お互いに歩み寄る約束を交わしてから数日後の休日
俺は1人でショッピングモールに来ていた
そして店内を見て回りつつ少し途方に暮れていた
「やっぱり似たようなデザインのヤツもないか…」
あの時隣子が俺の手に巻いてくれたハンカチは血がついてしまい試行錯誤したものの落ちなかったので似たようなものでも良いから俺からの感謝を込めて返したいと思ったのだ
「よし!もう少し見て回るか!」
そうしてさらに店内を見て回っていると偶然にもリサと友希那に会った
「あれ?零二じゃん!」
「リサ、それに友希那も」
「怪我はもうすっかり良いようね」
「こう見えて傷の治りは早いんだ」
「そう、なら良いわ、ギターも問題なく弾けているのでしょ?」
「うん!そりゃもうバッチリと」
「ところで零二、なにか探し物?」
「そうなんだ、ハンカチをちょっと」
「ハンカチ?どうして?」
「隣子に渡したくて、あの時俺に巻いてくれたハンカチは血がついて落ちなかったからさ感謝の意味も込めて返したいと思ったんだ」
「そっかそっか!じゃあ、アタシ達と一緒に見て回らない?」
「それがいいかもしれないわ、女性ものの衣類専門店とかはやっぱり1人じゃ入りずらいでしょ?事情を聞いた以上手助けさせて欲しいわね」
「友希那もこう言ってるし、どうかな?」
「じゃあ、お願いしてもいいかな?」
「もちろん!」
「構わないわ」
そうして3人連れ立って店内を見て回る
「ところでリサ達はなにか買いたい物があってきたの?」
「ちょっと早いけど、夏物の服を見に来たんだ」
「そっか、そろそろ季節を先取りして夏物衣類とかが出る頃か」
「そういう事よ」
「友希那はこう言ったら失礼だけど、オシャレに興味無さそうだけど?」
「間違ってないわ、着慣れた服が1番だし、それに普段から服装に気は使わないもの」
「今着てるのもシンプルな感じだもんね」
「えぇ、シンプルイズベストよ」
「なるほど」
「でも、友希那はもう少しオシャレしたら絶対今より美人になると思わない?」
「あ〜リサの言い分もわかるな〜」
「それで、アタシが友希那に似合いそうな夏服を見に来たって訳、もちろんアタシも良さそうなのがあれば買うけどね」
「なるほどね、じゃあ、俺の方もついでにはなるか」
「うん!何よりも零二自身の気持ちっていうかさそう言うのが知れてよかったなって」
「確かにそうね、ずっと多少の距離は感じていたもの」
「節度と言って欲しいけどね」
そう話しつつリサ達の後を着いて周りあちこち見て回って
目的のものを探していく中でピッタリのものを見つけた
「いいのあった?」
「おかげでいいものが見つかったよ!ありがとう」
「どういたしまして」
それから俺はリサ達の買い物に付き合いつつアクセサリーショップに立ち寄った
そこで俺は雫の形のネックレスが目に止まった熱で色が変わるらしく手に取って色の変わり様を見てみると青から緑オレンジ赤と4段階に分けて変わるようで俺はハンカチと一緒に隣子に渡そうと思いつき購入し友希那達にも手伝ってくれたお礼としてイヤリングを購入してから再度2人に合流し近くのカフェに入り休憩する
「付き合ってくれてありがとうね2人とも」
「良いよ良いよ、アタシ達も荷物持ってもらってごめんね」
「ううん、こっちからお願いした事だから気にしないで、
あと、これ、今日のお礼に2人に」
「開けてもいいかしら?」
「どうぞ」
「綺麗なイヤリングね、ありがたく使わせて貰うわ」
「アタシも早速付けようかな!」
そうして2人はイヤリングを付けて俺に見せてくれた
「どう?似合う?」
「うん!似合うよ!間違いなかったなって思うよ」
「ありがとうね零二!」
「こっちこそ」
今日何度目かのお礼を言い合って笑い合いそれからまた少しの間買い物してまわり解散した。
俺は帰宅するとすぐに明日の準備をして早めの夕飯等を済ませてからNFOにログインする
ゲーム世界
「さぁて、狩りの時間だ!」
俺はゲーム世界のお尋ね者として名を馳せているためログインすると俺を狙うプレイヤーが必ず1人か2人はやってくる
そして今日もまた隣子達が俺の元へやってきた
「来たか!RinRin、それに大魔姫あこ!」
「今日こそは勝ちますよ!」
「今日も俺の勝ちは確定してるよ!」
「負けないよ〜!」
そうして俺達は今日も対戦した、今のところは俺が勝ち越しているが隣子達も手を替え品を替え攻め方のバリエーションが豊富なため追い詰められる事もしばしばだ
「炎魔王剣ブレイズ!バーストフレア!」
俺は隣子達に向けて炎の斬撃を飛ばす
「なんの!大結界!」
「守るか!ならTRUEdeath!」
「危ない!」
咄嗟に攻撃を弾く
「やるな!」
そうして一進一退の攻防の末に今回も俺が勝ち越した
「またやられました、強いですねやっぱり」
「今日は俺も危なかった、強くなってるよ確実に」
「でも、まだまだRAVE(ライヴ)さんには届きません」
「後はLvとかの差もあるし、俺がdeath装備を昇華させられたらいんだけど、今のところイベント再臨の予定もないしね」
「今なら勝てますか?」
「時間はかかるだろうけどね」
「いつかもう一度イベントが来るといいですね」
「そうしたら晴れてちゃんとした仲間になれるね」
「ですね」
「そうなれたら良いな〜」
「確かに、俺もそうなりたいけど、今はまだゲーム世界じゃあライバルかな?」
「ですね、一緒にもっと冒険とかしたいんですけどね」
「今のままじゃね〜俺は対プレイヤー特化だからね今は」
「今のままじゃモンスター相手だとステータス半減でしたっけ?」
「うん、同じ力っていうかdeath装備昇華の為のモンスター相手だとだね、他の奴でも3割減」
「それじゃあ難しいですもんね」
「そうなんだよね、まぁ、気長に待つよ!」
「それしかないですもんね」
「そういう事、じゃあまた!」
そう言って俺はログアウトする
隣子視点
「はぁ〜今日も勝てなかった」
初めて会った時から今までで1度だけしか勝てていないし
もう一度勝つことが可能なのかと後ろ向きになってしまう
「ダメダメ後ろ向きになったら勝てるものも勝てない!」
私は考えるのをやめて眠りに着いた
次の日
私は生徒会の用事で授業への参加は2限目からとなった
それから午前の授業を終えた昼休み教室には零二君の姿はなかった
どこにいるのか確認するためメッセージを送ろうと思ったら体育館裏にいるよとメッセージが入っていた
私は零二君の元に向かった
「零二君!」
「やぁ、隣子来てくれたんだ」
「零二君と話したかったので」
「良かった、ちょうど渡したいものがあったし」
「渡したいものですか?」
「うん、これ」
そう言って差し出されたのは零二君の手に巻いたのと似たハンカチともう一つネックレスだった
「これって、あの時のハンカチですか?」
「全く同じものじゃないけどね」
「それにネックレスまで」
「あの時のお礼、俺、隣子がこうして歩み寄ってくれなかったら多分ずっと1人だったと思うし、何より人との関わりを絶っていたかも知れないし」
「私はゲーム世界で零二君のアバターを見た時何故か強く惹かれたんです。そして実際会ってみたら…その…とっても強くて、でも、どこか孤独な感じで、少しだけ怖いと感じました
でも、関わって行くうちに感じました、自分の力に葛藤している、そう感じました」
「そうだね、俺はずっと自分の力に葛藤してた。
でも、ようやく自分の力の使い方がわかった気がしたんだ」
「そうなんですか?」
「うん、でも、最近それじゃダメだって思ってる」
「それは、どうして…」
言葉を区切った私に対して零二君がまっすぐに私の目を見て言った
「隣子が、何よりRoseliaの皆が悲しむから」
「え!?」
予想外の言葉に驚きを隠せない私に零二君は笑いながら言った
「驚く事?隣子が俺に言ったんだよ、自分を犠牲にするなってさ、だからこそ俺は自分を犠牲にするような真似はしないでどうにかできないかを探しているとこ、もちろん音楽に対しても曲から自分を消すことなく自分を出していけたらって思ってる」
「零二君ならできますよきっと」
「だと言いけどね、それはそうと隣子、ネックレスちょっと付けてくれる?」
「はい、いいですよ」
隣子は箱から出してネックレスをつけてくれた
「それさ、少しの間握ってみてくれる?」
「こうですか?」
私は飾りの部分に触れると手の熱がネックレスに伝わっていく
「手を開いて見てご覧」
私は言われた通りに手を開くと色が変わっていた
「色が変わってる」
「驚いた?それね、伝える熱量で色が変わるんだ、似合うと思ったんだよね隣子に」
「ありがとうございます。これがあれば私は零二君を近くに感じます」
俺はその言葉にむず痒さを感じて頬を掻く
「なんかこそばゆい、昔の仲間にも感じたことなかったな」
「そうなんですか?」
「うん、アイツらといるのは楽しかったしね、確かに昔の仲間も守りたいっては思ってたけど、それとも違うっていうか……今は、自分も隣子や他のRoseliaの皆も大切に思えるんだ、何よりも俺に歩み寄ってくれて拒絶しないでくれた隣子を守りたい」
「私も…零二君に寄り添える存在でいたいと思ってます」
「だとしたらお互いを大切に思えてる証拠なのかもしれないね」
「そうですね、もっともっとお互いを大切に思えたらいいですね」
そうしてお互いを大切に思う気持ちを共有したのだった。
10話目です。ここから少しずつ恋愛要素を入れていくのでお楽しみに、そして次回からこの話の時系列で夏前半辺りになっていきますのでどんな内容になるかお楽しみに
それではまた次回
次回「衣替えと新たな約束」