井さん達は真剣に考えてくれているようで、少ししてから答えてくれた
「さっきも言ったけど、私はゲームの事はよくわからないけどさ、ゲームの中で禁止されてない事なら''あくまでもゲーム内でなら''許されるんじゃないかな?」
「そうですね、もちろん現実でそれをしてしまえば犯罪ですし、罪に問われますがゲームにはゲームなりのルールがありますから、現実には出来ない事もある程度なら許されるのではないでしょうか?」
「同感ね、それに、男の人が好きなゲームにはケンカをしたり拳銃で撃ち合うゲームなんかもあるのでしょう?」
「それは…そうなんですけど…」
「りんりん、あこ達だって今回のイベントでたくさんのプレイヤーやっつけたしさ考え方次第だよ!」
「それは…わかるんだ、でも…あの人はなんか違うっていうか…」
正直上手く伝えられる自信がなくて口ごもってしまう
「なんか、それだけじゃないって表情だね」
「ごめんなさい、上手く伝えられなくて」
「ゲームの事は分からないけれど、なにか気になっている事があるなら、とことん疑問を解消するために動けばいいんじゃないかしら?」
「やっぱりそれしかないですよね?」
「ずっと溜め込んでおくのもどんな事であれ良くないわ」
「わかりました、あこちゃん、今日の夜、あの人の事探してみようと思うんだけど、付き合ってくれる?」
「もちろん!やれることやってみよう!」
そうして私の決意は決まった、まずはあの剣士のアバターにもう一度会う!会って話をしてみたい!
「どうやら、決めたみたいね、ならそろそろ練習を再開してもいいかしら?」
「はい!なんだか、すみません」
「別にいいわ、練習やLIVEの時さえちゃんとしてくれたらプライベートをとやかく言うつもりはないもの」
「ありがとうございます湊さん」
「礼には及ばないわよ」
そうして私達は練習を再開した。それからしばらく練習して私達は解散した、私達はさっそく帰ってからNFOにログインしてあこちゃんと2人で街で情報を集め始める、いろんな人に聞いて回ったけど、めぼしい情報は得られていない中で途方に暮れていると1人の大剣を背負ったアバターに話しかけられた
「おい!お嬢ちゃん達か?賞金首のアバターを探してるってのは」
「なにか知ってるんですか?」
「一応、それなりの情報は持ってるぜ!それでな、ものは相談なんだが、情報を買うってことでいくらか融通しちゃくれないか?実は、思うようにガルドが集まらなくてな、せっかくなら俺が持ってる情報を買ってもらおうと思ってたまたま賞金首のアバターを探してるって嬢ちゃん達の事を聞いたもんでな、話しかけたって訳だ」
ガルドというのはNFO内のお金の事で確かに、この世界にもお金を払ってスキルや情報を売り買いする事を生業としている人達もいるのでまずは、私が探しているあの剣士なのかどうかを確認するため特徴を聞いてみることにした
「その剣士のアバターの特徴はどんなのでしたか?」
「んあ?あぁ、そういう事か、俺が知ってるのは真っ黒なコートのような装備に、赤と黒の2本の剣を背負ったアバターだな」
その特徴を聞いて間違いないと思った私はさっきの提案を受けることにした
「知ってる事を教えてください!情報次第では手持ちのガルドは全部差し上げます!最低限手持ちの半分は約束します!」
「じゃあ交渉成立って事でいいな?近くに酒場があるからそこで話そうや」
私とあこちゃんは頷き合うとその大剣を持ったアバターの後ろをついて行き酒場と呼ばれた建物に入った
「こんな所があったんだ、あこ結構長くNFOやってるけど知らなかったよ」
「最近実装されたばかりだからしゃーねーな、ソロプレイヤー向けの依頼をメインに取り扱ってるソロプレイヤー向きのギルドって感じだ」
この世界では組織、いわゆるギルドというのはクエストを受けるための場所で、プレイヤー同士が集まって出来た集団はそのままチームと呼ばれている
私とあこちゃんはパーティーこそ組んでいるけれどチームには所属はしていない、私達は手頃な席に座るとさっそく情報を教えてもらう
「そのアバターに関係ある話でもあるから、先に確認しておくけどよ、お嬢ちゃん等はdeath装備って知ってるか?」
その質問に私達は顔を見合せてから首を横に振る
「そうか、そのdeath装備ってのはな、このNFOが停滞期だった頃に運営が実装した武器とか装備品の事を指す名称で言っちまえばプレイヤーキラー専用装備なんだよ、もちろん特定の条件を満たせば神剣やら魔剣やら強力な武器に昇華させられる、俺の武器も元はdeath装備だったもんだ」
「それで、そのdeath装備をそのアバターが持っているって言うんですね」
「あぁその通りだ、俺もそいつのことを知らずにたまたまフィールドで出くわした時、ケンカ吹っかけたら一瞬でやられたよ!そいつ俺に向かって奇襲をかけるならもっと上手くやれだとよ!そんで気づいたら首落とされてたよ」
「装備の名前とか、アバター名とかわかりますか?」
「いいや、スマンがどっちもしらね〜でも、なんで賞金首なのかは知ってるぜ」
「教えてください!」
「プレイヤーキラーとしてあいつは既に1万を超えるプレイヤーをキルしてるからさ、だからこの世界でお尋ね者になっちまって賞金首と呼ばれてるって訳だ」
「その人が居そうなフィールドは知りませんか?」
「そうだな〜あくまでも俺が会ったフィールドだが、デーモンロードのギガントエリアにいたな!俺は巨人殺しギガントスレイヤーのソロプレイヤーだからな、大型モンスターを狩れば狩るほど強くなれるからな!ガハハ」
「そうですか、ありがとうございます!情報料は所持金の半分をお渡しします」
私はそう言って所持金の半分を渡した
「あんがとな!」
「いえ、あの!ちなみに何に使うか聞いても良いですか?」
「もちろんだ、隠すことでもないからな!武器のパワーアップに使うんだよ素材は揃ってるがガルドが足りなかったんだよ!おかげでいい武器が作れそうだ」
「そうですか…あの!武器をオーダーメイド出来そうなお店は知りませんか?」
「知ってるぜ!なんなら一緒に行くか?約束を守ってくれたからな!お前さん達は信用できるプレイヤーだ!着いてこいよ」
「行こうあこちゃん!」
「うん!」
私達はその人に着いていき武器のオーダーメイドを作成してもらい、1本の魔法剣を作成した
「魔法剣か、お嬢ちゃん魔導師だろ?」
「ちょっと近接戦に不得手なので、そこを補えたらと」
「そうか、まぁ、プレイスタイルはそれぞれだからな!じゃな!俺は行くぜ!」
「何から何までありがとうございます」
「ありがとう!」
「まぁ、こっちこそだ!また会おうな」
そう言ってその大剣使いのアバターはどこかへ行ってしまった
私達はさっそく教えてもらった場所に向かうと恐ろしい程に静かでBGM以外の音がまるでない、そんな中でデーモンロードの奥の方で赤い閃光が轟く
「りんりん!あの場所!」
「近くに行ってみよう!」
私達は光の方向へ向かうと更に轟音が鳴り響く
そして声が聞こえる
「くっそ!来るんじゃねー!」
「そうは行くか!賞金首が!今度こそその首貰い受ける!」
「うるせ!鮮血斬!(ブラットスラッシュ)」
そのアバターが技名を叫ぶと昨日と同じく赤い斬撃が相手を襲い相手のアバターは消滅する
「鮮血波動!(ブラットレイ)」
今度は赤い波動が相手を飲み込む
「あれが…プレイヤーキラー」
「りんりん!見て!」
「え!?」
よく見るとそのアバターの周りを赤いオーラが覆っている
「ブラットアップ!」
呟きが聞こえた頃にはそのアバターの姿は消えて囲んでいたプレイヤー達の背後にいた
「失せろ!最後の鮮血(ラストブラット)」
その瞬間目を覆いたくなるほどの赤い波動が辺り一面を飲み込むとその場に立っていたのはそのアバターだけだった…
「あこちゃん!支援お願い!」
「えっ!?ちょっりんりん!」
私は駆け出していた!そして魔法を放ち注意をこっち向ける
「またかよ!?いい加減うんざりだ!ブラットアップ!」
また赤いオーラがアバターを包むと一瞬で距離を詰められた
私は咄嗟に距離をとって魔法を乗せた斬撃を放つがもう一方の黒い剣に斬撃が掻き消される
「えっ!?嘘!?」
「りんりん避けて!」
私はあこちゃんの叫びで大きく跳躍するとそこに炎、氷、風の弾丸が襲いかかるがそれを更にもう一度黒い剣を振ると剣に吸収される
「なんで!?魔法が効かないの!?」
そのアバターは傷1つ着いてない、それどころかHPすら減っていない、そしてそのアバターは一気に距離を詰めてきてこう言った
「剣士なら、鍔迫り合いを嫌っちゃダメだよ!死の斬撃(deathslash!)」
私はその攻撃をまともに受けてHPが1になりその場に倒れる
「チェックメイト!」
そう言ってそのアバターは剣を私に向ける
「悔いはありません!」
「じゃあ、終わりだな!」
そう言うとそのアバターは剣を納めた
「殺さないんですか?」
「戦意喪失した奴を切るほど落ちぶれてない!見くびるな!」
「そう、ですか…あの!私の事を覚えていませんか?」
「あぁ?お前を?」
そのアバターの瞳が私のアバターを映す
「そういや!お前!昨日囲まれてた魔導師か?」
「そうです!あの!私!貴方と話がしたいんです!」
「俺と?」
「はい!私はアバターネームRinRin、職業はウィザードです!」
「あっあぁ!俺はアバターネームRAVE(ライヴ)職業は双剣士でプレイヤーキラーだ」
これが私、無敗のウィザードと鮮血の剣士の出会いだった
どうもこんにちは、凌哉です。孤独な剣士と人見知りのウィザードという作品に影響を受けてゲームと現実の両方からアクションを起こす話を書きたいと思い書いてみました!
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次回「力と代償」