燐子視点
零二君がいなくなって3週間と少し私はあれから零二君に会えていない
そしてここ数日虎堂君も学校に来ていない
学校には体調不良と連絡はしているらしいがおそらく零二君絡みだろうなと考えてる
「虎堂さんが居ないと烏間君の事を知ることも出来ませんし、困りましたね…」
「正直街が嫌に静かなのも気になりますし」
「なにかあるんでしょうね、烏間君達が関わっているのでしょう」
「零二君に何も無いといいんですけど…」
「正直彼の事は分かりかねます。思い当たる場所に行ってみるなどするしかないのだろうなと思います」
「とはいえ零二君が行きそうな場所なんて私にはわかりません、ゲーム世界にもいませんし」
「とりあえず今だけは切り替えましょう」
「そうですね」
学校に零二君が居ないことが物足りない
声が聞きたい、名前を呼んで欲しい、またたくさん話をしたい
浮かんで来るのはそんなとこばかりだ
心にぽっかりと穴が空いたみたいだと思った
どうすれば彼に会えるのだろう?氷川さんの言うようにあちこち探してみるしかないのかもしれない
思い当たる場所は?
ゲームセンター、零二君の家、どっちも違う
前に揉め事を起こした廃工場?違う気がする
街の何処かだろうけどどこだろう?
色々思い当たる場所を考えてみるけど零二君がいなそうな場所だ
授業に身が入らないまま結局放課後を迎えた
今日は練習が休みなので真っ直ぐ帰ろうと家路を辿っていた時私の口と鼻を塞ぐようにハンカチで覆われわたしは意識を失った
しばらくして目覚めると見た事ない場所にいた見る限り廃工場というより廃倉庫といった感じだ
「目が覚めたようですね」
「本城君…」
「まずは謝罪しますよ、手荒な形でここに連れてきてしまったことを」
「そう思うなら今すぐ私を解放してください」
「できない相談です。貴方には僕のものとしてこの先の起こることを見届ける義務がある」
「なんの事ですか?」
「薄汚いカラスの最後の瞬間ですよ」
「……!?零二君になにかするつもりですか?」
「もうすぐわかりますよ」
本城君がそう言うと閉まっていた扉が開いて零二君達がやってきた
「やってくれたな本城!」
「僕はただ見届け人を連れてきたに過ぎませんよ」
「よく言うぜ、俺言ったよな、その女に手を出すなってよ」
「自分のものに触れるのに許可が必要ですか?」
俺は目を閉じ深呼吸してから言った
「後悔するなよ」
それが開戦の合図となりチームRAVENVSチームドレッドノートの抗争が始まった
人数では圧倒的にこっちが不利だが俺達はそれを意に返さず向かってくる連中を倒していく
「リーダー!なるべく前へ!」
「行ってください零二さん!」
「僕らもいくよ!ナンバーズ相手は一人じゃ無理だからね」
「骨のあるやつらと戦いたいしね」
「お供しますよ」
俺達の前にナンバーズが立ち塞がる
「一応アイツも親玉だからさ、通す訳いかねんだなこれが」
「まぁ、一応な」
そうして俺達はそれぞれバラけてタイマンを張る
俺は光牙を相手にしていた
両手の指先に爪のようなものを付けていて掠りでもすればすぐに傷が出来る
「近付けないよな〜」
「あぁ、でも問題ない!蹴り主体で攻める!」
俺は宣言通り蹴り主体で攻める
「俺とやる奴らは必ずそうするんだよ!でもその方が対処ってしやすいんだよ!」
そう言って懐に潜り込んで来る俺は身を低くして膝蹴りを入れる
「おっと!」
それを簡単に躱され俺は舌打ちする
「お前、野生動物みたいだな」
「あぁ、よく言われんよ!薄汚いカラスが野生の肉食獣に勝てるわけないけどな!」
「やってみないと分からないだろ!」
俺は飛び上がって拳を打ち出すとそれを脇に挟む形で受け止められる
「お前、その爪付けてるから拳握れないだろ?」
「野生の武器さ!」
お互いに距離を取り睨み合う
そして動き出そうとした時銃声が聞こえ俺の肩を穿つ
「ぐっ…」
振り返ると本城が銃を構えていた
「本城ー!」
「当然の措置ですよ!」
「おら!余所見するんじゃねーぞ!」
俺は咄嗟に躱し蹴りを入れて光牙のバランスを崩す
「タイマンに茶々入れんじゃねーよ!本城!」
「それは君の解釈であって僕達はタイマンだとは言ってません、そもそも喧嘩なんですからね!」
そう言ってさらに銃を撃ってくる
急所こそ避けるものの弾丸は確実に俺を射抜く
「銃刀法違反って知ってるか?」
「許可証は持ってますよ」
そう言って許可証をチラつかせる本城に苛立ちが募る
「クソが!」
「邪魔だ!」
俺は光牙の蹴りを躱し殴り飛ばす
「その爪は当たらなきゃどうってことは無いんだよ」
「そうかよじゃあ、こっちにするわ」
そう言って爪をすべて外し上着の裏ポケットからナイフを取り出す
「どこまでも卑怯な奴らだな」
指の間で握られたナイフを躱しつつ呟く
「とっととくたばれや!」
「そう簡単にくたばるかよ!」
喧嘩慣れしているからこそなのだろう的確にナイフで急所を狙ってくるギリギリの所で躱せるが銃弾が飛んでくるため1箇所に留まれないのもいたい
そして呼吸を整えたタイミングで頭部に激しい痛みが走った「ヘヘヘ!漁夫の利!」
ドレッドノートのメンバーの1人が折れた角材を持って立っていた
「ナイスだ!死ね!カラス野郎!」
俺はナイフを手のひらに突き刺し止め流れた血で髪を上げながら言った
「あぁ〜もういいやそう言うの」
「なんだと?」
「お前ら全員ぶっ潰す!」
俺は腰にぶら下げていた警棒を展開する
「俺も道具使うわ、元々こっちの方が楽だしよ」
そう言って光牙の方に向かって行き警棒を振りあげるがあえて蹴りを入れる
「そりゃこの体制からなら警棒の方警戒するよな!警棒ってさ本来は相手の武器を落とすためのものなんだわ」
そう言って警棒でナイフを持っている腕を殴りナイフを落とす
そして俺の頭を殴った奴を警棒で殴り頭を踏みつけ気絶させる
「ナイフは1本じゃねーんだよ!」
「無駄」
俺は拳をフェイクにして蹴りを入れて距離をとる
「さっきから警棒に気を取られすぎて拳や蹴りへの注意が散漫になってるよ」
そして銃弾が飛んで来るがそれも簡単に躱す
「なんで!?さっきは当たってたじゃないですか!」
「少しは銃の扱いになれたのかも知れないが銃口が真っ直ぐ素直すぎてバカ丸出し、急所外れるからってあえて当たってやってたんだよ!こっからが血濡れカラスの本領発揮だコノヤロー!」
俺は警棒を振り回し拳や蹴りを混ぜて攻撃する
「そんなもんか?前のリーダーも確かに銃を使ってはいたけど肉弾戦もかなりだったのによ!」
「舐めんなやガキ!」
ナイフを無造作に振り回すが俺は警棒でそれをいなし本城の銃弾も躱していく
「当たらないなら近付けばいい!」
本城は痺れを切らしこちらに向かいつつ銃を乱射する
「当たってねんだよ!カスが!」
本城の方に走りすれ違いざまに警棒で顔面を殴る
「血が…血が〜!」
「うるせぇ!」
俺は本城が意識を保てるギリギリを狙って警棒で殴り続ける
そこへ光牙がナイフを刺そうと向かってくれば腕を掴み背負い投げる
「2対1でこのザマか…つまんねぇ」
その様子を見ていたほかの面々はと言うと
「あ〜あリーダー怒らせるからあぁなるのに」
「零二さんは元々逮捕術とか他にも武道経験豊富だから俺たちの中じゃ頭一つも二つも抜けてんのにね」
「こっちも片付いたしまぁゆっくり観戦といこう」
「だね」
チームRAVENのメンバーはナンバーズとタイマンしたメンバー以外はほぼ無傷に等しく完勝していた。
「リーダー!こっち片付いた辛存分にどうぞ!」
「だそうだ」
「チッ!ふざけんな!」
再びナイフで切りかかってくる光牙を警棒でナイフを落とし蹴りを入れて距離をとるを繰り返す
「本城、俺を殺すんじゃなかったのか?」
「うるさい!僕を血まみれにした罪は重いからな!」
本城もヤケになり銃を乱射するが出鱈目に撃った弾丸が当たるわけが無い
「もういいや!寝てろ!」
本城に近付き殴ってバランスを崩した所を背負い投げ
思い切り顎を蹴り上げ気絶させた
そして立ち上がった時下腹部を弾丸が貫いた
一瞬痛みを忘れ撃たれた箇所を抑える俺に笑いながら光牙が近付いてきた
「たった1発きりだが俺の切り札さ!オラ!」
「ぐっ…」
撃たれた箇所を踏みつけられる
そして光牙はそのまま俺に向かってナイフを刺そうとしてくるが俺は手で受け止め転がって距離をとるとナイフを引き抜く
がその隙を狙われ撃たれた箇所にナイフを突き刺さしてくる
「コノヤロー!」
俺は蹴りを入れてまた距離をとる
(警棒を落としたのはいたいな〜でも、血を流しすぎたな〜
目の前がチカチカするし、少しふらつくがでも、問題ねぇ!
むしろこれが絶好調だ!)
「死ねー!」
「上等だクソが!」
俺は殴りかかるふりをしてスライディングし警棒を掴むとすかさず武器を持った手を警棒で殴り蹴りを入れてそのまま懐に飛び込み顔を掴んで地面に叩きつける
その時手首にナイフを刺されたが気にせず力いっぱい地面に叩きつけた
そして気絶したのを確認して立ち上がる
「俺達の勝ちだ」
俺は勝ちを宣言した
そして勝ちに沸き立つ中で俺は凛奈に告げる
「燐子の拘束解いてやれ」
「はい」
燐子は抗争が解かれると俺の元に駆け寄って来て俺の1歩前で止まる
「これからどうするんですか?」
「この街から…君の前から消える」
「私はそれを望みません」
「君が望むと望まざると俺の意思は変わらない」
俺はそう言って背を向けるとその背に燐子が抱き着いてきた
「なんのつもり?」
何も言わず燐子は俺の手を握った
「血が着くよ」
「構いません」
「もう、どこにも行かないでください!約束したじゃないですか!手の届くところにいるって!あんな手紙じゃなくてこっちを向いて目を見て言ってください!ちゃんと貴方の想いを!」
「そうだね、言いたいことだけ言って逃げるのは反則だね」
声のした方を振り返ると白髪にサングラス、白い長袖にグレーのダメージジーンズに身を包んだ青年が立っていた
青年は杖を着く
きながらこっちに寄ってくる
「零人…お前なのか?」
「他に誰がいるのさ!確かにあの時からかなり見た目は変わったけど俺だよ」
「なんでここに?」
「君の友達が教えてくれたんだ抗争を最後に消えるつもりだって」
「修也!」
「ごめんリーダー!白金達がものすごく心配しててさ!なんか手はないかってリーダーいない時に聞いたら元リーダーならってさ」
「零二、どうするの?」
「わかったよ」
俺は燐子の方に向き直り告げる
「心配かけてごめん!これからはずっと近くにいるから手の届く所に…だから…俺の傍に…いてください」
「はい!私を離さないでください!」
俺は燐子を抱きしめると安心感が溢れ出し意識を手放した
燐子視点
「零二君!零二君!」
「気絶したみたいだね」
「零人さん?」
「今は零って言うんだ、烏間零。鴉羽零人は1年前の抗争で死んだんだ」
「そうなんですか…?」
「とりあえず病院かな?修也君零二起きたら連絡してくれる?もうすぐお巡りさん達も来るだろうからさ」
「了解です!動けるヤツらは散れ!」
チームRAVENのメンバーはカラスの群れが飛び去るように散っていった
そしてパトカーと救急車がやってきて零二君と他何人かは病院へ気絶していた人達は警察に連行されて行った
零二君の病院には私と凛奈さんが付き添った
そして凛奈さんは私に言った
「零二さんをお願いします。彼は放っておくとすぐ無茶します。誰かが手を握ってあげる必要があります私ではそれは出来ませんから」
「私は一度彼を恐れました、でももう離しません!私は零二君から離れないし離しません」
「任せますね」
私達は約束し2人零二君が目覚めるのを待つのだった……
21話抗争終結です。喧嘩は正直殴る蹴る躱すなので文章だと派手さはないですがとりあえずは暴力はしばらく封印です。
次回は主人公の学校側の処分が決まり敵メンバーとのあれこれを解決し晴れて夏休みという形にしたいと思いますのでお楽しみに
次回「決定とこの先の時間」